フロンティア・アクターズ~私のルートはお断りッ! ヒロインに転生した私はHEROとの恋仲ルートを避けながら町の平和を守ります~ 作:北乃ゆうひ/YU-Hi
お読み頂いた方々が、少しでも楽しんで頂ければ幸いです。
※R15は念の為です。
※主人公はTS転生ですがその要素は薄めです。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
なろう、カクヨム先行がだいぶ先行していますので、
おいつくまでは毎日更新できればいいな、と思っております。
本日は連載初日の為 4話ほど公開したいと思います。
準備が出来次第、順次公開していきます。
1.頭痛は覚醒のお約束です
それは中学三年の三学期も半ばが過ぎたある日、突然に起こったことです。
私こと
高校受験も終わり、三年生達の中にはぼちぼち暇な人が増えて来始めた頃。
放課後は寄り道もすることなく、自宅へ帰り、挨拶をしてくれた家政婦さん達へおざなりに返事をし、逃げるように自室に入る。
そんないつも通りの流れの中で、それは起こりました。
ドアノブに手を伸ばした時、突然に妙な感覚が全身を襲われたのです。
その感覚は瞬く間に頭痛となって、脳が割れるようなガンガンとした痛みが増していきます。
「お嬢様ッ!?」
私は立っていられなくなって、膝を突く。
「どうなさいましたッ、お嬢様!?」
家政婦さんに頭が痛いと訴えたいのに、うまく舌が回りません。
気がつくと、ロクに身体も動かなくなっていて――
視界に映るのは、とてつもなく青ざめた顔の家政婦さん。
そう言えば、この人は私が生まれる前から――ここで働いている人だったっけ……。
そんなどうでも良いことを思いながら、私の意識は遠のいていきました。
それから、どれだけ眠っていたのか。
ハッと気がつくと、自室のベッドの上でした。
頭の痛みはすっかり無く、身体はやや汗ばんでいてベタついているのが少し気になる程度。
「…………」
あの苦しみは何だったのか。
疑問ばかりの中で、自分に起きた変化に気づきました。
自分であって自分でない無数の記憶。
それは、とある一人の男性の生涯。
オタク気質でぼっち気質な、だけどふつうに生きていた一般男性の……生まれてから、通り魔らしき男に刺されて息絶えるまでの三十年ほどの記憶。
つまるところ自分は――
「……まさか、現代転生とは思いませんでしたね」
しかも、ただの現代転生ではなく。
「この世界はフロアクそのもの、しかもヒロインの一人ですか」
自分がヒロインだという実感はありません。
でも今世の私は、前世で遊んだゲーム、フロアクことフロンティア・アクターズという作品のヒロインの一人であるのは間違いないです。
だけど、生まれてから前世の記憶が戻ってくるまでの間に、誰でもない『
なぜなら――
「これまでの出来事は、ゲームの中の鷲子と同じ生い立ちですからね」
だとすれば、これから高校に入学し、二年生になった頃にはゲーム本編のメインシナリオが始まるわけで……
それはつまり、一種の未来を知っていることに他ならないのですから。
フロアクことフロンティア・アクターズは、現代が舞台の学園異能バトルモノRPGです。
高校二年の時に、
パーティメンバーやネームドのサブキャラと仲良くなっていくイベントが多数あり、特に女性陣と、一部のネームド女性キャラとは恋人になれる恋愛要素もありました。
そして、私こと十柄鷲子の恋愛ルートは、本編屈指のイチャラブルートと言われているそれなのです。
引きこもっている要因、本だけを友として他を拒絶しようとする生き方、その辺りのすべてを主人公に解消してもらえた上に、もっとも餓えていた愛情を主人公から与えられることでタガが外れた鷲子が、わりと人目をはばからず、主人公にデレてしまうという、そんなルート。
ファンからはプレイするたびに砂糖を吐きそうとか、攻略にはブラックコーヒーが必須とか、そんな風に言われているルートなわけです。
……かく言う前世の私はそんな鷲子推し。
もっと言うと、メガネ装備の鷲子推し。
いくつかあるプレゼントのうち、一番最初のイベントでメガネ以外のアクセサリをプレゼントすると、以後はずっとコンタクトに変えてしまうというバッドエンドが発生するので、常にメガネをプレゼントするレベルです。
メガネの有無はどちらも素敵派となら仲良くできますが、メガネは無し派&メガネの有無はどっちでもいいや派とは仲良くなれそうにありません。
……そんなプレイヤーでした。
そんなヒロイン。十柄鷲子とは私のことです。
つまり、高校二年生になった時、そういう出来事に遭遇する可能性があるわけです。
正直、あんなデレッデレの自分はなんかイヤです。
デレデレに溶けた自分にはなりたくありません。
それに何より、前世の私が強く訴えてくるんですッ!!
『主人公に転生してヒロインとイチャイチャするのと、ヒロインに転生して主人公とイチャイチャするのは別物だッ!!
ヒロインとイチャつきたいのであって、主人公とイチャつきたくはないのであるッ!!』
全力で同意します。
首がポロリと落ちるほどに縦に振り続けます。
そんなワケで、私が高校二年生になった時に、主人公が私との恋愛ルートにうっかり突入したりしないように――
これから私は全力で、
そんなワケで十柄鷲子ちゃんの物語のはじまりです。
準備が出来次第、次の話を公開したいと思います٩( 'ω' )و