[2022/10/13
多くの白衣の者達がいる。
その中には、著名な物理学者もおり、その一団が学者であることも解るだろう。
彼等は数人一組となり、一人の男に対して様々な事をぶつけている。
一人の男は拒否する。〘危険過ぎるその力故に〙
一人の男は拒否する。〘様々な分野の発展を無くすことに〙
一人の男は拒否する。〘戦争を回避するために〙
集団は言う、〘これが実現できれば敵などいない・〙と
一人の男は言う〘余りにも危険過ぎる、〙と
狂気の中に様々な学者はそれを見たい、魅入られているようだ。一人の男は言う〘まだ、人類には早すぎる〙と
一人の男は家族を思う〘コイツ等は何をしでかすか解らない。〙
唯一条件が言い渡される。〘家族の優先〙を。
これが意味するところ即ち、協力すれど積極的ならず、自らを優先し、直接的な兵器分野への専門的な協力をせず、助言のみとするべしと。]
〜sideアイ〜
「さあ!アクア!私の胸に飛び込んでおいで〜!」
イヤ〜最後の最後でアクアの演技が見事炸裂!気持ちの悪いストーカー役を完璧にこなして、あのクソ見たいな作品が全然見れるものになった!かなちゃんも輝いていたし、言う事無し!何てことはないけど、それでもあのくらいなら〘出来て当たり前だよね?〙
どうしたの?そんなしかめっ面して、ほらー早く抱きついて来なさい!じゃないと、ママの方から抱きつきに行っちゃうからね!
「三十二のいい歳した大人が何言ってんだよ、それに!私は絶対に、抱きつきになんて行かないからな!かなちゃん、そんな目で見ないで!」
ふふーん恥ずかしいんだろうけど、本当に抱きついてこないの?よ~しじゃあ、行っくぞ〜。いえ〜い、ズボッとアクアの腕の中に埋まる。身長大きくなったなぁ。
中学入りたては、私よりも低かったのに。卒業の頃には170近くになってるんだもんなぁ、しかもどんどん伸びるのに背に付いていく形で胸も凄い勢いで大きくなって、今ではもうこうして大人の私の顔が完全に埋まっちゃってるぐらいだし、子供の成長って凄いなぁ。
ただ、そのあまりに大人びた外見と普段の立ち振る舞いのせいで、家族旅行でディ〇ニーランドに行った際に他のお客さんやキャストの人たちに私の方が妹、酷い時には娘に何度も間違われて、本人が姉や親扱いされた時は相当ショックだったらみたい。
あの子の普段はクールに澄ましてる顔があんな愕然とした表情になったのを始めて見たし、今でも忘れられないもん。以来それまでは恥ずかしそうにしながらも自分の方から私に抱きついていたにも関わらず、今みたいに理由を付けて自分の方から抱き着きに来なくなっちゃったもんなぁ。
グスッ、なんでだろう。勝手に涙が出てきちゃうんだよなぁ、嬉しい筈なのに、こんなにも大きくなってくれて、一人で仕事も出来るようになって、ママうれじいよ〜。
「おい、おい!母さん…母様辞めてください、泣かないでください!服に染みが!もう、鼻水も出てますよ?ハンカチです、拭いてください。」
「はぁ、やっぱり。口調作ってたんだね?やっぱり、その方がアクアには似合ってるよ、無理して男みたいな話し方は辞めて?
可愛いアクアが、お嫁さんに行けなくなっちゃうから。」
「あの〜お二方?そろそろ、よろしいでしょうか?完全に私、空気でしたが…」
かなちゃん!大丈夫、忘れてなんかないよ!後で貴女にもギュ~ってしてあげるからね!
「なんかその目、私にも何かをしようと考えていられるようですが、お断りしておきます。」
ブ〜ブ〜、二人して息ピッタリ名コンビ!そのまま同性婚しちゃえ!かなちゃんなら、許す!
「許すとか以前の問題だろ!ったく、で?かなちゃん、要件はなんだっけ。」
「実はですね?今回の撮影で、私個人から事務所に所属しようと思いまして…。そこでなんですけど、アイさん。私をですね、苺プロに入れていただいても」良いよ?というか、誰も反対しないと思うけど。」
「じゃあ、所属の話を」ただし、女優枠は確かもういっぱいだった筈。今開いてるのは…〘アイドル〙枠かな?」
今や中堅事務所の苺プロだけど、やっぱり所属する人が多いからその分分野が絞られてくる。
この歳になって、経営方針とかに参加したけどそうなっちゃうのも、仕方ないなぁって。
「でも、かなちゃんなら大丈夫!歌もダンスもトークも出来るし、女優の演技を使って〘嘘〙を振りまけるから、きっと人気のアイドルになれるよ!」
「いえ、私は女優をやりたいのであって、それに〘アイドル〙なんて私には出来ないっていうか…元売れっ子子役ですし、素性が知られすぎてるんじゃ…」
ほほ〜うそこを、ご心配?
「かなちゃんのタイプは、アイドルとしては新しいタイプだから、新境地を開拓できるよ!やったね!
ということで、ここに苺プロの契約書があります。さあ、ここにあなたの名前を書き記すのだ〜!」
「いえ、私は女優として、それになんでこんなところに」さあさあ!」ですから」さあさあ!」でもやりませんから!!」やってみよう!」
って言いながらサインしてるじゃん、うん。この子の将来凄く心配だなぁ、絶対に詐欺に合いそう。
「どうして私はいつもこう!」
悲しんですけど、内心ホッとしてるんじゃないかな?ずっと一人ぼっちだったんなら、私にも解るよ?
「アクア、今日は打ち上げがあるんだっけ?」
「うん、ある。」
「じゃあ今日の夕飯はいらないね?お迎え言ったほうが良い?」
は〜、悩んでる姿可愛いなぁ。もっと女の子のらしい服を着せて、ルビーとお揃いで決めて行けば絶対に可愛いのに…。
「いらない、送迎車あるし。それと、可愛い服……興味あるけど、着ないからね!」
う〜ん、若いなぁ。私が若い頃もあんな感じだったっけ?
解んないや、でも本当に大きくなったねアクア。
そう言えば、ルビーもレッスンで今日は返って来ないみたいだし、久しぶりに二人きりかな?フフフ、ではさっそく今夜決行である!
〜sideアクア〜
かんぱ〜いという合図とともに、各々が関係者と交流を始め各々が食事を始める。〘今日あま〙がなんとか無事に終わったことに、私は安堵している。最終話だけでもと、思ったこともあり良かったと。
かの有名なディ○ニー映画である〘9部作の大規模な宇宙戦争映画〙のように最後の三部作で、完全に世界をぶち壊さなかっただけ良かっただろう。
それよりもだ、ちょっとソワソワするな……原作者の吉祥寺先生、来てるって言うけど、何処にいるかな///体が勝手にフルフルする。
「お~い、あーちゃん?聞こえてる〜?一人の世界に入ってないで、こっち向きなさいよ!」
「え?あ、あぁ、なんだ、かなちゃんか。」
「何よ、私じゃ不満なわけ!?ったく、こちら原作者の」吉祥寺頼子先生!!」知ってるの!?」
あの吉祥寺先生が目の前に‼あぁ、オファー受けて良かった〜//
「あ、あの。えっと、ほ、星野アクアと言います。サイン会とか、小さい頃良く行ってました!あの、握手とかしていただいてもいいですか?」
「えぇ、良いですけど。貴女、あのストーカー役の子?全然印象が違うのね、正直驚いたわ。それが貴女の素なのね。その格好もあって最初はホントに今時の尖ったタイプの男の子と思ってたけど、こうして見ると普通に可愛い女の子じゃない」
「はい、この子結構不器用で、役作りのために男装するくらい熱心なんですが、私とこの子の家族以外でこんなにも素を出したの始めて見ました。」
か、可愛い、可愛いって今言ってくれたの……かなちゃんと母様、ルビー以外の女の人で私の事をそう言ってくれたのがまさか尊敬する吉祥寺先生だなんて~、しかも握手までしちゃった〜、本当に嬉しいなぁ〜、今日の事は一生忘れない!!
うん?視線を感じる、このネットリと舐め回すような視線は鏑木か?
「貴女も最後の最後で、あのドラマを盛り上げてくれてありがとう。」
「いえ、私達役者は本来は、原作者の意向を反映させてこそですから。」
ニッコリと微笑む、かなちゃんと母様、ルビー以外の前で自然と笑ったのはいつ以来か?以外と近いかも知れないけれども、う〜ん。
「ちょっと君、いいかな?」
「はい、何でしょうか?」
鏑木…いけ好かないこの男さえいなければ。
「君にお礼をと思ってね、最終話好評だったよ。収益的にはキビかったけど、君のような役者を見つけられて良かったと思うよ。」
心にもないことを…よくもズケズケと言い続けられるものだな。吉祥寺先生の名作を実質故意に汚しておいて、先生に詫びの一つも入れないどころかこの悪びれない態度。私に権力があったらタダじゃおかない所だぞ。こいつと接してるとまるであの男を思いだ………あの男とは誰だ?
「君、確か苺プロの子だっけ?こうして改めて君の顔を見るとどことなく、アイ君の面影を感じるね。何より君が演技の時に見せたあの見る人を惹きつける何かを感じた際にピンときたよ、何せかつてのアイ君もその何かを発していたのだからね。
ただ、アイ君との違いを上げるとすればその何かの方向性、いや性質と言った方がいいかな?そこが異なってこそいたけど。そう言えば確か、アイ君には子供がいるらしいから、もしかして君が?」
「さあ、どうでしょうか?他人の空似という言葉もありますし。」
七年前、母様達B小町の二度目のドームライブ、そしてB小町の引退した日、母様は自分が結婚していることと子供がいることを暴露した。多少の炎上もあったけど当時のファンの人達は、それをなんとなく察していたらしい事は、今も記憶にある。
「姓が同じだということは、半分暴露しているようなものだよ?」
「そうですか……ところで私に何の用ですか?」
どうせ、別のドラマか何かの企画の話だろ。
「君、恋愛リアリティショーに興味はないかい?」
「恋愛リアリティーショー……ですか、真っ当な思春期を生きていますから、興味が無いといえば嘘になります。実際、たまに見たりしますし…。」
「先程の吉祥寺先生との会話を聞いてね、その君の役者としての格好や、立ち居振る舞いからは想像出来ないような、かなり乙女チックな内面を持っている、というギャップ。それに演技の時に見せてくれたアイ君…いや、ご両親譲りの人を惹きつける素質…正直売れると思ってね。どうかな、出てみたくはないかい?」
どうだろうかと問われても…正直恋愛などしたことがないから…怖いのだが、女優として女役をあまりやったことがないから、それを期待しても良いだろうか?
「1つ聞きたいのですが、か…アイと安室嶺の関係はご存知かと思うのですが、交友関係を聞いたことがなく。私はそれが気になっていまして、それを教えていただけるのなら。」
「事後でも良いかな?それならば了承しよう。」
私は、恋愛リアリティショーに出ることになった。
〜sideアムロ〜
「えぇ、ですのでその部分は、ジョイントの干渉を防ぐために…」
自室でパソコンと睨み合いをしながら、学者達と話をするのは、面白いことだが、仕事だと思うと気が滅入る。
「ふぅ…」
溜息の一つも付きたくなるものだ、飽くなき探究心。童心に返ったようなその顔、楽しくて仕方がないというある種の
〘マッド・サイエンティズム〙
この国の学者達も、あの時代の学者達もそういう所があるのは、仕方がないというものか…。
あの日、学者達に囲まれたあの日。俺は、彼等にある種の同族意識と、それに対するある種の恐怖があった。
今思えば、親父にも父さんにもその気はあったのだから、俺自身そういう所が無いわけがないか…
だが、それでも。もし、俺に家族がいなければどうなっていただろうか?嬉々として、彼等の仲間入りをしていたかもしれない。
作業も終わり、思考にふけっていると
コンコン
と、ノックがあった。
「入っていいよ。」
「お邪魔しま〜す。じゃ〜ん、どう?アムロ、凄い格好でしょ。」
そうだな、確かにすごい格好だ。確実に俺を誘っているな。
タトゥシールなんてもの、よく貼ろうと思ったな。
「まるでサキュバスだな。」
「ぶっぶー、アスタルトです!豊穣多産の神様!昔、絵師さんに書いてもらった奴をモデルにしてま〜す!」
そうなのか?悪魔のアシュタロトと似たようなもの、というよりかは元ネタか。
「それで、今日はその豊穣の神様が俺になんのようかな?」
アイが俺の座る椅子の前に跪く、
「貴方との間に豊穣と多産の加護を授けに来ました。」
彼女の髪を触り、俺はその誘惑に屈した。