〜sideアイ〜
身体のキレ良し!喉の調子も良し!肺活量も良し!後は合気道!
ハッハッハッ、B小町のアイ様に勝てるものなどいないのだ!
「アイ、本当にあんた強いね。格闘家目指せば?」
フフ〜ン、母は強くないと子供達を護れないからね〜、だから私は強くないと駄目なのだ!
「ルビーちゃんこっちおいで〜、良い子ですね〜。お姉さんと遊びましょ〜、イヤ〜子供って可愛いねぇ。私も欲しいよ、ねぇ二人いるんだから、どっちか頂戴?」
「はぁ?巫山戯んなよマジで、うちの娘絶対にあげないんだから!」
「冗談、ジョーダンだって。だいたい欲しいなら、子供創ってるよ。ったく、自分だけ良い人見つけちゃってさ。羨ましいなぁ、私も良い人いないかなぁ。」
そんなこと言って明らかに半分は本気だったでしょ。最近、アクアとルビーを見るたびに子供が欲しいってよく呟いてるの私だって気づいてるからね。それにアムロみたいな人なんて、たぶんこの世にいないから。文武両道、優しくて頼りがいがあって、料理と掃除は苦手だけどそんなところも良い人。
「おいおい、その辺にしとけって。また、アイの惚気が始まるからさ。」
「まあまあ、アイちゃんはその分苦労してるんだし、神様の祝福だよ。それよりね、今度の曲なんだけどさ…」
いつもの風景、いつもの皆。きっと私が嘘で雁字搦めになっていたり、社長が他の皆のことを顧みないままだったら、誰もこの輪に入ることもなくきっとバラバラになってたんだろうな。何もかもアムロのおかげだよ。
「お〜い、アイちゃん。聞いてる?」
「あっ、ごめんちょっと考え事してた。で、なんだっけ。」
「ここの部分なんだけどね、親子愛をテーマにしてるんだけど、残念ながら私達、親はいるけど子供はいなくてさ、アイちゃんにちょっと考えてもらおうと思って。」
親子愛か〜親子愛。う〜ん、愛した人の子供だからその子を愛するじゃあ、なんか違うような気がするし、かと言ってどう表現すれば良いんだろう。
特に愛ってなんだろうなぁ、その人を好きって事なんだけど、打算も勝算も何もかも捨てても、その人のことを自分のものにしたいって、事なんだと思うんだけど。
う〜ん、なんか納得行かないなぁ、愛って普通は無償なものじゃん。そこに違いはあるのかな?
「う〜ん、私にもまだよく解んないんだよね〜。アクア〜ルビーこっちおいで〜、良い子達。親子愛って言うけどね、そこに形は介在しないの、何ていうかさ。
親ってなるのは産むことの大変さを除けば簡単なんだけど、親子になるっていうのはさ、口にするのは簡単だけど実際になろうとすると難しいんだ。
無償の愛とかそういうの言う人いるけど、結局打算で動く人もいるわけで、私の母親がそうだったから。
かくいう私も、この子達のこと本気で愛し始めたのは最近なんだよ?それまで全然自覚無かったし。」
「でも、私もママの事大好きだよ?」
「私も母様の事好き。」
「アンタ理屈っぽくなったね。誰の影響やら。」
あぁ〜癒やされるよね〜。ありがと〜生まれてきてくれて。
「そういやさ、あんた戸籍どうしてんの?その子達とさ、どっちの名字なんだい?」
「うん?この子たちの名字は、私のだよ?勿論戸籍上も、アムロも戸籍上は星野性だよ?あれ?言ってなかったっけ!?ごめんね〜忘れてたよ〜。」
[はぁ?]
う〜ん盛大にハモリましたね、まあそうだよね。籍入れたのいつって聞かれなかったから、仕方ないよね。
「じゃあ、安室さんじゃなくて嶺さんって呼ばなくちゃだね。」
「ううん、そのまま呼んでよ。一応私達の結婚、秘密だからさ。皆には言ってたけど、この秘密は共有したいなって。だって、私達は全員でB小町だからさ。」
〜sideルビー〜
今日はママとミヤコさんとアクアと一緒に、ママの初ドラマ出演の日。一応、私とアクアは、ミヤコさんの子供って設定、バレたらママのアイドル人生終わっちゃうからね。
「苺プロのアイです。本日はよろしくお願いします。」
なんか、不機嫌そうなおっさんの監督がママをジロジロ見てる。
あのさ~、ママの美貌があまりにも凄すぎるのは解るけど、そんなにも見ると警察呼んじゃうよ、このストーカーって。
「あの〜どうかしましたか?監督。」
うわぁ私達と交互に見比べてる、これやばくね?
「この子供は?」
「あっ、この子達は、私の子で」
ミヤコさん頑張れ〜
「働き方改革ってやつか!」
勝手に納得してくれた、ふぅ危ない危ない。
現場の女優さん達との触れ合いとか、そんなのがあって撮影も始まりそうなんだけど、なんかアクアは社長と話してるし、ママはなんか考え事してる。
「ねえ、難しそうな顔してどうしたの?」
「うん?えっとね、今日さ私脇役だからさ、アムロにドラマ出演する時の注意とか、言われたんだよね〜。
[脇役は主演を第一に考えて、影に徹するのが求められる。君はその美貌と圧倒的なオーラがあるから、それを消す演技をする必要がある。]
って言われてさ、そんな事解ってるって、って言ったんだけど、いざやろうとしたらさ、どうやれば良いのかなって。」
う〜ん、なんだっけ下手な考え休むににたり?だったっけ?私が考えても解んないよ、パパもっと解りやすいアドバイス無かったの?
「えっと、あの。ねぇ、アイお姉ちゃん。アムロさん言ってたんだけど、お芝居は日常を切り取るのが良いんだって、だからいつもお買い物とか行ってる、そういうときの事を思い出したらやりやすいって、前何処かで聞いたの。でも、やり過ぎると本末転倒になるから注意だって。」
「ほほ〜ん、ということはあの目立たないような感覚か、解ったぞ〜。やり過ぎって、少しは目立てって事だよね?これは解んないけど、やってみるしか無いよね。ルビーもアクアも気にかけてくれて、ありがと〜。」
ママのよしよしは本当に極楽浄土〜。
ママの演技はやっぱり人の目を引きつける、主演なんて目じゃないね。なんて思ってたら、直ぐになんか背景に消えるみたいになって、まるでお星さまの瞬きみたいだった。
……
〜sideアクア〜
母様のドラマの撮影についていった時、監督さんに名刺を貰った。母様の演技は父様のそれを間近で見ていたせいもあるのだが、素人とは思えない。脇役には惜しい、という評価を監督に与えていた。脇役には惜しい、つまりギリギリのライン。それ以上目立つと、映像から消される。
結果、ルビーが監督に文句を言った。あんなにいっぱい取ったのに、半分も使われてないと。
監督も流石に大人で、のらりくらりと追及をかわし、あれよあれよという間に、私が子役デビューすることになった。それも男子役で。
「父様、演技の仕方教えてください。」
「五反田の所から出演オファーがあったんだってな。教えると言っても、時と場合によるから心構えくらいしか無理だぞ?」
でも、父様の演技指導って、たぶん感覚的なところを教えられるから、正直解りづらいんだよね。苺プロの他の人に頼もうかなぁ。
「いや、アクア。そんなに俺の指導は解りづらいか?」
「父様だけじゃない、母様も解んない。二人共、感覚派?だから、私わかんない。」
渋い顔してるよ、相当ショックなんだろうなぁ。母様が一緒に行くし、最悪監督に聞けば良いかな。
「アイも行くのか。ちなみにだが、脇役はまだ空いているか?」
「それ、解んないし3歳に聞くこと?」
父様って偶にそういうところあるから、なんか抜けてるというか余計?ま、母様は私が出演するから出演出来るんですけど。
「そうか、アイはアクアのバーターで仕事をな。」
サラッと心を読んでるの?私、熱でもあるのかな。心を読めるなんて、おかしいことだもん。
「そう言うことなら」
……
「で、なんで安室さんも一緒に行くことになるんですか!?」
ミヤコさんが物凄い突っ込みをしてる。大丈夫?疲れちゃうよ?
「子供の成長をこの目に焼き付けるために、では駄目か?
きっと俺達は、子供達の授業参観すら参加できない。流石に入学式と卒業式だけはどんなに無理をしてでも参加するつもりだがな。そんな俺達が哀れには見えないか?」
うわぁ、演技しようとしてる。
「でも、過保護過ぎますよ!アイも一緒に行きますので、心配しなくても大丈夫です!アイもアイよ、自分の夫くらい説得して止めてきてよ。」
そうだそうだ!父様が来たら、たぶん凄く厄介なことになるに決まってるのに!
「いや〜ごめんね。最初はさ、流石に二人で行ったらバレそうだなぁって思って、ミヤコさんに言われたように説得しようとしたんだけどさ。///夜の事をやってたら、逆に説得されちゃって。私、あんなに失神したの初めてかも。」
「子供の前で、そんな事言うんじゃない!教育に悪いでしょ!あぁ、もうどうしてこうなった。」
焦ってるなぁ、私達顔の形は母様似だし父様も母様も髪の色が黒色だから、たぶん大丈夫…?なんで、黒髪の両親から金髪が生まれるの?もしかして、私達託卵されたんじゃ…。だとしたら、嫌だなぁ。
「まあ、そんなに焦ることじゃないよ。五反田は、俺の旧知なんだ。だから、きっと解ってくれるさ。」
解っちゃったら駄目なんです。それやっちゃったら、私達たぶん離れ離れになっちゃう。
「皆気にしすぎだ、あいつはそんな悪いやつじゃないよ。人相は昔から悪人面だが、心は映画を愛する少年だ。」
じゃあせめて、アポイントメンと取ってあげてよ。
〜sideアムロ〜
「よ〜し、早熟とアイさんか。早速だが…おい1つ聞きてぇが、後ろの男も付き添いか?」
俺の事を指さして、そんな事を言う。付き添いか、確かにそうだな、付き添いというよりも入学式の気分だ。
「おいおいおい、待てよ。なんで、お前がここに。いや、そりゃそうか、確かにお前も一応苺プロだもんな。
だがよ、こんなに大所帯でいいのかよ!」
「良いも、悪いも俺は、この娘の晴れ舞台を見に来ただけだ、別に映像に映ろうってわけじゃない。それにだ、俺が入ったらお前ギャラ払えないだろ?」
どうせこの現場も低予算映画だ、コイツの腕は確かに一流。そんじょそこらの演出家なんか足元にも及ばないが、如何せん宣伝力が無かったり、金銭面での弱者だ。
「確かに払えないが…いや待てよ?お前別名義持ってなかったか?蒼月昇だったか?低予算映画の現場に潜り込みたいからって、勝手に作った名義。」
「懐かしいな、アレはあれで勉強になって良かったよ。サメ映画なんて、面白いからね。ああいうのは、高予算映画では制作会社とスタッフと客の目の肥えた今の時代だとまず撮らせてもらえないからな。」
二人で談笑を続ける、昔話が途切れる事はない。
「そういやさ、コイツの地毛ってよ金髪なんだよな。いや〜本当にアレで四歳だったていうんだから、本当に早熟だった……
早熟?早熟??」
俺と娘達を見比べている、気付いたか流石の観察眼だ。
「いやいやいや、社長婦人と不倫か!?それよりも、アイドルと恋に落ち、相思相愛の仲育まれた命。ただそれだけの秘密のために、家族となる事ができない。てか?」
だいたい合ってるな、凄いやつなんだ。何故これ程の想像力があるやつが、売れない監督をやってるのか疑問は尽きない。