[2025/3/09
「ねぇ母様、母様は何を隠しているの?」
「ねぇ父様、父様はどうして心を閉ざしているの?」
少女は気になって仕方が無い、両親が少女が気になっていることに対して、頑なに嘘を付いていることに。だが、彼女は誰にも聞こうとしない、それによって自らが捨てられるのではないかと、恐怖するから。
「ねぇルビー、母様と父様が嘘付いてるけどどうも思わないの?」
少女は妹に問いかける。しかし、妹はそんな事に興味を示さない。妹の興味対象は推しのアイドルだからだ、だけれどもまた一人休業してしまった。
そんな時見知らぬ女が私に囁いた
「何かを知りたければ自ら進むしか無い、それに協力者を求めてはならない。
人は信ずるべきではない、しかし時には親友を持っていても構わない、それは心の平穏につながるのだから。
人は、可能な限り効率的に使わなければならない。
計画実行可能タイミングがあれば、すぐに実行しろそうすれば一時の気の迷いで片付くからだ。
民衆は見たいものを見る、ならば見せて置けば良い。それこそがブラフとなるのだから。お前は私だ、だから私を信じろ。」
彼女の頭にはその言葉が木霊する、その女の心は複雑で幾日もの苦難や後悔に彩られていた。何故か彼女の事を知っている気がした。
あぁ、彼女のようにすれば良いんだね?
私は決意した、何をやろうとも誰を使おうとも自らの知りたい物をただ追い求めるということを。
しかし、幾日も経てば親友が出来たように、自らの力を理解し始めた。そして、更に固く決意した。全てを演じることを。
『たった一人出来た親友、彼女は〘太陽〙私は〘惑星〙彼女がいなければ、私は輝くことも空を惑う事すら出来ない。』]
〜sideルビー〜
ダンスレッスンは厳しいけど、踊ってる間はあの不快感が襲ってこない。心を無にして一心不乱に踊って、ママ達を超えてみたいってそう、思うことが出来る。
でも、怖いことは怖いんだ。だってそうでしょ、目の前に私のファンになるかも知れない人達の心が、私をどう思うのか。
ママ達は私に嫌なことを思っていないのは解るよ、でも私と身近でない人、ファンって言われる人達。そういう人たちが身勝手に私に偶像を押し付けて、私のことを悪く思ったりしたら、そんな物が束になって現れたら私はどうなるんだろ。
パパは慣れるしかないって言ってたけど、それって短期間で効果的なダイエットみたいに簡単な方法とか無いのかな〜。
このままだと、私パンクしちゃうかもしれない…思えば昔からママのエゴサとかでキレ散らかしてたから、批判には批判で対抗すれば良いのかな。だからお姉ちゃんは演じてたのかな、本当の自分が人から解らなくするように。
男役しか役者としてやっていけないって、自分に嘘をついてかな先輩に依存したのかな。
そうだねきっと、だってずっと先輩と一緒に仕事してたもんね、演技指導だってそう。何処かに遊びに行くのも、何処かに先輩の姿があったから。
だから、中学に上がったらより一層仮面の自分を強化したんだ。そっか、そんなことだったんだ。お姉ちゃんは色々な物を持ってる凄い人だけど、誰よりも臆病で大事な物を失いたくないから、知りたいのに口に出して聞けないから、変なところで勇気を出してあの時の疑問を探してる。
……
ママと一緒の帰り道、何処までも続く町の中の一本道を二人で並んで歩いてる。
もうすぐに家に帰れる、そう思うと心が軽くなる。そういう私はやっぱり臆病で私を演じることしか出来ないけど、今このときは正直にいようと思った。
「ねぇ、ママにはさ私達に言えないような隠し事ってあるの?」
「どうしたの〜?ルビーそんな真面目そうな顔しちゃってさ、何か気になることでもあるの?」
「うん、ずっと前から気になってたことがあるんだ。私達が4歳の頃、ママ、ドームライブをやったよね。その時の事。
その日、パパは1度も関係者席に姿を現わさなかった、それどころかママを連れて衆目の的になるのも構わずに、家に帰ったじゃん。
あの時さ、お姉ちゃん言ってたんだ。パパが何かに巻き込まれてるんじゃないかって、今にして思えばパパの事だから本当に何かに巻き込まれてたんだろうなって思うんだけど。
それってママの為にやってたんじゃないのって、それを聞きたいだけ。」
帰り道、もう日も暮れて辺が暗くなっていく。
「そうだな〜、一概に嘘じゃないよ?でも、内容まではまだ教えたくないな〜って、アムロと一緒に考えたんだ。
君達には平穏無事に育ってほしいし、何よりアレとは関わらないほうが良いと思うから。
だからね、成人したらまた聞いて?その時は二人でちゃんと話すからさ。良い?」
「約束だよ?」
「ママが約束破ったことある?ないでしょ〜だから信じてね♪」
「でも、パパは良く遅刻してくるけどね。」
二人で笑った帰り道、私の心は少しだけ姉へ意趣返し出来たことに、満足していた。
〜sideマリン〜
「ねぇ、翼君。つばさ君の好みの娘ってどんな人か教えてよ。」
二人きりの会話、私達はベンチに座り互いの身長差を補っている。周りには姿を隠している(様に見えるよう演技しているあかねと本当に隠してると思ってる、ゆきとMEMちょ)けど丸わかりな三人がいる。
「ぼ、僕の好みの話ですか?凄く積極的だね…?」
「そう!私さ、つばさ君のこと興味があるんだよ。私さ中学の時とか、少し周りから浮いててさそれをなんとかしようって、体育祭とか文化祭の行事とか皆を率先して率いてたんだ!
そのせいで、女帝だアクア様だとか言われちゃってさ、恋愛とか経験無いの、だから単刀直入に聞いてるの!」
引かれちゃうかな?って感じの顔をしつつ、彼に説いてみる。
「えっと、じゃあさマリンちゃんの好みの人とか教えてくれたら、答えてあげても良いかなぁって。そういう条件じゃ駄目かな?」
ほら来た。私知ってるよ、カミキって人から私のことを探って欲しいって頼まれたんでしょ?貴方は誠実な人だから、それを断れない。逆に、それで私はそのカミキって人の事を知りたくなっちゃった。絶対に父様と母様の関係者だ、じゃないと私をピンで指名しないでしょ?
でも、流石に覚悟がいるな…誰にも、たぶんかなちゃんにも話したことがない、私の好みの人のこと…私は決意したんだ!
知りたいことを知る為には手段を選んでちゃ駄目だって、そうでしょ!あの時みたいな無力感はもう、味わいたくない!二人にお世話になりっぱなしで、また何かあった時は絶対に役に立てるようになるんだって!
「私の好みは、
あぁやっぱり嘘が出ちゃうな〜正直に言ったらきっと、彼は私から離れていくから、打算とかを入れればこの答えが正解なんだろうけど…。
ただ、今翼君に言った可愛くて守ってあげたいと思える子が好きなのは厳密には噓というわけじゃないんだけど、それは私の理想とするパートナーじゃなく、理想とする弟か息子に対する答えだ。
私が恋人や夫という生涯のパートナーとなってくれる人に求める理想は、どんなに私が頑張ってもどうにもならない時に手を差し伸べ、私を助けてくれるヒーローのような存在なんだ。
何故なら、どれだけ周りの人が完璧だの女帝だの祀り上げていても、所詮は人間…全知全能の神や理不尽の権化の悪魔のような絶対的な存在ではないのだから。
故に先程の答えは翼君の望んだ正解を答えたにすぎず、私の本心によるものではない以上それは嘘なのにはかわらない……人間である以上、私だって汚い一面とは無縁でいられないんだよ。
影から見るあかねの姿が、嫉妬した女のものに見える。流石の演技だね、役に溶け込むのは私以上だと思う。誰をトレースしたんだろ?
でも、たぶんこの構図は正直イケると思う、私の言った言葉は間接的に告白になってるから、それで同じ人を狙うもう一人が嫉妬しているっていう形。
後はあかねちゃんが、翼君にどういう絡み方をするかで今後の方向性が決まってくる。翼君のハーレムものにするのか、私達の彼の奪い愛になるのかどうする?あかねちゃん。
「ねぇ、私は正直に答えたよ?翼君は、どんな子が好きなの!」
「えぇ^^;っと、グイグイ来ないタイプの方が僕は…」
え?私みたいな子がタイプの筈じゃないの?でも、前そんな感じの気がしたけど…なんで?
おかしいな?私の力に異常が起きてるわけでもないし…翼君は確かに本心から言ってるみたいだけど、人の趣味嗜好がそんなに頻繁に変わるものなの?これじゃまるで外面はそのままに急に内面だけが別の人に入れ替わったみたいな……
「でも、君みたいな純粋で可愛らしい内面を持ってる子も、嫌いじゃないよ?」
彼は立ち上がり、私の顔に顔を近づけて小声で言った。彼の唇と私の唇までの距離は2センチに満たない。彼の吐息が間近で聞こえてくると同時に、彼という人物の本性がわからないでいた。今の彼はこう言っちゃ失礼だけど、どこか不気味な感じがしてならない。
「なんてね!まずは友達から始めようよマリンちゃん!」
コレは私は、彼の策謀に嵌っていたのかもしれない。
〜sideアムロ〜
「かな…それは本当か?」
嘘はついていないようだが…そうか。アクアは俺を欺いたのか、矢張りというかなんというか、家族のコミュニケーションというのは大切だからと、流石に土足で踏み込み過ぎたか…。
俺のミスだ、時と場面を切り替えて対応してくるとは、俺も少し怠けすぎたというところでもあるな。かつてのギレン・ザビ、ジャミトフ・ハイマン、ハマーン・カーン、そしてシャアを始めとする急ぎすぎて凶行に走った者達を反面教師にするあまり、俺は待ちに徹しすぎて完全に出遅れてしまったんだ。
まったく、表情から口調から何から何まで演技をするとは、親としては複雑だが、役者として見れば褒めてやりたいくらいだな。自分を嘘で塗り固めてしまっていた昔のアイもここまでじゃなったというのに。子育てとこうも難しく、理屈では行かないんだな。
「それで、それを俺に話すということは彼女へ対応をしろということか?」
「えぇ、その通りです。このまま行けば、彼女が何をすると思いますか?私には常人並の思考しか出来ませんから、お力を借りたく。」
いや、元はといえば俺たち家族の問題だ。彼女には感謝はすれど、力を貸すなんて言葉嘘でも言えるものじゃない。
「いや、こちらこそ君の力を借りたい。アイから先程電話で聞いたのだが、どうやら12年前の出来事が今回の根本のようだ。
だから、君の力を借りるが、深入りはしないでくれ。」
「12年前?一体何があったのかしら?返答の次第によっては、こちらにも相応の行動をとる覚悟はあるから。」
「詳しくは言えない、一つだけ言えるのだとすれば、これ以上踏み込めば命の保証はない。それでも聞きたいのかい?」
かな、君の気持ちもわかるさ。何故そんな危ないものを俺とアイが被っているのか、そして何故その件がアクアとルビーの件と関係があるのか、詳しく知りたいのだろう?
だが、前世の俺がそうだったように世の中知って後悔することもある。
「師匠、今更ですよ?親友が目の前でヤバいことに首突っ込んでるのを知りながら、黙ってみていられるとでも?」
「師匠?碌な演技指導もしていない、君の親友の父親がか?」
「そうですよ。指導が苦手でも私はちゃんと貴方の演技を見て、育っていますので。」
そうか弟子か、色々と失いたくないものが増えるもんだな。カツやカミーユのような次代を担う子供が未来を理不尽に失ってしまうような悲劇は二度とごめんだ。それを繰り返さない為にも俺は子供たちに誇れるような大人にならなくちゃいけないんだ。
「では話を始めようか?コレはアクアもルビーも知らない、俺とアイだけの秘密だ。」