魔法科高校にいる怪物 作:魔法少女☆イチジョウ☆
少年が目を開くと、目の前は瓦礫の山だった。
ああ……いつものか……
少年はここに来るのが初めてではない。
空は禍々しい紅に染まっていて、瓦礫の山の先には古代の神殿のような建築物が見える。
自分の服装も普段の服装ではなく、どこかの王様が着るような豪奢なマントと衣装。目を覚ました現実では絶対に着たく無い衣装。
少年はため息を1つ付いて、いつも神殿で待っているであろう人物に会いに行く為歩を進めた。
道中にはここで大きな戦いがあったであろう痕跡が窺え知れるが、いつもここに居る奴は詳細を少年には教えてくれない。それを聞くと決まって“さっさと思い出せ”と少年に焦ったい目を向けてくる。
少年には全く身に覚えのない景色なのだが、神殿の主はまるで少年自身も知らない何かを知ってるように話す。
そのことが少年も焦ったい。
そうして白亜の神殿の中に入る。そして慣れた道のりを進んで玉座に辿り着くと、赤と白の王族が着るような衣装に白い髪、端正な顔立ちに人間離れした禍々しい紅い瞳を少年に向ける。
「来たか……」
「あのさ。毎回毎回、神殿の外に呼び出すの止めてくんない?ここまで来るのメンドクサイんだけど」
「断る。あの景色を見ることに意味があるのだ。あの光景を作ったのはお前だ」
「1ミリも覚えがないんだが……」
「それはお前が忘れているからだ。“他の奴ら”はまどろっこしいやり方で思い出させようとしているようだが、腹立たしい」
「思い出すって言ったってなぁ……」
少年はちょっと裕福な家庭に生まれはしたが、ソレ以外は全て普通の15歳の子供なのだ。今自分のいる神殿など来た覚えがない。
「我らの使い方は覚えていたようだがな」
どこか揶揄うように言う目の前の男だが、笑顔が凶悪なため嘲笑ってるようにしか見えない。
「ホントそれな。俺どうして使えるんだ?」
「お前が我らのマスターだったからに決まっているだろう。我ら人理焼却式“ゲーティア”を含めた72の魔神柱。記憶や身体は忘れても魂は覚えているのだ」
「魂…ねぇ……」
自分の胸に手を当てて思い出そうとしてみるが。数秒してやっぱ無理。といつものように嘆息する。
「もう一度命の危険に陥れいば思い出すか?」
どこか本気で思案する様子に少年は声をあげる。
「おい、ゲーティア!物騒なこと言うならもうこねぇぞ!」
「ふん。戯れもここまでだ。ここからは冗談では済まないぞ」
男─ゲーティアの言葉のあとに少年の背後で地響きが聞こえる。それも幾つも。
「ああ……お手柔らかにな」
言いながらゲーティアに背を向けて神殿を早足で出ると、目の前には先ほどまで無かった天を突かんばかりに立った肉の柱が少年を囲んでいた。
「今日はフォルネウスとグラシャラボラス、ベレトにバアルか」
裂け目のようなものが幾多も走った不気味な肉塊の柱に無数の赤黒い目が点在するというなんともおぞましい見た目をしているが少年は慣れた物でまるで友人に話しかけるほどの気やすさで声をかける。
『代理管制塔:フォルネウス。第22回記憶回復実験を行う』
鮮血のように紅い目ギョロギョロと少年に向かって蠢かせて凝視する。
「……うーん。なんともないな」
『中止。思考……実験を再度実行』
無機質な声と共にまた目をギョロつかせる。フォルネウスは少年に何かしているようだが少年の精神及び肉体には何の変化もない。
「ワリ。無し」
と、ここに呼ばれる度記憶回復実験と称して少年に様々なことを仕掛けるが少年は何かを思い出す様子は1ミリもない。
そうしてこれが現実の世界で世が明けるまで続けられる。少年にとっては退屈だが、魔神柱達も真剣そのもので自分も散々思い出せと言われてる自分の記憶(仮)に興味がないわけでもないので付き合っている。
──そうして、この記憶がやがて世界を滅ぼす鍵になることを少年は知らない。自分の夢に出て来る者達の真の正体を─従えている自分が一体なんなのか─
Fateは好きだけど設定細かいんだよなぁ