虹の男と星の娘   作:丸亀導師

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百十三話

葬式に参列する人々の数は、それ程多いものではない。

百人行くか行かないかという人数は、正直言って多いと言えるのか?

交友関係を調べるに、大学の講師や何処かの研究員だとかが殆どで、政治家や業界人というものはそれ程いなかった。

 

唯一と言ってはなんであるが、あかねさん位ではなかろうか?芸能人として公人としての参列というものは。

姉達とは違ってその姿は、清楚で何よりも艷やかな後ろ髪を揺蕩う。

カラスの濡れ羽色の髪は、非常に美しい……。

が、どうやら姉達と談笑している。

 

最近はどうだとか、直ぐにでも孫が出来るのでは?だとかそういう話が聞こえてくる。不謹慎ではあるものの、悲しい気持ちというものを表に出さない、というものは意外と良いことなのだろうか?

 

そうして観察していると、背後に一人佇む。大きい方の(何がとは言わないが)姉だ。

 

「久し振りだな、随分とまたお早い起こしで…?」

 

「なに?皮肉?まあ別にいいのだけれど、まさか本当に旅立ってしまうなんて…ね。

ルビーの予感は正しかったのかな、こうなる事が解っているのなら、もっと速く言って欲しかったのに。」

 

何を言っているのか、小さい方の姉が既に知っていたと?笑えるな。

 

「だとしたら、なんであの女は葬式にすら顔を出さないんだ?自分の親だぞ?普通なら参列して然るべきだろ!」

 

「ルビーはルビーの形の弔い方があるのよ、その準備に忙しいみたいだからさ。ま、そんなカリカリしないでよ。」

 

ケッ、と唾を吐きたい気持ちを堪え。俺は、棺の中の父を見る。まるでまだ生きているかのように、その姿は生前のままだ。

そして、母はまだ来ない。どれ程、母の心は傷付いているのだろうか?

 

「今はそっとしておいた方が良いよ、きっとやり方は既に決まってるんだろうけれど、踏ん切りがつかないんだと思うから。」

 

見透かすように!

 

「だとしても、俺はあんな母親の姿見たくはないね。」

 

それが己のエゴで有ろうとも、母には笑っていてほしいから。

 

「翡翠、大丈夫だよ。パパは、ずっと待ってるって言ってたからさ。」

 

「?居つ話したんだよ。」

 

「ついさっき」

 

怖いこと言うなよ。

 

 


 

〜sideアムロ〜

 

衣装ルームに立ち並ぶ鏡達を前に、少し自分のスタイルでも見ようとすると、後方から待ったの声が掛けられる。

 

「うん、良いですね。やはり、紳士然としたあなたはこの色がお似合いですね。どうです?肩が張るとか、何処かキツイだとかはありますか?」

 

「いや、特にそういうものは無いんだが…、これを着て行くのか…、と思ってね。」

 

そう言うと、その人はうんうんと頷きつつも慣れた手尽きで、俺の首元の蝶ネクタイに手を回し、角度を調整していく。

 

「奥様もきっとお綺麗になっていますよ、こう言う盛大な催しは久し振りですので、私共も少し緊張しています。」

 

「そうか、だったら互いに楽しんでいこうか?」

 

話をしながら着付けをするプロの腕は、相手を和ませる為の良い調整で、安心のあるものだ。

本番とは現実としてのこれは、なんとも穏やかなものだ。

子供達に見せたら何と言われるか、知らずの内に口ものが緩む。

 

式場は教会ではない、何よりこの国で一番厳重な警備が敷ける場所で、尚且つ内部の事が漏れ出ない…最適な場所か…。

 

「安全対策とか言っていたが、コネもここまで行けば度が過ぎるというものだろう?」

 

自然と口に出るのには理由がある。この場所は、曰く付きと言えばそうだろう。

誰も彼もが入れるという場所ではない、祭事場と言えばそうだがだからといって、入っていい場所か?

 

「コネというものはこう言うときに使うものさ、向こうも何気にやる気のようだから、喜んでやると言っていたよ。」

 

「お前は呼んでいないと思ったんだがな?」

 

いつもの調子で奴が来る。

 

「主催は私の遠い親戚だ、ならば私も出席しないという事はできない。それにだ、私がいた方がより安全だろうと思ってね。」

 

半分は真実だが、もう半分は嘘だな。ただ、興味本位と物珍しさにやってくる、動物園の客だ。

 

「だったら、余計な口出しをしないでくれ。こういう場所は慣れていないんだ。」

 

解ったとでも言いたげに、奴は去っていく。

花嫁の着付けはどうなんだろうな?衣装を一度も見たことは無いんだが。

 

「さて、行きましょうか?花嫁も待っていますよ?」

 

為せば成るか、気合いは…入れなくてもいいな。

 

 

〜sideルビー〜

 

「ねぇねぇお姉ちゃん、あの人にお願いしたのは良いんだけどさ、こんなに大事にしてよかったのかな?」

 

厳重警備の中、殺気が籠もった視線を外や周囲にまき散らす護衛官という人達、普通の雰囲気じゃないよ。

 

「確かに、二人の結婚式が絶対に妨害されないような、そんな場所をお願いしたけれど。御城の中なんて、思いもしないよな。」

 

ヒソヒソと話していると、襖?引き戸?がスススと開いて、二人が一緒に歩き始めた。

 

「アレ、十二単って言うんだっけ?なるほどねぇ、ママの身長と髪の色ならではなんだろうね。似合ってるっていうか。」

 

ママのその服装は、パパのそれとは全く逆を行っていた。物凄く和と言うか、西洋のパパとの対比を目的に着飾ったとしか思えない。でも、あんまり違和感はないんだ。

 

「そっか、普段からこんな感じだからかな?」

    

そんな自問自答していると、今度は二人の眼の前に一人の青年が烏帽子?を被って現れて、その人に何やら色々と奉納を始めた。

 

神前式って言うんだそうだけれどなんだろう、想像してた結婚式とぜんぜん違うね。

 

「何も無ければいいんだけれど。」

 

そして、神前式は恙無く進んでいってなにもな〜く終った。本当に良かった。

 

 

〜side????〜

 

予定されていた場所に、複数人で突入する。そこにはターゲットが複数いて、我々はそれに対して射撃を開始した。

手応えがあったハズにも関わらず、それはまるで抵抗もなく仕掛けられた。

 

「これはどういう事だ?同士、情報と違……なんだその顔は。」

 

ひらひらと、顔が剥がれていくとまるで別人が現れた。

こいつはいったい誰なのか、それはまるで映画のようではないか!

 

「お前さん方は嵌められたんだよぉ、まったく。そんな事にも気付かずにノコノコと現れてくれて、こっちとしては仕事がやりやすくて助かるってもんだ。」

 

声のする方向を向くと、先程撃ち殺した何者かが立ってこちらを嘲笑っている。

 

「何がおかしい!」

 

「おかしいだるぅぉ?お前達は、もうここから出ることは出来ないって事だからなぁ!」

 

数発の銃声、身を屈める事もできず私達は床に沈んだ。

 

「オイオイ、本当に死なんのだろうな。汚れ仕事だからって、そこまでする義理は……」

 

それが私が最後に聞いた言葉となった。

 

 




中途半端ですが、これで、終わりとさせていただきます。
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