虹の男と星の娘   作:丸亀導師

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第七話

 

劇団ララライ、かつてはサークル活動から始まった〘零細劇団〙演劇を行う役者たちの腕は決して悪いものではなく、寧ろ卓越したものも見え隠れしていた。如何せん人が足らないことから、劇団とは名ばかりに劇が全くできなかった時期がある。

俺がアイちゃんと初めてあった頃、俺はこの劇団と対立をしていた。

 

この劇団、劇団員は皆変わり者ばかり。空気がそんなに良いようには見えなかった。特に外部との関わりが薄いという点において。

金田一氏を始めとした、創設メンバーは外部の人間。つまりは外部のプロをその時初めて入れた。

俺だった。

 

サークル活動からの延長線、確かに光るものがある。だが如何せん荒削りが目立ち過ぎた。第一に小道具。演劇をするにしても、小道具の構造が旧すぎる、使い慣れたものが良い?バカを言うな、いくら役者が良くても舞台装置が駄目ならば基本何をやっても駄目なのだ。

基礎というものは、演劇ではない。演劇をする環境なのだ、どんなに凄い劇団でも塔婆の前でハムレットは出来まい。

 

それと、舞台という場所の演技に固執しすぎていた。TV等のように失敗しても再チャレンジ出来るものではない舞台演技。その為に、台本が動きの単調なものを選ぶ傾向があった。なるほど、客が来ないわけだ。動きが解りやすくて、砂時計を見ている感覚だ。

 

母が生きていた頃、良く舞台を見に行った。かの有名な、レ・ミゼラブルもこの時、母が死ぬ2月前にブエノスアイレスへ連れられて。こんなにも舞台とは素晴らしいものなのかと、俺の価値観は痺れた。

 

適切な投資場所、改善点は数日で洗い出せる。

最難関だった人の改善は、少し力を行使させてもらったが上手く行っただろう。

大の大人が、学生を見て瞳を閉じて悔しがっている姿は、実に憐れだった。実力で解らされたら、プライドはズタズタだろうに。まあ、だから今は人集めを兼ねて、外部の人を積極的に劇に触れさせているのだろう。

 

楽屋の椅子に座りながら昔を思い出しながらいると、どうやら来たようだ。

 

「お久しぶりです。あれから2年になりますか、随分と大所帯になりましたね。」

 

「こちらこそ。まさか、再び見える事になるとは思いもよりませんね。私達の間で貴方がなんと言われているのか、わかりますか?」

 

『悪魔のようだ。』

 

「何でしょうね、劇団は出演オファーされた場所だけに行っていますので。劇団の業界内での、俺の評判はあまり気にしていないので。」

 

近くにもう一人、視線を感じるがなんだ。アイとはまた違う、もっと歪な破滅的なそんな情動?

 

「貴方の白味がかった肌の色、真黒(シンコク)の瞳、歯に衣着せぬ的を射た発言、そしてそれの代償に何かしらのプライドを折られる。〘白い悪魔〙なんて、呼ぶ奴も中にはいますよ。」

 

「契約に対する代償、見返りに、改善点を提案する者。まあ、確かに西洋風な悪魔に似ているな。」

 

そうでしょうそうでしょう、と首を縦に降っているが本人を目の前にしてそこまで言うのは、俺という人間を良く研究しているな。

 

「それで、今回のご要件の4名。こちらのワークショップっで演劇指導をさせていただきますが、貴方とはどういう関係で?」

 

「事務所の後輩であり、新戦力。俺も人間だからね、いつまでも無病息災にとは行かないだろうから、屋台骨を強化しようと思ってね。社長が新しい取り組みの一環として、アイドルユニットを作った。

アイドルという職業柄、俺というTV映画等の映像俳優よりも、貴方のような舞台俳優の方が、嘘を教える上では適切だと、社長も俺も考えていたので、今回お願いに来たといったところです。」

 

ウンウン頷いているな、判断を決めかねている。後、扉越しのたぶん小学生か中学生位。名は…

 

「それでも、貴方ほどの実力であれば舞台俳優と同じような事すら、造作もない事では?」

 

『オファーが来るってことはそういうことだろ』

 

「私の演技は非常に個性的なものですから、誰かが私を真似るような事は恐らくは出来ないでしょうね。勿論、自慢ではありませんよ、寧ろそんな自分に呆れています。」

 

『安易な自慢だろう?』

 

「そう言えば、扉の方に誰か待機させているんですね。」

 

訝しげにこちらを見るか、何かを聞いているのか?

 

「やはりというか、流石というか貴方は本当に凄いですね。一挙手一投足に注意していたはずなんですが、まさかバレるとは。入ってきなさい。」

 

扉が開く、入っきたのは端正な顔立ちをした金髪の少し大人びた中学生位の男の子。

 

「コイツは神木ヒカル。うちの見習い舞台俳優、将来は大成すること間違い無しの才能を持ってる。今回、そちらの四人組と年齢的にもっとも息の合うだろうということで、ご一緒させていきます。」

 

「∥∥えっと、ありがとうございます。」

 

照れたように見せかけるとは、普通じゃないな。内心何の感情の起伏も感じないぞ。こちらと目を合わせようともしない。

 

『この輝き、凄いなぁ。道標みたいに虹を纏ってる。マントみたいだ。シラトリさんの言った通りだ。これも僕の命に価値を与えてくれるだろうか。』

 

シラトリ?聞いたことのない名前だ、女優?それとも俳優か?俺を知っているのか?虹とは、何のことだ。

 

「はじめまして、俺の名前は安室嶺。気軽にアムロとでも読んでくれ。」

 

「えっと、神木ヒカルです。こちらこそよろしくお願いします。アムロさん。」

 

これは要注意だな。

 

 

 

〜sideアイ〜

 

[皆にそれとなく伝えておいてくれないか、俺は悪役だから俺の言葉をそれとなく伝えられるのは、アイ。君だけだから。]

 

なんて言われちゃったけどさ、タイミングってあるじゃない?最近の私の皆の中での評価ってお馬鹿で、かわいいで定着してきてるみたいだけど、そんな子が真面目な話ししてきたらどう思う?

そもそも、私にそんな勇気があるのかな。

 

「ねぇちょっと、何をそんなに考えてんのよ。アンタらしくない。」

 

「イヤ~ちょっとね色々考え事してたんだけどねぇ〜」

 

「どうせ、あの安室嶺の事でも考えてたんでしょ。」

 

ギクッ、どうしてわかっちゃうかな〜

 

「アンタ嘘は結構得意そうだけど、人と話すのは苦手でしょ。私には解っちゃうのよね、アンタの癖。」

 

「へぇ〜ニノちゃん私の考えてること解っちゃうんだ。じゃあさ、何考えてるか当ててみてよ。」

 

 

ふふーん今の私の雰囲気は、ふんわりとした感じのはず。貼り付けた笑顔でいればバレない!

 

「ふんわり笑顔で何にも考えてない。環境を作り過ぎてるの、境遇とか打ち明けられなかったら解らなかったかもしれないけど。少しくらい知ってればこのくらい余裕よ。」

 

「とかなんとか言っちゃって、アイちゃんの事凄く心配して一番気にかけてたのはニノちゃんなんだよねぇ〜。ねぇ、一緒の衣装作ってみたんだけどさ、皆でワークショップ行く時着てかない?」

 

良し!私の話題から逸してくれてる。わざとじゃないけど、ナイスファインプレー!

 

「ララライの周りって確か食堂あったんだよねー古いけど、そういう長い間やってるところって美味しいんだ。」

 

ヨシヨシ、このまま一気に…

 

「あ“ーもう。煩い!アイ!要件さっさと言って!じゃないと、今日のお昼奢ってあげないから!」

 

「それは嫌かな〜。じゃあ、アムロさんからの要注意事項。劇団ララライについて、神木ヒカルっていう私達と同じ位の男の子に気を付けろ。あれは狼だ。だそうです。」

 

「ほほー、つまりは女の子を性的に食べちゃうってことね。きっと顔はイケメンだけど、中身がヤバい系って事よね〜。

安室嶺、言ったことは正直アレだったけど小学生の頃から俳優やってるだけあって、そういうとこ解るのかな?」

 

アイドル始める前にアイドルとして終わるかもしれないから、気を付けろって事だもんね。

 

「皆気をつけて行こー!!」

 

オー

 




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