虹の男と星の娘   作:丸亀導師

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あの人は私達と違うのよ


第十四話

正月、古くは1月の事を指し示す言葉であった。特にこの国ではこの正月を中心に様々なイベントがある。12月にはクリスマスを祝い、元旦では除夜の鐘をつき、元日では初詣で神社に参拝をする。

 

古くからある宗教。教えも神も何もかもが違う、そんな物が息づく摩訶不思議な国だろう。

UC正確に言えば、一年戦争後にはそんな行事祝っている暇も無く、一部のコロニーにだけそういう風習が残った。

 

それを、今こうして体験できるというのは死んでからでも悪い事じゃないな。

この時代に生きてきて、俺はこれらの行事を一度たりともやった事は無かった。男二人、偶にやるのは年越し蕎麦。クリスマスなんて、祝う余裕もなく、正月もお年玉というものすら貰ったことがない。

 

俺が小さい頃から、仕事を優先していたせいでもあるから致し方無いと言うものだ。

だが、今は違う。最近は事務所も軌道に乗り、所属タレントの仕事も増えてきた。スタントや最近流行りのYou Tuberなんてのも手を出し始めている。

 

忙しくも財政的に余裕のある、そんな事務所になってきた。

 

 

結果的に言えば、俺は年末彼女とともに年越し蕎麦を食べる、ということに間に合うことはなかった。

やはりというか、既に道路は年末ムードで銀座は人々でごった返しそれどころではない。

 

結局家についたのは日を跨いで、午前一時くらい。家にまだ煌々と灯りが点っていたことだけは、一人で生活しているよりかは何処か心に来るものがあった。

 

家に入れば、誰が来るようなこともない。和室に行けば、四人娘が炬燵に入りながら眠っている、このままでは脱水症状になりかねないので、何も家具を置いていない一室に四人分の布団をしいて、彼女達を抱き上げ布団に寝かし付けた。

 

時折、{うん?}とか呻き声を出すのだが、何か良い夢を見ているのだろう。

アイを最後に寝かし付け、そこを去ろうとしたときアイが起きて俺にしなだれ込んできた。

 

「どうしたんだい?」

 

「約束、守ってよ…。」

 

約束か、そうだな。

 

「本当はもっとムードを大切にしたかったんだが、良いのかい?」

 

「皆寝てるから、ね?」

 

 

彼女の顎に手を添わせ、少し上を向かせる。身長に合わせるよう、屈みながら唇を合わせる。

ん、というくぐもった声と共に彼女の満足感が満たされる、そんな気がした。

 

「どうだったかな?演技以外では君がファーストキスだったんだが。」

 

「もう1度やって?1度じゃ足りないの。それにさ、誕生日プレゼントも受け取ってないし。」

 

再び唇を重ねる。結局4度おねだりされた、それで満足したのか、彼女は自分の脚で布団へと戻っていった。

そこからシャワーを浴び、3時間のタイマーを掛け就寝した。

 

《まるで道化だな》

 

ヤツが夢で、そう言った。夢では無いのかもしれないが。

 

 

直ぐに朝を迎えた、まだまだ日が登るには速い。だが全員との約束がある。

「おい、皆起きろ。初日の出見に行くんじゃなかったのか?」

 

口々にもう少しとか、そういうのが聞こえるがそんなに寝ていたら日の出が見えなくなるぞ?

 

「ほらっ着替えて。おい、アイ。一応センター、リーダーなんだから率先して動く!」

 

「ふぁ〜い、アムロおはよう。」

 

先が思いやられるな。

車の運転はカースタントがいつ演るか解らないから、免許は取った。1つ集めると全て集めたくなってくるのが、俺の悪い癖だな。次は大型バイク、大型特殊、等を取ってみるか、航空関連や船舶を取ってみるのも悪くはない。

 

俺は、眠い目を擦る彼女達を愛車パジェロに載せて海へと走らせた。もう5時だ、砂浜は無理だから海岸線へ行こうか。房総半島が見えづらい位置とすれば、充分に間に合わないか。

なら、横浜だな。残念ながら綺麗な夜明けはまた来年だな。

 

「6時46分、ギリギリか。おい、もうすぐ日が登るから起きろ。」

 

四者四様、車から降りる。アイドルと言ったて、所詮はまだ中学生。育ち盛りの身体に早朝はキツイものが有るだろうが、君達が望んだことだ、頑張れよ?

 

「お〜、アムロ。私こうやって日の出見たの初めて、連れて来てくれてありがとう。ま、ちょっと房総半島があって景色は良くないけど、来年はあっち側で見たいかな?」

 

「善処するよ、年末仕事を入れないよう努力するよ。ドラマの撮影なら年末までには終るはずだから、そっちを重点的にシフトしてみるつもりさ。」

 

皆俺の話を聞いていないな、朝日に魅入られているのか。それとも…誰だ?

後ろから視線を感じた、烏がこちらを見ているだが烏がそんな意志を持つだろうか?いや、そんなことはない。誰かが俺を観察している、上位の意識か?

 

誰が俺を、この世界に連れてきたのか深く考えないようにしてきた、だがララァのシャアの姿をした奴等は言った。役目がある時は記憶を持って飛ばされると、俺の役目はいったい何なのだろうか。この世界の根底には何かがある、もし神という存在がいるのなら感謝しつつも1度は殴ってみたいものだな。

こんなにもモルモットは一生懸命生きているのに、実験もせずただただ観察するだけなのかと。

 

 

 

〜sideアイ〜

 

お正月気分も早々になくなって、もう4月。私達は中学2年生になる。

アムロによる超絶スパルタ教育のお陰か、私の偏差値は49。皆より少し、本当に少しだけ低いかなぁっていう程度?

嘘、本当はかなり低いです。私以外は皆60とか普通に出して来てる、ああやっぱり私って頭が悪いんだなあって正直凹んだ。

 

それと、最近佐藤さん物凄く張り切って仕事を見つけてくるから、休みが。休みが取れないなぁと、そんな話を皆としてたら何処からとも無く[今日からB小町は新体制へと移行する]

とかなんとか言っちゃって、新しいメンバーを組み込んだ。

正直人数が多すぎるとか、皆が皆溺れちゃうんじゃとかそう言った感想が噴出した。

 

無理もないよねぇ〜いきなり連れて来てくれて、コイツラモ仲間だ!なんて言っちゃってさ〜暴走気味?調子乗ってる?

あのさ~、けいえいしゃなんだからマネジメントは他の人に変わってもらったほうが良いんじゃない?

とか、正直思った。

 

最大の原因は、アムロがあまりにも忙しすぎるっていうね。もし、あの時アムロがいれば大所帯にしよう。なんて発想、早々に破壊してたはず。

振り付けも1からやり直しになるし、おまけに名前もまた覚えなきゃならないし、踏んだり蹴ったりだよ。

 

そんな時に、アムロが帰ってきた。

 

「こんなに大人数にする意味はあったのか?これでは、一人一人に対するモチベーションが下がって、会社が破綻するぞ?部隊編成を組み直さなければ、多くても7人が限界。寧ろ7人がベストか?」

 

なんて言いながら、書類に目を通し始めてた。

まだ1度もこの人数でライブをやっていなかったから、再編成の余地はあるって難しく考えてるみたいで

 

「社長、現在の財政状況は?」

 

「比較的安定してるな、余剰として一応1億ほど。だが、全財産でだぞ?何する気だ?」

 

凄く嫌な予感がする。

 

「ライブ会場を買い取る、専用スペースが欲しかったところだ。これで、今回の件に終止符を打つ。」

 

わぁ大胆、経営大丈夫?

 

「経営は任せる。何、十年のスパン、長期的に見れば黒字に転換するさ。」

 

 

私達の長く厳しい戦いの日々が始まる。ま、そんな訳ないけどね。

そんな中、風邪ひいて39度の熱出して寝込んじゃった。

ニノちゃん、ミネちゃん、ナベちゃんは私の事心配してお見舞いに来てくれたけど、新規メンバーの人達は一人くらい?しか来なかった、確かメイって子。

 

私のファンだったみたいでさ、私のために作曲してきてくれた歌を、3人と一緒に歌ってくれた。

そんな中、意識が朦朧として気が付いたら。

 

 

なんか宇宙にいた。映画とかに良くある、そんな感じの宇宙なんだけどね?そこから綺麗な地球が見えたんだけど、私が知ってる世界地図?とちょっと違ってさ、〘オーストラリア〙?だっけ、そこになんか巨大な〘くれーたー〙みたいなのがある。

 

冷静なハァ、ハァ、っていうくぐもった息遣いが聞こえて動くなにかが見えた。気が付いたら、その動く何かの中に入ってて私と同じくらい?の少年が、それを動かしてて。また別の緑色の大きな動くもの3つ位に向かって、なんかの表示が画面に映し出されてて、それ目掛けてレバーのボタンを押そうとして。

私はそれを見て咄嗟に〘駄目っ〙て言っちゃってさ、それで目が冷めた。

 

目を開けたら四人ともなんか泣いてて、お医者さんかな?がいて、そこが病院って気が付いた。私、意識を失ってたんだって変な夢を見ちゃった。

アムロは皆がいなくなってから、お見舞いに来たけどその時優しく私の頭を撫でてくれた。

 

その時思ったんだ、あの少年。変な話、アムロに似てたなって。全然顔は違うのに。

 




本当の地獄ってなんだろうね
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