仮面ライダーAP外伝 Imitated Devil 作:X2愛好家
「さっすがに気が重くなってきたな……」
2021年7月14日、日本。
重くなっていく気と足取りを表に出さないよう気を張りながら歩く男が居た。ジャスティアドライバー奪還の為にノバシェードを追撃しているはずの忠義・ウェルフリットだ。
何故、彼がラボ襲撃から一週間が経過した今日本に居るのか。簡単に表せば謝罪と許可取りの為である。
「シノミヤ・ナグサ……情報がほぼ外に出回らないって、どんな暮らしをしてるんだか……」
ラボ襲撃の際に忠義や前任者であるマウンスの意図しない形でレリジェを受け継いでしまった女子大生、紫宮桔梗の生家に来ているのだ。適性検査だけのはずが、なし崩し的に実戦を経験する事となってしまった桔梗と宍倉琥珀。現在、忠義はその二人の親族に事情を説明し、ジャスティアライダーとして活動させるか否かのお伺いを立てに日本へ来ている。
そして忠義が不気味に感じているのは、その桔梗の母である
「はぁ……しゃーねぇ、行くか……」
文字通りスーツの襟を正し、紫宮家が管理しているらしい神社とそれに隣接している武家屋敷へと向かう忠義。その足取りは相変わらず重たかった。
▲▽▲▽▲▽
「えぇっと、ここ?」
「そのはず……です、けど……」
一方、紫宮家から遠く離れた都内。
産みの親へのゴアイサツに忠義が来ている事など知る術の無い桔梗と琥珀。連絡を取り合う仲となった二人は、縁からの紹介という名の指令で再び顔を合わせていた。待ち合わせて向かったのは、賑わっている中心部からやや外れた場所。閑静な住宅地といった所だろうか。
「喫茶リンボ……中々に物騒な店名だけれど……」
「ま、まぁ、悪魔ですし……」
二人がマップアプリを頼りに辿り着いたのはとある喫茶店。辺獄を意味する店名に頬を引きつらせつつ、恐る恐る店内へと足を踏み入れる。
「おや、いらっしゃい」
扉の開く音とドアベルで気付いたのか、カウンターで接客中だった男性が振り向きながら声を掛ける。
「あの、木之下さんという方は……?」
「私がその木之下さんだと思うよ。なるほど、君達が」
黒髪をポニーテールにまとめた180cmに届くかどうかといった長身の男。彼こそ縁が会ってみると良い、と二人を向かわせた理由その人。
「大変だねぇ、その年でライダーとは」
「えっ、あ、あの……!」
「あぁ、大丈夫だよ。私も含めて今ここに居るのは全員そうだから」
「ねぇナベちゃんお酒~!」
「酒の匂いが酷いぞ……来る前にも飲んでたな」
「まぁまぁ良いんじゃないの?それに祝杯は上げなきゃだしさぁ、こんなに綺麗な女の子と可愛らしい男の子が後輩になったんだから。俺は嬉しいよ」
さすがにジャスティアライダーの事は口外するとマズイのでは、と慌てる琥珀だったが、雪路の言葉と続く他の客の言葉で気付く。
四人とも悪魔に選ばれたライダーなのだと。
「騒がしくて悪いな。まず私から、ご存知の通り木之下雪路だ。よろしく」
改めて名乗った
「おっ、自己紹介の流れ~?じゃあ次はオレねー!廣井キットが名字と名前~!ヨッロシクゥ!」
紫寄りのピンクという派手な長髪をブンブン振り乱しながら手も振り回している青年、
「これだから飲んだくれは……僕は黒鉄炸弥、一応君らの先輩に当たる」
艶のある黒髪をウルフカットで流している眼鏡を掛けた青年は
「じゃあ最後は俺か。トルダ・ユーノムス、好きなもんは酒とタバコ、詳細に言えばブランデーと葉巻、嫌いなのは面白くねぇ事全般。ヨロシク」
アッシュグレーのショートヘアに琥珀色の瞳が映える美形がトルダ・ユーノムス。本人が言ったように、桔梗に煙が飛ばないように葉巻を咥えている。
以上四名、桔梗と琥珀を含めれば六人ものジャスティアライダーがこの喫茶店に集まっている事となる。
「で、大方アレだろう?亜灰女史に詳細聞かされないままこの店に行け、とでも言われたんだろ?」
「え、えぇ」
「ビロッちってば時々雑んなるよねぇ~」
「常日頃から雑に生きているお前にだけは言われたくないと思うがな」
「親睦深めろって感じじゃないの?よーし、俺が奢ってあげよう。可愛い後輩だもんね」
四者四様の反応。中でも最もチャラけているトルダが桔梗の肩に手を回す。しっかり葉巻の火を消している辺り最低限のマナーは持ち合わせているようだ。
「……」
「んー、ヤマトナデシコな見た目に反して男漁りが趣味だったりするのかね」
「なっ」
いきなり肩を組んできたトルダに対して無言を貫いている桔梗。何のリアクションも無い事を不思議に思うトルダと、まだ自分の知らない爛れた一面がと目に見えて狼狽している琥珀。次の桔梗の言葉でその疑惑は晴れるのだが。
「あなた、女性の方ですよね」
「……へぇ?」
「琥珀くんの鎧の前の適合者、その人に近しい雰囲気は感じますけど、そういう男性特有の肌が粟立つ感覚が無かったので」
「その子のマエってー?」
「ナンバー5、ミルバスだ」
「あの半グレか」
「おもしれー女、と思ったけど比較対象が軽井かよ!さすがにあんなのと一緒にされたらヘコむって!」
自身の中性的な容姿と喋り方に惑わされ、男性と思わせた相手に女性だと種明かしするのが好きなトルダ。初対面にも関わらず見破った桔梗に興味を抱くが、見破られた原因をキット、炸弥、雪路から聞き大仰に落ち込んだ素振りを見せる。
「まぁ座りなよお二人さん、歓迎は本当だから。コーヒー飲める?」
「はい。では、お言葉に甘えて」
「い、良いんです、かね……確か、ドライバーを盗まれたって……」
「オルくんとキマッさん辺りが追ってるんでしょー?なら、日本専属みたいなオレらが少しのんびりしててもバチ当たらないよ~」
「こういう時ほど、イレギュラーってのは起こるものだがな……」
▽▲▽▲▽▲
「あぁ、どうも……」
身振り手振りだけで伝えたい事を完璧に伝える黒子に案内され、紫宮屋敷の一室に通された忠義。目視で確認できただけでも、使用人が全て顔を隠した黒子なのはさすがに異常だと言える。
(いくら古風な武家屋敷とはいえ、不気味すぎないか……?人の気配が全くしない……)
「お待たせいたしました」
事前情報がほぼ無いのに加えて妙な雰囲気が漂う紫宮家。本格的に探りを入れた方が良いのではないかと忠義が考え始めた時、襖が開かれ一人の女性が入室してきた。
「はじめまして。桔梗の母、紫宮無草と申します」
「特務警官、忠義・ウェルフリットです。お忙しい所、ありがとうございます」
「いえいえ、わざわざこんな所までご足労いただいて。それに、あの子の事なら私にとっても最優先の事柄ですもの」
桔梗との明確な血の繋がりを感じる黒髪の美女。シンプル故に本人の美を際立たせる着物を着こなし、所作の一つ一つも綺麗な女性。桔梗の母である紫宮無草とついに対面する事となった。
「立ち話もなんですし、お座りください。面倒な作法など気にしなくて構いませんので」
「では……お言葉に甘えて……」
日本とアメリカのハーフだが、正座をはじめとした一部の作法やら何やらはどうにも苦手な忠義。あぐらでも良いかと腰を下ろそうとした時、無草の斜め後ろで片膝をつく黒子が視界に入った。忠義に全く気配を悟らせずに入室していた黒子は、いつの間にと驚く忠義をよそに無草に何やらを耳打ちしているようだ。それを聞き終え、黒子を下がらせる無草。
「えぇっと、何か……?」
「少々、雲行きが怪しくなってきたようで」
別の黒子によって開け放たれた襖。忠義の居る部屋は廊下を挟んで庭に通じているのだが、その庭から見える景色がおかしかったのだ。
「なっ、何だアレは……!」
「オーロラでしょうか?随分と暗い色をしていますが」
紫宮家から離れた場所、都市部の上空に灰色のオーロラが出現していた。通信端末を起動し、誰かへと連絡を取る忠義。数秒と経たずに繋がったのは縁との回線。都市で発生した怪奇現象の情報収集を始めた忠義の傍らで、口元を袖で隠し、何やら思案に耽っている無草。自分以外の誰にも聞こえない程に小さな声で言葉を紡ぐ。
「懐かしい光景ですね……」
▲▽▲▽▲▽
「灰色のオーロラ……!?」
「なん、なんですか……!これ!ノバシェードの仕業なんですか!?」
「さてね、アレがどういう物なのかによるが」
一方、喫茶リンボの前にて。
ニュース速報と、店の窓からの目視で灰色のオーロラを確認した六人の適合者達が外に出てきていた。
「昼にも確認されるオーロラはあるが……どう見ても自然現象じゃないな、アレは」
「あーあー、廣井がフラグ建てるから」
「えー?オレのせいー?」
「何が起こるか分からん、いつでも変身できるようにしとけよ」
どこか緩んだ空気のキットをはじめとした数人だったが、警戒を強めた雪路の言葉を聞き戦闘態勢にスイッチした。それに驚きつつも、それぞれショルダーバッグとポーチからドライバーを抜けるように構える桔梗と琥珀。それを見て頼もしい後輩が出来た、と嬉しく思える反面、こんな子供に悪魔との契約をさせてマウンスに顔向けできんな、と複雑な胸中の雪路。謝るのは目の前の異常事態が片付いてから、と気を引き締め灰色のオーロラを睨む。
▽▲▽▲▽▲
オーロラが出現したのは、忠義の居る地域と雪路達の居る地域の二ヶ所だけではなかった。それどころか、日本だけでなく世界各地にほぼ同時に出現したのだ。無論、各地に散って活動しているニュージェネレーションライダー達もオーロラを確認しており、更に言えばハイパーレスキューとして活動中だったキマルスこと駿介や、自由気ままにノバシェード構成員だったモノで屍の山を築いているアスモデイことレイラもオーロラを目撃している。
「エグルスフム!」
「分かっていますよ。あの世界……ククッ……退屈しませんねぇ」
そして、忠義と死闘にして私闘を繰り広げた仮面の怪人エグルスフムもまた、灰色のオーロラを認識していた。
「やはり世界の壁が脆くなっているようですね。かの破壊者の影響か……」
「わたしが行く。あの世界にとっての異物を排除するなら、旅団のルールには触れないはずだ」
「一度落ち着いてください。我々が出向かずとも、相応しい相手が舞台に上がるようですよ?」
「何……?」
世界の崩壊・消失を身を持って味わった経験のある白銀陽子がG-Ex-7のシステムを起動させつつAPの世界へと赴こうとするが、それを止めたのは旅団長のエグルスフムだった。彼が示した先に視線を送る陽子。そこには、灰色のオーロラとはまた別の歪みが現出していたのであった。
▲▽▲▽▲▽
「っ……ん、むぅ……これだから生身での次元移動は好きになれない」
薄暗い路地裏から文字通り転がり出てきたのは一人の少女。上着やスカートに着いた埃やら何やらを手で払い、空を見上げる。
「思ったより数が多い。さすがにあの数相手に私一人だと厳しいかな」
徐々に地表に向かって降りてきているオーロラ。そこから現れている「人型の何か」を睨みつつ、懐からスマートフォンのようなデバイスを取り出した。見た目通りの通信機能があるのか、誰かと会話をしているらしき少女。電話を終え、自分の足下に転がっていたアタッシュケースを掴みながらオーロラの下へ走り出す。
「ハンドレッド……好きにはさせない……!」
次第に少女とすれ違う人々が増えてきた。皆、オーロラから逃げるように走っているようだ。やがてオーロラの下に辿り着いた少女。灰色のオーロラから産み落とされるように降下してきている、金色が目立つ甲冑と黒いマントが特徴的な怪人を見据え、群衆を背後に庇うようにして立つ。
「この世界から出ていって」
「貴様……しつこい女だ。招かれざる客は貴様も同じだろう!」
甲冑怪人のリーダー格と思われる個体、両腕の一部が赤く染まり、頭部に角の付いた怪人が少女に向かって叫ぶ。
「自覚はあったんだ。直ぐに出ていくよ、あなた達を倒したらね」
「おい!君で最後か!ここは俺に任せろ!」
少女が走ってきたのとは別方向から声。ヘルメットだけ装着し、スーツ姿のままマシンGチェイサーをトばしてきた忠義だ。
「ノバシェードか、別のアホかは知らねぇが……無傷で帰れると思うなよ!」
「まさか……」
「この世界の……?」
「変身ッ!」
Gチェイサーの加速によって「速度検知」の認証をパスしていた忠義のジャスティアドライバー。変身の掛け声と同時に起動スイッチを押し込み、悪魔との契約に基づいた深紅の鎧を呼び出す。
仮面ライダーオルバス、ここに参上。
「アクセル……?ううん、違うな。ガイアメモリでもないし」
「君も早く逃げるんだ」
「この世界のライダーだよね?なら、今だけ手伝ってくれると嬉しい」
「世界……?何を言って───」
「私もそうだから」
アタッシュケースを開き、中からメカニカルなデバイスを取り出した少女。それを見た甲冑怪人達が慌てた様子で三又槍のような武器から光弾を放つが、怪人達の行動を注視していたオルバスが動く。少女への直撃コースだった物に狙いを絞り手刀と蹴りで弾いて見せた。
「ありがと」
「それは……ドライバーか!?」
「ん」
ベルトを腰に装着し、スマートフォン型デバイスでアプリを起動、コードを入力する少女。デバイスには「941」の数字が打ち込まれていた。
【Standing by…】
「変身」
【COMPLETE】
ベルトの中央部右にスマートフォン型デバイスを装填、左に倒し忠義と同じく変身を宣言する。
エメラルドを思わせる鮮やかな緑の光に少女の全身が包まれる。輝きが消えた時、その場に居たのは強化アーマーを身に纏った戦士だった。
「君は……」
「キミじゃなくて
「仮面ライダークズィー」
全身に変身時の発光と同じ緑のラインが三本走り、両肩に特徴的なアーマーを装着している仮面ライダー。左肩アーマーには、意図的に削ったと思われる傷が付けられていた。
「チッ……やれ!」
「とりあえずアイツらを片付けるよ」
「お、おい!……やるしかねぇか!」
リーダー格の号令で一斉に襲い掛かってくる甲冑怪人軍団。それに臆する事なく、挑発するように手首を鳴らしてから駆け出すクズィー。いまいち状況が掴めていないオルバスもまた、民間人が甲冑怪人から逃げていたという点と、その怪人達と敵対しているらしき焔という点を鑑みてクズィーの援護を決めたようだ。
「邪魔」
次々と繰り出される三又槍を簡単に避け、返しのパンチやキックで甲冑怪人を沈めていくクズィー。同じく格闘戦を繰り広げているオルバスは、流れるような一連の動作を見てクズィーが、焔という少女が自分達と同じかそれ以上に戦い慣れしている事に気付く。
(少なくとも一朝一夕で身に付く動きじゃない!)
Gチェイサーのマウントからエンジンブレードを引き抜き、その勢いのまま甲冑怪人の一体を斬り伏せる。
「エンジンブレード……?やっぱりアクセルに似てるね。でもガイアメモリが無い……本当に不思議」
「そのアクセルってのが何処の某さんかは知らないが!そんなに似てるのかねぇ!」
「そろそろ私も抜こうかな」
【XZI EDGE Materialize】
ベルトのバックル部になっているスマートフォン型デバイスの画面をタップし、変身とは別のアプリを起動したクズィー。甲冑怪人の放つ光弾を回避したのと同時に粒子が集まり、刀剣状の武器が実体化した。
「量子格納か!」
「んー……多分?」
使い方は理解していても仕組みは理解していないらしい焔。オルバス以外の機能制限がされていないジャスティアと同じ量子格納か、それに近い技術でクズィーエッジと呼称された武器を抜き放つ。目の前から迫っていた三又槍の振り下ろしをカチ上げて弾き、背後から不意打ちを狙っていた甲冑怪人に対して振り向く事なくクズィーエッジの柄を突き出す。柄尻から伸びた短めの光刃が甲冑怪人の胸に吸い込まれたのだ。
「そっちも終わった?」
「あぁ、後は……!」
「クッ……」
リーダー格とその取り巻きが数人。リーダー格を守ろうとしているのか、量産型と思われる取り巻きが防御陣形を取りつつ後退していくが、ここまで来て逃がす道理も無い。オルバスはドライバー上部のスイッチを押し込み最大稼働スキルを発動、クズィーはエッジを実体化させた時と同様にデバイスの画面をタップし、必殺技用と思われるアプリを立ち上げた。
「決める!」
「ん……!」
【EXCEED CHARGE】
両者共に右足へエネルギーを集中、同時に走り出しそれぞれ高度の異なる跳躍を行った。オルバスは前のめりに、空中で姿勢を捻りつつ。クズィーはオルバスよりも高く飛び、エネルギーを溜めていた右足からマーカーを撃ち出す。
「でぇぇやぁぁぁぁッ!!!」
オルバスの最大稼働スキル、FIFTYΦブレイクが後ろ回し蹴りのスタイルで放たれ、甲冑怪人が迎撃の為に連射した光弾を弾きながら取り巻き達を一掃。壁が無くなったリーダー格にクズィーのマーカーが着弾、展開したマーカーに向けてクズィーが急加速。体内に消えたかのように錯覚するキックを決め、リーダー格の背後に現れた。
「グッ……アァッ……!ふっ、フフハハハッ!こ、ここで私を倒した所で……!この世界のっ、破滅、は……!変えられぬ、運命だ……!」
「ハンドレッドに栄光あれぇぇぇぇっ!」
「Ξ」のような文字が刻まれると同時に爆発するリーダー格。その最期を見届けた二人は、周囲に他の敵が残っていない事を確認し変身を解除する。
「ハンドレッド……?奴らの組織の名前か?なぁ、ホムラだったか?君は何を知ってるんだ?」
「あのモーションは完全にアクセルグランツァーだった……」
「……?あの最大稼働スキルはフィフティーファイブレイクって言うんだが」
「ファイ……?うーん、ますます不思議……」
何かが腑に落ちない様子の焔だったが、それより今は、と別の地域に出現している灰色のオーロラを睨んでいる。
「聞いての通りアイツらの名はハンドレッド、様々な次元を股に掛けて活動してる侵略者」
「侵略者だと!?じゃあ……」
「うん、次の標的がこの世界なんだと思う。誤算だったのは、貴方が居た事」
「仮面ライダーが、って事か?なら、直ぐに他の連中にも連絡しねぇと」
「他にも居るんだ」
自前の携帯端末を取り出し、警察の伝手やラボの窓口になっている縁にと連絡を取ろうとする忠義。焔はというと、忠義だけでなく複数のライダーが居る、という事を聞き何かを考えていた。そして決めた、と忠義の通信を一旦止めさせる。
「なっ、なんだよ」
「ハンドレッドは私達が止める」
「私、たち……?」
「元々、アレは私達が追ってた部隊。もし部隊再編の為にこの世界へ逃げ込んだなら、それは殲滅しきれなかった私達の落ち度。指揮官のコピーライダーは私達が叩くから、貴方達は戦う力の無い人達を守ってあげて」
焔以外のライダーが居るのか、コピーライダーとはどんな存在なのか、そもそも本当に次元を超えた侵略者などあり得るのか等々、詳細を聞きたい事は山ほどあるが、少なくとも焔は人々を守ろうとしていた。それだけは信じられる。
(それに次元うんぬんの胡乱な奴らは、この前戦ったばっかだしな……)
もう一つ、焔の話を信用しても良いと思える一件がある。エグルスフムと遍在旅団との私闘である。今の忠義は、この手の話に耐性が出来ているというのもあるのだ。
「……はぁ。分かったよ。関係各所には俺から可能な限り伝えておく。あんま無理すんなよ?」
「ん、ありがと。優しいんだね、えーっと……アクセルみたいな人」
「忠義な?忠義・ウェルフリット。仮面ライダーオルバス」
「忠義、オルバス……ん、覚えた」
軽く拳を合わせ、互いの健闘を祈る二人。ヘルメットを被り、マシンGチェイサーに股がりつつそう言えば、と焔に声を掛ける忠義。
「焔の仲間はどこから来るんだ?もし空路を使うなら事前に伝えておかないと───」
「んー……あー、使うと言えば使う、かな……私を迎えに来るから、見てもらった方が早いと思う」
疑問符を乱舞させる忠義に対して「あ、来た」と空を指差す焔。ヘリコプターのローター音も、旅客機や戦闘機の発するエンジン音も聞こえず困惑しながら空を見上げる忠義だが、「何が」来たのか認識し驚愕に顔が染まる。
「なっ……何だぁ!?」
世にも不思議な光景だった。
何も無い中空に突如として「レール」が敷かれ、平行に4つ敷かれたレールの上をこれまた不思議な「列車」が走っている。更にその列車の上には巨大かつ長い首の生えた要塞が接続されている。要塞からドラゴンの頭が生え、要塞の側部からは頭に見合った巨大な翼も飛び出ている。要塞竜列車とでも呼ぶべき何ともミスマッチなモノが、灰色のオーロラを突き破るように現れたのだ。
「あれが私達の拠点で、仲間。スペリオルフォートドラン」
「すぺ……ドラゴン……?」
「私達はD.R.V.って名乗ってる」
「ディメンション・ライダーズ・ヴァガボンド。ここからは私達に任せて」
放浪者、来る
【紫宮無草】
レリジェを受け継いだ紫宮桔梗の母親。
めったに表に出てこない謎多き女性。
灰色のオーロラを見て「懐かしい」と溢す。
【木之下 雪路】(原案:エイゼ 様)
年齢は27。男性。
ジャスティアライダーの中では経歴が短い方。元々は日本の諜報機関に属していたとか……?
現在は「喫茶リンボ」のマスター。日本を拠点に活動しているジャスティアライダー達の交流の場として使われている模様。
性格は面倒くさがりでダウナー気味だが、根はお人好し。
ニュージェネレーションライダーの一人の従兄に当たる関係らしい。
【廣井キット】(原案:平均以下のクソザコ野郎 様)
年齢は23。男性。
常に酒気を帯びている飲んだくれ。
酒を飲まずに黙っていれば誰もが振り向く魔性の美形、なのだがそうはならない。酒と彼は切っても切れない縁で結ばれているから。
他のジャスティアライダーの事は本名ではなくジャスティアアーマーの名称を略したあだ名で呼ぶ。
【黒鉄 炸弥】(原案:ハーコー 様)
年齢は19。男性。
ニノマエラボ所属の研究者の一人息子。光が目を付ける頭脳の持ち主であり、ジャスティアシステムの基礎となったプロトタイプの欠陥を指摘しプロジェクトに関わる事となった経緯がある。
変身に使うジャスティアシステムは自ら仕上げた専用の物。
つっけんどんで無愛想だが面倒見が良い苦労人気質。ツンデレ等と指摘されると静かにキレる。アルコール天然ボケなキットがいる場合、ほぼ確実にツッコミに回る事となる芸人気質でもある。
【トルダ・ユーノムス】(原案:ただのおじさん 様)
年齢は24。女性。
凄腕の泥棒という、ジャスティアライダーの中でもアウトロー寄りな経歴を持っている一人。
中性的な見た目ゆえに男性と間違われる事が多く、女性だとネタばらしするのが好き。そこに面白い以外の理由は無い。
飄々とした刹那主義者。
【灰神 焔】
突如として忠義の居る「G&APの世界」に現れた少女。
やや草臥れた学生服のような物を纏い、緑色のメッシュを入れた黒いショートヘアを靡かせている。
ハンドレッドを名乗る謎の武装集団を追ってこの世界にやってきたと言う。
クズィーギアを使用し、「941」のコードを入力する事で「仮面ライダークズィー」へと変身する。
【次元装甲列車竜スペリオルフォートドラン】
時・次元を超えて走る列車の上に乗った、要塞を纏ったような姿をした巨大な竜。
【ハンドレッド】(原作:仮面ライダーガッチャードvs仮面ライダーレジェンド)
数多の世界を侵略している強大な組織、とされている武装集団。今回G&APの世界に現れた部隊は、焔ことクズィーとその仲間達による追撃を受けていたらしい。出現した理由は、部隊の立て直しを図る為か、焔たちを待ち受け罠を張る為かは不明。灰色のオーロラをゲートとして多数の部隊を送り込んでいる模様。