虹の男と星の娘   作:丸亀導師

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民衆にとって大局などどうでもいい、目の前のことを見ていくだけで精一杯なのだから、故に上で起きていたことなど誰も気が付かない。


第三十八話

[2022年12月03日

国際連合エネルギー技術特別総会

各国閣僚級の人々がその場に鎮座する。

たった1つの議題、〘核融合発電〙唯一の成功国に対する意見会議。

 

議場において、産油国が中心となり安保理常任理事国の内3カ国がその技術に関する開示請求を当事国へと、意見文書として提出される。

 

英米はそれに対し、不当なものであると当事国を、擁護するように動いている。

 

その当事国はと言えば、若き外務相が其れ等の動線を探る。

国々が思惑を前に交差する。

 

資源を持たぬ島国達は、既に当事国へと買収された。ソーラーだけでは心許ない、しかし風力は腐食の影響と嵐の前には無力。

原子力へは規模の影響により建設出来ぬ。降って湧いた提案は、島国達の打算を逃さなかった。

 

シーパワーの国々が、当事国をサポートし、ランドパワーの国々が当事国を付け狙う。

世界を二分しかけたこれは、今なお傷を深く残している。]

 

 


 

 

〜sideルビー〜

入学式それは家庭ある大人にとっての一大イベント、そしてそれは我が家でもそうなのだ。

ママは、小・中と毎回出席して私達姉妹を見守っている。それはもうすごい形相、涙を流しわんわん泣いているのだ。隣にはいつもお婆ちゃんがいて、それを宥めている。

 

今回もそうなのだろう、私達の後ろにきっといるのだろう。そして、また泣いているのかもしれない。

ただ、今回だけは少し違う。そう、今回はパパも出席出来たということなのだ。

 

そう、出席できちゃったのだ……

あれは忘れもしない中学2年の、文化祭。

ママとパパはその文化祭に現れた。ママはきちんと素性を隠し、私達の前に姿を表した。そう〘ママ〙は、じゃあ〘パパ〙はどうだったかって言うと、なんと真正面から堂々と歩いてくるではないか。

 

当然ファンもいるであろうから、学校は混乱に陥る。あれよあれよという間に、私達のクラスに来て焼きそばを食べて帰っていった。

台風のようなその壮絶さから、翌年は入場禁止例が出るほどに。たぶんパパが囮になって、ママの存在感を消したんだと思うけど、やり過ぎだった。果たして今回はどうなるのだろうと。

 

 

……

 

 

ママのいつも通りの変装が見えてきた、私服に眼鏡にロングブラウンウィッグ、それだけでも全然印象違うよね。

隣りにいるのはお婆ちゃん、ママに似てるけど豊齢線でなんとなく差別化出来てる。私のお婆ちゃんってことが良く解るね。

 

そして、その隣に金髪のパパの姿…。髪の色だけ弄ったというか、たぶん元に戻したんだよね?実際パパの地毛見たこと無いけど。でも、あれなら印象変わるしたぶんバレないんじゃないかな?ちょっとチャラチャラした感じ、硬派なパパとは似ても似つかないから。

 

いや~何にしても、何かしらの起きないのが1番だよね〜。流石のパパもこういう所で鈍感には行かないよね〜。私達が、目立たなきゃ駄目なのに、パパが目立っちゃ意味ないもんね。

 

 

……

 

何事もなく入学式が終わって、かなちゃん先輩からの歓迎のお言葉を胸に私は教室へと向かった。

周囲にいるのは、俳優や女優、グラドルやアイドルまで多種多様な芸能人達。

 

今更だけど緊張してきたな〜、お姉ちゃんはどうなんだろう。それなりに役者としては売れてるけど、出る作品がマイナーなせいで知名度はそんなでもないから、やっぱり緊張したのかな?ちなみに入試は次席だったらしい、頭じゃ絶対に勝てないね!

 

私の席は窓際の一番後ろの方でお姉ちゃんは一番後ろなのは私と同じでも反対にある教室の入り口側か、う〜早く友達できないかなぁって。イケメンと美人だらけだけど、呑まれないようにしないと。

隣の子は……でっっっか。うわぁ~ふぇ〜、え?同じ高1?嘘でしょ?お姉ちゃん以外で同い年の子でこんなに大きい人なんて始めて見たよ、ミヤコさん並み。しかもまだ成長途中なら、このままいけば最終的にはどれほど…。

 

ちなみに前にお風呂上りで見たお姉ちゃんのモノとどちらが大きいかと脳内で比べてみたけど、今のところはこの子とミヤコさんと比べれば僅かに劣るぐらいだが、最近の発育の勢いから見るに近いうちにこの子と同等以上の女の武器を手にするだろう。

 

しかし、男役として売ってるお姉ちゃんにとって、そのせいで中3に進級した頃から仕事中はジャケットを始めゆったりした服装だけでは流石にごまかしきれなくなって今ではもうサラシや特注の胸潰しインナーとかが手放せなくなっちゃったから、最近酷く悩んでる姿をよく家の中で見かける。

 

そんな姿に見かねたパパがこの間もう男の子役を卒業するように促した結果、大喧嘩になって以来、お姉ちゃんとパパの仲がすっかり冷え込んじゃって私もママも心配してる。

 

「あ…すんません。ジロジロ見てもうて。

めっちゃ美人おるやん思うて…やっぱり芸能科ってすごいわぁ。」

 

「いやいや、貴女も素晴らしいものをお持ちで。モデルさんなんですか?」

 

話を聞くとグラドルで名前は寿みなみ。みなみちゃんって呼ぶことにした。Gカップの特大な大砲を持ってて、神奈川出身なのにも関わらずエセ関西弁を話すやっぱりちょっと変わってる子。

 

朝礼やってたら現在躍進中のマルチタレントにして、ママ達が引退するのと同時に急速に台頭してきた現在のトップアイドル不知火ころもの妹でもある不知火フリルちゃんも同じクラスだし、もしかしてだけど、このクラスは当たりでは?

 

「という感じで、初日は終了です。そしてこちらにおわすのが、寿みなみちゃんです!」

 

「こ、この人がルビーちゃんのお姉ちゃん…ルビーちゃんもめっちゃ奇麗だけど、この人はもはや絶世の美人さんやん!よ、よろしゅうお願いします!」

 

「ほお、初日から友達とは流石だな。みなみちゃんだったか…そう緊張しないでくれ、私も君と同じただの学生に過ぎないからな。だから、普通に接してくれると嬉しい。」

 

友達できたら紹介し合おうって言ったよね?お姉ちゃん、もしかしてだけど、〘また〙友達出来なかったの?

 

「友達などかなちゃんだけで十分だからいらん、下僕だけはここでもまた増えているが。まったく、あ奴等は一体何を考えているのやら。」

 

「下僕ってどういうことなん?」

 

「うん?う〜ん、お姉ちゃんのファンクラブの人達かなぁ、いつも皆で《アクア様!ばんざ〜い!》とかやってる人達、新手の宗教みたいで、ちょっと面白いの。」

 

お姉ちゃん、可哀想に。なまじカリスマが凄くて完璧超人なものだから小学生、中学生と下僕が増えるばかりで、いつも気が付けば学校を実質支配しちゃってたっていう女帝のような扱いを受けて、生徒達の上に君臨してたし。

 

本人は普通の女の子として扱ってほしがってたのに、子供離れした能力とカリスマが祟って恋とかとは無縁だったみたいだったから、そして友情の方もかな先輩しか友達がいなくて、普通の青春がしたいのにできないと私とかな先輩に今でもよく愚痴ってるくらいだからね。

 

あ?ちなみに私は友達は沢山いたけど、恋の方は無縁だよ!?まあ中学に入って最初の頃は何人かの男の子から告白とかされたけど、私には心に決めた人がもういたから断ったし。

 

それに加えて時を得るごとにお姉ちゃんの信者になる人が増えていってから、そういう男の子たちもお姉ちゃんのファンクラブに取り込まれるか、そうでない子は信者の人たちの壁に阻まれて近寄れなくなったこともあって気が付けばいなくなっていった。

 

そんな話をしてると、フリルちゃんが登場!皆の事を知ってた、私のことも。一回だけお姉ちゃんと一緒に、映画で双子役。なんだっけかな?シャイ○ング、の日本版的なので。建物ほぼCGだったの覚えてるけど。

 

一回きりなのに、良く覚えてくれてたなぁ。お姉ちゃんも驚いて、昔の演技を褒められた際に珍しく照れた顔を浮かべてた。普段からこうしていれば、お姉ちゃんも可愛いのに勿体ないなぁ。

 

 

 

 

〜sideアムロ〜

 

「アクアが恋愛……大丈夫なのか?あの娘は人間関係絡みのことでは不器用だからな、失敗して大きな傷を作るんじゃないか?」

 

二人共午後は非番であるから、今日は義母を交えてリビングで昼食の準備をしていると、ふとアイがその情報を話た。

 

「う〜ん、心配し過ぎも良くないよ?あの娘、あの歳で好きな人いたこと無いみたいだしさ〜、私もね?大丈夫か〜って聞いたんだけど、大丈夫の一点張りなんだ〜。」

 

そうなのか…だが、あの娘が恋愛か…。嬉しくもあるようで、複雑な気持ちがあるな。

第一もし、あの娘が彼氏を連れてきた場合、俺はどういう顔をすれば良いのだろうか?

 

「そうだ!恋愛と言ったらね?最近ルビーがさ、宮崎の先生に会いたいって言ってたんだけどね?

ほら、私達って個人的にというか、家族ぐるみで行くじゃん?大体その時も、先生が休みを取ってくださるじゃない?

それでね?ルビーが、先生に告白してたの思い出したんだけど。」待ってくれそれは、初耳なのだが…」

 

あの助産師、娘に手を出してないだろうな。まさかと思うが、推しの子に告白されたからって、浮かれていたりしないだろうか?アイツも、もう44くらいか?流石に身持ちを固くしたいはずだが、まさかルビー。おじさんくらいの年齢が、好きなのか…少し複雑な気持ちだな、俺より歳上の義息子か…。次に会った時、どう接すればいいんだ?

 

「話を戻すけどさ、アクアの出る恋愛リアリティショー?ってさ、結構悪どいところもある番組でさ?それでなんだけど、あの娘素で挑戦しようとしてるんじゃないかな〜って、母親的に思うんですよ!!」

 

素で挑戦か…そう言えばあの娘は、女として演技をしたことがなかったな。ずっと、男役ばかりで。

世間では、女という事すら忘れてる奴らもいるだろう。嫌だよな、あんなにも可愛い趣味を持って、誰よりも心は女の子なのに、そんな風に世間で言われるのは…。

だとすれば、あの子に付いているこれまでのイメージの払拭にもなるし、男役を卒業できる良い機会になるのかもしれない。

 

「ねぇ、アイ?アイも嶺君も、恋愛ごとはあまり経験ないじゃない?私、失敗ばかりだったけれど反面教師には、なれると思うのよ。もしものときは、教えても良いかしら?」

 

「お母さん、それは嬉しいけど…。自分の傷を抉ることになるんだよ?大丈夫?」

 

「アイは優しいのね。大丈夫、こんな事なれてるわ。何より可愛い孫だもの、大切にしたいでしょ?」

 

そろそろ二人共返ってくる頃だろうか?昼食を楽しみに待っていてくれると良いのだが。

 

「「ただいま〜」」

 

声を揃えて二人が帰ってきた、今日のところは食事を楽しむとしよう。

直接聞くのは良しとしたほうが良いかな、自分から話してくれたほうが、こっちとしては話しやすいしね。

 

 

 

 

〜sideかな〜

あの賑やかな入学式からの幾日か、私は正式に苺プロの所属アイドルとなった。そう、なってしまったのだ。人に乗せられやすいこの性格、本当にどうにかしたいものなのに!

 

今日はルビーと一緒に苺プロが所持している、特設スタジオに来ている。元々は地下アイドルとかいう物のステージだったらしいのだが、今では苺プロ所属のタレントたちが、広いスペースを使用するときの作業スペースとなっているらしい。

こんな所で待ち合わせなんて、何を見せるつもりなのかしら?

 

「先輩!お待たせしました!」

 

「こんな所で待ち合わせなんて…アンタその格好何なの?」

 

その服装は正しくアイドルの着るステージ衣装そのもの、まるで今から踊るみたいに…まさか。

 

「今から、私と他の人達が一緒にステージで披露するんで、見てください!」

 

ほお〜へえ〜、なんだか解らないけど気合入ってるじゃないの、こういうの嫌いじゃないわ。8人でステージに上がる。

ルビーの後ろの人達、なんか七人?全員マスクしてるけど、それでも一人は解るわ、あれアイさんね。

 

「では行きます!STAR☆T☆RAIN」

 

彼女のパフォーマンスが始まった。なんというか、全員息ピッタリで正直、感嘆の声が出た。アイドルとはこんなにも実力があるものなのだろうか?特にルビーはまだまだ動きに乱れがあったりするのにも関わらず、後ろの七人の動きは洗練されていて、神々しいまで言える。

 

年齢=芸歴の私が言うのも何だが、こんなにも凄いのなんて11歳のときに一度だけ見た、B小町の引退ドームライブくらいなものだ。

もしかしてだけど、後ろの人達ってB小町?そんな事無いわあれから6年は経ってるもの、あんなキレのあるもの出来るわけない。

 

私は、見惚れてしまった。3曲を披露して、結構疲労して見えるルビーに対して7人はケロッとしている。あぁ、やっぱり後ろの人達はきっとそうなんだ。

ルビー、アンタの言いたいこと解るわ。この人達を超えたいのよね、えぇその熱意解った。私も気合い入れてやってみるわ。

 

 

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