虹の男と星の娘   作:丸亀導師

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第四十話

[2024/12/23

メーデーメーデーメーデー、こちら〇〇航空323便ダレス国際空港応答願います。メーデーメーデーメーデー

 

ダレス国際空港発〜成田国際空港行この機体はジャックされた。首謀者はSVR。ロシアは関与を否定するが、自白したことにより、彼等の犯行は世界中に暴露された。

 

 

無線は途絶している、機上レーダーは生きている。しかし、機長も副機長も負傷し、操縦等出来ない。

では誰が操縦するのか、たった一人現れたのは一人の乗客。欧米でもそれなりの身長だと思われる、背広を着た男。

 

男は客室内にいた工作員をひとり残らず無力化し、パイロットのいる操縦室の電子ロックを物の数秒で解除した。

その手際は、工作員以上の速度である。

 

男は負傷している機長に解いた、

 

「マニュアルはあるか?」

 

と機長は言う。

 

「素人に出来る訳が無い」

 

と。

 

普通ならばそうだろう、しかし男は言った

 

「シミュレーターで何度かやったことがあるんだ、一応確認のためさ。」

 

男は嘘を付いた、男はシミュレータ等1度も触れたことがない。

 

にも関わらず、男はマニュアルを片手に操縦を開始する。オーパイがかからない、マニュアル操縦はパイロットに負担のかかるものだ。しかし、男に焦りはない。それどころか、その状況を懐かしんでいるように。

 

機体はきちんと最寄りの空港へと着陸し、怪我人は工作員とパイロット達だけだった。]

 

 

 


 

 

 

〜sideルビー〜

 

最近お姉ちゃんが変だ。いやというか、物凄く浮かれていると言うか、かなちゃん先輩と話してるとき位のテンション?

撮影から帰ってきてから、本当に楽しそうにママの曲鼻歌で歌ってるし、学校から帰ってきたら直ぐ私服に着替えて、特に皆でご飯食べてるときなんか、中1以来にパパと気軽に話してた。

 

相当無理してたんだな〜、と思いつつちょっと羽目を外しすぎというか、私服に気合いが入ってる。

特に最近じゃあ男物の服なんて見向きもせずに、積極的に露出が高いもの…スリットスカートとかさ、そんな感じのやつ履いていってる。

 

ねえ、何?私を誘惑してる?確かにママから受け継いだ美貌と、パパから受け継いだその身長、他にも文武両道の才覚に何よりパパとママのそれとは違うカリスマ性、羨ましいなぁって思ってるんだけどさ。

 

まあアイドル向けじゃないから私との棲み分けに……いや、今のお姉ちゃんのキャラが成長する方向次第ではわからないかな、案外いけるかも?

 

小学6年生になった時に初めて得た脇役の役作りの過程で私と一緒にママからダンスを習って、持ち前の才能でスポンジのように吸収して1週間もする頃には今の私くらいのレベルになったから、流石に嫉妬しちゃったよ。

 

でも、昔負ったあるトラウマが原因でいくらパフォーマンスは出来てもママみたいなアイドルとしての笑顔がどうしても出来なかったから、あの時は棲み分けになったけど…今のお姉ちゃんなら…

 

まぁ、それはさておいて今のお姉ちゃんはお姉ちゃんじゃないみたいでなんか私は嫌だよ。ママとパパだって、心配してるみたいだしさ結構目立ってるよ?浮かれちゃってるのは解るよ?だって今まで色々と溜め込んできたんだもんね、色々発散させたいよね?

 

でもね、やり過ぎは良くないよ?お姉ちゃんはママの娘なんだよ?もしかすると、取り返しのつかないことしちゃうかも知れないって、もっと自覚を持って!

 

そんな事を思いながらお姉ちゃんの部屋で、お姉ちゃんとお話をする。このままだと、たぶんお姉ちゃん自分を隠すことを忘れちゃうんじゃないかって、そんなことになったらきっとお姉ちゃんは戻れなくなる…そう思うから。

 

「ねぇ、お姉ちゃん。最近、なんか変わったね?というか、元に戻ったって言うか。」

 

「うん♪ルビーも解るんだ!そうなんだ〜、私ね気がついたんだけどさ自分を押し殺してまで仕事をするべきじゃないってことに、だってそうでしょ?自分の為に仕事をしてたはずなのに、最近では仕事のために自分を押し殺すなんて、本末転倒もいいところでしょ?」

 

そりゃあそうだけどさ、確かに前のお姉ちゃんも危うくて心配だったけど、今は別の方向で危うくなってるから心配だよ。

 

ルビーにはわからないと思うけど、芸能人って大変なんだよ?

 

「そんな事解ってるって!だって、ママもパパの事も私はずっと見てきた。小さい頃に子役で少しだけどデビューしたときも、台詞ってこんなに覚えるの大変って事を思い知ったし、動作とかも気を使ってた。

 

でも、最近のお姉ちゃんを見てると今までお姉ちゃんがやってきた、一生懸命な役作りが壊れて行っちゃうんじゃないかって……?

お姉ちゃんさ、さっき何か話した?」

 

「何も話してないよ?ルビーが勝手に話してただけだよ?それとも、何か変なことでもあった?」

 

何?今の…なんでお姉ちゃん口に出してないって、でも確かにお姉ちゃんの声だったし、え?私一体何を聞いたの?

おかしいよ、だって絶対にお姉ちゃん喋ってたって。じゃないと、あんな反論しないよ。

 

「ごめんね、そうだったんだね戸惑うよね。

ねぇ、ルビーはさ人の心が読めたらどう思う?」

 

「どう思うってそんな事出来るわけ無いじゃん、そんな事聞いたって話を逸らす要因には」なりうると思うんだけどな~』ッ」

 

またあの声だ、でもおかしいよ。どうしてそんな事、頭に響いて気持ち悪いよ。

 

「なんで私が役者をやってたか、どうして父様と喧嘩をしてたのか、なんとなく解ってきたんじゃない?つまりさ、こういう事だったんだよ?ルビーもさ、父様の子供だからこうなる可能性あったんだけど」やっと、私達対等になれたね!!これからは、お互いに心を開いて、話せるね♪』

 

お姉ちゃんはとっても嬉しそうだ、私と本音で話せて。でも私は嬉しくない、聞きたくない事まで聞こえて来るようになっちゃったから。

 

 

 

〜sideかな〜

 

あ〜、筋肉痛で身体中が痛い。ぴえよんチャンネル、あの独特なフォルムのチャンネルで知名度を上げるってことになったのは良いんだけど、あの無酸素運動は身体に効くわぁ。師匠達とのレッスンとはまた違う、筋肉を酷使するその動き。

 

あのまま続けていたら、きっと腹筋バキバキに割れてアイドルのそれとは見られないような、ボディビルダーみたいな身体になってそう。アイドルのお腹周りは、筋肉とちょっぴりの皮下脂肪でモチモチとしながらも、シュッとしてるのがいいのにあれじゃあやばいわね。

 

そんな事思いながら、今日は事務所の中で駄弁ってるんだけど…

 

「ねぇ、ルビー。アンタどうしたの、やけに暗いじゃない。いつもの元気ハツラツとしたアンタは何処行っちゃったの?筋トレと一緒に、ビルダーの世界に置いてきちゃったの?」

 

何よその目、なんか怯えてるみたいな感じになってるけど、何か嫌なことでも…もしかして痴漢?嫌だ嫌だ、本当にそうならソイツをとっちめて、あの師匠達に献上でもすればきっと容赦ない反撃が期待できそうね。

 

「ねえ、先輩はさ人の心が読めたらどう思う?」

 

「何よいきなり、そんな事今はどうでもいい」良いから答えて!」煩いわね、便利そうだとか楽しそうだとかそんな感想求めてると思うけど、実際は煩わしいだけなんじゃないの?

取捨選択出来るならともかく、周囲の色んな声が聞こえてたら頭おかしくなるわよ」

 

まったく、生理不順?身体の調子が良くないなら言いなさいよ、そのせいでイライラしてるのは解るけどさ、まったく世話のやける後輩だわ。もっと、私を頼っても良いのだけれど。

 

あら?あらあらあら、どうしたのそんな泣きそうな顔になって、本当に心配になってきたわ。

 

「どうしたのよ、アンタらしくもない。こんな泣きそうな顔になって、アイドルになるんでしょ?もっと笑顔を振り蒔きなさいよ。ったく、こっち来る!」

 

オズオズと私の方へと寄って来る、一体何があったのやら。この子がこんなになるなんて、余計に内容が気になるわよね…。ま、隠したいことがあるなら隠せばいいし、言えるようになったらその時に聞くのが本人にしても一番楽なはずだし。

 

「ねえ、先輩はさ。人から嫌われたり嫌味を言われたりしたら、嫌になったりしない?それが、一番仲の良かった娘でも。」

 

「アンタね、私にそれ聞くの?まあ、私もそれなりに芸歴長いしアンタの悩みに答えることは出来るけど、自分でそれを解決出来るなら話は別だけど、それが他人のせいでなってるなら、そんなの無視することが大切よ。まさか、エゴサでもしたの?それで傷心してるなら、アンタ、アイドル向いてないわよ。」

 

真剣な眼差し、私のことは信頼しているのね。

 

「それと、同じような経験がありそうな大人に話を聞くのも、問題解決の最善手だったりするわ。特に、アンタの父親とか母親なんか、私なんかよりも遥かに誹謗中傷されてきてると思うから。だから、アンタは恵まれてるんだから、周囲を頼りなさい?良いわね!」

 

まったく、世話のかかる可愛い後輩だわ。

 

 

 

〜sideアムロ〜

 

「それで、俺に相談事が有るらしいけど、どうしたんだい?」

 

ちょうどアクアが恋リアの撮影で家にいない合間を縫って、ルビーが俺に相談事が有る事を打ち明けた。

ちょうどアイもいたから、家族3人で話し合い。俺は、いつもどおりにしていれば良いかな?

 

「パパもママもずっと知ってたんだよね?お姉ちゃんのことも、私達のことも。」

 

何を言っている?いや、そうか…知ってしまった。というところか、だがまさかルビーにまでそれが起こるとは、世の中解らないこともあるものだな。

 

『どうして教えてくれなかったの』

 

「教える必要があったのかといえば、たぶん無かったんじゃないかな。君達に余計な心配をかけさせたくなかった、というのが本音さ。」

 

だいぶ精神が参っているな、学校の友達に色んな事を思われていたのかもな。

 

「なるほどね〜、遂にルビーも発現か。うんうん、アムロに似てたところ髪の毛だけだったけど、そこが発現するんだね〜。私だけ仲間外れか〜。シクシクなんてね。」

 

「ママは違うの?」

 

「あぁ、アイは違う。でも、殆ど本心で話してくれてるから、安心して良いよ。」

 

ルビーは泣き始めた。辛かったろうに、本心というものは人を傷つけることもある。嘘は方便というが、こういうことになるから、人が人のままではどうしようもない。

 

「パパは辛くなかったの?こんな力いらないよ!」

 

「何度も思ったさ、だけどね俺の周りにはそれを理解してくれる人がいた。だから、辛くはあったけど誰かに打ち明けることは出来たからね。

そうだな、ルビーの場合はかなちゃんに打ち明けてみると良い、たぶんあの娘は優しいから理解してくれるよ。」

 

 

支えあえる仲間はどれほどいても悪い事じゃない。グリプス戦役の後、カミーユの精神が崩壊したことを聞かされた時、俺はララァの件を始めとする一年戦争のトラウマに囚われて地上に留まったことを深く後悔した。あの時、俺がトラウマに囚われず共に宇宙へ上がっていれば…あんな悲劇は二度と繰り返してなるものか。

 

「後、もしも聞きたくないことがあったら、一つの物事に敏感に反応するようにすれば良い、例えばファンのルビーに対する好意とかね。そうすれば、きっと上手く気を反らせる。

俺の場合は敵意や殺意だったから、この力の本来の使い方とは相容れないよ。」

 

だから、その才能を存分に活かしてほしい。そうすればきっとルビーの幸せの助けになるはずだから。それこそが、ニュータイプの本来あるべき姿なのだと俺は思う。

 

「ルビー?ママにも色々話してね!そうすれば色々考えてあげるからね!ママ、エゴサは得意だったから!」

 

助け合える家族、帰れる所があるのはどれ程嬉しい事か理解してくれよ。

 

 

 

 

 

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