虹の男と星の娘   作:丸亀導師

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第四十三話

[2025/06/09

B小町のライブはいつも通り好調、ここ数年間の間オリコンランキングはB小町が群を抜いている。アイドルグループとして類稀な完成度を誇り、一人一人のその動きは洗練され会場は1つになっている。しかし、最近に二人も活動を一時休止するなど、体調の心配をするワードがあるなど

 

そんな大人気アイドルである彼女たち、そんな彼女達も今年で平均年齢が25を超すことは確定的に明らかで、自分たちの進退を決断する時が近付いていた。

 

アイは、女優を中心としたマルチタレント、そして子供がいること結婚していることを告白する。

ニノは、流石にこれ以上の先延ばしは出来ないと、子供と結婚の報告をするとともに引退後は、苺プロの専属医療スタッフとして働く。

ミネは、仕事柄付き合っていた、飲食店のオーナーとの結婚を。

ナベは、服飾業へと転身。B小町の衣装などを手掛けていたことから、アイドルグループ専門の衣装を手掛ける会社へ。

メイは、作曲家として苺プロなどの零細事務所への楽曲を売りに

サキは、ダンススタジオを開設することを決意、単身大海原へ

キシは、芸能科のある高校の教師となる事を。

 

それぞれがそれぞれの道を歩むことを決意し、残り一年を最後にB小町の解散を社長へと談判した。]

 

 

 


 

 

〜sideアイ〜

 

「アムロ…本当に全部はなしたの?」

 

「あぁ、洗いざらいあの日のことを。」

 

ルビーにだって、20になったらなんてさっき言ったばかりなのに、どうしてそう勝手に。話を聞いたかなちゃんは、それはもう苦悶の表情をしてるし。

 

「なんで?あんなに言ってたじゃん、危ない事にこの子達も誰も巻きこまないようにって、それなのに。」

 

「だからだよ。だから今話して置かなければならいんだ、俺達はもう後手に回っているんだ。慎重に徹しすぎたせいでまんまとアイツに出し抜かれてしまった、そのせいで今アクアは危機的状況にあるかもしれない。」

 

どういう事?だって、私達はアイツの魔の手から逃げ延びて、この12年間何も不審なこともなかったじゃん。またあんな化け物から狙われるような事なんて。

 

「一足先に彼女から話を聞いたよ。そして、一つの確信に至った。物語はあの時に終わったと俺たちは思い込んでいたが、それが間違いの始まりだった。物語はまだ終わっておらず、今に至るまで続いていたんだ。」

 

「ねぇ、ママ、パパ。先輩にも話しちゃったんならさ、もう教えて欲しいよ。だって、それで何かあったら私、なんて顔してれば良いのか解らないから。」

 

ルビーが私達の会話を聞いていたらしい、タイミングが悪いことすら遺伝するのかな?でも、絶対に教えたくない、アムロのせいだ!どうして、あれほど嫌がってたのに、あんな事にこの子達を巻き込むの?

 

「アイ…」嫌だ!だって、あんなにもあんなにも辛い思いをまたしたくない!この子達には関係な」もう、アクアは足を踏み入れている。」

 

え?なんで?

 

「だいたいおかしかったんだ、小学生のある時から彼女は俺達へ演技を始めたという。かな、彼女から聞いた時には正直耳を疑ったよ。そんな事をどうしてする必要があるのかと。

知りたかったんだどうしても、俺とアイがあの日どうしてあそこまで必死になっていたのかを。俺達はそれを知らせたくないから、嘘を言いはぐらかしてきた。 

 

そんな時だ、ガチ恋に参加すると言った時俺は、内心祝福していた。やっと自分の事を理解し始めたのかって、無理に自分を偽わって蓋さえしなければアクアのポテンシャルはとっくに親の俺達を超えているんだ……女優としてはもちろんモデルやミュージシャン、声優……そしてかつての君を超えるアイドルにも成り得るくらいに。

 

やっと自分に自信が出来てきたのかって、端役や脇役だけじゃ飽き足らないってそう思ってくれたと、勝手にね。

面と向かって喋ることも少ないっていうのは、こういう時に影響するものだ。」

 

それじゃあ、私と一緒に泣いたり笑ったりした過去も、ルビーと一緒に私の誕生日を祝ってくれたときも、私達を驚かせようとしてくれたハロウィンも、皆演技だったってこと……?

 

なんだろうなぁ悲しくなってきちゃうよぉ。ポタポタと頬を伝って何かが零れ落ちてきてくる…あぁ、どうしてそうなっちゃったんだろう…

 

「ママ!それは違うよ!お姉ちゃんは、確かに普段見せる姿があまりに超人じみてるせいで最強無敵の女傑って感じで誰からも誤解されやすいけど……心は不器用で誰よりも努力家で誰よりも臆病だったんだ!

でも、あまりに恵まれすぎた才能とカリスマ性で普通の人が音を上げちゃうことを一人でどうにかできちゃうところが祟ってみんなお姉ちゃんに頼りがちなるから……妹の私でさえその一人だったもの。 

そのせいでお姉ちゃんは自分に悩みが出来ても誰にも相談出来なくなってそれでこんな事になっちゃってるだけなんだ! だから、ママやパパのせいじゃない、私とお姉ちゃんのせいなの!」

 

ルビー、ママのことを庇ってくれるのは嬉しいけど、むしろ余計に傷つくよ。だって、今ルビーが言ったアクアの姿って……昔の私だもの。

パパを除いて誰にも本当の自分を晒せなかった『誰にも縋らず、奔放で、孤高で、強くて、後悔なんて一度もせず、無敵で最強で唯一無二アイドル』だって嘘をついていた頃の私と。

ファンの子と達にはもちろんのことB小町のみんなにさえパパが間を取り持ってくれなかったら、分かり合うことなんてできなかったもの。

 

誰にも弱い所を見せられない…孤高を貫かなきゃいけない辛さを私は知っていたはずだったのにそれをすっかり忘れて、今日言われるまで自分の子供に同じ辛さを味合わせちゃってたことに気付けなかったんだよ。こんな駄目なお母さんは他にいないよ…

 

「あの〜お話のところ悪いんだけれど、そろそろ本題に入りましょうか。言い争っていても、進まないでしょ?確かにクヨクヨしたくなる気持ちは痛いほど分かるけど後にして。今にも事が進んでる以上、ここで足踏みしてると本当に手遅れになるわ。まずはあのクソ生意気娘を引っ叩いてからやりましょう。」

 

そう言うとかなちゃんが仁王立ちで言った。

 

 

 

 

〜sideアクア〜

 

「ただいま〜」

 

学校からの帰り、1日ぶりに返ってくる家は嫌に静かなものだった。夕方を過ぎて

どうせ、皆仕事で家にはいないんだから、しょうがないよね…。

 

ゆっくりとした足取りで、自室に入るとベッドに力無く倒れ込んだ。ちょうど頭の近くにおいてあった父様が昔くれたハロを頭上に掲げた。

女の子だからって、ふわふわモコモコ素材で作られた、当たっても痛くないハロ。「アクア、ノウハヘン。ダイジョウブカ?」「ハロには分かっちゃうよね。ごめんね、いつも心配かけて」

 

父様が私の為だけに作ってくれたハロは、かなちゃんに並ぶ親友と言っていい存在だ。父様が最初に作ったというハロは顔もきちんと認識して主人を判別できる生体認証に加え喋るのと転がり跳ねて付いてくる機能だけであった。

 

それでも、当時の販売されていた他社のペットロボを遥かに凌ぐ高精度を持ったハイスペックであったことから、噂を聞きつけた大手の玩具メーカーから商品化を望み父様にライセンスを売ってほしいと嘆願される程だったが、何故か父様はやんわりと断ったという。

 

しかし、私の友達であるこのハロを見れば、なぜ父様が莫大の利益を望めたであろうに表に出さなかったのか何とかなく分かってくる。そう、ハロに使われている技術は明らかに現代の玩具の範囲を超えたレベルでオーバーテクノロジーと言っても良かったからだ。

 

父様の最大の功績とされるアオリスト粒子の発見とその応用技術によるフィールド制御式核融合炉の開発は世界の歴史を変える新たなエネルギー革命と言ってよいが、そんな父様の手がけたこの新しいハロにはアオリスト粒子絡みの技術だけではない様々な未発表の技術が組み込まれている。

 

まずが、AIの学習機能精度が既存のモノとは桁違いな上、さらに先代のハロよりもバージョンアップされてることから自然な会話は勿論あいまいかつ大まかな命令に対しても、的確に対応するという殆ど人間と遜色ないレベルの言語思考及び状況対応力。

 

目が録画・映写可能のカメラになっており、口からシャボン玉を吐き出す機能が備え、大きく膨らませたシャボン玉をスクリーン代わりにしてどこにいても映像を映し出しても見せるというメディア機能。 

 

主人を始め対象となる人間の脳波を測定することによる健康維持機能の他に、転がり跳ねるしか出来なかった先代と違いまた手足が内蔵されており、延ばして階段を器用に上ったり、物を掴んで持つこともできる。 

 

内部にはタッチパネルディスプレイを内蔵しており、タブレットPCとしての機能も付いていて、自らネットワークに接続することで自己学習することも可能で、今時の俗っぽい言葉も習得して機能を日々進化させているという…かなちゃんに始めてハロを紹介した時なんかは「四次元ポ〇ットが無い猫型ロボットのボール版か!?」に例えられる形で驚かれたな。

 

娘のためとはいえ、これは悪乗りしすぎではないか?と父様と親交の深い技術者から苦笑されたらしいが、私にとってはそんなものどうだっていい。かなちゃん以外で何でも話せる初めての友達だったんだ。

 

それに人間ではないロボットだからこそ、時にはかなちゃんにも言えない愚痴も言えるし、落ち込んでる時も向こうからこうしてすり寄って気にかけてきてくれる。  

 

「今はちょっと一人になって考えたいことがあるんだ。悪いけど、納戸の中に入って待っていてくれる。考えがまとまったら開けて呼ぶからさ。その時に話そう」

 

「ワカッタ。アクア、マッテル」

 

そう答えて、私がハロを抱えてベッドから一旦起きて起きて立ち上がるとベッドの隣にある納戸のドアを開けて、ハロを床に置くとハロは自ら転がって納戸の中に入っていく。

 

「それじゃ、またあとでね。あんまり時間は掛けないからさ」 

 

「ダイジョウブ、アクアハヤクソクヲヤブラナイ」 

 

と応えたハロを見送るとドアをそっと閉めた。そして、再びベッドに寝転がり、仰向けになって真っ白な天井を見上げる。

 

はぁ〜〜〜

自然と溜息が出てきて、なんかもうどうでも良くなってきている自分に気がついた。いや、諦めなのかもしれない。

 

父様とルビーしかいないと思ってた、いつも周りの人からは、私と似たような感じを感じたことなんてなかった。

父様は、私と会話するときは心を開いてくれていたし、ルビーは初めての感覚にパニックになってたから…全然気にしたことなかった。

 

ううん、父様だって私に心を閉ざしたことがある。あの日のことが気になって、父様の心に踏み込もうとしたとき父様はそれをさせなかった。

どうやったのかは解らない、けどその時なんで考えが至らなかったんだろ。

 

そんな事出来るってことは、同じような事をされたことがあるか、心を読ませてはならない相手と対峙してたから、そんな事が出来るってこと。きっとこの力は限定的なものじゃないだ、皆誰しもが持てるようなそんな…特別じゃない力。

 

きっと翼君もそうなんだ、それできっと父様と敵対してる人が送り込んで来たんだ。でも、翼君のアレは父様の力と比べても明らかに異質なものだった、例えるなら父様が心を読めないように力を使う場合は映像にモザイクを掛けるような形だったけど、翼君のそれはこれまで見ていた映像事態が別のチャンネルの映像にいきなり切り替わった形だった。

 

私にもそんなことできないし、それどころか父様でさえ同じことができるとは思えない。そんな特異な人間が属しているカミキプロ、つまりカミキプロの社長が父様の敵……。

流石に飛躍し過ぎか?でも、敵対者の協力者って線はありそうなんだけど…。

 

どうしよう…私結構ヤバい位に踏み込んでるのかも。正直想定してなかった相手だから、相手は私に想定して来てるんだから、何か良い手を模索しなくちゃならないのに、何も思いつかない。

どうやれば組織を潰せるのか、懐柔できるのか。相手は私と同じ力を持ってるんだよ?

 

今までの相手はとは違う……これまでの周囲にいた人間はどれだけ他者への警戒心が強くとも心に蓋はしていているだけが精々で、酷いと蓋すらろくにされていない杜撰なセキュリティで肝心の鍵がかかっていない人間ばかりだった。

 

だから私が少し力を入れるだけで相手の心の蓋を開けて好きなだけ中身を覗き見ることができた。もちろん万能ではない、心を覗いている間相手の思考と感情が私の中に流れ込んでくるので、気を付けないと、私の方がそれに飲まれてしまうことから心を強く持って覗かなきゃいけないから心に来る負担が凄まじい。

 

だから力がまだ上手く使えなくてONOFFのコントロールもままならなかった頃は大変だったよ。生まれた頃からこの力はあったが私が幼かったからかは相手の快不快といった感情の起伏を軽く読み取るくらいだったからそこまで問題はなかった。

 

問題は小学校に入学した直後から感情の起伏が意識の波長としてより認識できるくらいにまで高まり、2年生に進級すると波長は言語化され、明確に思考として流れ込んできて、幸い思春期も迎えていない子供達に囲まれていた環境だったから、飛び交う思考も単純かつ純粋であり、そこまで酷いことにはならずに済んだ。

 

そんな無垢な子供のものでも常時思考を読みっぱなしでは気分が悪くなってくる。だから、その日は早退して父様に迎えに来てもらったけど、そんな私を見た父様は驚いて「そうか、力のコントロールが利かないのか」と家に帰るのと同時に父様も私と同じ力があったことを話してくれた。

 

以来、父様のアドバイスの元、2年生の頃は力の使い方を学ぶことに集中すべく役者活動を休業した。正直口惜しかったけど、力の制御が利かないまま黒い欲望に染まった大人たちがのさばっている芸能界の現場に行けば精神が崩壊しかねないのが火を見るより明らかだったからね。

 

学校生活を通してまだ強い負の感情が飛び交わない年代の子供達を練習台とすることで力の制御が出来るように学んでいった私は、3年生に進級するの頃には力のONOFFを、4年生に進級して半年も経つ頃には必要に応じて自分の意識にフィルターを形成することで流れてくる意識や思考を弱めるに至る所までコントロールする術を身に着けると同時に、役者活動を再開した。

 

最低限の力の制御に成功した私はこの力を用いることで、演出の意図を容易に汲むことの出来た私は演技の質を跳ね上げ、これまで5年生に進級する頃にはクレジット表記のされないエキストラを脱して端役に出世することができた。

 

ただ、5年生になると身長と胸が成長を始め、しかもその時迎えた初潮が端役から脇役への出世の切っ掛けとなったのは以前述べた通りで、中学生における悩みが発育との闘いなら、その前の小学生における悩みが異能との戦いだったのだ。そして、父様とルビーといった血縁者ではない始めて私と同じ土俵に上がってきた人……翼君が確実に私を仕留めに来てる。

 

こういう時はどうすれば良いんだろ、誰かに頼っちゃ駄目だ。ソイツも奴等の仲間だったら?それこそ相手の掌の上で踊ることになる、考えろ考えろ考えろ!!私に残ってる手段は?得意の演技で相手を騙す?それを看破されたのに?じゃあ、相手を骨抜きにする?どうやって?身体を使う?そうすれば操れる?どんな事でも使うしか無いよね?……。

 

「ねぇお姉ちゃん。そんなに蹲ってないでさ、パパ達に話せば良いんだよ?」

 

ルビー?いや、ルビーはいないはずだ、だって今日はかなちゃんが言ってたんだレッスンがあるって!

 

「レッスンがあるから来ないんだって私達、ね先輩。」

 

「あらそう、随分と私は貴女に信頼されてるのね。それにしても、アンタその顔なんとかしたら?まな板の上の鯉見たいな顔してるわよ。」

 

「かなちゃんか…そう、私を騙したんだね。どう?こんな私嫌いにならない?だってそうでしょ、皆を騙して信頼を経て最後は利用して、結局私はこうやって戻ってきて弱音を吐いてる。

面倒くさい女でしょ?」

 

どういうこと!?いつものようにかなちゃんの心も見えない!奴等の仲間なの?今まで私を散々泳がして、私のことを皆誰かに伝えてたっていうの!?……いや、ホントにそうだったらついこの間の力を使った際に読めていたはず、ということは洗脳でもされて操られてると考えるのが妥当か…だとしてもかなちゃんが敵の手に落ちてしまった事に変わりなく、むしろ洗脳だっていうならそっちの方が迂闊に手が出せない! 

 

つかつかと、私に近付いてくる。来ないで!イヤッ!お願い、いつものかなちゃんに戻ってよ!!

 

パチンと左頬を叩かれた。いつもなら簡単に避けられるのに

 

「アンタの力も、アンタが探ってる事も皆アンタの父親から聞いたわよ。まったく、そんなに過去を知りたいんなら直接親と話せば解ることよ?

アンタの親は、私の親と違って冷たい人じゃないし、寧ろ暖かい人達でしょうに、何パニックになってるの!?」

 

私は産まれて初めて、叩かれた。学校だって、最近じゃそんな事起きることもないし、演技上でもそんなの当たることがないのに…初めて。

 

「私には教えてくれなかったのに、なんで…」

 

「アンタが変なことに首突っ込んでるからよ、親友をほって置いてのうのうと暮らしてけって?まったく。

人のこと言えないけど、子供の心配してる親がいるって事、そういうときはしっかりと頼ってやりなさいよ。私もアンタもまだまだ立派な子供なんだから。」

 

うっ、うう

ポロポロと目から何かが零れ落ちてくる、悔しい、自分一人で解決できると思ったのに、怖い、私を理解してくれる人がいなくなるのが、嫌い、こんなに私を心配してくれる人がいるのに、私は彼女を利用しようとした、そんな私が大嫌い。

 

「お姉ちゃ」今はそっとしときなさい、人間泣きたいときは泣いたほうがスッキリするものよ。その後色々と聞けば良いわ。」

 

「アクア」

 

布団の上で泣いている私の顔をギュッと誰かが優しく包んでくれる。

 

「怖かったんだね、でももう大丈夫。私達も覚悟を決めたから、もう一度前に進むために、だから今はお母さんの胸の中で泣いてね?」

 

「おがあざばごめんなざい、わたじずっとずっと、うぞづいて、怖がった↴。ヒッ、ぐるじがっだ⤴。ずでられだくないっで、思っで。だがら、ひどりでずっどじゅんびじで、でもわだじぜんぶよばれでで↴、ぞれでウッぼうなにずれば良いのがわがんなぐで。」

 

「うんうん、そうだね辛いよね?私も嘘をつかれると悲しいけど、アクアは強い子だから私もアムロもずっと大丈夫って思ってたけど、それだけ追い詰められてたんだね。大丈夫、お母さんもお父さんも貴女の味方だから、捨てたりしないからね。」

 

背中を擦ってくれる母様、暖かい。どうして甘えられなかったんだろ、こんなにも私に優しくしてくれるのに、私が嘘ついてたのに。

 

だんだんと落ち着いてきた…ああ、顔が鼻水と涙でグチャグチャで母様の服も…。

 

 

「はい、お姉ちゃん。これ飲んで落ち着いて、で落ち着いたら話を色々としよ?一人で心を読むだけじゃ、本心なんて解んないんだからさ。」

 

ルビーが私にアイスココアをくれた、私が好きな飲み物ココア。覚えてくれてたんだ。

 

「ルビー…ありがとう。皆、心配かけてごめんなさい↴でも、どうしてかなちゃんの心を読めなかったのか気になってる。」

 

「アンタの父親から教わったのよ、心を読んでくる相手はたいてい一つの物事に集中しやすいから、何かに気を取らせれば良いって。ルビーが最初にアンタの心を読んだ時、ルビーを警戒したでしょ。そのせいで、無意識にアンタは私への警戒を解いたってわけ。

もっとも、上級者になると複数の物事を同時にやってくるから、効果ないって言ってたけどね。」

 

「アクア、ゴメンね?今までずっと隠して来たこと、話さなくて。それで、色々抱え込んじゃったんだよね?お母さんもお父さんも、皆に説明したからアクアにも説明するよ。なんで、私達ががずっと隠してきたのかって。」

 

あんなにもずっと気になっていたことが、こんなにも簡単に聞き出せてしまう。私のやってきたことって、一体何だったんだろうって空虚な無力感が襲ってくる。けど、今の私は一人じゃないから、皆がいるから。

 

 

 

 

 

〜sideアムロ〜

 

22時

 

彼の周辺情報は昔から変わらない、いつも通りのルーティンにいつも通りの居酒屋を巡って家に帰る。

久々の夜廻り、周囲の警戒をしつつ彼の気配をさぐる。

……見つけた。バッタリと偶然を装い、彼の正面から歩いていく。

 

「お久しぶりですね、鏑木さん。」

 

「おぉ?君は安室君かい、珍しいじゃないか。相変わらず良い顔だな。にしても、君は昔から変わらないな、寧ろ歳を重ねて深みが増しているところに、一流のオーラを感じるよ。

 

そんな君とアイ君の血を引いた彼女の顔は本当に良い投資の対象だよ。既に例のガチ恋で期待を遥かに超える成果を出してくれている、父親として娘の活躍を見るのは誇らしくなるものだろ。」

 

お世辞か、顔に関して言えば嘘を言わない人だからな。

 

「まだ一軒目何でしょ?どうです?これからもう一杯?」

 

「君から誘われるとは、今や大御所とすら言える君だ勿論ご馳走してくれるんだろうね?」

 

別に払っても構わないさ、情報量の前払いみたいなものだからね。

 

「では行きますか?この近くに行きつけのバーがあるです。」

 

「君ほどの男だ、良いところなんだろうね。」

 

あぁ、良いところさ。情報漏洩なんて無縁の、アイツが出資してるところだからな。

バーにダンディなバーテンと、20歳を過ぎたくらいの美女のバーテンの二人、周りの客にも一人一人女の子がついている。

特別な教育を受けた者達、一見すれば単なる会員制のクラブだが、男は全員が政府の犬、女はもれなく蜜蜂だ。

 

俺達はバーカウターに座る。この人は女のそれにはあまり興味を示さないから、これでいい。

 

「コレは、凄いレベルの高いクラブだね。アソコにいるのは、大手テレビ局のスポンサーか…あれは、不倫などしたことがないと豪語していた大物俳優じゃないか、何だここはスキャンダルの宝庫だな。」

 

「そうですよ?ここは、そういう所です。どうです、気に入りました?」

 

俺の意図に気が付いたかな?もっとも、もう手遅れだが。

 

「君も強かになったね、僕をこんな所に入れて何を聞きたいのかな?」

 

「ここの会員になれる代わりに、一つだけ情報が欲しい。好ければ、ドラマ一本まるごとノーギャラでの出演もするが?」

 

目に輝きが宿ったな、それほど食いつきが良いか。

 

「それで何が聞きたいのかな?」

 

「その前に、マスターいつものお願いできるかな?今日これから注文するの、俺に付けといてくれ。」

 

さあ、洗いざらい吐いてもらうか、心に隠したものも全て。

 

「劇団ララライ、そのOB達全員の現在の所属を教えて欲しいんだ。ララライのOBである貴男なら可能でしょ?」

 

「娘さんの件で、翼君の出自を知りたいのかい?」

 

「あぁ、そうさ。」

 

きっと神木ヒカル。彼に君塚翼を紹介した奴がいるはずだ。

 

 

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