虹の男と星の娘   作:丸亀導師

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第二十八話

〜sideアイ〜

 

「有馬かな、か。」

 

「うん?どうしたの、そんなにも神妙な顔をして。」

 

アムロが神妙な顔しているときは大抵、誰かの心配をしてるとか何かしらの心配事がある。

 

「彼女の演技、光るものがある。そうだな、アイのそれがアイドル業界という夜空で一際目立つ、一番星だとして、彼女は演劇業界という昼空の中のさしずめ太陽かな?」

 

「へぇ~、そんなにあの娘の演技ってすごいの?この子達とそんなに年齢変わらないのに。」

 

やっぱり役者は役者で、色々とあるんだろうな〜。私達アイドルだって、バラエティの方が輝ける子もいるし、私みたいに顔だけ良いガワだけのアイドルもいるから。

 

「アイはガワだけじゃないよ。ちゃんと演技力とか歌唱力もあって、凄いアイドルだ。でも、完璧じゃない。皆誰しも欠けてる。」

 

「そうなると、あの娘も何処か欠けてるって事よね?」

 

全然そうは見えないけど、まあ確かに横暴な感じがするけどあのくらいの子って、普通はあのくらいで寧ろ家の娘達が、超優秀!超優秀なだけだから。

 

「確かにあの娘も周囲への配慮が欠けているが、あの年齢であんなに才能を持て囃されてはあんな風になるのも無理はないものさ。だが、本当に問題なのは周囲の大人だ。

 

あの娘の増長を窘めもせず、見て見ぬ振りをして勝手気ままにさせ、あまつさえ自らは彼女を利用し、金のなる木としている。この様子から見るに、本当は注意したいであろう監督を始めまともな大人も何人かいるが、本来真っ先にそれをするべき彼女の親が間に入って娘を煽ててるせいで聞く耳を持ってくれないといった所だろうな。

 

本当に大人は狡くて汚い。このままではあの娘は人として駄目になってしまうぞ」

 

「そう見ると、なんだか可哀そうだね。私とはまだ違うけど、きっとご両親からの愛の形も、だいぶ歪んじゃってるんだろうね。」

 

この業界、思ったよりも闇が深い。子供が出来てから、色んな事を考えるようになった。このままアイドル続けたほうが良いのか、とか子供達の学校の授業参観とか行けないんじゃないか、とか。ああ、私の視野ってこんなにも狭かったんだって改めて思う。

 

あ、次の場面はアクアの出るところだ。さっきの、わなちゃんもいる。なんか、バチバチしてるように見えるけど、子供どうし張り合ってるのかな?年相応に。見てる分には微笑ましい事なんだけど、やっぱりアクアは女優さんになれるよ。

 

「さて、アイ。ちょっと行ってくるよ、エキストラとして少しやって来る。」

 

「うん、いってらっしゃ~い。」

 

相変わらず凄いな、エキストラって目立っちゃ駄目だけどあんなに目立つ雰囲気をしてたのに、今じゃ透明人間だよ。

 

 

家族皆でお仕事か…家族映画を取りたいな〜。

〘秘密の家族〙

なんて題名で。

 

「ルビーも役者さんになりたい?」

 

「マ…アイお姉ちゃん、私役者さんよりアイドルになりたいの。」

 

アイドルになりたいか〜、アイドルって見た目程皆明るくないし、業界としてはどちらかと言えばブラックに近いけど、でも

 

「じゃあ、大きくなってルビーがアイドルになったら、一緒にステージの上で共演しようか。その頃は、流石にB小町は無くなっちゃってるかもしれないけど、その時だけ再結成してみせるからさ。」

 

「うん!約束だよ。」

 

「じゃあ、指切りしようか。指切りげんまん嘘ついたら針千本の〜ます指切った。きっと、約束叶えるからね。」

 

絶対に約束守るからね。

 

 

 

 

〜sideルビー〜

お姉ちゃんは良いなぁ、もう芸能人だよ?女優なのに少年役が多いから、周囲から男の子として見られてるし、あの先輩からもそう見られてるみたい。スッゴイ、ライバル視してるのがまるわかり、ま。二人共仲いいのは良いんだけどさ、私だけ家族の中でなんにもやってないから、凄く浮いてる気分。

 

「お姉ちゃんは良いよね〜、もう女優さんだよ?私も早く芸能人になりたいな〜。」

 

「ルビー、じゃあ私と一緒に女優をやれば良いじゃないか。どうして、いつもそう嫌がるのか?」

 

む〜、だってさ。私台本読むの苦手だし、漢字も読むの大変そうだし、何より演技ってなんか嫌なんだよなぁ。

 

「母様だって、解らないところは調べながらやってるし、私も色々監督に聞いたりしてる。なんにもやる前から、なんで否定するの?」

 

「だって、ママと約束したんだよ。ママとの共演はステージの上でだって、だから私はアイドルになりたいの!」

 

私だってみんなと一緒にお仕事したいでも、ママと約束したんだから。

 

「ふぅん、お遊戯会ダンスが怖くて出来ない子が、アイドルなんて出来るわけ無いよ。」

 

「なんで!なんで、そんな事言うの!私だってダンスしたい!したいの!でも、いざやろうとしたら足が竦んで、倒れようとしちゃうの!お姉ちゃんのわからずや!」

 

悔しい、言い換えしたって現実は変わらないのに、でも私だって本当に悩んでるのに。ママは、私がダンス出来ないっていったら、私を失望しちゃうかな。

 

「ルビー?こんなところでなんで泣いてるの?お姉ちゃんと喧嘩でもしたの?」

 

「ううん」

 

正直に答えたほうが良いのかな。

 

「もしかして、お遊戯会のダンス上手く出来ないから泣いてるの?」

 

なんで知ってるの?お姉ちゃんしか知らないのに。

 

「ルビーがなんか最近悩みがありそうだったから、アクアに聞いたらさ、ルビーがそれで悩んでるって。も〜、ママに相談すれば良いのに。そしたら、ママが手取り足取り教えてあげるからさ〜。」

 

「でも、私踊ろうとしても直ぐに転んじゃうし。」

 

「大丈夫、転ぶのを怖がってたら直ぐに転んじゃうよ?それに、もし転んでもすぐに私が助けてあげる。だって、私はルビーのママなんだよ?

そうそう、もっと胸を張って自信を持ってね。」

 

ママ、ママの手温かい。

 

「アクアも見てないで、こっちに来て。」

 

「え?お姉ちゃん?」

 

私達をお姉ちゃんが見守っていた、影からコソコソと。

ママに呼ばれて、こっちに来る。私の目の前に立って泣きながら言った。

 

「ルビーさっきは言い過ぎた。ホントにごめんね。」

 

「ううん、私の方こそごめんね。」

 

そう言ってると、ギューと二人でママに抱きしめられた。

 

「二人共、ごめんなさい出来て偉いね!私、頼りないけどさ、二人のお母さんだから色々と迷惑掛けちゃうと思うけど、二人の事産んで良かったって、いつも思ってる。だから、二人共仲良く大きくなって。ママ、二人の事もパパのことも愛してるから。」

 

 

「「私もママ(母様)の事愛してる。」」

 

 

二人でそっと、抱き返した。

 

 

 

 

〜sideアムロ〜

 

 

「容器内粒子散布、力場の形成確認。炉心中心核温度1600万度で安定、容器内壁温度1214度で安定しました。磁場形成を確認、発電システムを起動します。」

 

動いたか…

 

「このまま24時間運転を続行。後、急速停止し容器内損傷の確認を行い、最終チェックを終了とする。みんな、もうひと頑張りだ、後少しで夢は実現する。」

 

……

 

実験場から自分のオフィスに移り、先程の状況映像を詳しく精査する。

計算外の事象、ノイズの起こりが無いのかと集中する。

現場は奴の選抜した学者の一人が指揮をしている。有事の際は連絡が来るだろう。

 

目の疲れ、思考の疲れによる睡眠欲が強烈に襲ってくる。

少し、仮眠を取ろうとオフィスのソファに行こうとすると、ふとカレンダーが目に移る。小さなお手制カレンダー、娘達の自信作。

 

1つの日付に拙い様に、〘ママ・ライブ〙と書かれている。そう、アイのB小町のドームライブが近い。

「遅れないようにしないとな。」

 

俺は、ライブに間に合ったことがほぼ無い。基本的に何かしらをやって遅れている。だから、今度こそは。行かなければならない、愛する人の晴れ舞台。それをこの目に入れるために。

 

「おっと、物思いに耽っているところ済まない。君との契約について話そうと思ってね。」

 

「何度も言うが、完成したら即日開放してもらいたいな。そうやって署名したはずだ、まさか〘アクシズ落とし〙よろしく契約を無視するんじゃないだろうな?」

 

図星か?

 

「解った、私の負けだ。君は完成後即日開放される。その変わり、君等につけている護衛も即日だ、それで良いのなら。それに私は親から理不尽に引き離される悲しみをよく知っている、君の子供達にかつて私と妹が味わった同じ悲しみを経験させたくないということは信じてもらいたい。」

 

「監視の間違いだろ?要件はそれだけか?なら、後者の言葉は覚えておくから忘れるなよ。今日は疲れたから、少し寝たいんだ。」

 

戯けるな。あれだけのことをしでかしておいて、今更そう簡単にお前を信用できるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……

 

真っ白い世界にただ一人立っている。これは夢だ、何故なら俺の姿は〘安室嶺〙ではなく〘アムロ・レイ〙となっているからだ。

 

何処からか女の子の泣き声が聞こえる。

左を向くと、その女の子がいる。

『どうしたんだい?』

 

声を掛けると少女は言った。

 

『お父さんがいないの。』

 

『どうしていないんだい?』

 

『戦争で死んじゃったって、お母さんはそういうの。学校に行くといつも皆に言われるの、〘片親〙〘親無し〙って。』

 

『それは酷いね、俺だって言われたこと無い。』

 

『叔父さんは誰なの?』

 

『俺か?俺は、アムロ・レイ、君は?』

 

『○○○・○○○』

 

『もう一度聞きたい、聞こえなかったから。』

 

振り向いた彼女の顔は、何処か見覚えのある、誰かの顔が少し幼くなったようだった。

その瞬間目覚めのアラームが鳴り響いた。

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

 

……

 

……

 

 

 

 

 

 

〜side神木〜

 

河川敷に座る僕の傍らに、一人の女性が座った。お気に入りの身体ですか。

 

「ご機嫌いかが?カミキ。」

 

「シラトリさん、機嫌は良くないですね、まったく標的を変えようかと思っていたところなのですが?」

 

ふふふと、不敵に笑っている。超常の存在は良くわからない。

 

「良いことを教えてあげる。聞きたい?」

 

「アナタが言うほどです。とてもいいことなのでしょう?」

 

僕は、口元に手を当てた。こんなにも、焦がれたことがあったろうか!?やっと、やっと

 

 

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