[2024/12/23
一人の女性が自宅のリビングで寛いでいた。その女性には二人の子供がおり、3人仲良くテレビを付けて休日を満喫していた。
ちょうどその時、臨時ニュースがテロップにて映し出された。
〘日本人を含む乗員乗客合わせて231人が搭乗する、〇〇航空323便がハイジャックされた〙
というものが彼女の目に焼き付いた。急いで彼女は冷蔵庫のに付けてある紙片を手に取り、それを照らし合わせた。
彼女の夫が帰って来るはずの機体、その便が記載されそれが合致した。
彼女は急いで、航空会社に連絡したが電話が錯綜しているのだろう、一向に繋がらない。
彼女はその場で座り込んでしまった。
彼女の胸中にあるものは、どうしてあの人をもっと必死に止めなかったのかということ。
俳優として、是非に会ってほしいという連絡を受けた彼が、海外へと渡航する。
昨今の情勢と彼の素性、それをみればこんな事態になることなんて想像に難しくなかったはずなのに。
彼女は自然と泣いていた、大切な人を失う恐怖、自らの不甲斐なさ、様々な感情が溢れてくる。
子供達がそんな彼女に寄り添い、宥めようと必死に言う。
「父様(パパ)なら大丈夫だから、ママ(母様)泣かないで。」と
〜数時間後〜
電話が鳴り響く、国際電話だ。彼からの電話だ、彼女は安堵した。そして深い深い眠りについた。]
〜sideかな〜
ガチ恋ね…あーちゃんが出演してるから見ているけど、コレはこれは、ヤダヤダこんな三文芝居、誰も気が付いて無いのかしら。
「あーちゃん、大分羽目を外してるわね〜。アンタが築いて来たもの全部壊す勢いだけど…このままだと基礎まで潰すわよ?
それとも、それもアンタの作戦の内かしら?昔から、やることが派手だこと。男装ばっかりの意味もそうだったじゃない?」
携帯が鳴る
誰かしら、ルビーね。ちゃんと両親に相談出来たのかしら?
「もしもし、どうしたのよ。ちゃんと問題解決した?」
[一応。ねぇ、先輩、明日確か何もない日だったよね?あのさ、一緒に家まで来て欲しいんだけどさ、大丈夫だよね。]
何よ畏まっちゃって、
「別に良いわよ。アンタと私は同じグループアイドルなんだから、対等な関係よ。そこに上下は無いから、もっと気楽にしなさい?」
プツッと、通話が切れた。二人しかいないアイドルグループなのに、なんでこう一人はテンション下がっちゃったのよ。
きっと、あーちゃんと喧嘩をしたのよね、明日あーちゃんにあったら説教かましてやろうかしら?
……
翌朝、いつも通りのルーティンをして登校する。売れっ子女優ならきっと、大慌てなんでしょうけど、今の私は売れない端役。でも、もう少し仕事がなきゃ張り合いがないのよね。
〘太陽のような女優に涙の演技しか見いだせないのか!〙
昔、私の所属していた事務所で安室嶺が社長とお母さんに言い放った台詞。
彼だけが私を見ていた、そして私の周りに友人を置いてくれた。おかげか知らないけれど、私には大なり小なりの仕事はあるし貯金が減ることもない。
横断歩道を渡る時、ふと前に肩より少し伸ばした金髪の女性が歩いているのが見えた。あーちゃんだ。
少し駆け足で近寄り、挨拶をする。
「おはようあーちゃん。」
「かなちゃんおはよう。」
ここ最近のいつもの流れ、同じ学校に通うから自然とこの流れになる。歩きながら世間話をするルーティン。
「最近、ルビーと一緒に登校しないのね。何かあったんじゃない?」
「別に?私が思っていることを、ルビーにぶつけただけだよ?齟齬なく、完璧に。それよりさ〜、どう?この髪型、頑張ってみたんだ〜ガチ恋の皆にも好評でね〜?それでさ」アンタ、ちょっと浮かれ過ぎじゃない?」え?」
私と彼女…マリンの間に少し溝が出来たように思えた。それが比喩なのか、それとも現実なのか解らないけど。
「最近のアンタ見てるとね、ちょっとイライラするのよ。また、演技してるな〜って。自分っていう仮面を付けて、本当の自分を偽っている。」
「や、やだな〜そんなもの付けてない」いえ、付けてるわ。私には解るわよ。アンタは確かに乙女な趣味してるけど、そんな変な間延びした口調で喋らない。アンタはどちらかといえば、感情が音程に出るタイプなんだから。今はまるで、アンタの母親見てるみたいなのよこっちは。」……」
沈黙が痛いけど、事実よ。
「は〜、かなちゃんには解っちゃうんだ。ちょっとショック⤵けど、流石だね♪」
「褒められても嬉しくないわよ。最近のアンタの素の喋り方なら、アンタの父親よりも私のほうが詳しいだけ。家にいてもその喋り方するの、私との通話くらいなんじゃないの?」
ニヤニヤと、これはだいぶ楽しんでるわね。本当に難しい相手だこと。
男装してた時の喋り方もあれだけど、この子の内面どうなってるのかしら。
「ねぇ、聞きたい⤴?私の内面がどうなってるのかさ?」
「正直知りたいわよ、でも別に良いわ。絶対に長くなるから、男装してたときのほうが、喋りやすかったわよ!本音の喋り方は昔から変わらないわね~、妹にもそんな喋り方して虐めたの?彼女はあんたと違って純粋なんだから、傷つくとえらい目に遭うわよ?」
まったく、母親よりも質悪いわ。あの母親どうしてこう育てたのかしら、反動?
「そりゃそうだよ、母様を強化したのが私みたいなものだから。私結構抑圧されてきたんだよ⤴?」
「アンタが抑圧されてるなら、アンタの父親と母親は地獄からきたのかしら?本音をいつも言わない、面倒くさい性格してるからそうなるの!」
これはルビー、確実に何かされたわね。
……
下校時刻になると、正門にルビーの姿があった。私よりも一つ下の学年だけど、私を待つ姿は儚げでやっぱりあーちゃんとは真逆ね。
「お待たせ、さあ帰りましょうか。あーちゃんは?」
「今日はお姉ちゃんの事は良いの、それより早く行こ?」
これは相当重症ね、どんだけ言われたんだか。
彼女の家に付くまで終始無言だった、ちょうど全員いない静かな家。
その中のルビーの部屋
「それで?相談事ってなに?正直に言いなさいよ、そんな深刻な事があるなら答えてあげるから。」
「この前質問したこと憶えてますか?」
何だったかしら…?確か心が読めたらをどうたらだっけ?
「そう、その質問。」
「それがどうかしたの?まさか、中二病をまだ患ってるんじゃないでしょうね?もう高1なんだからいい加減、卒業しなさい。」
「「まったく、そんな下らない質問何度も何度も……」してこないでよ。でしょ?」
何この何?うん?思考が追い付いてないだけ?
なんかルビーが、「私の言いたいことを言っていたような気がする。ですよね?」
あ、あ、あ、アンタ
「本当に人の思考が読めるの!?」
へ〜、ほー。
「それってアンタだけ?」
「パパとお姉ちゃんもたぶん出来る。」
どおりで、話してる時理解力が矢鱈に高いと思ったわぁ
「じゃなくて!昔から人の心読んでたってこと!?」
「私はつい最近から、パパとお姉ちゃんは産まれてすぐにだって言ってた。だから、わたしさ慣れてなくて、人の喧騒の中にいるとパニックになりそうでさ。」
だから無言だったと、ほ〜ん。なるほどね〜まあ、あの安室嶺の子供だし?そんなに驚くことでもないわ。そうなると、あーちゃんが今おかしくなってるのは、これまで押さえつけてきた女としての性を開放しすぎてるだけじゃなく……
「で?相談事ってそれだけじゃないでしょうね。」
「…わたしの事気持ち悪いって思わないんですか?」
人の心読んで悪さしてるんならともかく
「それで体調不良になってる時点で、気持ち悪いも何もないでしょうに。それよりも、アクアもそれ使ってるのよね?だったら余計に腹立つ〜、絶対に楽しんでるわアイツ。
ヨシッ決めたわ。ルビー、あいつをギャフンと言わせるわよ。その為にも明日、必ずスタジオに行く事!解った?!」
俄然やる気が出て来たわ、目を醒まさせてやる。
〜sideマリン〜
撮影も終わって、皆で帰り支度をしていると、あかねちゃんが困った顔をしていた。
そうだよね?だってせっかく撮影現場に来てるのに、やり方とかが舞台みたいになってないから分かり辛いよね?
「ねぇあかねさん、今日さ〜あかねさんのお家にお泊りしに行ってもいいかな?」
「え?でもいきなり聞かれても、良いよとは言い辛いかな。お母さんにも確認しなきゃならないし、マリンちゃんも着替えとか無いんじゃないの?」
そう来ると思ったんだよね〜
「え〜、せっかく持ってきたのに。どうせ、私なんか嫌いなんでしょ?」
「う…わ、わかりました。頼んでみますから、あんまり家に人呼んだこと無いんだけどなぁ」
やった、やっぱり押しに弱い人って動かしやすいよね?
「やったぁー、私お泊りって友達みたいな事、あんまりやったことなくて…ありがとうございます。」
やっぱりさ、心の起伏が見やすい人って操りやすいよね?
かなちゃんみたいに、言葉と行動が殆ど一緒に出て来るタイプの方が、退屈しなくて済むからそっちの方が、友達としては良いけど、こういう考えてから動き出す人は
あかねちゃん、私ずっと気になってたんだ?だって今回のリアリティショーに出るみんなのことをリサーチする為に前もって劇団を見学させてもらった日、貴女がどんな演技をするのかと実際に見た時は凄い役にはまってて、まるで本物のがそこにいるんじゃないかって、そう思ったんだよ?昔の天狗だった頃のかなちゃんが私の演技を始めて見た時に泣き出した時の気持ちが分かったんだよ。
これが悔しいって気持ちなんだって……貴女は知らないんだろうけど、それまでの人生で負けというもの知らずにいた私に初めて負けというものを貴女は味合わせたんだよ。
だからさ、貴女の全てが見たいなぁ。
「お母さん大丈夫だって、じゃあ一緒に行こっか。」
ふふ、楽しみだなぁ。
その点、親にも仕事にも恵まれていて、人の悪意や害意を向けられることを始め追い詰められたこと少なさそうな、そんなあかねちゃんの観察がしたい。
……
一緒に帰ってお邪魔してま〜す。なんてね。
へぇ、これが一般的な中流から上流の間の家か…なんか思ったよりも地味、でも味わいがあるからちょっと勉強になるかな?
二人で一緒の部屋で寝るなんて、かなちゃん家以来だなぁ。
世間話でもすれば、気を引けるかな?
「ねぇ、マリンちゃんはさなんで女優になったの?」
話しかけてきてくれた、お悩み聞きますよ⤴
「小さい頃にね、父様が家でマクベスの一人芝居をやってくれたんだ。」
「マクベスって、あのシェイクスピアの?だってアレ、悲劇作だよ?子供向けじゃないし…」
「凄かったんだ〜、自分で調べた時にね悲劇で終わるってその時始めて知ったんだ〜。父様、台本を即興で悲劇から喜劇に変えてたんだって、その時始めてわかった。」
「凄いお父さんなんだね、じゃあ二世なんだ。じゃあきっと、演技指導とか色々教わったりしたんじゃない?」
「それが全然でさ〜、父様って教えるの下手くそなんだよね〜。やっぱり、人には得意不得意があるんだね☆
それは母様も同じでさぁ~、にも関わらずダンスは教えるの上手かったんだよね。
そのおかげでダンスはすんなりとモノにできたけど、どうして演技の方はそれができないのか不思議だよ」
ちょっとは興味持ってくれたかな?そうだったら嬉しいんだけど。
「あかねさんはなんで女優に?」
「有馬かなって女優知ってるよね?私ね、その人に憧れて役者の道に進んだんだ。」
へぇ、あかねちゃんみたいに凄い役者でも影響受けちゃったんだ。やっぱり、かなちゃんって凄…ん?ちょっとまって……ま、まさかのかなちゃん!?
となると天狗になってたかなちゃんの自信を昔私がへし折って、そのかなちゃんに憧れて役者になったあかねちゃんが私の自信をへし折ったってこと!?どんな因果!?
そうなると、この機会は絶対逃がせないなぁ……にしても私とあかねちゃんはホント役者としての環境には恵まれてたんだなぁ…改めてかなちゃんは周りの大人たちが駄目にしちゃったんだと思うと許せない。
「かなちゃんのことだよね?最近ウチの事務所に入ったんだけど、子役時代私も結構共演とかしてたんだよ?」
「そうなの?あ、そっか男の子の役が多かったって。そうだよね、そりゃ記憶に残り辛い訳だよ。普通女の子が男の子の役やっても、余程の事でもない限りメインには出来ないもん。例えどれだけ演技が良かったとしてもね。特にマリンちゃんみたいな、グラマラスなボディだと。」
痛いところを衝いてくるねぇ、この身体の忌々しい事。商売上がったりだよ。しかも、今回のリアリティショーの為に久しぶりに買った新しいブラがもうきつくなり始めてるし。
「今の発言セクハラだよ?それを言うならあかねさんだって私から見ても十分立派な物を持ってるよ、同年代の中でも発育が良い部類に入るウチのルビーとかなちゃんよりも明らかに大きく育ってるし…」
「ご、ごめん。そんなつもりじゃなかったの。」
ここで訝しんでれば、なんか起こりそうじゃない?
「じゃあさ、お詫びにこれからは〘あかねちゃん〙って呼んでもいい?」
「それは、別に良いけど。なんで?」
「愛称はさ、
あかねちゃん♪あかねちゃん♪あかねちゃん♪良いね〜、鏑木って人の出身と同じ場所の役者だからさ、きっと母様や父様の事で何かのヒントが手に入るかもしれないし、〘あかねちゃん〙なら〘かなちゃん〙とはまったく違う友達になれるかも知れないから、フフ。
「そうだね、今日から私達は友達だよ!」
「じゃあさ、あかねちゃん。収録やってるうちに気になる人って出来た?私ね、翼君が好みなの。小さい身体で精一杯背伸びしてるでしょ?何より、誰よりも頼りになるし周りを纒めてくれる人だから、惹かれちゃうんだよね〜。」
「私は、解んないかな。だって、仕事の一環だから。」
普通の感覚ならそう、でも〘ゆきさん〙は結構アクロバティックなことやってるみたいだし、MEMちょに関して言えば完全に空気を乗りこなすだけって感じでやってるね。
「じゃあさ、一緒に翼君標的にしない?そうすれば目出たく三角関係で、私達の知名度も上がると思うんだよね〜。どっちが彼を射止めるか、競争しよ?」
恋のライバル…こういうの燃えるよね?その為にもあかねちゃんと翼君のことをもっとよく知っていかなくちゃ。