虹の男と星の娘   作:丸亀導師

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第五十二話

「2026/9/25

十五夜の月見それを家族と祝おうと約束をした…しかしそれは叶わなかった。政治屋達にハワイへと連れて行かれた。

 

そこで待っていたのは、筋骨隆々の男達、米海兵隊員達だ。

何をするのか、彼は聞いた。  

その答えは、コンバットゲーム。

レーザー照射を行う実銃と同重量のアサルトライフルを使用するそれは、実戦的な室内戦闘を提供する。

 

そんなものに何故参加させられるのか、答えは単純。あまりにも人間離れした彼の武勇伝に興味を抱いた、日本政府と米政府が無理矢理企画を創り、彼のその姿をカメラに映そうというものだ。

 

彼はため息を付いて、致し方なくそれを手に取り屋内へと入っていく。狭い路地のように閉じられた部屋、物音。遮蔽物、全てを彼は把握しているかのように、縦横無尽に動き現役軍人達は為す術も無く敗北を喫する。

まるで何時どのタイミングでどの角度でどの深さで顔を出すのか、どういう撃ち方をしてくるのか、全てを理解しているような動き。

もしもそんな事が可能ならば、きっと彼は化け物か何かだろう。誰だって思うだろ、悪魔か何かの化身ではないかと。

 

こうして両国の政治屋たちが独断専行で催した企画が終わるのとほぼ同時に知らせを受けて現場に駆けつけてきた当時の日本の総理大臣と米国の大統領が彼に頭を下げて謝罪し、そして自分たちに無断でこのような勝手に走った政治屋達は両国のトップからこっぴどくに絞られ、次はないと最後通告を受けて政治屋達は震えあがることになったという。」

 

 

 


 

〜sideルビー〜

 

ダンっ!!

ビクッ!音と共に身体がビクつく、昨日のよるパパがいつ返ってきかは解らないけど、今朝朝食のために降りてきたらママが、怒髪天を衝く形相でパパと相対していた。

MEMちょに願書出願を促していた時の、ウキウキとしたものから一転して、これはいったいどうしたことだろう?

 

「おはようルビー、どうしたの……なんか凄い事になってるね。キッチンの方行こ?MEMちょもこっち付いてきて?ほら、ルビー見てても面白いものじゃないから行くよ?」

 

見てても面白いものじゃないのはなんとなく解るけど、あの怒りのママを目の前にしてパパ全く動じてない、肝が座ってるのかそれとも肝が無いのか。どっちなんだろ。

 

いつもいつも言ってるよね!どうしてこんな無茶苦茶な要求の契約書とか、企画のドラマを取ってくるかな!?あの時もそうだったよね!自分の身体とか、家庭の事もうちょっと考えてよね!殺されてもおかしくなかった、命の危機だったの忘れたの!だいたい…

 

うわぁ、ママがあんなに怒るの久し振りに見た。パパもこりないよね〜、前にハリウッドの撮影現場に呼ばれた時、確かママに断りもなく行ったんだよね。

そん時のママ本当に怖かったし、ハイジャックされたってNEWSが流れた時、目の光が消えて全てを失ったみたいになってた。どう考えてもパパが悪いよね。

 

「ルビーの考えること、合ってるよ。今回は特に父様が悪いから、だから絶対に母様の味方をしよ?」

 

「そうだよね〜、幾ら仕事だからってそんな事ばっかじゃママが可哀想だよ。MEMちょもそう思うよね?」

 

「うぅんんん?いや、えっとそれよりもお二人のお父さんって、安室嶺であってるの?え?ううん?B小町のアイが母親でアカデミー賞俳優の安室が父親。

で、二人は方やアイドル。方や女優……めっちゃサラブレッドなんですけど!」

 

昨日の夜ママに説得されるがままに、願書を提出させられたMEMちょ。パパが帰ってきたら、社長達に渡すんだと言って行けどこの朝の惨状、一体何が起きたのかと言ったら良くわからない海外ロケのドラマの契約書をママが持っている。

 

「まぁまぁ、そこは落ち着いて。私達がサラブレッドだとしてだよ?そもそも、私達がママの子供だって知られてないわけだし、パパの子供とも知られてないわけ。つまり、お姉ちゃんの女優としての経歴は、お姉ちゃんの実力の賜物ってことだから、つまり!私がアイドルデビューして、今までの活躍で得たファンの数も私の実力なのだ!」

 

「ふぅ〜ん。で、今の登録者人数は?」

 

おっと、それを言われちゃしょうがねぇ。なんて、うわぁ辛辣

 

「3021人…」

 

「何か動画とか出してるの?編集とかって誰がやってるの?」

 

MEMちょが、目の前に!もしかして、アドバイスしてくれる?だとしたら、登録者数32万人の力をお借りしたいです〜!

 

「うん、じゃあそうだね。出始めに、私が苺プロと正式に提携して、そこから動線を引っ張って来たほうが良いかもね。それが一番手っ取り早いかな?」

 

おぉ神よMEM様よ、私達を見捨ててなかったのですね!

そう言えば、さっきから隣が静かになってるな…

解決した?

 

「ルビー、そろそろ時間。学校遅れるよ?MEMさんはこの後どうします?」

 

「う〜ん、苺プロに顔を出したいんだけど…ねぇ、今の雰囲気解るよね?」

 

「めっちゃわか」うわぁぁぁん、どうじで!どうじでだめなの!いっじょにづいでいぎだいのに!」

 

聞こえて来ちゃったよ、ママが怒りの後に泣き出しちゃったよ。色々決壊しちゃったのかな?

これは流石に止めないとね。

 

タッタッタと

 

「パパもママも良い加減にして!パパ、ママを泣かせるなんて最低!自分の都合で家庭を滅茶苦茶にしないでよ!ママ、大丈夫?」

 

「シクッシクッ。アムロのロケにわたしも着いていくって言ったら、ズッ。だめだって、良いじゃん!自分の立ち場も考えてよ!!あなた一人で行かせて、それで死んじゃったらって何度も言ってるのに!どうして!どうして!」

 

「俺は死なないよ…それに君が大切だから」じゃあ一緒にいてあげてよ!おかしいじゃん!家族が大切なら、なんで一緒にいてあげないの!!」大人の事情ってのがあるんだ、こればっかりは覗かせる訳にはいかない。」

 

パパの心って本当に解んない。私達には色んな事を教えてくれるし、色んな事を協力してくれるけど、心だけは絶対に全部は開かないじゃん。

自分から嘘付かないって言ってたくせに、これは卑怯だよ!

 

「アムロ…私ね。この子の事もちゃんと育てたいの。ルビーやアクアだけじゃなく、この子も。だから死なないで?」

 

この子って…胎児ってこう見えるの?

 

「解ってるよ、だから未来の為に今やらなきゃならないことがある。解ってくれとは言わない、だからせめて、返ってくるのを待っていて欲しい。」

 

「うん…解った。だからさ、証を頂戴?」

 

あぁもう、朝からコレだ!遅刻しちゃうよ〜。

 

 

 

〜sideかな〜

 

「で?それでアンタ等学校に遅刻したと…何よそれ。

痴話喧嘩は、間に入らないほうが良いのよ。結局当人達で自己完結してるじゃない。」

 

まったく、そんなんで成績落ちたらルビーなんて頭そんなに良くないんだから、最低でも出席はきちんとしないと。将来留年しかねないのよね…。

 

「で?あのMEMちょが、加入したと。まぁそれは良いわ、それよりもJIFまでそこまで時間無いのよ?ダンスとか大丈夫かしら。」

 

「先輩も色々考えてくれるようになったんだね、そうなんだよMEMちょ、ママに言わせれば結構出来る人らしいんだけど、それでもあの〘スパルタ〙に耐えられるのか、今から心配で心配で。」

 

う〜ん、それにしてもあのMEMちょが、年齢でサバを読んでいるとは。まあ、そんな事は今更どうでもいいこと、この業界なら別に珍しいことでもないし、処女じゃないのに処女がいたり、恋人いるのにいないって言ってる人もいるし。嘘で塗り固められた世界なんだから、どうでもいい事よ。それよりも…

 

「年齢で夢を諦めようとしていたなんてね…もしかしたらあーちゃんがいなかったら、私もMEMちょみたいに案外別の道に行ってたかもしれないわね…。アンタが男だったらきっと、私は今の道にいなかったかも。」

 

「いや、かなちゃんは私がいなくても案外、続けてるんじゃない?ほら誰よりも負けず嫌いだしさ、自己顕示欲強かったし⤴

案外私が男だったら、かなちゃんと恋人だったりしてね。」

 

あーちゃんみたいな性格が好きな女なんて、きっと面倒臭い奴に決まってる。それにだ、この〘面だけ二重人格〙。長年親友やってるから言えるけど、頭が良い分。たぶん恋人への反動凄いのよ、性欲の塊みたいなんじゃない?

 

「あーちゃん、それは失礼だよ。私の恋人はあかねちゃんです、それ以外は…いない」

 

「ふぅ〜ん、いるんだ。年齢=彼氏いない歴だったアンタがねぇ、もしかして。もう捨てた?初めてを捧げたんじゃないでしょうね?」

 

目を逸らしやがった、やったのね。なるほど、二股かけてるな?

身を滅ぼしそうな、相変わらずリスキーな事が好きねぇ、でも今ガチに出る前は流石にここまでじゃなかったわよね。

 

だって二股なんてバレたらスキャンダル確実よ、それにいくら弱ってた所もあるとはいえ、まだ会って間もない男の子にキスまでは百歩譲ってまだしも初めてまで勢いのまま捧げちゃうなんて度を越してない?

 

今のあーちゃんって被虐体質にも程があるんじゃ……思えば今ガチで抑え込んでた性を開放したせいで盛大にハッちゃけて、そしてあの翼って男に付け込まれる形で心をズタズタにされて疑心暗鬼に、そして応急的に一度持ち直して…そいつを無害化させるべく、今のキャラ作りをまだ心の傷が完全に癒えていない状態で殆ど無理して行ってその果てに男女を二股にかけるという……これってちょっとまずくない?

 

「酷いなぁ、なんて思ってるんじゃないの?率直な感想よ…何面食らってるの!アンタの事なんか、力が無くても解るわよ。それよりもアンタ大丈夫?」

 

「大丈夫って何が?」

 

「あんた今ガチに出て以来、色々とあったせいで自分のキャラ滅茶苦茶に弄り回したでしょ。

しばらく仕事とか休んで自分がどんな人間だったか思い出した方がいい…私達役者は役になりきって演じるのが仕事だけど、その際に気を付けなきゃいけないのは、役を演じようとするあまりにその役に飲み込まれちゃって自分を見失なっちゃうのは駄目よ。

 

なまじ才能がある役者ほど陥りやすい落とし穴だから、それで穴に落ちて壊れる実力者は多い。今のあーちゃんって正直に言って傍から見ればかなり危ういわよ」

 

 

……

 

「はい、今日のレッスンは終了。で、MEM感想を聞かせろよ。」

 

今日のスパルタ練習が終わった…流石に私達は慣れてきたのか最近は楽しい…いや完全に毒されてるだけか。

それに引き換えMEMちょ改めメムはと言えば、

 

「ゼーハーゼーハー、うっ嘘。うっん、私よりも歳上の筈なのに!こ、こんなに動けるなんて…こ、これがB小町…」

 

なんて言いながらバタンキューしそうになってる。ま、メニューは色々あるけれど、私達個人個人に合わせて考えてきてくれているだけに、サキとニノの二人のコンビは尊敬しちゃうかも。

 

「いや〜、良く耐えきったね!どう?今度家の店にご飯食べきなよ、そしたら歓迎するからね〜。」

 

また始まった、高峰さんのお誘い。因みに付いていくともれなくご飯が食べられるが、物凄い剣幕で夫を紹介される。それはもうべた惚れだ。そして、夫の方からも如何に高峰さんが素晴らしいかと言う、論説が始まるから行くならプライベートの方が良い。

因みに味は保証しよう。

 

「学校で見てきた子達よりも、随分と動けるよね。いや〜、ねぇメムちゃんは高校中退?そうじゃなかったら陽東高校に来なよ、きちんと勉強見てあげるから。」

 

この人がB小町だったなんて私は解らなかった、学校一動ける体育教師、特に創作ダンスとかが得意で意外と有名人なのだけど、まさかねぇ。髪型変えただけなのに、人の印象はわからないものね。

 

「今日はアイは休みだから、その分みっちりやったけど、かなちゃんよりもセンスはあるね。ただし、歌は及第点も良いとこだ。良し、じゃあ特別メニューを与えよう。

じゃ~ん、喉が潰れない発声練習の仕方。終わったあと教えるから、家で練習すること。

YouTuberなんだから、部屋は防音仕様でしょ?練習風景も動画で配信すれば、一石二鳥!」

 

この人、一応苺プロの医療担当なのよね。というか、医者な分私達の肉体の限界を解ってるよみたいだから、そういうメニューをサキに提案しているみたい。恐ろしいわね…実際身体がだるくなる、なんてこともないから有能ね。

 

「ねぇ、ミネちゃん、サキちゃん。この後さ、この子達の楽曲の振り付けに着いて相談があるだけど良い?」

 

「あっ!それさ私にも噛ませてよ、衣装とかそういうので調整してみたいからさ。」

 

メイさん、ニノさんと名前が丸かぶりだから最初、どっちをどう呼ぶか考えさせられたけど、メンバーどうしての呼び方があったみたいだから、良かったわ。

それで、衣装が気になるところね。いったいどんな姿になるのやら。ナベさん、どうか恥ずかしいものにはしないで下さい。

 

 

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