虹の男と星の娘   作:丸亀導師

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第三十話

ゲートがゆっくりと開き、スポットライトに照らされる。しかし、そこには誰もおらず。

スポットライトは再び消灯し、暗闇とサイリウムの淡い光だけが周囲を暗く灯す。

沈黙がながれ、音楽と歌とともにスポットライトがいつの間にかそこに出現していた、正六角形と中央に並んだ娘達を照らし出す。

B小町のドームライブが今、始まった。

 


 

 

〜sideアムロ〜

 

俺はいつも通りの睡眠の後、天候と時間のズレを精査し、朝の準備をしていた。

 

「アイ、アイ。起きろ、そろそろ時間だ。」

 

「うぃ?うう〜ん、ファムロおはよ〜もうそんな時間?」

 

「予定の30分前、まだ朝の5時だ。行けるか?」

 

まだまだ眠たそうな顔である。前日に早めに寝ていたはずだが、時間が合わないとやはり、頭の回転は良くないか。

 

「うん、まハァ大丈夫だよ。アクアとルビーを起こしてくる。」

 

ピンポーン

 

と玄関のチャイムが鳴り響く。

 

「やはりか…何処かから漏れている。しかし、一人か…」

 

チャイムは鳴り響く

 

アイは子供達を起こしている。

 

 

「アイ、少し良いか?ドアを開ける時に今から開けるとか、そんな言葉を言ってくれ。なるべく自然に大きめに。」

 

「解ったよ。」

 

俺と共に玄関へと赴き、俺が取っ手に手を添え2つの電子ロックを解除する。

後は普通の鍵を回すだけだ、指折り数えてあいずをする。

 

3・2・1「は~い、今開けます。」

 

思いっ切り、扉を開け相手の前腕に衝突する。白い花束が落ち、その後ろにあったナイフも共に重力に引かれていく。

相手は仰け反りそうになりながら、こちらへと来ようとする。再度、扉を締め。再び、扉を叩きつける。 

今度はクリーンヒットだ、顔面に衝突し意識が飛びかけている。

 

扉を開け放ち、不審人物を家へと引きずり込む。周囲に気配はないか。

 

「お久しぶりとでも言おうか?宮崎の不審者君。」

 

「っつ〜、てめぇ。安室嶺!なんで、こんなところにいやがる。まさか、アイの事を誑かしたのはてめぇか!」

 

当たらずとも遠からず、誑かした気はないのだが他人からはそう見えていたかもしれない。

 

「あぁそうさ。そして、既に婚姻済みで二人の四歳になる子供がいるが?」

 

「なんだよ。なんで、アイはお前なんかと!!」そうだ、俺に憎しみをぶつけろ、お前が憎いのはアイじゃない、俺だろ?目を逸らすな。」

 

「あっ…アナタ、リョースケ君?だよね、間違ってたらごめんね、私さ、人の名前覚えるの苦手でさ。よく握手会に来てくれてたよね?お土産の星の砂、玄関に飾ってあるんだ。

でも、どうして…」

 

だいぶ荒れているな、誰に焚き付けられたか?

 

「お前が俺達(・・)を裏切ったんだ!お前の言う愛なんて、全部嘘っぱちで、裏では俺達のこと笑ってたんだろ、馬鹿にしてたんだろ!」

 

「私ね、最初は愛を探すためにアイドルになったんだ。嘘がいつか真実になるように、ずっと嘘をついて愛を探してた。

でもね、私はそんな時にはもうとっくの昔に、愛を知ってた。

この人が、私の夫の事が好きって思うようになった。

でも、ファンの皆を騙すつもりじゃない。

私は、皆を愛していたいから!」

 

人はわかりあえる、だが本音を言い合うには、人はまだ幼すぎる。だから、待たなければならないか…。

彼は泣いている、悔しくて、怖い、失って、取り返しのつかないことをしようとしたと。

 

「単刀直入に聞こう、誰の差金だ?」

 

「名前は解らない。誰にも知られてないはずなのに、メールが届いて。アイが子供を妊娠したって、そこからはもう気が動転してて、ずっとずっとお前らを見つけようとしたら、同じメールが来てたんだ。くっ何がなんだか…。俺は、逮捕されるのか?」

 

アイ、そうか。そうだよな。

 

「君は利用されただけだ。好きに生きれば良い、ただ次はないと思えよ?」

 

「ありがとうございます…。俺は、償いたい。」

 

「それならさ、ライブ見に来て。きっと、アナタ達の為に歌うから。」

 

起きたのか、間の悪い事もあるものだな。

 

「パパ、ママ!そのおじさんは?」

 

「この人は、私のファン1号のリョースケ君!ほらリョースケ君、この二人。蒼い目の子が、アクアマリン。紅い目の子がルビー。二人共、私の自慢の娘だよ。」

 

これで、めでたしめでたしならいいんだがな。

 

「リョースケ君だったか。どうだ、少し協力してほしいんだ。」

 

「協力って何を。」

 

「償いたいんだろ?俳優になってみたくはないか?」

 

 

 

〜sideアイ〜

 

「ハハハッ!リョースケ君それw、とっても似合ってる。フフ、その鬘、私の真似してくれるの嬉しいけど。背格好も違うのに、アムロよくこうやって整えられるよね。」

 

アムロが運転する車で、皆で事務所へと向かっている。

 

「やっぱり、俺を馬鹿にしてるだろ!」

 

「馬鹿にしてないさ、ちょっと試したい事があったから、協力して欲しいんだよ。その為の格好だ。」

 

「おじさん、似合ってる。凄い、本当に女の人みたいなんだもん。ドウヤッテルの?」

 

アムロの変装術、特殊メイクの本を〘読んだ〙らしいんだけど、読んだだけでそこまで覚えられるのはもう、やばくね?

 

「映画撮影とかで良く使われる特殊メイクだ。30分だとこの程度しか無理だが、違和感はあるが、キャリアウーマンに見えるはずだ。」

 

「俺にそれをやって何をするつもりなんだ。」

 

アムロが無駄なことをやるはず無いから、誰かに見せようとしてる?だとしても、誰かな?

 

「子供達を護ってほしい。君は改心したはずだ、だからこそ信頼できる。それと、これはチケットだ。子供達の横の席だ。

それと、アイ。くれぐれも、周囲に注意することだ。奴の所謂お気に入り(・・・・・)は、思った以上に近くにいるのかもしれない。」

 

「ねぇ父様母様、なんでそんな物騒な話ししてるの?」

 

「う〜ん、ライブ当日だからさ〜。ちょっとアムロがピリピリしてるだけだよ〜、なんせ5万人以上来るんだもん。しょうが無いよね〜。大丈夫、心配いらないからね♪

さてと、もう着くからね〜。」

 

車が事務所の駐車場に入る。もう、社長たちはいるみたい。

 

ピンポーン

 

少しすると、ミヤコさんが現れた。

 

「早いじゃない、なに?まさか、遅刻すると思ったの?」

 

「アハハ、ミヤコさんおはよう〜。

うん、ちょっとねゴタゴタがあってさ、大丈夫だと思うんだけど一応。ミヤコさんはライブ会場にはもう少しかかるでしょ? 

私とアムロは先に行ってるから、アクアとルビー。後そこの、リョウコちゃんお願いします。」

 

「ええ、解ったわ。くれぐれも、注意するように。」

 

「じゃあ、二人共ミヤコさんの言う事ちゃんと聞いてね。リョウコちゃん、二人をよろしくね?」

 

二人を置いて、アムロとともにドームへと向かう。少し心苦しいけど、二人を一番近くで目の届く範囲でいさせるには、最前列にいさせるしか無い…。

 

再び車に乗って会場の関係者エリアに置く。もう、かなりの人が今日の為に準備しているのが見えた。

 

「ねぇ、アムロ。なんでリョースケ君と一緒に二人をあずけたの?」

 

「ミヤコさんの反応を見るためだ、予想通りだったよ。だが、これで第一関門は突破できた。」

 

彼が何を考えてそれをやったのか、私には解らないけど無駄なことをするのを一番嫌ってるはずだから。

 

「あぁ、言いそびれてたな。さっきのミヤコさんは、ミヤコさんの皮を被ったシラトリだよ。リョウコを紹介した時、何も反応無く対応した。いつものミヤコさんなら、俺達に呆れたように文句を言いながら、了承するだろう。」

 

え?そうなの、じゃあ二人を助けに帰らないと。

 

「慌てる必要はない。奴は二人には手を出せない、寧ろミヤコさんが襲われた場合奴には不都合だ。前に一緒に話をしたろ?君が殺られた場合、誰が二人を引き取るのか。」

 

「うん、ミヤコさんが一番その可能性は高いよ。でも…だからって!シラトリに二人を任せるわけにはいかないでしょ!!」

 

私は始めてアムロに向かって怒気を飛ばした、子供達の為を思ってやってるのは解ってるよ。でも、そんなの危険すぎるよ。

 

「だが、これで奴の動きは封じることが出来た。」

 

「アムロ、これっきりにしてよ?もし、二人になにかあったら私、アムロを恨むから。」

 

私にはそこまでの覚悟はない、二人の為なら死んだって構わないから。

 

 

 

〜sideルビー〜

もの凄い熱気の中、ライブが始まった。私達は最前列、ママはステージの中央に立って全員の中心、センターって事だけど私からは結構見辛い。でも、映像だと一番目立ってるしやっぱりセンターって大変なんだ。

 

もう夢中になってサイリウムを振るう私、ヲタ芸をなんとかなんとしてでも抑え込まなければ、このままではまた衆目の的になってしまう。あ、あ、身体が勝手に動…なにアクア

 

「なに?今スッゴイ良いところなんだから。」

 

「あのさ、父様見なかった?ここに来てから1度も見てないの、ちょっとおかしいよ。」

 

は?う〜んそう言われればそうだけど、パパ急な仕事とか入ったりとかあったからそういうことじゃないの?

 

「父様なにか必要に迫られてた、たぶんなにかに巻き込まれてる。」

 

「でも、私達だけじゃ何も出来ないよ。それこそ邪魔にならないように、ライブを楽しむしかないじゃない。」

 

アクア…私達まだ小さいんだからどうしようもないよ、何かあっても待つしかないじゃん。

 

 

 


ドームの外に一人の男が佇む、見る人が見れば安室嶺だと解るだろうが何故そこに立つのかは解らない。

彼は目を瞑り独り言ちる

 

「やれるはずだ」

 

彼はドームの中へと関係者通路を通じて入っていく、全ての意志を振り払い、数名へと辿り着くために。

 

 

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