三転生   作:ははもり

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油断大敵

 ドラえもん(ラッキー)のせいで似顔を消すことになった三十分後、アイリスはやっとこさ起きてきた。

 髪はボサボサ、更に寝間着のままで、顔すら洗ってないときやがる。

 俺はさっさと顔洗って髪整えて服着替えてこいと呆れながら言うも「ごはん……」としか言わないアイリスに仕方ないとちょうど芝を片し終わったのでドラえもん(ラッキー)に芝刈り機の片付けを言いつけ飯を用意して、寝間着の乱れを直し、椅子に座らせた。

 なんて寝起きの悪いやつだ。

 

 「ほら、さっさと食べて髪整えなさい。顔も洗い忘れないようにね」

 

 「……ふぁーい」

 

 もうこの娘ったらはしたない。

 欠伸しながら返事するんじゃないわよ!

 なんて思いつつも、ちらと横を見る。

 そこにはホイール女とパイナップル男子が俺達を見ながらコソコソとなにか話していた。

 

 (ねえあの人のピカチュウ強かったしバトルしてみたくない?)

 

 (そうね、それに見てあのラッキー。凄く珍しい色違い! きっと凄腕のトレーナーだよ!) 

 

 めっちゃ聞こえてる。

 内緒話と言うには近すぎてむしろ聞かせにきてる。

 もう用も済んだんだしさっさと旅にでろよ、君らトレーナーでしょ?

 というか俺も初心者トレーナーだから君らの期待には絶対に添えないよ、絶対に泥仕合になるから!

 

 「もしゃもしゃ……眠い……」

 

 「お前は早く目を覚ませ」

 

 ほらピカチュウとドラえもん(ラッキー)が朝弱いんだなーって顔でお前を生暖かい目で見てるぞ。

 いいのかそれで。

 結局全然目が覚めないアイリスを部屋に連れていき、顔を洗わせ、服を用意し櫛を置いて髪を整えさせた所でやっと目が冴えてきた。

 

 「あたしゃお母さんじゃないんだが」

 

 「ごめんごめん! どうにも朝弱くって! おじいちゃんがいるときとかいっつも面倒みて貰ってたんだ!」

 

 「おじいちゃんも大変だな」

 

 本当、手のかかる孫なのだろう。

 やんちゃで性知識疎く、隙だらけ、心配で仕方ないだろうに同情するぜ。

 俺は目が冴えたアイリスが着替えするので外に出ることにし、ガチャリと扉を開く、すると、そこにはホイール女とパイナップル男子そこにいた。

 

 「ホイール女とパイナップル男子はなんでここにいるんだ?」

 

 「ちょ! その名前嫌なんで訂正してください!」

 

 「そうだ!そうだ!私達にもちゃんとした名前があるんだぞ! 名前で呼べー!」

 

 「お前らなんも名乗ってねえのに名前でなんか呼べるか」

 

 「「そういえば!?」」

 

 アホなのかこいつら?

 ほれ、ピカチュウさんも「ピカ ……」なんて呆れたように首振ってんぞ。

 悪い事を学習しない馬鹿なピカチュウさんを呆れさせるなんて相当やぞ。

 

 「えっと私の名前はメイって言います! つい昨日、アララギ博士の研究所からツタージャを貰って旅に出た新米トレーナーです!」

 

 「同じく昨日博士のところからポカブを貰って旅に出た新米トレーナーキョウヘイといいます! よろしくお願いいたします」

 

 「なるほどメイちゃんとキョウヘイのキョウメイコンビって訳ね、別によろしくって言われても俺と目標被らないからそこまで会うことないと思うぞ」

 

 たぶん新米トレーナーってことは図鑑埋めたりチャンピオン目指したりってやるんだろ?

 俺現実世界に帰る方法探してるだけだから全然会うことなさそうだよ。

 あれ、そういえば俺図鑑貰ってねーな、渡し忘れ? それとも事前登録しとかないと駄目なの?

 

 「あれ? チャンピオンとか目指したりしてないんですか?」

 

 キョウヘイがそう言って首を傾げると、俺は頷き。

 

 「基本的にこの世界の不思議な事を目的に冒険する予定だからさ、ジム制覇とかチャンピオンには興味無いのよ。必要とあらば目指すけど今のところ必要なさそうだし」

 

 「えー!? ピカチュウとかツタージャを一発でノックアウトさせたのに勿体なーい!!」

 

 メイちゃんはそう驚きながら勿体なさそうにピカチュウを見る。

 ジム巡る暇があるなら探索したいじゃん。山男とか理科系の男とか祈祷師的な人とのコミュニティで情報探ってた方が有意義そうじゃん。

 なんて考えているとメイちゃんが不思議そうに俺に言う。

 

 「よく聞くんですけど、偉い人とかバッジが沢山あると話聞いてくれやすくなるってよく聞くけど不思議なことを探すときにバッジがあると便利じゃないですか?」

 

 「なぬ」

 

 それは初耳やぞ。

 この世界実は結構上下関係激しいのか?

 俺は俺より弱いやつの話は聞かねえ! てきなやつか?

 そう思っているとメイちゃんが補足するように続ける。

 

 「基本的に強いトレーナーは危険な地帯に入る許可が降りやすいからバッジとかが一種の目安になるってよく聞きますよ?」

 

 「なるほど、合理的な理由だな」

 

 許可書代わりとは思いもよらなかった。

 つまり結局ジム巡りはしないといけないのか。

 アイリスさんの許可で行けたりしないっすかね?

 はぐれた時責任とれない? それはそうかもー。

 

 「ひっじょーに面倒くさいがジム巡りする必要が出てしまったのか……」

 

 「面倒くさいんだ……トレーナーなんて大半がチャンピオンだったり強くなりたいって人ばかりなのに珍しい人ですね」

 

 「うん面倒くさい。なにせ最終目標目的チャンピオンじゃねーし」

 

 しかしまあ、どうにもならねーなら仕方ない。

 ジム制覇が必要ならジム制覇するしチャンピオンが必要ならチャンピオンになってやる! こちとら悪知恵働かせりゃ隣に出るやつなんてバカと忍者しかいねえ真正のゴミだ。

 やってやろうじゃねえか!!

 

 「あーじゃあ……もしかして断わられるかもしれないんですけどー……よけれメイ達とポケモンバトルすることって可能かなーって……」

 

 「いいぞかかってこい! 結局強くならなきゃいけねーならバトルしまくって経験値を得なきゃならねぇ! おら!全員かかってこいってんだ!」

 

 「なんか急にやる気出してきた!?」

 

 「テンションの上下激しすぎてついていけねえ!」

 

 うるせえ! 今からやる気出したんだよ! 今からオラついてんだよ!

 今日から俺は!なんだよ。

 

 「よし、外行くぞ! 俺のピカチュウとドラえもんでボコってやる! 半べそかいてもしらんぞ!ルーキーズ!」

 

 「な、なんかよくわかんないテンションだけどバトルしてくれるならいいや!

シングルの一対一でいいですか?」

 

 「おう、ドラえもんとピカチュウで一人ずつ勝負してやる!」

 

 ピカチュウもとドラえもん(ラッキー)の技構成も昨日のアララギ研究所で把握済みよ!

 今の俺の弱点は純粋なレベル差と経験の差しかねえ! 

 

 「ふー(ゴキゴキ)っし!」

 

 さて、いっちょ揉んでやるっぴね。

 

 

         ★

 

 

 「うわーんアイリスえもーん新人のクソガキ共が虐めてくるよー!!」

 

 清々しいほどボコボコにされて、泣きながら逃走した。

 

 「えーどうしたのシズカ? なんか騒動起こしたの?」

  

 「新人トレーナーにピカチュウとドラえもんがボコボコやられたよー! あっという間に強くなれる方法教えてくれよー!」

 

 「えー……シズカあそこのバンギラスをピカチュウで倒せるくらいなのに今更新人トレーナーに負けるとかありえないと思うんだけど」

 

 いや本当に、そう思う。

 だから俺なら余裕やろみたいな慢心で挑んだらこの有様ですわ。

 ひでえことなった。

 

 「それがあの時必死だったからすげえ集中してたんだけど今回緊張しまくった上に指示出しが下手すぎて割と俺が悪すぎる内容なんです」

 

 いやーマジで酷かった。

 普通にボコボコにされた。

 ピカチュウの十万ボルトを指示出ししたらいつの間にツタージャの葉っぱがピカチュウの目に覆いかぶさってて完封されたし、ドラえもんなんてポカブに普通に負けた。

 完全にトレーナーの指示出しにレベル差があったよね。

 こっちの手が全部読めてんのかと言いたくなるほどに先回りで指示出してきやがって完封でしたわ。

 こう勉強というか学習というか経験というか、普段ポケモントレーナーの戦っているところをテレビで見ていると違いますね、臨機応変に戦術を変えてくるせいでまともな戦術が頭に入ってない俺はいいようにされてしまった。

 

 「うーん圧倒的な経験不足、あと座学が不足してるかな? 野生のポケモンと戦ったりジムを巡って勝負勘を鍛えないとだめかも。これはもう絶対的な努力不足かな」

 

 「うぅ、最初がうまく行き過ぎてただけに鼻が伸びていたみたいだ……」

 

 「でもよかったじゃん! ダーテング鼻が今折れてて! これで後は上に向かって鍛えるだけだよ! 目指せチャンピオン!」

 

 「目指しては無いんだけど……でもこのままじゃ危険な所も行けそうにないし……その意気込みで頑張るしかないか……」

 

 普通に負けるとムカつくしな。

 よし今日は次の町を目指しながら野生のポケモンとバトルしまくりや!

 アイリスは「どうせ暇だしカイリューじゃなくて歩いていきましょ! 新米トレーナーらしい冒険として!」と言ってくれるので俺は遠慮なくそうすることにした。

 現実に戻るための道は巌しいぜ。

 

 

         ★

 

 

 ※とある掲示板

 

 クズ『というわけでめっちゃボロ負けした。泣きながらの逃走にメイちゃんとキョウヘイくんは気まずそうにしてた』

 

 忍者『自分より年上泣かす経験無いであろうし普通にその二人が可哀想でござるな』

 

 バカ『戦闘経験が無いのにイキるとそうなるんだよ。自分のポケモンのためにも冷静になりな』

 

 クズ『ムカつくけど正論だ。戦闘経験豊富なバカに言われたらどうしようもねえ』

 

 バカ『とりあえずその世界に動画サイトでもあるならそこでバトルでも見て勉強するこったな。立ち回りは基本、見と経験でしたか身につかねえし』

 

 クズ『おう、ピカチュウやドラえもんのためにも頑張るぜ!!』

 

 忍者『頑張るでござるよー。あっ、そう言えば拙者さっそく原作崩壊しそうでござる』

 

 バカクズ『『いきなりぶっこんで来やがった!?』』

 

 忍者『離しを聞く限りこの掲示板に書き込んでいる間はそっちとこっちで同じ時間が流れているようでござるが、拙者気づくにそっちとこっちで時間の流れが全然違うでござるよ。なにせもうこっち二年の月日が流れてござる』

 

 クズ『マジで!? こっちまだ3日だぞ!?』

 

 バカ『こっちはまだ一月だ!』

 

 忍者『うむ、時間の流れが全然違うでござるよ。なので拙者からしたら結構久しぶりの会話にござる』

 

 バカ・クズ『『普通に可哀想』』

 

 忍者『まあもうそこは慣れたでござるが原作崩壊についてでござるよ』

 

 クズ『そうだったな。なに? うちはのクーデターでも止めた?』

 

 忍者『それはまだ起きてないでござる』

 

 バカ『実は輪廻眼にでも目覚めた?』

 

 忍者『そんな厄ネタいらんでござるよ、まあ聞くでござるよ。拙者忍者アカデミーで首席なんでござるが』

 

 クズ『俺以外戦闘センスありすぎて泣きそう』

 

 バカ『うるせえ。お前の戦闘センスとか今どうでもええわ。それでなんだって?』

 

 忍者『うむ、で、強いってことはモテるでござろう?』

 

 バカ『かぁ~ペッ! 死ねばいいのに』

 

 クズ『ぺぺぺぺぺ!』

 

 忍者『いや、お主もモテる立ち位置でござろう。小学生でオフィシャルはなかなのモテ要素でござるよ! あとアイリスと旅してる奴に言う資格無いでござる』

 

 バカ『小学生に欲情できねえよ!! せめて中学生にしてくれ!』

 

 クズ『恩人に欲情できねえよ!!』

 

 忍者『いや、しらんでござるよ。それを言うならも拙者も年齢でいうなら小学生でござるよ。……話が脱線したでござる。で、モテるせいで原作が崩壊しそうでござる』

 

 クズ『んだよ、実はナルトが女の子で告白されたとかか?』

 

 バカ『サスケってパターンもあるだろ』

 

 忍者『違うでござる。だけど関係あるでござる』

 

 クズ『ふむ、嫌な予感がするんだが』

 

 バカ『どっちだ? どっちでもやべえけどそっちはいろんなことのフラグの管理が面倒くさいことになるぞ』

 

 忍者『うむ、やばい方でござるよ。はっきり言うとサクラちゃんに告白されたでござる』

 

 クズ『あー……そりゃ……頭が痛えな……』

 

 バカ『ナルトのあれこれにサスケのあれこれに、サクラの成長にと非常に面倒くさいことになるな……』

 

 忍者『うむ、拙者どうしたらいいでござろう……これフッてもサクラちゃん意志強いから明らかに原作からそれる気がしてて頭が痛いでござる……』

 

 バカ『イケメンかつ忍者適正のある子供に産んだ親を恨むしかないな』

 

 クズ『あと面倒くさい運命を下した神様も』

 

 忍者『どうしよう……』

 

 クズ・バカ『『マジで可哀想に』』

 

 

 

 

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