ガンプラオリジナルストーリー 【制作設定小説】 作:LUCIOLE
ここはアフリカ、カイロ近郊の砂漠地帯。この灼熱の大地を黒い弾丸が飛んでいた。
「隊長、調子はどうですか?」
「・・・今の所問題は無さそうだ」
少し機嫌の悪そうな雰囲気をオペレーターのクレア伍長は敢えて流した。
兵器技術実験部隊『Mitternacht owl(ミッターナハト・アウル)』の隊長は今、配備されたばかりの実験機、MS-07RS『グフRシュトゥルムアングリフ』の慣熟訓練を行なっていた。
この機体は新設されたにも関わらず、MSが1機も配備されていなかったこの部隊に届いた機体である。
ただ、その機体の設計開発者が隊長の友人であり、技術者としてのライバルだった男で、更には隊長と違い本国で働いている男だったのだ。
感謝も有ったが、ライバルは今もMSの開発に携わっているのに自分は地球まで来てパイロットをしているという境遇に、なんとも割り切れない複雑な気持ちを抱えていた。
隊長は地面ギリギリを飛びながら表示される機体各部のデータを見た。
ライバルの仕事は信頼しているが、何が起こるか分らないのがこの仕事である。しかも試作装備で地面スレスレを亜音速で飛行するのはかなり肝の冷える作業だ。
「これよりターゲットに突撃、攻撃を仕掛ける」
そう言うと隊長は機体を翻し射撃場に向かった。
亜音速の黒い弾丸と化したグフRシュトゥルムアングリフは目標地点に近付くと翼下のミサイルポッドからミサイルを吐き出し、空になったミサイルポッドをパージする。
ミサイルの爆発で巻き上がった土煙の中に突っ込むと機体を起こして脚のスラスターと翼をエアブレーキとして使って急制動を掛け射撃場に黒い巨人が降り立った。
すぐさま脚部装備のシュトゥルムファウストを発射、更に両手に持ったジャイアントバズーカでターゲットを破壊して行く。
撃ちつくしたバズーカを放り投げると背中のショットガンを抜き去り、残ったターゲットを全て撃ち抜いた。
周りを確認。
ビルの陰に隠れたGMを発見すると仮設のビルを飛び越え、既に撃ちつくしたショットガンを捨て腕に装備された3連装バルカンをGMに叩き込む。そして振り向き様に腰の2本のヒートサーベルを抜いて後ろに現れたターゲットを溶断した。
「隊長、訓練終了です」
クレアの言葉にふぅ、と一息吐くと安全な温度まで下がったヒートサーベルを収めた。
射撃場の外に設置された、指揮所に戻ると各座させたグフから搭乗用ウィンチで降りてきた。
「伍長、データはどうだった?」
「凄いですよ、隊長!」
簡易的にだがデータを纏めた画面を表示させ、クレアはタブレットを隊長に渡した。
「ふむ・・・」
ほぼ全てのデータがMS-07B3を超えていた、それは開発者の試算とほぼ一致していたのである。
「実働テストなんてほとんどやってないだろうに」
隊長は悔しさの混じった言葉にしたが、その口元が僅かに上がっていた。
そんな中、上空から1機のグフフライトが爆音と爆風を上げて降下してきた。
クレアは髪とスカートを押さえ、それを背中で庇う様に立った隊長もタブレットで自分の頭を庇っている。
降りて来たのはもう1人のパイロット、ジョン軍曹である。
ジョンは既にグフフライトの慣熟訓練を終えていて、大型の滑空砲を装備しての飛行訓練が主体となっていたが、今は隊長機のテストの補佐として、上空からの監視の役目を担っていた。
「しっかし、このクソ熱いのに真っ黒の機体って大変ですね隊長。かっこいいけどw」
隊長の側に来たジョンはグフRシュトゥルムアングリフを見上げた。
「この黒は奴のパーソナルカラーだ」
「え!?隊長の友達って技術者なのにパーソナルカラー持ちなんですか?」
「正式な物じゃ無い。だが自分の手で完成させた機体は全部この黒とグレーのツートンに塗ってたよ」
「ほえ~・・・」と感心しながらもう一度ジョンはグフを見上げた。
「所で隊長、実際に動かして何か気になる所とかは有りませんでしか?」
隊長からタブレットを受け取り、細かくチェックをしながら訊ねるクレア。
「今の所は無いな。あれだけの重武装なのに飛行も安定しているし」
「そうですか。では、ここでのテストはこれで終了ですね」
ここにサインをと再び渡されたタブレットを受け取った隊長だったが、逡巡したのちタブレットをクレアに返してジョンを呼んだ。
「空戦のテストをするぞ、軍曹付き合え!」
「え!?待って下さい隊長。この機体は空戦が出来る様には作られてないんじゃ?」
「ああ、だが翼が有ってこれだけの推力が有るんだ、飛べないなんて事は無いだろうよ」
「しかし、隊長!」と止め様としたクレアの肩を叩いて「データ収集を頼む」と言って再びグフのコックピットに戻るのだった。
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アフリカの荒野を1発の黒い弾丸が地面スレスレを飛んで行く。
高度15m。機体が地面に触れそうに感じるギリギリの高度を飛ぶ黒いMS。
MS-07RS『グフRシュトゥルムアングリフ』
重武装を施したそのMSは、背部に取り付けられたフライトユニットと強化されたスラスターの驚異的な推力により、亜音速の弾丸と化して飛んでいた。
『グフRシュトゥルムアングリフ』は強襲用MSの運用テストとして作られた機体である。その機体の実戦テストの為、現在単機での突撃を行なっていた。
「あれか?」
敵レーダー網の下を亜音速で飛んでいたグフはその速度のまま、翼下のミサイルを吐き出した。音速で飛び出したミサイルは敵の施設や戦車を爆破していく。
突然の攻撃に蜂の巣を突いた様に慌てふためく連邦軍の補給基地、その基地に漆黒のMSが舞い降りる。
爆発の煙の中、その黒いMSは死神の様に見えただろう。
両足に装備されたシュトゥルムファウストと両手に装備したジャイアントバズーカで管制塔、格納庫、作業車、輸送機等を破壊していく。
突然の攻撃にまともに対応出来ていない連邦軍だったが、徐々に対応する者も現れた。
61式戦車が動き出したが砲塔がグフに向けられる前にショットガンで破壊され爆散した。残りの戦車もショットガンと両腕の75mm3連装バルカンで破壊していく。
突入から2分弱で炎と黒煙に包まれ、壊滅した連邦軍補給基地。
「こんな物かな・・・」
随分と物足りないがグフの性能を確かめたその時、燃え盛る格納庫から何かが飛び出した!
「よくもっ!」
ビームを放つ赤と白のMS。
「こんな所にももうMSが配備されたのか!?」
驚きと僅かな高揚感の中、地面を滑る様にビームを左右へと躱しながら敵MSを確認する。
連邦製MSが確認されていると云う報告は来ていたが、それは大きな戦線や基地での話でこんな小さな補給基地にまでとは予想出来なかったのだ。
「確かGMだったか、連邦の生産能力は流石だな」
ビームを躱しながらGMの後ろへと回ったグフは2本のヒートサーベルを引き抜くと、振り返った連邦製MS、GMを真っ二つにしたのだった。
最期まで読んでくれてありがとうございます。
さて、過去作はここまでです。
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