[私は死んだのだろうか?ここは俗に言うあの世か、天国か地獄か?
このようなものがあろうとは思いもしなかった。
もしも神と言う存在がいようとも、私は一向に構わないと思っていた。いたとしても、誰も導かないそんな存在など私は信じることなど無いと思っていた。
私にこの名を与えた父母は、何を思ってつけたのだろうか?〘宣教者〙という意味を持つ、我が名を何故つけたのだろうか?
私が誰かを導くものになって欲しいと思っていたのだろうか?神の声を聞くものと?馬鹿馬鹿しい。
だが、もし今ここに神がいるのならば、私は私が行おうとしたことを再び成さねばならないと思っている。それがこの名を与えた、父母の心ならばそれを行う義務があるのだと。
だからこそ、今だからこそ縋りたい私にもう一度チャンスを与えてはくれまいか?今度こそは成功させよう、我が思想を以てして人類を
〜sideルビー〜
「う…う〜ん」
という声とともに私は目を開ける、辺り一面が昔の映画やテレビみたいな白黒でとてもじゃ無いけれど、ここが現実の世界だとは思えない。
それに、わたしは何か目線が低くなっていて、パパの前の車の後部座席にチャイルドシートで座っている。
それと事務所の亮介おじさんが私達の直ぐ横にいた。
「えっと……何してたんだっけ?」
上手く思い出せない、確か先輩とお姉ちゃんと一緒にママに隠し事してないか問い詰めてて……あぁ!そうそう、それで話をするよりも見ちゃった方が早いよねって、一緒にベッドで添い寝したんだっけかな?でも、
「どうして、車の中なの?」
パパが運転して、ママが横で何やら喋っている。この時って、私達眠っちゃってたんだっけか?
意識をすると、小さい頃の私の身体と私が分離して、私が私を見つめている。
「この子達はやはりミヤコさんに、預けた方が良いだろう。今は俺達と一緒にいたら余計に危険だと思う。」
「解ってる……けど、それでも心配なんだ。私のせいで…」
ママが横顔を見せて言った。若い、今も充分若いと思うけれど、何だろうオーラが違うのかな?
「君のせいじゃないさ、こんな脚本しか書けない脚本家が悪いのさ。」
意味深な会話が行われているけれど、何がどうなっているのか解らない。
「ルビー、お〜い何処?」
「こっちだよ…って、先輩もいるじゃん。」
「居て悪い?ま、そんな事は些細なことじゃないかしら?」
どうしているのかはさておき、やっぱり記憶の中何だろうね。車の揺れとか解らなくなってきたし、二人の会話が途切れ途切れになったりしてるし、ママも完全に記憶してるわけじゃないって事だよね?
「ちょっと狭いわね、もうちょっとそっちに行ってくれる。」
「いやいや、そもそも記憶の中みたいなものだから、そんなの関係ないよ。ほら」
と言ってドアに腕を突っ込むお姉ちゃん、というかドア貫通するんだ。
そうこうしている内に、車が止まる何処かについたのだろうか?
「事務所だ、でもなんで?」
「あっ、そうだよ。ルビー確か私達、この後ミヤコさんに預けられて、その後にドームに行ったから乗ってないじゃん。」
私達がミヤコさんに預けられていく、なんだか不思議な気分だ。こんな感じ初めてかも。
「私達あんな顔してたんだね、ちょっと泣きそうな顔してるよ。それと遅いよお姉ちゃん。」
「なんであんな顔してたんだっけ…う〜ん?」
幼い私達を降ろした車は一路ドームへと向かい走り始めた。
車の前に座っている二人の間には、緊張が漂っていてママは凄くソワソワしてるし、パパの方は
「凄い顔だよ、眉間に皺が寄ってて苦しそう。」
運転席まで顔を除きに行ったお姉ちゃんがそう言うくらいに、何かを背負っていたのかもしれない。
二人で何か話している。
「これで第一関門は突破出来た。」
「あぁ、言いそびれてたな。さっきのミヤコさんは、ミヤコさんの皮を被ったシラトリだよ。リョウコを紹介した時、何も反応無く対応した。いつものミヤコさんなら、俺達に呆れたように文句を言いながら、了承するだろう。」
シラトリ…?って誰、というかミヤコさんの皮を被ったってじゃあ、今の苺プロにいるミヤコさんもそうなの?
「あの…お姉ちゃ」ルビーの懸念は最もだけど、今のミヤコさんは関係ないよ。そっか…何かが本当にいたんだね。」
「ちょっと二人だけの世界に入ってないで、私にも教えなさいよ。」
「世の中には知らないほうが良いことがあって、父様と母様はそれに首を突っ込んでたって話し。」
本当にこんな事をやっていたのなら、パパという存在がいかに可怪しく不自然な存在か、そういう私達姉妹も可怪しいのだろうだけど。
暫く車で揺られていると、目的地であるドームに付く。関係者入口から入ると、ママ達の控室に付くとパパは何処かへと行ってしまう。それを見送るママは、悲しそうな顔をしていた。
それを見ていたら、一瞬頭痛がした。なんか、テレビの砂嵐みたいな音が。
その時だいつの間にか、ライブが始まっていて小さい頃の私達の近くに立っていた。立っていたんだけれど…何でだろう、おかしいんだ。まるで時間が止まったみたいに…
「あら、初めまして。そっちのアクアちゃんはお久しぶり。」
白黒の世界の中で、ミヤコさん?らしき人だけに色があって、私達3人に声をかけてきた。
彼女は不敵に笑って、一歩一歩と近付いてくる。顔が歪んで…スマイルマーク☺みたいになっていく。
〜sideアムロ〜
「結局のところNTだなんだといったところで、互いを理解しても必ず相容れるわけじゃない。こうやって君と話しているとつくづく、そう思うよ。」
俺と彼の思想は平行線を辿っている。彼は優生思想に凝り固まり、民衆を見下している。俺達の亡き後の宇宙世紀は確かにその民衆の退廃と暴走の果てに無残な終焉を迎えてしまう未来を知ってしまった今では彼の民衆に対する憤りと失望の念も解らないでもない。彼の言う通り時に人は愚かな事をするだろうが、だがだからといって彼の言葉全てが正しい訳では無い。俺達は決して特別ではない、人よりも早くそれに至っただけの話だ。
「俺がこの10年間NTという存在に対して、研究をしなかったと思うか?自分の血液を検査して、他人と比べることだってしたさ。君等がまだまだ子供の、ほんの小さい頃からね。とはいえ、俺は遺伝子工学や生化学といったバイオテクノロジーは元々専門外だから限界があってね。故にコネを通して紹介してもらった信頼できる科学者の助手兼被験者として協力する形だったけど。
時間はかかったものの見つけたよ、NTをNT足らしめるであろう何かをね。こっそりと、娘のそれも見てみたが遺伝はしっかりするらしい、これがジオン・ズム・ダイクンの唱えたニュータイプ論と折悪く重なってしまった結果がスペースノイドが信奉し、アースノイドが恐れたニュータイプ主義という神話の正体だったんだ…種明かしなんてそんなものさ。人間に特異な力が発現することと意識改革による人類の革新に至れるかは別物だったんだよ。
ここに八洲君が来たのなら、より詳しい研究をする為に協力を依頼したいと思っていたんだが…。どうやら、君が今日ここに来ることを知っているのはそこにいる彼くらいなのだろう?
娘が世話になったようだね、未だに君への未練タラタラだよ?こうなることを見越して、別れたんだろ?」
彼はいきなり振られた事に困惑しているようだ、なんとなくだが俺の言っていることは理解しているだろうが、それでも納得はしていないか?
「貴方は、俺達のこの力について誰よりも詳しいと?」
「まあ、歳は君等よりも行っているしそれなりに、経験則があったからね。どうせ、こんな事だろうと思っていたんだ。
君には…前世…というものがないのかな?だとすれば、だからこそこの力の使い方が家の娘よりも上手いはずだ。
家の娘は、人よりも知識があったせいで天狗になっていたりしたからね。だから、もう一度彼女のことを頼みたいのだけれどね?」
敵ではないと解るはずだ、俺のこの胸中だって解っているだろう?彼のそれは純粋なものだ、眼の前にいる〘ヘルパー〙とも俺とも違う。年相応の感情の起伏があるのだから、正常な生活を送れば自然と善良な人に育つだろう。
「人を護れるかなんていう自信を今すぐ持てとは言わない、そんな者は後から付いてくるものさ。最初からそんな物を持つ奴に碌な人生は待っていないよ、俺みたいにね。」
「貴様は自己評価が異様に低いのだな。私の知るあの女もそうだったが、それ程までの力を持ってなお、何かを欲するのか?強欲だな。」
強欲ね…確かにそうだろう、今の俺の一人で世界をどうこうしようなどとは思っていない。だからこそ…
「今の
「それが俺に出来る最善の策ならば………?……!」
なんだ?昔感じたことのあるこの感覚はなんだ?
「一つ聞きたい、そうだ〘ヘルパー〙お前はこの世界に来る前に、何かに会ったか?」
「会ったとしてそれが何かあるのかな?」
最悪だな、またか……
「またって言うと、どういう事ですか?」
「話は後だ、それとありがとう。酒を止めてくれて、おかげで早く帰ることが出来るよ!」
良くない事が起きていなければ良いが…。今はとにかく急がなければ!
二週間空いてしまって申し訳ない。納得行くものが出来上がらず、そしてストックも付きてしまったのです。本当に申し訳ない。