〜sideアイ〜
佐藤さん暴走事件から3ヶ月位経った。B小町の人数は結局のところ、3人増えただけで7人で活動を続けている。
元々は6人増える予定だったんだけど、アムロが緊急面接を行うと言って一人一人と面接をして、3人だけ残った。
どうして3人だったのかは分からないけど、アムロが言うには素質と、精神的な部分だって言ってた。
じゃあ残りの3人はどうしたのかって言うと、女優として雇うって。そっちの方があってるって説得したらしい。
7人でのライブも順調にスタートして、色々あったけど何とかやって行けてる。
でも、最近ニノちゃんとサキちゃんが折り合い悪い。
元々二人共似たような性格で、サバサバしてたから振り付けや歌でデュエットになることが多くなってた。
振り付けの方向性がどうたらとか、そう言うので最近良くぶつかっている。私は正直どっちの意見も正しいと思うけど、どうしてだろう。二人共意地になっちゃってるのかもしれない、練習が終わると、いつもいつもいつも口論ばかりで空気が悪い。
こんな時にアムロがいたらなんて言うのかなぁ。
「だいたいね!元々、ここの振り付けは…!」
「絶対こっちの方が良い!なに?歳上の言葉聞けないわけ?」
あぁ、もうめちゃくちゃだよ〜。事務所に応援要請しちゃおっかなぁ〜。
って、あれミヤコさんじゃん。助けて〜ミヤエモ〜ン。
「えっ?いやなんですか?」
「二人が喧嘩して、止められないんだよ〜」
すっごい困惑してる、いつも事務所の中ではニコニコすっごく仲良さそうにしてるB小町、果たしてその実態は。二人のヤンキーがバチバチに喧嘩腰で口論する魔境だったのだ!なんて言ってる場合じゃないよね。
「二人共、なんですか?そんな声を張り上げて、確かにここのライブスタジオ私達の所有物になったから、貸し切りでダンスとか出来ますけど、こんなところで喧嘩なんて辞めてください!」
さっすが将来の社長夫人、堂々としてる〜。
「あぁ?なんだと、だいたいよコイツの教育どうなってんだ。
振り付けとかさ、幾ら振り付け師雇えないからってよ、コイツの思いどおりにばっかやってたら、足が駄目になるだろうが!」
うん?ちょっと待って、足が駄目になる?
「ちょっと良いかなぁ?どうして、足が駄目になるの?」
「あぁ?なんだアイか、良いか?コイツの振付けの足捌き見てみりゃ解るんだけどよ、足の可動域結構広いのが解るか?」
うぅん、なんとなく。
「つまりだな、これをやると筋肉を痛めやすいってことなんだ。俺も何度故障しかけたか。」
「えっとつまり、難しい話してたけど私達の足のこと気にしてたってこと?うぅん、もっとさ解りやすく言ってくれないと私、皆より馬鹿だからさ解んないよ。」
「アイ、あんたソイツの肩持つわけ?足痛めるって、ソイツの関節が硬いだけだって。」
「そう言う割には、足かばってんの見え見えなんだよ。身体大事にしろよ、俺たちは身体が資本なんだから。」
あれ〜なんか解決した?でも、ニノちゃんちょっと悔しそう。
う〜ん、なんか励ます方法ないかなぁ。そうだ!
「ねぇミネちゃん、今週って何処か美味しいお店行かない?勿論、私達のお金じゃなくてさ、アムロも帰ってくるから連れて行くけど。」
「う〜ん、高級イタリアン?それだとあれだから、格安イタリアン!サイゼリ○で良いと思う、安室さんに集ってばっかだとなんか後々怖そうだし。」
いやいや〜、家のアムロはそんながめつい奴じゃないから。
「ナベちゃんキシちゃんミネちゃん?も来るよね?」
3人共頷いてくれた。いや〜皆で食べるからきっと美味しいよ〜、たとえサイ○リアだってね。
「ちょっと電話するね〜。えっと、アムロアムロ。
あっ、もしもし?アイなんだけどさ、アムロ来週の土曜日って暇?うん、ちょっと皆でご飯食べに行きたくてさぁ。
どこってサイ○リア。うん、そう。因みに今日っていつぐらいに付きそう?そうかぁ、私明日早いからたぶん寝ちゃってると思う。うん、お土産楽しみにしてるね!じゃあ、またね〜。」
フフん、よぉし。明日は早くからライブしなきゃならないし、早めに寝なきゃねぇ。
「皆、もうちょっと練習したら今日は切り上げない?うん、明日は朝からライブだからさ♪」
そんな感じで家に帰る、最近はアムロが帰ってくるときはアムロの家にいる。
アムロが帰ってきた時に、ここが帰ってくる場所だってそう思えるように。
はあ、シーツからアムロの匂いがする。
なんかちょっと興奮しちゃう、シちゃおっかなぁ。いやいや、もしバレちゃったら幻滅されちゃうし、ここは平常心平常心。
ふぅ、寝よっと。
熱出して意識失ったときから、変な夢見るようになったんだよねぇ。
あの少年は、戦争で物凄く心に傷を負っちゃった。
幼馴染でフラウって呼んでた娘に、自分だけ特別扱いされて違う人間と思われて。ただ一人自分を、理解してくれた娘を自分の手で殺してしまった。
愛を知ってるはずなのに、愛を受けたはずなのに誰かを愛するってことを辞めてしまった。それでも、帰れる場所を見つけたけれど。
今度は帰る場所を奪われて、周りには監視の目周囲は誰も彼もが彼を《化け物》呼ばわりする。なんで?どうして、彼は皆のために血を流して、苦痛の中に藻掻き苦しんでいたのに。どうして人はこんなにも彼を否定するんだろう?
怖いから?自分達と違うから?解らない、この人は私と少し違うけど、同じ様に傷付いている。
〜sideアムロ〜
さて、大阪での撮影が終わったら。一度帰って、3日休んで次は宮崎の病院を借りての撮影か。
移動が多すぎる、スケジュール量がハンパじゃないな。ま、稼ぎ時に稼がないと駄目だからな。
うん?電話か。
「もしもし?アイか、どうしたんだ?今週の週末食べにいきたい?あぁ、別にいいけど何処へ?サイゼリ○ね、了解した。じゃあ、明後日になるのかな?今、のぞみに載るところだ今日の9時ぐらいにはつけると思うよ。今夜どうするんだ?あぁ、解った皆にお土産盛ってくよ。ソレじゃあ。」
ふぅ、楽じゃないな。退屈しないのは良いことだ、あの連邦政府からくらった軟禁生活よりも、今は充実してる。心地よい疲労かな?冗談はさておき、少し眠らせてもらうとするか。
懐かしい夢だな、軟禁されてた頃を夢に見るなんて正直嫌になる。自分から閉じ籠もったのか、閉じ込められたのかそういう判断すら出来ないくらいに、当時は精神的に追い詰められていた。
ニュータイプとは何か、そんなもの僕自身解るはずがないのに、抽象的な話になってしまうけれども、誠実に答えても連邦軍の誰も彼もがこころの中で僕をこう呼ぶ。
《化け物》《人で無し》《恐怖の対象》《ニュータイプ》
正直嫌になった、いつからか人の心を聞かないようになっていった。あの時カツがいなかったら、僕はきっと立ち直れなかった。