私はアイの生年月日を、スマートフォンの普及率から導き出してますので、2000年くらいかなって思って書いているので、星野姉妹の高校入学は2032年かなと。
[「ねぇママ(母様)何撮ってるの?」
二人の浴衣を着た子供が神社をバックに、撮影者に向けて問いかける。
「うん、二人の成長記録!二人共元気に育ってくれて嬉しいなぁって、今日は来れないアムロにこれを見せてあげるんだ!」
そう言って、セットし終わったのか、撮影者の浴衣を着た女は、その母としては余りにも若い姿は、二人の子供の真ん中に両手を繋いで映る。
「お〜い、お婆ちゃんもこっちだよ〜」
女が手招きすると、そこへとゆっくりとした足取りで、初老に入ったくらいのスーツの女が現れる。
「アイ…本当に母さん映って良いの?」
初老の女が尻込みしながら、恐らくは娘であると思われる浴衣の女へと問いかける。
「ふっふーん、私の七五三は演れなかったから今やるの!
それに♪お婆ちゃんが孫と一緒に映るのは、別に悪いことじゃないでしょ?」
浴衣の女が、初老の女を招き入れ子供達を二人の間に入れる。
「家族は一緒にいるのが一番だからね〜。」
その姿は、失ったものを取り戻すが如く。そして、浴衣の女が画面に近づき映像を止める瞬間、初老の女は涙していた。
〜sideかな〜
今日は入学試験、色々な中学からこの陽東高校へと試験を受けに来る人たちが来る。
私はその中でも、芸能科に来る人達の事を見定めるために、今日も登校していた。決して、決して仕事が無くて暇といういわけじゃなくて、そういう内偵をしているんであって!
「ルビー、アンタ大丈夫だった?」「多分平気、そっちは?」
「問題ない、あの程度。」
噂をすれば、アクア。星野愛久愛海と星野瑠美衣の星野姉妹だ、まったく目立つ髪色しちゃって、金髪に紅目と青目なんて、よく外国人と間違われることも珍しくないほど日本人離れしたその容姿……アンタ等以外にいるわけがないじゃない。
それにしても、いつも思うけどこれで双子って笑えちゃうわね。横に並ぶと解るけど、アクアの身長、妹のそれより10センチは高いことに加え何より……私とルビーたち身内しか知らないことだけど凶悪極まりない女の武器を服の中に隠し持ってるやがるのよね。男役じゃなくモデルやグラビアアイドルやってれば今頃両親並みに名が知れ渡ってるだろうに。
「こんにちは、アクア。宣言通り、この学校を受験したのね。ま、アンタの学力なら万に一つも不合格なんて可能性は無いけど、妹さんはどうなのよ。確か芸能人じゃなかった筈よね。」
「はあ?それは、いつの情報ですか〜私もちゃんと苺プロ所属のアイドルになりましたので〜芸能人です〜!」
え?そんなの聞いてないんですけど、アクアあんたまさか。
口元を抑えていやがる、態とか態とね!クソ、その嘘質悪いんですけど、こうやってフェイク掴まされて人をおちょくって、キ〜悔しい!
「あら、ごめんなさい?でもいつなったのよ、私が検索したときにはまだ、ホームページには反映されてなかったってこと?」
「ふふん、少し秘密になってたんだけどね?なんと今年度から、苺プロはアイドル部門を復活させることになってね!」
「それでコイツがアイドルやることになったってこと。ただ、それだけ。ルビー帰るよ。」
ちょっとちょっと、最近会ってなかったってのに随分と冷たいじゃない。
「今日アンタんとこ行っても良いのよね。」
「別に構わんよ。ルビーも別に構わないな?」
「うん。あっそう言えば、さっきママから連絡があってね?パパと一緒に家に帰ってきたからって。」
ママとパパ。こいつ等の両親、
〘伝説のアイドルグループ〙B小町の元センターで、現在一流の女優兼声優業や水曜お昼のラジオパーソナリティ、でお馴染みの〘星野アイ〙さん。
〘趣味で俳優やってるノーベル物理学賞受賞者〙
〘人の形をした兵器〙等と10の異名を持つ俳優〘安室嶺〙さん。
それがこの二人の親。
こいつ等について行きながら、二人の会話をきいている。
「そう言えば、最近お姉ちゃん監督のとこ行ってないけどどうしたの?」
「監督って、アンタまさかまだあの五反田監督のとこ行ってんの!?アンタも良い歳なんだからさ、いい加減男の家に行くのやめた方が良いわよぉ〜、いつ傷物にされるか解ったもんじゃない!」
「第一印象のせいで誤解されやすいけど監督はそんな人じゃないよ。映像制作の手伝いや演技指導とかしてもらってるだけ、親父の演技とかを一番知ってるって自負してるのが、あの監督だから。そのお礼として家にある映像編集室とレコーディングスタジオの設備をタダで使わせてあげたり、私も裏方の仕事の勉強も兼ねて映像制作の手伝いもしてるのさ。それに、監督は最近撮影で忙しいから、行ってないだけ。ハリウッド並の映画撮影してるってやつ。」
呼び方、親父か父様か統一しなさい?これじゃあツンデレよ。
「アンタの両親。演技上手いんだから指導してもらえば良いじゃない、正解がそこにあるわよ?特にアンタの父様は怪物だから。」
「はぁ?そんな事出来るわけないでしょ?あの二人に演技指導とか。」
「確かにパパもママも演技は上手いけど、指導は下手なんだよね〜。擬音とか使われても解んないもん。でも、ママ、ダンスは教えるの上手いんだよ?パパも勉強と機械いじりは教えるのは上手いから」
それは知ってる、何度かドラマの裏で懇願されて教えてるの見たことあるけど、それだけは確かに言えた。
……
いつも見るけど、立派な家ね。開かずの地下室があるという要塞と噂される〘安室嶺〙の家。
表札にはきちんと〘安室〙と〘星野〙の名前が刻まれている。
多重ロックの鍵…も健在と。
「ただいま〜(お邪魔しま〜す)」
廊下の奥から声が聞こえた。
〜sideアイ〜
「もう!本当に怖かったんだから!アムロの左胸から血がプシュッと出てたのがなんとなく解って、それで力無く倒れて本当に愕然として力が抜けて、演技どころじゃなかったんだよ!」
私は先の主演映画の撮影で物凄く嫌なものを見た、あんなのもう嫌!我慢もしたくない、だって自分の夫が目の前で撃たれて動かなくなるまでの一部始終を見守るんだよ?そんなの嫌になるじゃん。
「済まなかったね、辛い思いをさせて。でも大丈夫、アレは映画だから演出の一部だからね。」
私を膝の上に座らせてソファーで寛ぐアムロ。私ももう32だから、少し恥ずかしいけど今はこの時間を楽しもう。
子供達も帰ってくるのはまだ先だろうし、もうちょっとイチャイチャしても良いかもなぁ。
「ねぇ…あのさ。あの子達も大きくなった事だしさ…私ねもう一人欲しいかなぁって…」
「それは俺も思ってた事だよ。ただ、今はお預けになりそうだね」
どうして?
「どうやら帰ってきたみたいだ。」
え?と、思ったら玄関から鍵の開く音がする。
「ただいま〜(お邪魔しま〜す)」
「だから今はお預けだ…でも…今夜なら良いかもね?」
やった!
「じゃあ、今日は気合い入れて料理作っちゃうぞ!それでいいかな?」
「いいとも!」
そして、リビングの扉が開いた。
「おかえり〜、あら?かなちゃんじゃん、久しぶり〜大きくなったね〜。」
「いやいや、結構あってますよね!顔と名前間違えてないですか!?」
う〜ん?そうかなぁ、なんか名前と顔が合致しない。あっ、あのララライの白川ちゃんと同い年だったから、間違えちゃったかな?
「ごめんごめん、でも名前はちゃんと憶えてたでしょ〜。私が名前を憶えてるってことは、お気に入りって事だからね!」
「俺とは個人としては、久しぶりだね?君が来る時は毎回仕事だったからね。」
「はい、こちらこそ色々とお世話になりました。あの、それで今日はですね、あのアクアに仕事をと思って来まして。」
アクアが面食らった顔をしてる、珍しい事もあるもんだ。アムロに気を取られてたなぁ?二人でなんか目でバチバチやってるもん。
「〘今日あま〙というドラマなんですが、最近俳優の一人が不祥事をやらかしまして、それでなんですが代役を建てなきゃならなくなったんです。男のストーカーの役なんですけど…やっぱり駄目ですよね?お子さんに、変な役をやらせるのは…」
「う〜ん、私は良いと思うけど。だって、色んな役をやるから演技力って伸びるでしょ?これも勉強勉強!で、アクアはその話乗るの?」
「やっぱりアレの件だったんだね。原作潰しの作品。かなちゃんが頑張ってるのは解るけど、周囲が大根過ぎるクソのような演技」
もう、アクアはどうして口悪くなってるの?
「それで?ストーカー役をやるのは良いけどさ、私の今の顔でもできる?」
「勿論、寧ろ今の方が良いわ。」
中性的な顔だし、どっちも行けるってアムロよりも強いところあるもんねアクアは。
それに、アクアの部屋にいっぱいあったし、原作好きならきっといい演技しそう。
「良し!かなちゃん、今日は夕飯食べてって、皆のために丹精込めて作るから。」
「私も良いんですか?ありがとうございます。実は家ではUber ばかりなので、こういうの久しぶりなんですよ。良ければお手伝いします!」
わぁ〜、ルビーもアクアもかなちゃんも、皆手伝ってくれるのは嬉しいかも。アムロは手伝わなくて良いよ?ふふ、解ってるって顔。今夜は覚悟しといてね〜。
「そうだ、ルビー?ご飯食べたら話があるから、お父さんの書斎に来なさい。」
「え?うん、解った」
ルビーびっくりするだろうなあ
〜sideルビー〜
パパ、何だろう私に話って
Knock
Knock
「入っていいよ。」
「失礼しま〜すって、感じかな?」
うわぁ~なんか真面目な話をしますって、感じの雰囲気。
「ルビー、アイドルになった感想を聞きたい。」
「感想って言っても、私まだアイドルらしいことをしてないんだけど。」
なんか眉間に皺が寄ってる、私なにか変な事言ったかな?
「じゃあ、走り込みやランニング、ウォーキングやダンスのレッスンはしてないのか?」
「ううん、ダンスのレッスンはやってるしランニングも少しはやってるよ?」
また顎に手を当てて考えてる、これはどういう感じ?
「実は、今週から特別コーチを君に付けることになってね。
それでそれを言うために、こうやって呼んだわけだが、今のままだと地獄を見るぞ?」
「地獄を見るって、なに?そんなにスパルタ教育の先生?」
「いや、それは会ってからのお楽しみだ。」
…………
数日後、苺プロのスタジオにやってきました。いつもと変わり無いはずなのに、なんか緊張する。
ミヤコさんに、先生は既にスタジオにいるからと言われて、入った。
「失礼します。苺プロ所属アイドルの星野ルビーです。今日はよろしくお願いします!」
「へぇ〜、あのチビっ子がこんなにも立派になりやがって、俺は嬉しいぜ。」
あれ?どっかで聞いたことがある口の悪さ…
「サキさん?嘘、苺プロに戻ってきてくれたの!?」
「いや、ダンスの外部講師だ。つっても、専属みたいなもんか、しっかし、ルビーこんなにも大きくなりやがって、いっちょ前にアイドルかよ。」
うわぁ~、嬉しい。昔の知り合いに会えるなんて信じられないよ。B小町の中でも随一の身体能力を持つ彼女、ニノさんがテクニカルならサキさんはパワータイプだと思ったんだけど。
「本当はニノも一緒になんて思ってたんだけどよ、アイツも子育てで忙しいからよ、今日は無しだ。ちなみにだが、去年俺も結婚したからな!もう行き遅れなんて言わせねぇ!これでB小町は全員既婚者だ!あとは、子供さえできればなぁ…苦節の末にやっと今の旦那と出会えて、一緒に頑張ってるってのに未だに母親になれてねえのはもう俺だけだし」
なんか生々しいなぁ、アイドルとは程遠いよ〜
「さてと、ルビー。今からレッスンを始める。今までお前がやって来たメニューだが、」
どこからか私のメニュー表を出してきて、ビリビリと破いた。
「こんなんじゃ長時間のライブには意味がねぇ、よって。私らが現役時代にやって来たメニューを、現代の医療でアレンジしたやつをやる。
これは整形外科医のニノが、作成した奴を元に作ったから確かなやつだ。」
なんか凄い単語が出てきたぞ?ニノちゃんきちんとお医者さんになったんだ。B小町の解散ばかりに目が言ってたけど、皆のその後を知らなかったなぁ。
「これよりレッスンを始める気合い入れてけよ!」
ハイ!と元気に返事したけど、地獄が始まったとは、この時の私には解らなかった。