虹の男と星の娘   作:丸亀導師

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第八話

「くそっ、全く手掛かりすら掴めないとは。」

 

誰もが寝静まる丑三つ刻、夜を早めの休息した後調べ物を開始した。ここ数日、朝をそれに費やして来たものの成果は一向に上がらない。

 

神木ヒカルが言っていた(語っていない)『シラトリ』なる人物。それが非常に引っ掛かりを感じる、シラトリ、白鳥(ハクチョウ)、Swan。考えを否定したい、彼女のワケがないと。

俺がこの手で殺めてしまった、俺の最大の敵にして最大の理解者。

 

〘ララァ・スン〙一年戦争も終わりという頃中立コロニー群〘サイド6〙において、湖の畔にいた彼女とであった。

そして、エルメスに搭乗した彼女との死闘の最中、俺達は心を通わせた。いや、一つとなったと言ってもいい。スキンシップや性交渉など生ぬるい、完全に心を通わせ理解しあった。

 

だが、その時は既に遅かった。もしあの時、あの場所にセイラさんがいなければ。シャアがいなければ。たった二人しかいない肉親の兄妹が殺し合わなければ、俺はシャアを斬り殺そう等とは思わなかった。もっと早くに…わかりあえていれば。もっと早くに…互いの事情を理解していれば。俺が彼女を殺めることも無かった。

 

だが、彼女ならばあのような投機的な存在。殺人を平気で行おうとするだろう少年。そんな存在に力を貸すだろうか?

彼女は、戦争という絶望の最中でも一人で賢く生きていた。それでもなお、普通の家庭を夢見るという普通の女の子だった。

シャアですら、彼女の上辺しか見ていなかったのだ。

 

ならば、俺を知っている誰かか?

いや、もしかするとこの世界(じだい)に来る前にいた、あれと同じ様に記憶の断片から創られた紛い物、あるいは自らを殺した俺への復讐心しかもたないか。

 

「っはぁ。俺のことを知っているが、それでも俺があった事のない人物で、敢えて神木に俺のことを教えた〘シラトリ〙確実に芸能人ではない事は確かだな。だが、この世界の事を知っていることは確かか。」

 

厄介な相手だ、神木ヒカルにシラトリ。神木は必ず何かをやっている。そして、その隠蔽を手助けしているのがシラトリ。

向こうはこっちを知っているが、こっちは知らない。少し、有名になり過ぎたということか?

 

「平穏な生活も終わりか…俺は戦いの中でしか生きられないのかもな?」

 

五反田ディレクター。いや、今は監督だったか?確か何かの作品にノミネートされた作品があったと思うが、彼なら俺よりも詳しくマニアックな部分で、知っているかもしれないか。

業界全体となると把握は難しいだろうな、シャアなら全てを掌握していただろうが。

 

考え過ぎも良くないな、確か今日はB小町の初ライブだったな。俺のスケジュール。今日は…俺はコメディアンじゃないんだがな、

『日本の!科学捜査官!』という番組の収録がある、俳優業じゃないんだよな。ま、これも広報のためだ。

なんとか初ライブには間に合わせないとな。

 

 

 

なんというか、ネタに溢れる現場だな。現代科学に、知識もないのにひけらかすコメンテーター達。

理論というものは、そう単純に説明できるものではない。例えば現在実証実験が行われている、リニアモーターカー。

 

簡単に説明すると

あれは現在商用で使用されているトランスラピッドやHSSTのような常伝導電磁石ではなく、より強力な超電導磁石というもので、猛烈な速度で陽極と陰極が切り替わり、それによって反発と吸着を繰り返す事により速度を上げていく仕組みだ。

 

だいたいの番組では電磁石による浮上走行なんて簡単な説明をしているが、並大抵の事ではない。

一つの技術の出発点にはいくつものリスクが伴うということは、世の常だが、そこを番組の制作者は考えているのだろうか?

いや、無いだろう。超電導磁リニアには莫大な電力を必要とする。

 

それこそ、あの大震災の後の俺達の所属するこの日本という国の〘原子力アレルギー〙ともとれる言動によって、安定的に電力の供給すら出来なくなるかもしれない。

 

やはりこういう技術的なものを説明するには一時間番組なんかよりも2時間3時間の特番を…熱くなるな年甲斐もない。

番組に出演している大学の教授達も少し、呆れているように見える…少しくらい質問をしてもいいだろうか?

そう、彼等は実験中のある現象を間近で見ているはずだ。メールでの各国とのやり取りだけでなく、こういう場所でしか出来ない話がある…。

 

 

[四時間後]

 

楽屋に戻ってまで話しをしてしまった。まずいな、ここからB小町のライブ会場まで、2時間。ギリギリか!やってやれないことはない、やってみせるさ!

 

 

 

 

〜sideアイ〜

 

「う~ん、遅いなぁ〜。」

 

[君達の初ライブだ。必ず見に行くよ]

 

なんて言ってたのになぁ、なんか凄く残念。楽屋の中は狭いし、なんかジメジメしてるし想像してたより、なんか暗い?

 

「おい、クソアイドル共そろそろ時間だ、お前等の初舞台これからどう売れていくか、これで決まる。精一杯楽しんでこい。」

 

「ねぇ、佐藤さんアムロさんまだ来ないの?」

 

ヤクザみたいな目で私1人を睨んでる。

 

「だから、俺は斎藤だ!何度も何度も、良い加減覚えろ。アムロは仕事が長くなってしまったから、間に合うか解らないと連絡が来てる。映像では取ってあるから、終わったらアイツに見てもらえ。」

 

やる気なくなっちゃうな〜。せっかく練習して、色んな笑顔作れるようになったのに。歌や踊りだって、この日のために練習したのに。ぶ~ぶ~

 

「ほら、行くわよ。アンタ、そんなんで良くアイドルやろうと思ったわね。安室嶺が何ていうと思う?きっと、[君には失望したよ]なんて言うと思うけど?」

 

「ブーはずれー。アムロさんはたぶん[最初だから緊張しているだろうから無理をしては駄目だ]っていうと思う。あの人の本質は優しさだもんねー。」

 

「アイちゃんの方が安室嶺との関係が長いから、たぶんそう言うんだろうけど、その優しさにずっとつけ込んでると後々後悔するんじゃない?」

 

「それに、自分の為に一生懸命歌って踊ってる姿って、きっと男の人凄く嬉しくなると思うけどなぁ。私もさ、一生懸命服創ったのにライブじゃ使っちゃ駄目って言われてさ。でもね、ここで頑張ればきっといつか使えるんじゃないかって、そう思うんだぁ。」

 

 

ふぅん。皆そう思うんだぁ、ウ~ンじゃあ一生懸命やって一生懸命()付いて、一生懸命皆に()を伝えればアムロさんも私を…愛してくれるよね?

そうとなれば、行くぞー!

 

「本日最後となりました。新人アイドルユニットのB小町の皆さんです。」

 

「皆〜、初めまして。私はB小町センターをやらせてもらってます。星野アイっでーす!」

 

嘘もいつか真実になるのなら、きっとこの歌も真実になる!

 

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