〜sideアイ〜
もー、半日寝ると〜お正月〜。
今日はお仕事がない、アイドルなのに年末に仕事が無い。まぁ、今年始まったばかりの零細アイドルだし、そういうものだよね〜。アムロからは{冬休みの学校の宿題は早めにやっておいたほうが、後々楽ができる。}とか言われてさ、アムロが仕事に行く前に、アムロの家で数日みっちりやらされたから全部終わった。因みに、合鍵作ってもらったから、いつでも入って良いってさー。
後は書き初めくらいかな?アムロはこういう伝統文化?とか言うのを凄く尊重してるみたいで、いっつも熱く語ってくる。やれ、本来はこの時期のはずだが、とか縁起とかそう云うのを気にする。とても素晴らしい文化とか言って。
今日は年末をアムロの家でダラダラ〜と過ごしてる、勿論B小町全員で、なんか最近学校で少し有名になってきた?みたいでさ、こうやって集まってした方がいいよねぇ、って事になったんだ。
アムロの家はさ、高層マンションの最上階。なんて事はなく、事務所の近くに土地を買ってて、それなりの一軒家。
地下室とかあるんだけど、地下室は〘耐爆仕様?〙とかなんとか言って、なんか映画でしか見たこと無いような、水密ドア?とかそんな、なんか良くわかんない感じの分厚く重い自動ドアがある。
年末特番とか、年末特別ドラマとかそんな感じの長いスパンのテレビ番組が流れてて、私達もいつかこんなのに出るのかなぁ、なんて皆で色々話したりした。
もうそろそろアムロの特番が始まる頃だ。
「そう言えばさ、アイ。いつも思ってたんだけどさ、なんで安室(
「え?どうしてって、だってアムロはアムロでしょ?だって、社長みたいに怒るわけじゃないし、間違ってる訳無いじゃん。」
なんで今更そんな事聴くかな、私がアムロの事間違えるなんて…でも、皆なんでそんな目で見るの?
「でもさ、そもそも安室さん〘嶺〙って名前で呼ばれ慣れてないみたいだよねぇ。親しい人でも皆、安室、安室って。なんか、アイちゃんだけ特別扱い?してるみたいでさ、正直嫉妬。」
「そうだよね~、ま。アイドルとしては対等に接してくれてるみたいだからさ、そこは斎藤社長なんかより遥かにマシだしさ。逆にアイちゃんにはアイドルとしては、結構厳しく接してるみたいだけど。」
確かに、アイドルとして仕事をする上でアムロは、私にかなりノルマを与えてくる。それは、皆のそれよりも多くて大変だけど、信頼されてるって思ったら別に苦じゃないけど。
「でも、私は嬉しいかな?私に厳しくしてるって事はさ、私を信頼してくれてるって事でしょ?」
「アンタMの素質有りそう。」
Mってなんだろう、服のサイズかな?
「話は変わるけどさ、この前安室さんの特番の為に取材班が家の事務所に来たじゃない。そんとき私達も撮らせてくれって言ってたけどさ、出して貰えるかな?」
「ううん、どうだろうね。アムロなら自分を出汁に使って私達の事を売り出そうとか考えそうだし、私達もちょっとは出てるんじゃないかな?
もうそろそろだよ、えっと教育TVだったっけ?なんか3時間SPとからしいけど、生放送なんだよね?」
ということは、生放送のときのアムロ。そういう仕草とか見せてくれるってことかな、これも勉強かも知れないなぁ。
そろそろ始まるね。
[何かの合成音楽が流れたあと、私達の苺プロダクションの中にカメラが入っていくのが映し出されて、普段の私達が映される。
「かわいい娘達ですね」
「ええ、今年からアイドルとして力を入れてるB小町の皆んなです。かわいい妹分ですよ」
その声の後、現れたのは声の主アムロ。
「どうぞ、こちらへ」
ソファとそこに置かれたのは、莫大な量の紙束。
「一応紙媒体での記録と、電子媒体です。無くしては困りますので、厳重に扱ってください!」
その一言から、OP映像が流て色んな研究機関?の紹介映像が、流れて場面はスタジオに映った。]
「凄い映像美だよね、正直民放のカメラとか霞んでるよ。お金の掛け方が次元が違う。」
そうなんだよねぇ、入ってきたカメラマンさんも。音響担当の人も、私達が普段のライブで見たことあるような、そんな人達とは比べ物にならないような、大所帯。
ピッカピカのカメラに、なんか良く解らないものまで全員がキビキビ動いてそれはもう、アムロ曰く〘軍隊だな〙って。
なんで軍隊の動き知ってるのか解らないけど。
その後、何か巨大な金色の施設?の中での実験映像と、〘にゅーとりの〙とか言う良くわかんないものの説明が始まって、アムロが書いた膨大な量の計算式が、画面に所狭しと並べられる。
色んな映像が流れたあと、映像はスタジオに入った。
アムロの名前〘安室嶺〙が下に付いて、本人がスタジオの椅子に座ってる。澄ました顔で何処吹く風といった感じに、スタジオの中を見回してる。
そこになんか、凄い有名な大学の先生たちが一緒に座って、雑談?が始まる。
「なんか、アムロが別の世界の人になっちゃったみたいに感じる。でも、役者は辞めないって言ってたし大丈夫だよね?」
「おやおや~、アイちゃん。安室さんの事どう思ってるのかな?詳しくお聞かせ願おうかしら〜。」
う、今の口に出てたんだ。うっかりだね。
「フン!辞めるわけないでしょ。だって、あの天下の安室嶺よ?」
「でもさぁ、アムロこういうの趣味でやってるみたいだから、もしかすると辞めちゃうかもって思うとさ。」
胸が張り裂ける思いって、きっとこういう事言うんだろうね。
その後も、難しい話が延々と続いてもう番組も終わりになろうかという頃。皆ウトウトしちゃった中、私だけがアムロを見てた。
[「つまり、こういう事ですか?我々の素粒子物理学には、大いなる欠損があると。俄には信じられないが、〘信じられないということは、信じられない〙というのが、素粒子物理学の常識だ。
計算上はあっていますし、実験でも計算通りの数字が出ている。数字は嘘をつかない、まったく持ってそういうことだと。」
カメラが切り替わってアムロを映す
「あまり難しく考える必要は無いわけです、だってそうでしょ?元々原因の解らなかった現象があるなら、外的要因の絡む余地がある。それが重力という空間の収縮によるものなのか、全く別の何かによるものなのか、俺はそれを計算に表したに過ぎない。」
「えっと、つまり」
「少し黙っててください、今とても重要な話をしているのです!説明は後で、簡単な図を書きますから!」
コメンテーター達がナニかを言おうと、するのを学者の先生が手で制する。
「ですがね、我々は今重要なファクターに直面しているんです。良いですか、もし貴方が指し示しているこれが発見されたら、素粒子物理学は自動的に終焉する。人類がはじめて、素粒子に対する完全解を得るんです。興奮しない訳がない!
果てはブラックホールの原因ですら解明できるのですぞ!」]
ひぇ~何言ってるのか、ちんぷんかんぷん。〘そりゅうしぶつりがく?〙〘じゅうりょくによるくうかんのしゅうしゅく?〙
頭が痛くなってきた。
社長に聞こうにも、今日はミヤコさんと一緒にどっか行っちゃっていないし。何やってるんだろ。
なんかボードとかに描いて言ってるけど、私には解らない。もっと勉強すれば解るかな?
[「あの、先生そろそろお時間が」
番組ももう終わりなのに、大学の先生たちが血相を変えてる
「では最後に1つだけ、君は研究職に付く気はないか?」]
私はゴクリとつばを飲んだ、もしここでアムロがそっちを選んだらもう会えないんじゃないかって、そう思うから。
[「私は、僕は研究職になるつもりはありません。俳優という職業を気に入っていますし、何より約束がありますので」
「約束…ですか?」
カメラに目線を送ってる、アムロの目にはなんだろうオーロラみたいな景色が映ってる。
「たぶん、今もこの画面を見ているであろう人との約束が。ですから、まあ外部の協力者としての立ち位置で偶に研究とか、発見とかを送りたいと思います。精査は本職の方が良いでしょうから。」
先生達も納得行かない顔してるけど
「そうですね、約束は護らなければならないですね。では、いつか同じ場所に立てることを夢見て、外堀は埋めさせて貰いますよ?推薦状で、かのお魚博士と同じ様にね。」]
不敵な笑みのアムロが、映って。番組が終了した。
あぁ、良かった。約束しておいて、本当に良かった私からまた誰かが、離れて行っちゃうのは嫌だから。
〜sideアムロ〜
番組終了と共に、MCの娘が食事に誘ってきた。それをやんわりと、先約があることを伝えて断ると今度は先生方が現れた。
「しかし、本当に良いのかね?君ほどの逸材は、今後現れないかもしれない。その頭脳、俳優をするには惜しい。非常にね。」
「俳優は馬鹿にできませんよ、人の真似1つとっても色々なやり方がある。探究はそんな分野にもあるんです。いつか、こっちでも論文を書いてみたい。」
「そうか、それでだね。どこの名誉教授が良いか迷ったんだが、日本の首都の我が東大の名誉教授に推薦しておく。
講義はしなくてもいいし、ただそこに名前があるだけだ。博士号もいずれというか、今回の論文で充分だろう。
我々で説得して、君を我々の道に全力で引っ張って見せる、覚悟しておくのだね。」
面白いなこういう人は
「受けて立ちますよ、もっとも俺は絶対に折れませんけどね。」
こんなにも話したのは久しぶりだった、役ではない己をこれ程までに出したのは。アイと二人でいるときくらいか、本音で話すのは。
さあ、速く帰らないと日付が変わる。年越し蕎麦、食べないとな。