虹の男と星の娘   作:丸亀導師

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本編とは関係ありません。
時系列的に言えば、40話の後くらい。原作的には撮影中まだあかねが今ガチで〘ゆき〙の顔を傷つける前くらい。


閑話休題 夫婦と兄妹

平行世界に行きたいと思ったことは無いだろうか?俺はある。例えば、目の前に自分が好きな人がいて、その人が殺されたとき。もし、あのときその人が死ななかったら。もし、急所を外れていれば、もし、あの人を守る人が近くにいたら…考えだしたらきりが無い事は、俺が一番わかってる。

 

失ったものは元には戻らない、ならせめて他のものを取りこぼさないように、全力を注ぐのか。それとも、俺と同じように復讐に身を窶すのか…。きっとそれは人それぞれなのだろうと思う、だけど。もしあのとき、アイが死ななかったらどんな顔をして俺達を愛してくれたのか。正直な話、考えたことがないと言ったら嘘になる。

 

だけど、その〘もし〙が現実となって目の前に現れたら、お前ならどうする?俺は、現実を受け入れたくない。

だってそうだろ?

 

テーブルを1つ挟んだ反対側に件のアイがいて、俺とルビーのことを見ている。それだけならまだ夢でも良いと思うだろ?

だけど、ここからが問題だ。アイの隣には、俺達の知らない人がいてその人はアイと同じペアルックの指輪、をしているんだ。

 

しかも、そのアイがその男にベッタリと寄り添い、俺達の事を「アクアマリン君」と「ルビーちゃん」とまるで他人を呼ぶように俺達を呼ぶのだ。これで気がおかしくならないわけがない。

ルビーも同じ様に思っているのだろう、男に対して拒絶するような態度だが、件の男はケロリとして俺達をまるで見透かす様に見つめてくる。

 

 

 

 

 

……

 

〜5時間前〜

俺と妹のルビーは、その日何気なく家への帰路に付いていた。予定も何も無い平凡な日々。今ガチの収録もなく、兄にベッタリな妹が隣りにいる絵面、はたから見れば微笑ましいものだろう。

 

それは、何気ないものから始まった。横断歩道を渡る時、〘通りゃんせ〙という歌が聞こえた。初めは信号待ちのあの音楽かと思ったが、歌詞がある事に気が付いたときにはもう遅かったのだと今更ながらに思う。

 

渡った先はいつも通りの雰囲気だが、直ぐに違和感に気が付いた。大型車独特の排気臭や、車のエンジン音が周囲から消え、タイヤの音だけが聞こえるという、身近な物が無くなっていた。

ルビーも直ぐに気が付いたのだろう、俺達は瞬間的にパニックになりながらも、直ぐに事の整理をし始めた。

 

「ルビー、俺達はとんでもない事に巻き込まれてるのかもしれない。」

 

「でも、今更じゃない?だって、私達元はと言えば転生したんだよ?こういう事もあるものじゃない?」

 

 

言われてみればそうなんだが、まさかこいつにに諭されるなんて。悔しいな。

 

「お兄ちゃん、今失礼なこと考えたでしょ!でも、これからどうしようか…もしかしたらずっとこのままかもしれないんでしょ?」

 

「それは、俺だって考えてるさ。だけど、こんな事例聞いたこと無いだろ?だいたい「お~いルビー、こんな所でな〜に油売ってんだか?今日だってレッスン受けに行くんでしょ?」なんだよ有馬…?」

 

バッと振り向けばそこには、有馬かながいた。

 

「アンタ誰よ…もしかしていや、そんな事無いわよね?だってアンタから誘ったんじゃない、ルビーまさかコイツアンタの彼氏!?」

 

「いやいや、違うから。お兄ちゃん!私の事大好きなシスコンのお兄ちゃん!」

 

有馬が俺のことを知らない…なんだろうこの虚無感は。

何故ルビーのことを知ってて、俺のことを知らないのか。俺がこの世界にいないとでも言うのか?

 

「あ〜あ、こんなチャラっチャラした男とつるんじゃって、あーちゃんが聞いたらきっと泣くぞ〜。❲なんでルビーに恋人出来て、私には出来ないの!❳って。

当然私はこう答えてやる、アンタが何時までも男装してるからでしょって。」有馬の携帯がなる。

 

あーちゃんって誰だ?

 

「こんな時に誰よ…ルビー?アンタ、私にかけてる?」

 

ルビーは首を横にふる。

 

「もしもし〜」スピーカーを入れた。

 

[あっ、やっと繋がった、かなちゃん先輩今何処にいるの!きちんとサボらずにレッスン行かなきゃ、後で怒られたら酷いことになるって!]

 

「は?今アンタと一緒に……?え?いやいやいや、う〜んアンタ生き別れの三つ子だったっけ?」

 

[そんなわけ無いじゃん。私は双子!お姉ちゃんとたった二人の姉妹!と・に・か・く早く来ないと、怖い怖いお姉様方から、連帯責任取らされちゃうから!]プツッと通話が切れた。

 

「う〜ん、でつまりアンタ等誰?って話しになるわけだけど、とりあえず道を急ぐから、ごめんなさいね!」

 

有馬は、事務所とは違う方向へと行こうとする。どうしてその方向に行くのか、疑問に思うが。

 

「おい!事務所は逆だぞ!」

 

「練習のために事務所に行く馬鹿がいるわけ無いでしょ!特設スタジオに行くのよ!」

 

特設スタジオ?この世界の苺プロはそんなにも儲かってると?

零細事務所じゃないのか。

 

「なに付いてきてるの、ストーカー?」

 

「お前から話しかけてきたんだ、しっかりと俺達を説得しないと一生ついてくぞ!」

 

なに、溜息の付いてるんだ?

 

「ルビー、アンタ私に最初にあった時。なんて言ったか覚えてる?」

 

「重曹を舐める天才子役って言ったと思うけど。」

 

「なるほどね、解ったわ。付いてきなさい、歩きながら説明してあげる。」

 

何が解ったんだ、俺達が別の世界から来たってことか!?

 

「電話の向こうもルビーだし、こっちにいるのもルビーは確定してる。今更、異世界人なんて言われたって驚かないわよ。世の中、不思議な人間はいっぱいいるって知っちゃったから、アンタ達なんてまだまだよ!」

 

「は?お前がなに言ってるか解らないけど、俺達の事を信じるのか?」

 

どんだけお人好しなんだよ、普通似たやつがいたとしても、それがやばい奴じゃないかなんて、解らないだろ。

 

「私は、ルビーアンタが本物のルビーって確証があるから付いてこいって言ってんのよ!私に、本当の悩みを打ち明けてくれたアンタがいたから。」

 

「私、先輩に打ち明けたこと無いと」こっちの世界のルビーのことよ。」

 

「とりあえず、アンタ達をほってける程私は薄情じゃないから、だからアンタ等をこっちの保護者に引き渡せば良いのよ?」

 

保護者って誰だよ、そんなのミヤコくらいしか

 

「どんなに世界が違っても、母親ならアンタ等の事解ると思って言ってるの。」

 

もしかして、アイなのか?この世界にアイは生きてるのか?

 

「その保護者って、星野アイ?なの?ママは、生きてるの!?」

 

「ピンピンしてるわよ、本当に30代か疑うくらいに、逞しいわよ〜私達より動けるんだから、たまったものじゃないのよ。」

 

アイが生きている事実が俺達の心に一つの波紋を拡げる、アイが生きてるのなら、なんでルビーがアイの娘であることを有馬が知ってるのか?

 

「それと、本当ならこっちのあんたらの父親に合わせておいたほうが良いわね。あの人、私が知ってる中じゃ一番頭良いから。」

 

アイの事だけでも頭がいっぱいになりそうなのに、今度は父親か…この世界の俺達は父親の事を知ってるのか!

なら、俺達の世界でアイを殺した奴にあえる、もし帰れるならソイツを見つけ出して…

 

「とうちゃ〜く、時間ギリギリセーフ。早いとこ入りましょ。」

 

地下アイドルのライブ会場…こんな所でやってるのか。嫌に本格的だな。

 

「お兄ちゃん、入ろ?ママがいるって言うなら、確かめなきゃ。それが本当にママなのか。」

 

そうだ、アイが生きている世界ならどんな世界でも良い。

 

……

 

「は〜い、かなちゃんギリギリアウトだぞ☆」

 

綺羅びやかな光を放つ、そんな言葉が似合うようなそんな人が、有馬に注意を下していた。

 

「いや、待ってください!これには事情が、それに時間は後2分あるじゃないですか!」

 

「有馬ちゃん、残念だけど着替えが終わるまでって制約だよ?つまり、今着替えが終わっていない貴女はアウトで〜す。」

 

「だから先輩言ったじゃん!早くしてって、あ〜も〜これじゃまたしごきだよ〜!」

 

「まあ、お前等二人なら大丈夫だろ。ほら、さっさと始めるぞ?」

 

アイだけじゃない、周囲の大人たちが何処か見覚えのあるような、そんな雰囲気がある。

 

「ママだけじゃない、アレB小町の初期メンバーじゃん。」

 

ルビーがアイの他6人の中から、そんな人物を発見したらしい。つまり彼女達は、「B小町だと?」

 

「うん!?声が聞こえたぞ〜、貴方たちは見学者?部外者が勝手に入ってきちゃ駄目だぞ〜?……ルビーじゃん、どうしたの学生服着て?アレ、あれあれルビーが二人いる!?」

 

 

不味いかも知れない、もしここで騒ぎが大きくなったら最悪、警察を呼ばれるとかされかねない。そうなったら、俺達が帰るとかそういう次元の話じゃ無くなる。

どうすればここを切り抜けられる、例えばファンだと言い張るか?だが、そもそもルビーはまだ、ぴえよんとの共演くらいだぞ?

 

「ママ、どうしたの?あれ?私?へぇ〜、へぇ〜。そう…なんだうん、そっか。ねえ、ママちょっと耳かして。」

 

向こうのルビーがアイの耳に手を当て、何やら話し始めた。

 

「なるほどね〜。ねぇ、皆。今日はレッスンお休みにしたいんだけど、良いかな。」

 

周囲一同からブーイングが巻き起る。せっかく新しいトレーニングメニューを試してみようと、とか衣装が…とかが聞こえるが一体なにをここでしようとしていたのか…レッスンじゃないのか?

 

「じゃあ各自解散ね〜ゴメンね急に野暮用が出来ちゃったんだ!ほら、そこの少年!それにルビーも、お家に帰るよ!」

 

家って、あのマンションか?

 

「ほら、私。私に付いてきて、アクアマリン君もね。」

 

どうして、そんなに早く納得するんだ?お前は俺とは初対面じゃないのか?どうして、名前を知っているんだ?

 

「あ、かなちゃん先輩!一緒に来て、スケジュールの話とかあるから!後、B小町の皆さん。今日はご迷惑おかけしました〜。」

 

嵐のように、俺達はスタジオを飛び出した。

 

 

……

 

 

「早いなぁ、もうタクシーいるよ。さぁ皆乗って乗って、2台だけど、しょうがないよね。じゃあ、いつもの場所お願いしま〜す。」

 

俺はアイと同じ車に乗っている。嬉しい嬉しくないで言えば、嬉しいが複雑な気分だ。きっと彼女にとっての俺は、赤の他人だ。だってそうだろ?この世界に、俺は産まれ落ちていない、つまりアクアマリンなる人物がいないということじゃないのか?

有馬はルビーに姉妹がいると言っていたが、俺じゃないのは確かだろう。

 

「なんか、聞きたそうだけど、ちょっと待っててね?うちの中なら、存分に話を聞けるから。それに、アムロも一緒に話をしたほうが良いと思う。あの人なら、何かしらの方策を見つけてくれるよ?」

 

安室?とは一体どういう人物で、アイとどういう関係なのかそれが非常に気になるが、それでも今はどうでもいい。アイが直ぐ側にいてくれるだけで、それだけで良い。

 

そうこうしているうちに、どうやら彼女の家に到着したようだ。あの時のマンションではない、一戸建ての大きな豪邸と言っても過言ではない、大きな家だ。CMなんかにありそうな、そんな家だ。

 

「あっ!無駄に変な所から入ろうとしちゃ駄目だよ?ガードが出てくるからさ。」

 

ガードってなんだ?誰かがいるのか?

 

「さ、入った入った!」

 

お邪魔しますと言って中に入ると、そこは予想通りの広々とした家だった。階段の直ぐ横には地下室の入口があるけれど、物凄く仰々しいトビラが付いている。

 

リビングに通されて、アイがキッチンのあるだろう場所でカチャカチャと食器を動かす音がする。

コポコポと音を立て、芳しい紅茶の匂いが鼻腔をくすぐる、上品な匂いだ。

 

「さぁどうぞ、ヌワラエリヤのハイグロウンティー。最近紅茶に凝っててさ、自分でも楽しくて楽しくて仕方ないんだよねぇ。」

 

笑っている。凄く自然に、嘘が真実だと言っていた彼女とはまるで別人のような、屈託のない笑顔。それを、俺もルビーも見ている。

紅茶を一口含むと、淡い苦味と特徴的な香りが鼻を突く。決して不快ではない、むしろ暖かくて安心を感じるように。

自然と涙が溢れ出て、ルビーを見ると一緒に泣いてしまった。

あぁ、これは夢じゃない現実だ。アイが生きて歳を取って、俺達の目の前いるずっと夢見てきた光景が!

 

「ねえ、興奮してるところ悪いんだけどね?そろそろ自己紹介シない?私もそっちの私の事口で知りたいなって。」

 

何気ない一言から、互いに挨拶が始まった。俺達の出生の秘密、父親を知らないこと、そしてアイが亡くなった事も全て。

 

「荒唐無稽かもしれない、だけれど信じてほしい!俺達が証明出来るものを、何一つ持っていない事も承知している。だけれど」

 

「大丈夫、アクアマリン君は嘘言ってない。ママが刺殺されたことも含めて、私には解るよ?」

 

おかしい、こっちの世界のルビーは物分りが良すぎる、非常に不気味だ。しかし、この不気味さを補って余りあるくらい頼りがいがあるから、それを思うと俺の妹も見習ってほしいくらいだ。

 

「ちょっとお兄ちゃん、今失礼なこと考えたでしょ!」

 

「別に?」

 

話をしてから、アイがずっと考え込んだままだ。有馬に至っては、用意されたビスケットに齧り付いている。まるで、こちらに関心が無いみたいだ。

 

「う〜んそっちの私は刺殺されちゃって、ミヤコさんが君達を育ててきたんだねぇ、にしてもどうして刺殺されちゃったのかな?あ、アムロがいないからか。ってそれよりも二人が帰れるようにしなきゃだよね?やっぱり、アムロを待ったほうが良いよ。私達じゃどうしたって解決策とか思い浮かぶと思わないし。」

 

「1つ聞きたいんだけれど良いか?さっきから安室、安室と言っていたけど、それは誰なんだ?」

 

そう聞くと、スッとアイは左手を俺たちに見せてきた。その美しい左手の薬指には、指輪が1つ輝いている。

 

「私の夫、ルビーとアクアのお父さんだよ?もしかして、そっちの…私がアムロと出会えなかった場合の世界の私って別の人とヤッチャッタの?うわぁ~最悪!趣味合わないね絶対に!」

 

自分で自分を否定するのか…性格がこっちの方がポジティブか?嘘とかそんなのをあまり言わないような…。

それに、俺達へのこのリアクションはやはりというか、完全に赤の他人だ。

 

 

「あ、そっか。今日シンポジウムだったっけ?後3時間くらいかかるね〜。かなちゃん、夕飯食べてく?料理とか、教えてあげるけど。」

 

「じゃあお言葉に甘えて、ほらアンタ達も食べるんなら何かしらのお礼をしないと。」

 

確かに、手伝った方が良いだろう。

 

「二人は良いよ、私がママの手伝いするから。今日は大人数だし、皆でワイワイ食べられるのが良いね。」

 

向こうのルビーがアイとともにキッチンへと消えていった。

残されたのはまたもや有馬と俺たち。

 

「ねぇ、こっちのママってどんな人と結婚したのか知りませんか?」

 

気になってたことをルビーが聞いてくれた。

 

「たぶん調べれば簡単に出てくるわよ、ほら私のスマホ貸してあげるから。」

 

 

 

安室嶺

 

・1994年埼玉県に産まれる

・生後9ヶ月にて、パン○ースのCMに出演

・3歳にて英・仏・日・独・露の5ヵ国語をマスター

・6歳にて両親が相次いで他界、この頃から俳優と学者の二足の草鞋を履く・12歳新人俳優賞受賞

・14歳最優秀助演男優賞を受賞

・16歳最優秀主演男優賞を受賞

・同年、防衛軍(旧自衛隊)との模擬格闘にて、現役自衛官に勝利・19歳日本学術振興会賞受賞

・20歳アオリスト粒子を発見する

・21歳アオリスト粒子の特性を利用する為の研究理論を体系化し、新たな物理学「アオリスト物理学」を構築。この功績による日本学士院賞受賞に伴い東京帝大名誉教授の称号を与えられる。

・22歳ノーベル物理学賞受賞・23歳世界初の実用的量子コンピューター初号機「無量」開発・24歳チューリング賞受賞・25歳リチウム空気電池の開発・26歳ノーベル化学賞受賞及び日本アカデミー話題賞受賞・27歳IEEE栄誉賞受賞及びエジソンメダル授与。同年、日本国際賞受賞

・28歳世界初の実用的核融合炉、フィールド制御式核融合炉を完成させる・29歳基礎物理学ブレークスルー賞受賞及び日本アカデミー協会特別賞受賞

・30歳ハイジャックされた機体内の犯人を捕縛、航空機を操縦し見事帰還。その功績により国民栄誉賞受賞・31歳実用的人型作業重機MW-00ダロスを開発、特許取得。同年、恩賜賞および日本学士院賞および日本芸術院賞授賞

・32歳米海兵隊との親善試合において、防衛軍として参戦。室内戦において、海兵隊を全滅させる。

遠距離狙撃において、当時の世界記録を60メートル更新させる。・33歳アオリスト物理学を応用したフィールド式による新世代モーターの開発に成功。同年、推進レーザー送電システム基礎理論構築し、発表

・34歳戦闘機映画にて、パイロットと実際に模擬空戦を行い、編隊を見事全滅させる。

・35歳アカデミー最優秀主演男優賞を受賞・36歳推進レーザー送電システム実用化

・37歳日本映画大学客員教授に就任

 

 

なんだ、このバグのような人物は。こんな人間がこの世界に存在して良いのか!?

 

「大丈夫、最初の頃は私もアンタみたいな反応したから。もっとも、半分ガセなんじゃないかって言われてるけどね。」

 

だとしても、同姓同名が何人かいるんじゃないのか!?

アイはこういう奴が好きなのか…。

 

「そう言えば、どうして有馬はアクアマリンとルビーの事をアイの子供だって知ってるんだ!」

 

「私が独立した時に聞いたのよ、そしてたら簡単に教えてくれたわ。ま、そんなの友達には関係ないけどね。」

 

「それってちょっとずるいよね、私達はさ、隠さなきゃ行けなかったのに、こっちじゃちゃんと告白したんでしょ?本当にずるいよ。」

 

それは、確かに嫉妬するよな。

 

「アンタを見てると、あーちゃんを思い出すわ。不器用でホンネを言えないその雰囲気、正しくあーちゃんね。」

 

あーちゃんって誰だよ。

 

「それは、私のお姉ちゃん。この世界のアクアマリンのことだよ?今日も今ガチで忙しいんだってさ、まったくこういう時に限っていないんだから。」

 

キッチンからこの世界のルビーが現れて言った。

 

「そうね、素を作ってるんじゃ駄目よ(・・・・・・)。」

 

「ただいま。お?今日はボルシチかな?」

 

玄関の方から男の声が聴こえた。

 

「お帰り。お姉ちゃん今日も泊まり込みだってさ。」

 

「そうか、そんなに気にすることでもないよ。そういう悪い予感はしないからね。」

 

男が俺達を見て言った。何を想像したのか、娘の事が心配ではないのか?

そして、扉が開く。

 

「なるほどね、平行世界からはるばるようこそ。

俺はアムロ・レイ。彼女たち双子の父親でアイの夫、一応俳優をやってる。」

 

先程の文章とは似ても似つかない男がそこにはいた。

 

……

食事を取り、有馬が帰っていきルビーは自室に入ると、夫婦と俺達兄妹だけになった。

この安室という人物、相当頭が良いらしく俺達のそれをきっと答えを導き出してくれると思った。

そして全てを話した。

 

「アイがシングルマザーになって、刺殺される世界線の子供達か…。俺が存在しなかったというだけで随分と過酷な環境だな、まあ君らのアイが君等を愛していたのは変わらないと思うが、ところで君等は俺の血は引いてなさそうだな。良い事なのかな?

 

さて、本題に入るとすればきっと誰しもこの結論に至る。

正直君達かどうしてこの世界にやってきたのかは、解らない。だけれど、二人共同じ願いを持っていて、そしてそれを誰かが歪んだ形で叶えたんだろう。」

 

「俺とルビーの共通の願い?」

 

安室は首肯する。

 

「そうだな、〘アイに会いたい。例え別の世界のアイでも〙と、考えてたみたいだね。世界の壁をどうやって超越したかはともかく、時間の逆行の例は一件だけれど確認できているんだから、不可能じゃないはずだ。

 

一応計算で導き出しておくから、君等は俺とアイの寝室で寝てくれ。二人共随分と疲弊してるみたいだからね。アイお願いできるかい?」

 

「も〜しょうがないな〜。その代わり、解決したらお願いね!じゃあ、二人共お風呂に入ってきてね?それと、着替えはアムロとルビーのを持ってくるから。」

 

「どうして、俺達に優しくするんだ?俺達がおかしいとかは思わないのか?」

 

その言葉に安室は直ぐに返した。

 

「君達が誰であれ、アイが産み育てようとしたんだ。なら俺にも君等を救う義務はあるはずだ。 

それにこっちのルビーとアクアには、まだ知られてないけれどね。俺は、君等と同類だからかな?」

 

その言葉の意味するところは、転生したということか?それとも壁を抜けてきたということか、答えを出す前に俺等の前から彼は消えた。

 

風呂に入り、言われた部屋に入ると。既にアイとルビーがいた。

二人は談笑している。ベッドは1つしか無いのに、何故3人なんだ。

 

「さて、じゃあ一緒に寝ましょう!早くアクア君も入った入った!」

 

え?いや、そんな無理だろ。

そう自問しているうちに手を取られ、どうやってか俺の方が身長も有るのにもかかわらず、ベッドへと連れ込まれた。

 

「アムロから聞いたんだけどね、君達。こうやって、親子揃って眠ることも夢だったんだよね?だからさ、私なんかでいいなら、私のことをお母さんだと思って、今日は一緒に寝ようか!」

 

なんで他人の妻と寝なきゃならないのか。

 

「失礼なこと考えてたね。良い?私と貴方たちの世界の私は、同一人物、遺伝上はまったく同じ存在。だけど、育った環境と出会った人が違うだけでここまで違いがあるんだよって?事。

でもね?根底の部分はおんなじだよ?」

 

腕にルビーと共に抱き寄せられて行く。

 

「だからさ、二人共泣いて良いんだよ?」

 

自然と涙が溢れてきた。

 

そこからは他愛のない話が始まった。どういう環境で育ち、安室との馴れ初めや今の生活のこと、俺達のアイがどんな感情を持っていたのかとか。

 

「ルビーはさ、アイドルになるんだよね?」

 

「うん、私もママみたいなアイドルになれるかな?」

 

「それは、なれないんじゃないかな?だって貴女は貴女。私は私。だからさ、ルビーは私以上を目指して、そうすればきっといつかそっちの私を超えられるから。

 

アクアは俳優さんになったんだよね?演技楽しい?1つ忠告あるんだけど、絶対にルビーを心配させるようなことしちゃ駄目だよ?もしそうなったら、世界の壁を超えてビンタしに行くからね!」

 

俺のやろうとしていることに気が付いているのだろうか。

 

「二人共逞しく生きていくんだよ?復讐なんて以ての外、愛を復讐の道具にしちゃ駄目だよ?」

 

アイが、俺達を心配してくれるだけで、俺は嬉しい。だが、すまない…アイ…それでも俺は…

 

暫くすると懐かしい匂いが鼻を突く。

 

次第に意識が遠のいて、次に目が冷めた時俺は自分の部屋で横になっていた。

妄想も大概にしろ!そんな夢物語あるわけ無いだろうに、アイが生きているなんてタラレバ…。ふと左手に違和感があった。

そこには、星の砂の瓶が転がっていた。

 

 

 

 

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