虹の男と星の娘   作:丸亀導師

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第四十八話

[2026/3/14

男達が女達が涙している。多くの人々がその場、とても広い会場で涙を流し嗚咽している。

華々しい光、明滅する会場そんな中熱気に当てられていた人々は涙している。

 

彼等彼女等が応援していたB小町は解散する!何故だ!

 

「愛する人が出来たからだ。」

 

我々は一つの夢を失った。しかし、これは敗北を意味するのか?否、これは始まりなのだ!例えB小町が解散しようとも、我々はそれぞれの推しを応援し続ける義務がある!

 

例え推しに子供がいようとも、例え推しが結婚していようとも、我々は彼女等の夢を生き様を、応援していかなければならないのである!!

 

故に、我々はこのときよりB小町という箱を推すことを、辞める!

しかし、いつの日か同志諸君等と共に再び相見えよう時が必ず来るであろう!

B小町の伝説は今始まったのだ!

それぞれの道を歩む七人の戦士へ敬意を評すことこそ、我等の名誉であると!

B小町のメンバーに栄光あれ!

 

B−−小町!B−−小町!B−−小町!

 

世にいう伝説の終わり。それは、まさに伝説となった。]

 

 


 

 

〜sideルビー〜

 

「ママ〜、パパ〜、お姉ちゃ〜ん何処にいるの〜!なんで、皆で一緒に来たと思ったのに、こんな部屋に一人で!皆何処にいるの〜!」

 

貴賓室?みたいな場所に、私は一人ポツンと立っている。周りの丁度品は綺麗なものばかりだけど、なんか真新しくて歴史は感じない。形だけなのかな、凄く見栄を張ってると言うかそう見せなきゃ駄目だったってことかな?

 

「ルビー…まさか俺よりも先に入っているとは。才能は俺以上か…注意しないとな。本来ならNTの存在は人が宇宙に進出して最低90年以上経ってから至るはずの革新への入り口だからな。」

 

さっきまでしなかった声が聞こえた、後ろから聞こえたパパの声に振り向くと、なんか見たことがない。天然パーマのアポロの宇宙服よりシュッとしたのを着ている、大人の男がいた。

 

「パ…パじゃないけど、どちら様でしょうか?」

 

「いや、お前の父親、安室嶺であってるよ。この姿は前世の姿、魂の姿とでも言っておいた方が良いか?だが思った通り、ルビーの姿は違いが無いんだな。」

 

それにしても凄い格好、宇宙服なんて始めて見たなぁ。どんな素材なんだろ、動き辛く無いのかな?重くないのかな?

なんか右足のところに拳銃?みたいな物騒なものが見える…本当に戦争やってたんだって、そういうもので実感できた。

 

「流石はアムロ・レイと言ったところか、私よりもずっと早いとはな。」

 

さっきまで目の前にいなかったのにいつの間にか、全身赤色で金の意匠とマントがある服を着ている、長身金髪ハンサムおじさんが目の前にいた。なんか、話し方とか聞くとあの人だよねぇ。

 

「いや、俺よりもルビーの方が早かった。カミーユの二の舞にならないように、しっかりと教育しないと。うっかり、アッチの奴等に連れて行かれでもしたら、たまらないよ。

 

俺とお前がこちらにやってきたことで世界に与えてしまった最大の影響はアオリスト……ミノフスキー粒子関連を始めとする科学技術の発展の前倒しではなくNTの出現を90年……それもカミーユに匹敵する域の才覚の開花させたことを踏まえると100年以上前倒しにしてしまったことだな」

 

「ほぉ、カミーユに連なるか。だとすれば、君の子供たちの価値はもはや一芸能人という枠に収まらない、いずれ今後の人類の未来を左右する程の立ち位置となるだろう。我々の世界で起きたNTに纏わる悲劇が繰り返されないようにかなり過保護にする必要があるな。」

 

カミーユって誰?というか、女の子みたいな名前だからきっと可愛い女の子だろうね、このおじさんが言うなら。でも、私とお姉ちゃんの存在が人類の未来を左右するなんて、いくらなんでも大げさな……でも、パパもその言葉に真剣に頷いている。この力を持つことってそんなに凄いことなの?

二人が来たのにママとお姉ちゃんがまだ来てない…遅いなぁ、大丈夫かな?

 

「ここはアクアの世界だから、たぶんアクアの魂が何処かにいるはずだ。アイは…まだ不慣れだから、もうそろそろ来れるだろう。」

 

なんかモヤモヤしたのがでてきたと思ったら、そこからママが現れた。でも…ちょっと若い?なんていうのかな〜、目元とか今よりも少しキリッとしてるのか「ルビー、今すっごく失礼な事考えたでしょ!」

 

「そんな事考えてないよ〜。それよりも行こうよ!」

 

「これで全員が揃ったな。ならば急いだほうが良いだろう、ここが何処かは移動しながら話そう。」

 

有無を言わさず、シャア?さんが私達を先導する。なんで道を知ってるんだろ、お姉ちゃんの心の中なんだよね。そんなのに場所とかそういうのがあるの?

 

「シャア、ここが何処か解っているのか?」

 

「あぁ、ここはアステロイドベルトにいた頃のアクシズ、その内装によく似ている。作り物、その全てが。これが何を意味するか解かるな?」

 

私とママに解るように説明してよ〜

 

「心理が同化を始めている可能性が高いと、そうだろ。」

 

「この時代のハマーンは、恐らくだがアクア君と同じくらいの年齢であると予想できよう。現にそこに飾られてある絵画等は、その時のものだ。だから、急ぐ必要があるわけだ。」

 

えっ?どうして、同じ年齢なら仲良く慣れるんじゃ

 

「ルビーその通りだ、仲良く慣れる。つまりは互いに混じり合う可能性もそれだけ高いというわけだ。」

 

「この時期のハマーンは、既に髪を短く揃えている。アムロなら、アルテイシアの髪型だと思ってくれれば良い。髪色は濃いピンク色だ、ルビー君的に言えばみなみくんのような髪色だと思ってくれれば良い。特徴的で解りやすいだろ。」

 

地毛でその色って確かに珍しいね。っていうかさ

 

「なんでそんなに詳しムグッ!!」

 

「ルビー、今はそんなことよりもアクアを見つけるのが先決でしょ!それで、今は何処に向かっているのかな?」

 

「謁見の間。恐らく、そこにいる。私をそこで待っているに違いない、アクア君と共に。」

 

お姉ちゃん、待っててね今すぐ助けに行くから。

 

 

 

〜sideアクア〜

 

 

身体がフワフワする、何もかもがどうでも良い。私は、誰なんだっけ?あれ?なんか見覚えのある顔がある、ピンクの髪の女の子?私と同じ、歳くらい?

 

「ねぇ、貴女はだれ?私はハマーン。ハマーン・カーン、貴女の名前を教えて欲しいな?」

 

わたし?私の名前は……なんだっけ?えっと、そうだ。

 

「ほしの、星野愛久愛海。なんでこんなところにいるんだっけ?」

 

「私が貴女を呼んだの、お友達になって欲しくて。私、貴女の事誰よりも知ってるんだ。臆病で誰にも本当の事を話せない、頼れる人も本当の事を聞いたら逃げちゃう、だからとっても寂しくて、それが気付かれたく無いから無理して見栄を張っちゃう。

なんか、貴女ワタシみたいだなって。だから、貴女は私なんだ。」

 

私は貴女?私はワタシ、私はハマーンさん?そうだっけか、私の名前はハマーン…ハマーン・カー「違いますよ」?

「貴方の名前は、星野愛久愛海。安室嶺と星野アイの娘、ルビーの双子の姉。だから、貴女はハマーン・カーンじゃない。」

 

貴女は誰?どうして、ここにいるの?私は、どうしてここにいる…私は私は!そう、私は治しに来たんだ。だから、ハマーンさん、彼女と顔を合わせなきゃ。彼女と話をしなきゃならない!

 

「大佐を私から奪った女、貴女がいたから大佐は変わってしまった。貴女がいなければ、大佐は私を愛してくれていたのに。どうして貴女は、大佐の子を身籠ってそのまま死んでしまったの?」

 

「私は大佐を愛していた、大佐は私を愛してくれた。それだけじゃ不満?それに、ハマーン。貴女は私を見殺しにしたじゃない、貴女があの時エンリケが来たことを、彼を止めていれば私は貴女に殺される事はなかった。再び家族を失う辛さを味わった大佐が失意と共にアクシズを去ることもなかった。違う?」

 

私が知らない見知った二人は口論する、その姿は醜く見えなかった。まるで、姉妹のようで互いに何かを求めあっているようで、二人は私など意に介さない。

そんな時、私は気が付いた。ナタリーの背中が濡れている事を、それだけじゃない、足を傳って地面には紅い染みが出来ていてそれが広がっている。

 

ハマーンの方もどんどん人が変わって言っている。丁寧だった言葉はより簡潔に、冷徹に変わって尊大になっていく。誰も信じられない、心の傷を埋めるものは何も無いこのままだと手遅れに…

 

「ねぇ、二人共もうやめて?傷つけ合うのは、もう辞めて!二人共おかしいよ、二人共同じ人を好きになって、同じ人を愛していたのにどうしてそこまで啀み合い、憎しみ合うの?二人共互いを姉妹のように慕っていたのに、どうして!」

 

「それは、私に責任がある。」

 

正反対の方から声が聞こえた、彼を私は知っている。

大佐、シャア・アズナブル大佐。私の憧れの人、違う!!私はこの人を知らない。父様は言っていた、純粋で全てのことを考えて、全てに絶望した人だって。

 

「ハマーン・カーン、君は私を必要としていたのは分かっていた。しかし、当時の私はそんな君を疎ましく思った。何故だと思う……一つはミネバを偶像に祀り上げただけでなく歪んだ価値観を植え付け、そのせいで私の懸念通りに彼女がザビ家に纏わる過酷な運命に翻弄される原因を作ったことが許せなかったこと、

 

 

もう一つはナタリーという新たな心の支えを私は君との諍いで失ったからだ……それに元々私は君の思うような完璧な男ではない。

言い訳を言い、周囲に気を使うのを嫌い自らの為に生活を送りたかった、ただそれだけの男だ。

 

一人の人としてありのままの私を見てくれた女性は、母アストライアと妹のアルテイシアといった家族以外ではララァとナタリーだけだったのだ。

君が私を見ているにも関わらず、君が助けを求めているにも関わらず私はそれを無視した。

 

それは当時の私は人から頼られ……いや、縋られることに疲れ切ってしまっていたんだ。君がマハラジャ・カーンの娘として期待と責任を背負わされることに苦しんでいたように、私もまた父、ジオン・ズム・ダイクンの遺児キャスバル・レム・ダイクンあるいはジオンの赤い彗星シャア・アズナブルとしての期待と責任を背負わされることに苦しんでいた。

 

だからこそ、ただのシャア…いやキャスバルとして私を見てくれたララァ、ナタリーに私は惹かれたんだ。故にあの時の私には君には誠に申し訳なかったが、その好意を知りながら受け入れることが出来なかったのだよ……私は母のアストライア、そしてララァに続いてナタリーまでを失ってしまった私は失意の限界に達して君を手酷く捨て去る形で袂を分かってしまった。

 

すまないという言葉では到底拭い切れるものではないだろう、だがこの子、愛久愛海は君とは無関係であろう?例え君の魂が、元になっているとしても、既に彼女は君ではないのだ。

 

死人が口に出していい問題ではないと、君自身薄々解っているはずだ。もし呪詛を吐き続けるのなら、彼女ではなく私にしてくれたまえ。」

 

ハマーンが口論してることが解らない?違う、言葉も動作さえも見えてないんだ、なんで?この人の方が、私なんかよりもずっと強い力があるんじゃないの?

 

血濡れのナタリーがシャアの直ぐ側まで歩いて行っている、このままだとどうなるの?

変質した愛情と、死人。そして、愛されていた人物が行き着く先は……、引きずり込む気でいるの?

 

「シャア、それ以上近づくな。誰だか、いやナタリーだと思うが彼女がお前に触れようとしている。それにハマーンは、既にお前を恨んではいないようだ。寧ろ、ニコニコと笑っている。」

 

「そうなのか?私にはまるで見えないが、これがなり損ないと言われた訳か。そうなるとあの第一次ネオ・ジオン抗争の最中にハマーンを救った者がいるというのか?」

 

それを見てハマーンが口を開いて言った、

「こうしてまた会えるのはもう少し先だと思っていましたが……近いうちに貴女の元に行けます。」

と。

 

父様達がそれを聞いて何か事案に耽っていると、母様がツカツカとハマーンの直ぐ側まで歩いていき、思いっきり

 

パチーン!

 

とハマーンを平手打ちした後、彼女の胸倉を掴んで言った。

 

「貴女が誰なのかなんて事知らないけど、アクアは私の娘なの!だから、アクアは絶対に貴女なんかには渡さないし、そんな貴女を私は許さない!

 

だけど、貴女はアクアの一部なんだからアクアでもあるの!だから、ビンタで許してあげる。だけど、もし次にアクアに何かしたらただじゃ置かないから!」

 

母様、背中から何やら凄いオーラが出ているように見える。しかし、平手打ちを受けたハマーンは平然と不適に笑みを浮かべて母様を睨み返すと同時に母様のそれを上回る圧力を発する。

 

途端に母様はハマーンの胸倉掴んでいた手を思わず離してしまうまでにオーラごと吹き飛ばされる形で体が仰け反らされ、背中から倒れ込みそうになった所慌てて父様が後ろから支える。

 

なんて重圧なんだろ……時折、仕事場でのさばっている大の男が叩きつけてくるどす黒い感情でさえ受け流せる自信のある私でさえ思わずビクつく程の迫力を見せた母様を圧力だけで黙らせてしまった。今では先ほどと打って変わって母様は相手から目を逸らしこそしてはいないものの父様の腕の中で震えてしまっている……これが前世の私…ハマーン・カーン。

 

現世の私なんて周囲の人から女帝呼ばわりされることがあれど、彼女の見せつけたそれに比べれば、世間知らずのか弱いお姫様でしかない……私はまだまだ彼女の足元にすら及んでいないのだ。

 

「フン!元より私は彼女を害する気など無かった、ただ肉体を一時的に借りるつもりではあったが。

あの、翼という男。奴が私の身体を害そうとするならば、私が身体の主導権を貰い、奴を痛めつけた後に肉体を返そうとな。」

 

「なんで…だって貴女は大佐に会いたかったって。」

 

ナタリー、貴女はそう言うかも知れないけど。ハマーンに未練なんて、もう無いんだよ。普通の家族が欲しくて、自分を見てくれる反対してくれるそんな家族がいて、もうそれだけで私は満足している。

だから

 

「ナタリー、もう良いの。私はハマーンの生れ変わりだけど、もうハマーンじゃない。だから、私は彼女を受け入れる。彼女が私を守ろうとしてたのは解ったから、だから。ハマーン、力を貸して、アレが何なのか私は知らなきゃならないから。」

(あの子がここに居ればきっと「それでいいんだ」って言ってくれるはず。そうでしょジュ……ん?あの子って……?)

 

「……やはりお前もあの子に魅せられたか。しかし、あの子という最後のピースを渡してやる前に、あの異物のことを片付けねばなるまい。現世の私、愛久愛海……お前の可能性を試させてもらうぞ」

 

(今度は潔さを、もっと上手に使ってやるとするさ。この持てる能力を、調和と協調に使えば、地球だって救えたかどうか。それを確かめるのが私がこの世界に生まれ変わった意味と役割なのということなのかな……かつてお前が私に言ってくれたことをこの娘と共に見定めるとしよう。なぁジュドー……)

 

 

 

〜sideあかね〜

 

「翼君、貴方が原因だよね。マリンちゃんが倒れたことって。私貴方の事、結構調べたんだ。そしたらさ、貴方の事全然解らなかった、ううん。解る必要すらなかったんだなって、そう結論が出たの。」

 

「解る必要すら無いってどういうことでしょうか?理解が及びません、僕は確かに貴女方の事が好きですけど。」

 

この男の感情は、何も無い。空っぽなんだ、愛されたこともなければ、誰かを愛したこともない。それどころか、怒りや悲しみを覚えたこともない、幸福すらも。全てを受動的に対応して、それらから受けたものを、〘器〙として色を与える。欲も何も無い。

 

「貴方にマリンちゃんが近付いて行ったとき、貴方は微笑んでた。まるで、仲間を見つけたみたいに。彼女は満たされているのに、貴方とは違うのにどうして?」

 

「僕は僕自身が器であると認識しています。僕にとっての価値は、僕を満たしてくれる誰かを見つけ出すこと、そして僕はそれを受け入れることで、僕というものが完成されるのを待っている。

だから、マリン彼女の心の器にあるものが見られれば、きっと僕は器としてまた完成に近づく。」

 

この人が何を言っているかなんて、私には解るはずもない。正直、頭がおかしい人としてしか認識出来ない。この人は壊れる以前に、まだ形がないなんて思っている異常者なんだ。

 

「社長はそんな僕に価値を見出していた。社長は、僕の価値を見て僕を育ててくれた。だから、僕は社長の望む通り、大きく光り輝く器になりたいんだ。その為には利用できるものは利用したい。悪役は器を大きくするから。だからさ…あかねさんも協力してよ僕の器を創るのを。」

 

私の配役は悪に鉄槌を下す正義、彼が悪になることでを臨んでいるのなら、喜んで協力しよう。

だから、マリンちゃん安心してねコイツは私が相手をするから。

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