仮面ライダーAP外伝 Imitated Devil   作:X2愛好家

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続く死闘にして私闘


第二話 蒼/王

ニノマエラボで続く戦闘。

ジャスティアドライバー格納庫前通路にて、亜灰 縁が変身した仮面ライダービロトと、ドライバー強奪部隊のリーダーが改造人間としての姿を解放し激突したのと同時刻。第一試験場にて、それぞれのトップ同士も相対していた。

 

「知っているとは思うけれど、一応自己紹介だ。このラボで一番偉い人間、一 光だよ」

「ご丁寧にどうも、知らないと思うんで自己紹介だ。俺はレッドホースマンのコードネームで通ってる」

「見た目どおりだねぇ」

「分かりやすくて良いだろ?」

 

薄く笑う両者だが、互いに目は笑っていない。一触即発の空気に合わせたように、レッドホースマンの先行に追い付いた黒マネキンのような人型が破壊されたゲートを潜って現れた。

 

「それが噂の黒死兵かな?」

「ほぉ、よく知ってるな」

「世界各地を荒らし回っているんだ、耳に入らない方がおかしいというモノだろう?」

 

ある時機を境に、ノバシェードの戦力として世界各地に姿を見せ始めた物言わぬ漆黒の怪人。不気味に佇み、感情という感情を見せず、ただ無慈悲に無機質に命を奪っていく死の化身。一体一体が凄まじい戦闘能力を秘めており、その力はかつて新世代ライダー達をまとめて相手取ったノバシェード首領格の側近、武田禍継に匹敵するほど。

 

「是非ともバラしてみたいものだねぇ……四体も居るなら、一つくらい分けてくれても良くないかい?買い取りでも構わないよ。まだ予算は残っているからね」

「悪いが非売品でな」

「それは残念だ」

 

舐めるように黒死兵を観察する光。相変わらずその目は笑っていないが、興味深いサンプルを前にして研究者の血が騒ぐのか、若干テンションと口角が上がっている。そしてそんな気味の悪い視線など何処吹く風と、四体の黒死兵は動き続けている。一息に飛び込める距離を保ちつつ、光を包囲しているのだ。

 

「あぁそうだ、一つ聞いても良いかな?」

「答えられる事なら、な」

「今回の襲撃。立案は君かい?」

「だとしたら?」

「何故、拉致誘拐ではなく殺害なのかと思ってね」

 

不思議で仕方ない、理解出来ないと首を傾げる光。可愛らしく見えるその仕草に、レッドホースマンは明確な異物感を感じていた。

 

「自分で言うのも何だが、私は頭が良いだろう?脅すなり人質を取るなりで従わせた方が、組織の為になるんじゃないかな?仮にも最新鋭のライダーシステムを72機も完成させた逸材だよ?」

「簡単さ。その72ものライダーが一斉に動き始めたらノバシェードが終わる、まで行かずとも大惨事になるから……ってのは表向きの理由。言っちまえば、ノバシェードとしての理由だ」

 

砕けた軽い雰囲気を打ち消し、他者の命を奪う改造人間としての圧を纏うレッドホースマン。

 

「おや?組織としての理由が建前のように言うんだねぇ?」

「危険分子の排除には賛成だよ。だが今回の作戦行動は、俺の個人的な理由に依るところが大きくてね」

「ほう?」

 

やや身を乗り出しレッドホースマンの続く言葉を待つ光。四方を黒死兵に包囲された、絶体絶命の状況とは思えない呑気な笑みを浮かべているのが不気味だ。

 

「危険なんだよ、その技術も人格も何もかも。ありとあらゆる視点から見て、何度調査しても組織に貢献させるメリットより生かしておくデメリットの方が遥かにデカい」

「……ふっ」

「下手をすればノバシェードを内側から食い破りかねんからな。そうして出来上がるのは第二の此所か、産業廃棄物処理場 兼 墓場だろ?」

 

少しずつ剣呑さを帯びるレッドホースマン。言い終わるのと同時に右手を掲げ、その動作を認識した黒死兵達が突撃姿勢を取る。そちらの知りたい事は伝え終えたと言外に滲ませ、当初の目的通り光を始末するつもりのようだ。対して光は───

 

「くふっ……ははっ、アッハハハハハッ!まさか改造人間のテロリストにここまで言われるとはねぇ!生かしておけない?存在が危険?はっ!正義の味方みたいな事を言うじゃないか」

 

可笑しくて堪らないと腹を抱えて噴き出していた。

 

「ひぃ、ふぅ……はぁ。内容はどうあれ知りたい事は知れたから感謝するよ。あぁ、ここまで笑ったのは久しぶりな気がするなぁ」

「そうかい。じゃあ、さようならだな」

 

どうにか呼吸を落ち着けた光が言い終わるのと同時に、右手で合図を出したレッドホースマン。その動作を認識し、一切のズレ無く四方から襲い掛かる黒死兵達。明確な形を持って迫る死に対し、光が取った行動は起立。立って身を投げ出し回避するつもりなのか、或いは急所をずらして僅かな生存確率に賭けようというのか。

 

「……っ、だと思ったよ」

 

どちらにせよ遅い。黒死兵四体の足が光の頭を、もしくは胸を蹴り潰さんと伸びた正にその瞬間。光の姿が消えたのだ。空を切り、車椅子の座席上で激突して止まった黒死兵の足。悪態と共に背後へ振り向いたレッドホースマンの目には、一瞬前までは影も形も無かったはずの白い装甲が映っていた。

 

「では、改めて自己紹介だ。このラボの最高責任者にしてライダーシステム ジャスティアの開発者。一 光」

 

No.13 ビロトとも、No.55 オルバスとも異なる白い装甲を彩る黒と黄のライン。右肩には猫、左肩には蟇蛙の頭を模したパーツ、頭部には王冠のような装飾が施され、胸には蜘蛛のエンブレムが描かれている。無機質で禍々しい、現代に再現されし悪魔の王。

 

「またの名を、仮面ライダーバウル」

 

ジャスティアタイプ マスクドライダーNo.1。72柱の悪魔を模した強化外骨格、その頂点にして原点が目覚めた。

 

 

▲▽▲▽▲▽

 

 

「シィヤァッ!」

「っ!」

 

一方、格納庫前通路で繰り広げられているビロトとフィロキセラの戦闘。触手を天井に突き刺し、曲芸じみた動きでビロトに飛び掛かり、蹴りを見舞うフィロキセラ。対するビロトも、そんな動きは見切っていると言わんばかりに容易く飛び蹴りを回避してみせた。

 

「チッ……不遜な態度に見合う実力は有る、という訳か」

「この程度で私が全力を出していると思っているなら、随分と残念な知能ですね」

「ほざくな!」

 

今度は左腕にのみ生え備わっている刃を振りかざし、ビロトに斬り掛かる。斬り合いなら望むところとブレードを構え、此方も距離を詰めていく。

 

「ギィッ!?」

「その生体刃は中々ですが、本体の硬度はギリギリ落第点ですね」

 

触手も併用しての連続攻撃。だが、その何れもビロトの装甲に傷を付けるに至らなかった。触手は躱され、刃はビロトのブレードに受け止められるか、流されている。しびれを切らし、左腕を大上段に構えて大振りの一撃を繰り出そうとするフィロキセラだったが、それこそビロトが待っていた行動だった。

 

「ぐっ……かはっ……」

「経年劣化か、はたまた元から脆弱なのか。どちらにせよ能力はβ以下、という事が分かっただけでもよしとしましょう」

 

一瞬にしてフィロキセラの懐に踏み込み、その腹部を横一文字に切り裂いたのだ。変身と同時に構成員達をまとめて葬ったのと同じように。ブレードに付着したフィロキセラの血液を振り払って落とすビロト。それと同時に、背部や脹脛で展開していた機構が待機状態に戻っていく。恐らくこれらのユニットで瞬間加速したのだろう。

 

「なっ……める、なぁッ!」

 

β以下、という言葉がフィロキセラの琴線に触れたのだろう。腹から絶え間なく伝わる激痛を無視し、左腕の刃を滅茶苦茶に振り回しながらビロトへと迫る。

 

「……ふんっ」

「っ!?があっ!」

 

先程までの再現のように刃を捌き切るビロト。フィロキセラが刃を囮に繰り出した右手での奇襲も見切り、左手首の装甲で受け止めてみせる。完全に読まれていた事に驚愕し、一瞬固まったフィロキセラに対して、お返しとばかりにブレードを握ったまま右手でパンチを繰り出し殴り抜く。

 

「まだ、だっ!」

「学びませんね」

 

ふらつきながらも踏ん張り、今度こそビロトを切り裂かんと肉薄するフィロキセラだが、既に先手を打たれていた。フィロキセラの踏み込みに合わせて左足を構え、ブーストユニットを展開・作動させて思い切り引っ掛ける。子供の悪戯のような小さい動作だが、その効果は覿面だった。

 

「しまっ───」

「ハァッ!」

 

体勢を崩したフィロキセラに向けて突き出されるブレード。先の腹を斬った一閃から考えても、この刺突が決まれば致命傷になるのは火を見るよりも明らかだ。この個体の技量を鑑みても、これで決着となるだろうと確信していたビロトだったが。

 

「グッ……ウォアァァァッ!」

 

伸ばした触手を壁に突き刺し、強引に振り向いてみせたフィロキセラ。間に合わせた左腕を体とブレードの間に滑り込ませ、必殺の一撃を防いでみせたのだ。

 

「ふむ……どうやら過小評価していたようですね」

「こんな所、で……終われるものかよ!あの人の期待に応える為にも!」

 

ブレードを構え直したビロトと、同じく左腕生体刃を構えるフィロキセラ。

 

「期待、あの人、ね……」

 

まるで正義の味方が奮起するかのようなフィロキセラの言葉に、ビロト───縁も僅かに反応していた。彼女の脳裏に過っていたのは、別の場所で戦っているであろう上司にして大切な人。

 

「サフィア!無事か!」

「ちょっ……本当にライダーが居るんだけど」

「仕方ねぇだろ!一人でも多く突破してドライバーを持ち帰るぞ!」

 

縁が感傷に浸っている間に響いてきた複数の足音。他区画の制圧を行っていたノバシェード構成員達が増援として駆け付けて来たようだ。

 

「やれるか?サフィア」

「あぁ……!」

「帰ったら奢りなさいよ」

「死にそうだなぁ……俺もお前も」

 

「はぁ……全く、どちらが悪人なのやら……」

 

サフィアと呼ばれたフィロキセラ怪人も完全に立ち直ったようだ。深い溜め息と共にブレードの狙いを定め直す縁、もとい仮面ライダービロト。

 

「他の奴らは?」

「分からん……もう動き始めたはずだが」

 

「……此方の援軍も間に合いましたか」

 

外骨格型ライダーシステムの集音機能が捉えた敵の会話から、ビロトは何かを確信したようだ。

 

 

▽▲▽▲▽▲

 

 

「ぐあぁぁ!?」

「クソッ!クソォォォァッ!!!」

「リーダー!サフィア!誰でもいい応答してくれ!正面ゲートは突破される!もう抑え───」

 

「退けぇ!邪魔だッ!」

 

所変わってニノマエラボ正面ゲート。

サフィア達が気にしていた他の部隊の安否、そしてビロトが独り言として溢した此方の援軍。その二つに同時に解を叩き付けるかの如く、赤い装甲のライダーが強襲を仕掛けていた。

 

「ほぼ制圧されてんじゃねぇか……!博士と縁は無事なのか!?スタッフの避難は!」

 

ヘリの墜落地点から全力疾走を続け、ようやくラボへと辿り着いた忠義・ウェルフリット。ジャスティアタイプ マスクドライダーNo.55 オルバスだ。

 

「この分だとドライバー格納庫にも……!クソッ、手が足りねぇ!」

 

近くに散乱していた鉄製の瓦礫を蹴飛ばし、別の通路から現れたノバシェード構成員に命中させながら悪態をつく。忠義が焦っている通り、致命的なまでに人手が足りない。格納庫に向かってドライバー強奪を阻止するか、通信の繋がらない光の保護を優先するか。悩み、足が止まる忠義だったが、複数の足音がオルバスの集音機能を通して聞こえてきた。

 

「キリが無い───って、は?」

 

また増援か、と通路を睨む忠義。だが、慌ただしい足音と共に姿を見せたのは、ノバシェードの戦闘員ではなかった。

 

(女?それに子供……?)

 

女性が少年の手を引きながら走り出てきたのだ。女性の方はスーツ姿、少年はジャージのようなスポーツウェアに身を包んでいる。どういう事だと困惑していると、二人が通ってきた通路から新たな人物が現れる。

 

「ったく、しつっこいんだよお前ら!」

 

「っ、レリジェ?マウンスか!」

 

深緑の装甲に左肩のマント、腰から下を覆うコート、そして右腕に装着されたクロスボウが目を引くライダー。ジャスティアNo.14 レリジェだ。

 

「あぁ?忠義か?ちょうど良い、手ぇ貸してくれ!」

「ったく、何やってんだオッサン!」

 

レリジェが相手取っていたのは野戦服を着用したノバシェードの構成員達。中には体の一部を変異させた改造人間も居り、これの対処に難儀していたのだろう。先に通路を抜けて正面ゲートに出た二人を守りながら戦っていたようだ。

 

「オラァッ!」

 

「ぐおぁっ!?」

 

先頭の腕部変異型に強烈な飛び蹴りを見舞いレリジェから引き離すオルバス。吹き飛んでいく腕部変異型の脇をすり抜けるように後続の戦闘員が現れるが、次々と風穴を空けられ倒れていく。

 

「ふぃー、やっと距離取らしてくれたなぁオイ」

 

忠義の援護によって多少の余裕が出来たレリジェによる射撃。クロスボウから放たれたそれは、一般人よりはマシ程度の身体強度しか持たない戦闘員を貫くのに充分な威力を誇っていた。

 

「っとと、ほらよ忠義!」

「先に渡せっての!」

 

レリジェがオルバスに投げ渡したのは、普段Gチェイサーに搭載して携行するエンジンブレード。今回はヘリに積んでいたのだが、緊急脱出が原因で持ち出せていなかった。自衛用に武器格納庫か整備室辺りから勝手に持ち出したであろうそれを、性能を遺憾なく発揮できる忠義に渡したのだ。

 

「でぇやぁッ!」

 

「ぐっ、うっ!?がっ───」

 

「頭がお留守だぞー」

 

文句を言いながらもブレードをキャッチし、起き上がった腕部変異型に斬り掛かる。大上段から全力で振り下ろされた一撃をその強靭な腕で防ぐ怪人だが、腕による防御を崩され、射線が通ってしまった事でその命を散らす羽目になったようだ。

 

「良い所だけ持ってきやがって……」

「抜け目無いって言ってくれ」

「まったく……で?あの二人は何だ?見た所スタッフでもなさそうだけど」

「所長さんのVIPだよ。おれが案内役やってたんだが、急にドンパチ始まってさぁ」

 

レリジェ───変身者のマウンス・シーバードの口から語られる言葉に驚く忠義。所長、つまりこのラボの最高責任者である光の客人という事だ。それもVIPだという。

 

「まさか……」

「ご明察。適合者だよ、どれに合うかはまだ調べてないから分からんがね」

 

身を隠していた大きな瓦礫の陰から恐る恐る出てくる二人。女性の方は大人びて見えるものの、忠義とそう変わらないだろう雰囲気。少年は間違いなく年下だ。

 

「どっちも日本からわざわざ呼んだんだと」

「……」

 

自分よりも年下の少年をライダーとして戦いに巻き込む事に若干の不満を覚える忠義。自分はまだ良い、望んで警察官になり、適合率が高かったとはいえ望んで仮面ライダーになったのだから。だが、目の前の二人は違う。適合する可能性があるというだけで、恐らく何が何やら分からないままこのラボに招待されたのだ。

 

(そういう普通の人達を守る為に……俺は警官に、ライダーになったはずなのに……!)

 

「言いたい事は分かる。その文句を所長さんに言う為にも、全員で生き延びようぜ?な?」

 

ポンッ、とオルバスの肩に手を乗せるレリジェ。忠義と似たような理由でライダーとなったマウンスは、悩む若人の背中を押す方法など知り尽くしている。

 

「……分かってる。その博士は?」

「第一試験場らしい。黒いマネキンみてぇなのが四体と通信機持った男が向かってたが」

 

黒いマネキンという単語を聞いた瞬間、忠義の警戒度が跳ね上がる。まさか黒死兵かとマウンスに詰め寄ろうとしたその時───

 

「黒い怪人というのは……」

「あ、あっ……あれっ、です、か……」

 

何かから距離を取るように二人が近付いてきていた。危険を察知した女性と、怯える少年が見つめる先には別セクションに繋がる通路。そこには、何者かの首を締め上げながら歩いて来る黒い影があった。

 

「あー、間違いねぇな。アレだわ」

「黒死兵……!」

「マジかよ……だとすっと五体も投入したワケ?大人気だなぁおい。お二人さんといい、今日はオープンキャンパス的な日だったか?」

 

漆黒のマネキンのような怪人、黒死兵。通路からやって来る個体が、光抹殺の為に試験場へと向かった四体の内の一体でなければ、今回の襲撃に五体もの黒死兵を投入している事となる。

 

「……はぁ、しゃあねぇ。忠義、お前は所長さんの所に行け」

「なっ、一人で相手する気か!?あんたの適合率は!」

「かなり低い、知ってるさ。だからこそ、おれより戦えるお前が所長さんの援護に行くべきだろ?」

 

二人で戦う───厳密には黒死兵に掴まれている奴を含めて三人で戦い、万全な体制で光の援護に向かうのがベストだが、相手は黒死兵。数体で街一つ殲滅可能な戦闘力を持つ危険な怪人。もし手間取れば光が討ち取られる可能性が高くなる。ならば重要性の高い光の元に適合率と戦闘力が高い忠義が向かい、マウンスが目の前の黒死兵を抑えた方が合理的だ。

 

それは正しい考え。だが、納得出来るかはまた別問題で。

 

「安心しろって、おれだって死ぬつもりで言ってるんじゃねぇからよ。二人もちゃぁんと守ってみせるさ」

「……っ」

「行け、見誤るな」

 

そう言い放ち、忠義の返答を待たずに駆け出していくレリジェ。今の自分に出来る事を成すべく動き出した男を止める訳にもいかず、その背を見送るしかできない忠義。迷いは一瞬、腹を括った忠義もまた、自身のやるべき事に向けて動き出す。

 

「俺も行く。これから俺が向かうのは、あの殺人黒マネキンが四体も居る戦場だ。悪いがお前たち二人を守りながら戦えるか、正直な所自信が無い」

「……」

 

第一試験場へと駆け出す、前に二人の民間人に声を掛ける。

 

「だから、少しでも助かる可能性が高い方に託す。あのオッサンは、俺が知ってる中でも信頼できる人間だ。信じてやってくれ」

「……はい!」

「あっ、えっ……は、はい……!」

 

力強く頷く女性に遅れながらも、俯いていた顔を上げ、しっかりと答える少年。無責任ではあるが、多少は励ましになったかなと忠義も仮面の奥で顔を綻ばせる。

 

「……っし!終わったら俺の奢りで旨いもん食いに行くぞ!頑張れよ、そう遠くない未来の後輩!」

「ありがとうございます。先輩」

「がっ、頑張ります!そ、そちっ、そちらもお気をつけて!」

 

互いの激励も終わり、それぞれの行くべき道へ向かう三人。黒死兵から可能な限り距離を取れるルートを指示し、忠義もまた仮面ライダーオルバスとして走り出した。

 

(死ぬなよオッサン、後輩)

 

微笑を消し去り、屈強な戦士としての仮面を被り直した忠義。向かう先は四体もの黒死兵が待ち受ける、文字通りの死地。そして、この襲撃の首謀者と思われる通信機を持った男も、恐らく下級戦闘員などとは比べ物にならない脅威のはず。

 

(生きてろよ……博士!)

 

たとえどれだけの絶望が待っていたとしても、歩みを止める訳にはいかない。恐怖に屈し、膝をつく訳にはいかない。

 

それが仮面ライダーの道を選んだ、自らの宿命なのだから。




パーティーは終わらない

【マウンス・シーバード】
現 仮面ライダーレリジェ。38歳 男性。
適合率はベストコンディション時で58%、平常時は45%前後といった所。
元軍人であり、サバイバビリティが高い。
年長者らしく他のジャスティアライダー達を気にかけるムードメーカー。今回新たに招聘された適合者二人の案内役であり、そのまま教官も務める予定だったが、襲撃事件が発生した為やむを得ず変身。二人の安全を優先し、施設外への撤退戦を行っていた。

【サフィア/サファイアフィロキセラ】
ドライバー強奪部隊のリーダーにして、今回のラボ強襲作戦の実質的な副官。
輝く青い甲殻・生体装甲が特徴のフィロキセラ怪人へと変異できる。
原初のフィロキセラ怪人であるα、その細胞の突然変異によって誕生したβ。更にβの細胞を人工培養したデッドコピーであるγに該当する個体であり、知能をオミットする事でコストダウンしていたγのプロトタイプに当たる。量産を考慮しないデチューン前の試作型の為、思考する事が可能で会話も違和感無くこなせる。
武器は左腕にのみ備わる生体刃と頭部から伸びる二本の触手。

フィロキセラにタイプが存在する事は、後にニュージェネレーションの一人の調査によって判明するが、何故それより前に亜灰 縁がγの存在を知り得ていたのか……?
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