ガンプラオリジナルストーリー 【制作設定小説】   作:LUCIOLE

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FGのザクⅡです。左肩が無かったので腕なしのリペアとして作りました。

当時、汚しや修理部分を頑張りました。


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他の写真はこちらで見れます。
https://gumpla.jp/other/723732


第18話 【ザクⅡリペア】

 

 カラン、カラン、カラン・・・。

 

 ドアベルが渇いた音を奏で、前世紀のスローバラードが流れる店内に来客を告げる。

 

 店主が入り口を見ると、其処にはこの街には不釣合いなスーツ姿の男が立っていた。年の頃は30手前といった所か。

 

 「・・・いらっしゃい」

 

 スーツの男はカウンターに座るとマティーニを注文する。

 

 「どうぞ」

 

 男は渇いた喉を潤すと、もう一杯頼んで店の中を見回した。

 

 客はスーツの男1人だけ。

 

 出て来たマティーニを一口飲んで店の主人を見た。

 

 「流石にこの時間だと客が少ないんだな」

 

 「・・・」

 

 店の主人は男を見定める様に見た後、寂れた街だからな、この時間は何処もこんな物だ。と目線を落してグラスを洗い出した。

 

 少しの沈黙、古いスピーカーから流れるのはこれまた古いジャズのメロディーだけだ。

 

 曲の切れ間を狙って沈黙を破り、最初に口を開いたのスーツの男だ。

 

 「なぁマスター、この辺にジオンの基地が有ったって本当かい?」

 

 スーツの男の目は笑っているが、その奥に値踏みをする様な色が見える。

 

 主人は磨いていたグラスを棚に戻しながら訊ねる。

 

 「あんた、連邦の人かい?」

 

 落ち着きのある穏やかな声だ。

 

 「まさか、俺はしがないフリーのジャーナリストだよ」

 

 スーツの男はおどけて、手を振った後、懐から名刺を取り出した。

 

 「フリージャーナリスト・・・」

 

 「そっ!」

 

 名刺を付き返すと、主人は水を飲んでジャーナリストを名乗る男に向き直った。

 

 「で、そのジャーナリストさんがこんな寂れた鉱山の街に何の用だい?」

 

 主人は煩わしそうな表情を隠さない。

 

 「ちょっと人を探していてね」

 

 「こんな所に、記事になる様な人間は居ないと思うがね」

 

 主人の目付きが鋭くなったが、スーツの男は意に介せずマティーニを呷る。

 

 「昔、ここにジオンの基地が有ったんだって?」

 

 「昔の話だ、小さな鉱山の中に有ったらしい」

 

 「その小さな鉱山基地に連邦軍がやって来たとか」

 

 「基地なんて呼べる様な物じゃなかったさ、ただの採掘場だったからな」

 

 「詳しいね」

 

 スーツの男は口元を微かに上げた。

 

 「この街は鉱山で潤っていたからな。今は登山と観光客が少し来る位だがな」

 

 「へぇ、でも戦後そんな街に連邦のMS小隊がやって来たそうじゃないか?」

 

 興味津々といった感じで話す。

 

 「知らないな、そもそもジオンの連中なんて戦時中に鉱石を掘り尽くしたら直ぐに出て行ったからな」

 

 「そいつはおかしい?」

 

 主人はスーツの男の目を見据えた。この男の真意を探る様に。そしてもしもの時は・・・。

 

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 「その連邦のMS3機をたった1機のザク、それもボロボロの機体で倒したって聞いたんだがな」 

 

 「・・・そのパイロットを探していると?」

 

 主人に緊張がにじり寄る。

 

 「まぁね、スカウトってやつよ」

 

 「スカウト?」

 

 想像外の答えに、思わず聞き返した。

 

 「それだけの凄腕なら、パイロットとしてスカウト出来ないかって頼まれたのさ」

 

 「ジャーナリストはそんな事もするのか?」

 

 「まさか、ヨーロッパに行くなら途中まで送ってやるからここに寄って探してくれないか?だとよ」

 

(まったく、ハヤトの奴・・・)

 

 男は心の中で悪態を吐いた。

 

 「そうか、だが無駄足だったな。どこの誰だか知らないがそのパイロットなら連邦と相打ちしてる」 

 

 スーツの男は確信を得て心の中でフッと笑った。

 

 「相打ちか・・・それは残念だ。街を守る為に一人で闘ったジオンのパイロットなら、あの演説を聴いたら協力してくれるかもしれないって言ってたんだが・・・」

 

 「演説・・・ダカールの」

 

 男はニヤリと笑ってる。

 

 「あんた・・・」

 

 主人が1歩前に出た時、勢い良く奥の扉が開いた。

 

 「パパ、ただいまー!」

 

 小さな女の子が店に入ると一直線に主人に駆け寄り抱き付いた。

 

 「ただいま、あらお客さん?いらっしゃい」

 

 後ろから現れたのは、この土地独特の衣装を着た女性だった。

 

 「・・・あんたのお子さんかい?」 

 

 「あ、ああ・・・」

 

 「ロナです!5才です!」

 

 少女は右手を上げ大きな声で自己紹介をした。にっこり笑った笑顔が眩しい。

 

 男は屈んで目線を合わせると、ロナの頭を撫でて、ちゃんと挨拶出来るのか、偉いなと優しく笑って見せた。

 

 立ち上がると、やれやれと言った感じで最後に店の主人を見て困った様に笑った。

 

 「さて、それじゃ失礼するよ。話ありがとな」

 

 スーツの男はお金をカウンターに置くと店を出た。

 

 その男を店の外まで追いかけた男が呼び止める。

 

 「・・・良いのか?」

 

 「俺には無理だからな、家族を大事にしな」

 

 スーツの男は肩を竦めて、立ち去って行くのだった。

 




最期まで読んでくれてありがとうございます。

こういう話の方が好きですね。戦闘シーンは大変ですw

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