虹の男と星の娘   作:丸亀導師

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第六十話前

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2029

「姉ちゃん、本当に良いのかよ。俺等ばっかり夢追いかけてさ、姉ちゃんの夢叶えてあげられたくて。

なあこんなYou Tuberなんてやって、俺等必ず恩返しするからさ。だから、一緒に。」

 

(夢なんてそんなもの、とっくの昔に追えなくなってるから)

「別にそんな事気にしなくて良いよ。私は私で、楽しく活動できてるから、だからそんな」

(もう叶えられない夢なんて)

「追えなくても良いんだよ♪」

 

「だからさ、二人共私の分まで一生懸命勉強して、立派な会社に入ってママを支えてあげて?それが、私からの願いだよ?」

 

二人の弟を持つ彼女は、母の看病がてらほうぼう手を尽くし弟たちを大学へと入学させる資金をかき集めた。

それは彼女の夢を代償にし、彼女の情熱は燃える盛ることもなく燻り、惰性によって彼女は新たな道へと進んだ。

だが、未来とは解らないものである。その進んだ先に夢があるなど誰が考え付こうか。

 

 

2032/

 

「あっもしもし、ママ?私○○○○○だよ久しぶりー○○は?そう、良かったしっかり大学卒業出来たんだ、……それでそうふ〜ん。

ねぇママ、私ねアイドルやることになったんだ。

そう私の夢やっと叶うんだよ、グループ名はB小町って言うんだけどさ、そうそうそののB小町。再結成したグループに選ばれたんだよ、だからさ私の夢もう一度応援してくれる?

 

…うん!ありがとう、私がんばるから。うん、うんママも身体に気をつけてね、じゃあね〜。」

 

薪を焚べ混られた燻りは再び燃え上がる。]

 

 

 

 


 

 

 

〜sideMEM〜

 

私達は、ミヤコさんの車で会場まで移動している間に私は、アイさん達旧B小町の人達がなんで練習に来なくなったのか、ルビーちゃんの考察を聞かされた。

 

「エエ?B小町の復活!?

 

「そうみたいよ、ルビー説明してあげなさいよ。」

 

「まずはこちらスケジュール表をご覧ください…ここスターライトステージが私達の時間帯で会場はここ、」

 

ルビーちゃんの指がパンフレットの地図と時間帯を行き来する。まぁここまでは良いんだけどね?

 

「それで、じゃあこの名前に注目して〘傾城フラクタル〙メディアへの露出とか、地下ステージとかそういうところへの出演とかが一切ない、アイドルグループ。

 

まあ、私達みたいにYou Tubeを活動主体にしてきたような人達ならわかるんだけど、そのチャンネルも掲示板とかへの書き込みとかも一切ない。あまりにも不自然なグループ。

 

なにより、私達の直ぐ横のステージで尚且つ私達のグループとは10分くらいしか変わりがない時間帯。どう考えてもおかしい。

後、このグループの後援者が蒼月 昇っていう人物だってところもある。」

 

 

蒼月 昇…なんかどっかで聞いたことがあるような…あ、なんか有名な都市伝説

〘安室嶺、別名義でB級映画に出てる説〙

だったっけ?

そう言えば、その映画の監督さんも五反田って名字だったしなるほど、以外とこの説明作ってた人当たってる。

 

「なるほどね~当たらずとも遠からず。」

 

運転主のミヤコさんがその理論に声を出した。

 

「今更隠しても仕方ないのよね、ルビー貴女の考えはあってるわよ。蒼月 昇っていうのはあの人の別名義で、合ってるしね。

頭はそんなに良くないのに、勘が鋭いのはアイに似たのかしらね、それに直感的な部分は安室さんに似てる。」

 

う〜んそれじゃあ、完全に私達とかち合うみたいだね…3人の中で一番練習時間が少ないのは私、つまり一番の足で纏いになるのも私だ。

自分でも一番出来てないのは解ってるよ、一応私のフォロワー達がそれなりに来る予定になってるから、人は確保出来てると思うけど、私の粗を探す人はきっといるはずだ。私みたいに登録者数が多いってことは、それだけアンチがいるってことでもあるから。

 

「ねぇMEMちょは大丈夫そう?気張ってない?」

 

「う〜ん、そうだなぁ。やっぱり緊張とかするよ、こんなに大きなイベントでしかもプロアイドルとしてやるんだから、緊張しないはずないよね?」

 

「なら、心配いらないわよ?私が一番先頭に立って、あんたのそれをカバーしてあげるから。大丈夫、皆の眼差しを奪ってあげるから。」

 

うへぇ〜露骨に私からファンを奪う気満々、まあ元々グループアイドルなんてファンの取り合いとか多いって言うからねぇ。

結局のところかなちゃんも、そういうところがあるってことかな?

 

「なんか誤解してるみたいだけど、先輩はママ達から奪ってあげるって言ってるんだよ。だからさ、MEMちょはMEMちょの得意分野で戦って行けば良いんだよ。」

 

卑屈になっても仕方ないよね、やれることはやるしか無い。後は、終わった後に考えればいいかな?

お母さん、私今凄く良い仲間が出来たよだからさ絶対に、成功させよう!

 

 

〜sideアクア〜

 

「あかねちゃん!お願い、この前のライブの時みたいに〘かなちゃんの為に〙サイリウムを振ってほしいの!」

 

私は今、あかねちゃんをカフェに誘って頭を下げている。勿論、結構人目に付くから私は男装している。また成長してしまった胸に併せて例の下着メーカーに新しく注文しておいた新素材のサラシ、以外と上手く潰れて痛くないし何より、自然だ。いっその事コルセットも考えてみるべきか?今度相談してみるか……

 

「いや、ななんのことかな〜^^;

わ、わた、私、そんな事身に覚えないしそんなアイドルの推し活なんてやった事無いんだけどなぁ〜。」

 

私は別にアイドルの推し活をしてくれなんて言った覚えはない、つまりあかねちゃんは、かなちゃんの推し活をしているようだ。たぶん、JIFには一人で乗り込むつもりだろう。この様子だと、どうやらあの時気付かれて無いと、そう思っているようだ。残念、貴女の演技は一流だけど変装技術は呆れるくらいど三流なのだ。

 

「そ、それにもし万が一私達が一緒にアイドルの推し活やってることがバレたら、二人共なんて思われると思う?

変態扱いされたら、本当に嫌だよ!」

 

流石にそんな事にまでスキャンダル扱いされないとは思うんだけど、それに

 

「ゆき達も誘ってるから大丈夫だと思うよ?今ガチメンバー勢揃いで、正に一大イベントだよ。続きをやってると思ってさ、お願い!」

 

勿論嘘である。誘ったのは事実だが、来てくれると返答は帰ってきてない。よしんば帰ってこなくても、たった二人人が来ないだけだ、なんとかするとも。ケンゴ君は快く承諾してくれた、元より私と一緒に周る予定だったしなにより、楽曲を調べたいみたいだ故にケンゴ君以外のバンドメンバーも同じ目的で訪れるとのことだが、ケンゴ君のバンドは今や躍進中なだけあってメンバーの顔がそれなりに知られているからそれぞれ変装してバラバラに訪れるので安心していいそうだ。

 

ま、確かに屋外だと音の反響とか無いわけだから、ケンゴ君自身を始め他のメンバーも職人気質の強いアーティスト揃いだから仕事に使えるのなら何だってやる人達だっていうし色々と調べるんだろうなと。勝手に思っています。勿論、彼氏のことは信じたいですので。ケンゴ君の言うところ訳アリの人間たちが集まった個性的なバンドらしいけど……それはさておき、

 

あかねちゃんは基本オドオドしている。本当の自分に少しだけ自信が無いから、彼女は役を作るとき完全にそれに成り切るために、プロファイリングをするんだろう。

私と似たようなものだけど、原作者が生きているのなら私は貴女よりも遥かに上手く役をやれる自負はあるよ。

 

「う、う〜ん。一応空いてはいるんだけど、一人で行くのはちょっと気が引けるというか…」

 

「大丈夫だよ!あかねならやれるって!ね?」

 

彼女にとっての私は、このくらいの口調だったかな?最近直し始めてるから、チューニングに時間かかってるけどこれくらいだよね?

 

「解ったよ、うん。そうだよね私達一応、彼女彼女だもんね二人でライブ行くのなんて別に怪しいことじゃないし、インスタにあげるのなら以外と持って来い出し、私やるよ!」

 

そう来なくっちゃ……なんか、利用してるみたいで嫌だなぁ、自分が無意識にハマーンさんに近づいてるみたいで。

 

『フンッ、では辞めればよかろう。貴様が私のようになる必要は無いのだからな。』

 

拗ねてる、内心はすっごくかわいい人なんだけど、本当に捻くれてるなぁ。

 

 

 

〜sideルビー〜

 

ゴロンゴロンのごった煮状態の楽屋、サウナのようなここにいるくらいなら、まだ館内歩いてたほうが熱くなくていいや、って思いながら歩いてる。

 

本当に色んなアイドルグループがあるんだなって、私達もその有象無象の中の1つのグループで、私達はそんな中から抜け出さなきゃ駄目だってそう思うんだけど、殆ど素人と変わらないようなそんな私達が果たしてどこまで出来るかって事はねぇ。

 

おや?向こう側から人が歩いてく……この気配、ママ達だ。何してるんだろう?私達の楽屋の方へ歩いてるってことは、私達に会いに来たってこと?

ううん、いやなんかいつもよりも雰囲気が重いというか、B小町時代どんな感じだったかは知らないけど、物凄い圧を感じる。

 

7人が歩いてくるけど……アレ、たぶんステージ衣装だよね?そんなの着て堂々と歩いていいの?いや、燕尾服だからここまで着れてるんだ。それぞれの色のシルクハットに片眼鏡なんて付けて、それにステッキを使った歩き方も様になってる。

仕上げてきてる、それはもう日常生活に使えるくらいに…これは相当仕上げてきてる。

 

凄いのはその立ち居振る舞い、ママはパパと一緒に婦人として呼ばれてそういう場所に行った経験がある(変装してた)けど、他の皆はどうなんだろ?歩き方一つ一つに品があるからきっと練習したんだろうけど、本気なんだ。

 

「こんにちわ〜」

 

ここは解ってない体で接していこう。

 

「うわっ、ルビーだ!うっわなんか恥ずかしい、だからこんな格好で歩きたくなかったんだ!」

 

サキさん解りやすいというか、自爆するの辞めてほしいんですけど。

皆冷ややかな目で見てるし、なにこのグループまるで隠す気ないじゃない。

 

「あ、アハハ。る、ルビーこんなところで何してるの?いや~お母さん達、道に迷っちゃったみたいでね?それで色々見て回ろうかなぁって。」

 

「はぁ、アイ説明文逆よ逆。まったく貴女は比類なきエースであってもリーダーの器じゃないんだから、良い?神輿は担いでやるから。」

 

「やっぱり、B小町の皆も出るんだね。なんとなく解ってたけど、私達とブッキングする時間だし隣だから、ファンを取り合うと思うけどそれでもやるんだ…」

 

私がそう言うとママ達は真剣な眼差しで私を見てきた。

 

「うん、そうだよ。私達に勝って始めて貴女達はB小町になる。正式な私達からの卒業試験だから、正々堂々とやりましょ?」

 

正々堂々とか…あえて私達よりも10分早くやる意味、解ってるよね?客をあえて集めて、私達が始まったらそれを私達がどれだけ取れるのか、そしてママ達の番が終わったらその客層をこっちに流す算段だって。徹頭徹尾私達の為だってこと解ってるから。

 

「じゃあね、ルビー。また、ライブが終わったら会おっか。」

 

 

 

 

〜sideかな〜

 

「まったく、ルビーのやついったいどこに行ったのよ。本番まで後一時間も無いっていうのにほっつき歩いちゃって。あぁ~も〜探すの手間じゃない!」

 

こんな時に携帯はあるのに、肝心な時に持っていかないんだから。

スタスタと歩いていると、

 

「⁈§™¡‾⁇‼‼‡‾」

 

は?なにこれ、

 

聞き取れない、そんな言葉が聞こえてきた。

 

誰かしら、こんなところで喋ってるなんて

 

声に意識しながら物陰に隠れて件の人物をみる、スタッフのようだけれど何処か様子が変だ。目が虚ろで、ブツブツと何かを喋ってるこれじゃあまるで

 

「操り人形ってところだな?」

 

うわっ!声を出さなかったのが、奇跡みたいなものだった。

アムロさんが目の前にいた。

 

「どうしてこんなところにいるんだい?君の出番はもうすぐだと思うんだが…」

 

「ルビーのやつを探してたんですよ、そしたら声が聞こえて。」

 

アレはいったいなんだろうか?人なんだろうけど、まるで意識が無いみたいに…

 

「アレは俺に任せてくれ、危害は加えては来ないと思うが念の為気絶させておく。」

 

気絶って、乱暴な。どうしてそこまで…

 

「ヤツじゃないという確証がない以上、やっといて損はない。」

 

ヤツ……コレがシラトリとか言う?

 

「確証が無いと言っただろ?さ、行くんだ。おそらく単なるヤク中だと思う、安心してくれ。」

 

危険なことをしようとする、そんな彼を私は止められないと思う。けど、大丈夫だろうか?

 

 

……

 

「あーもう、先輩どこ行ってたの?もうそろそろ始まっちゃうのに」

 

「アンタが勝手に居なくなるからでしょーが、ってそれよりもちょっと耳貸してくれる?」

 

ねぇあんたの力で変なやつとか見つけられない?虚ろな目をしてるとか、ぼ~と立ってるようなやつ。

 

う〜ん、出来なくは無いだろうけどやりたくはないな〜、折角のライブなのにそんな事やって疑心暗鬼覚えたくないもん。

 

出来るならやって欲しい、切実な願いだ。

 

解ったよ、う〜ん?念の為に会場にいるお姉ちゃんとその中にいるハマーンさんにも呼び掛けて力を貸してもらうか。あ、なんかねMEMちょに似た人、お母さんかな?に何かいるのかな?でも、全然そういう雰囲気じゃないよ。

 

「え?私のママがどうかしたの?」

 

「え……メムさんのお母さんがライブ見に来てるんだって、そういう話よ。」

 

あっ、ヤッベあまりそういう身内ネタは言わないほうが、

 

「本当に…?フフ、そうなんだ!よ〜し、今日は頑張るぞ〜二人共!スクラム組も!」

 

「組んで何すんのよ、何かのおまじない?」

 

「昔の人達はそうやって、士気を高めてたんだよ!さっ組も!」

 

型を寄せ合って、三人で円陣を組む。

 

「B小町ファイットーーー!」

 

「「おっ、おー」」

 

「声が小さい!B小町ファイットーー!」

 

「「おー!」」

 

何か嫌な予感を感じながら、私達はステージに歩みを進める。悲劇が起きないことを祈りながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

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