虹の男と星の娘   作:丸亀導師

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第七十五話

〜sideルビー〜

「MEMちょの繋がりでMV撮りに行けるの!?凄いじゃん、やっぱり年の功ってやつなのかな?流石はMEMちょ!」

 

「ゴフっ!う〜ん凄い、害意の無いストレートな言葉が私を抉るよ…ボディブローがとんでクリーンヒットするよ。」

 

あ、だめだなぁ〜私は。女性に年齢の話題は禁物、私達だっていつかはそんな話題振られるようになるんだし、ここは優しくしておかないと。

 

「ごめんね?でも、MEMちょのおかげっていうのは本当に嬉しいよ!それで?何処に行けば良いの?」

 

「う〜んとね、宮崎まで行けば格安かつ大胆に取れるからって。東京だと撮れないような、そんな大自然の中での撮影ができるから、是非とも行ったほうが良い!」

 

B小町だけが大量にお金使うわけにも行かないしね、コネを使えるときはトコトン使って、後で義理を返したりすればいいしね!

 

「宮崎ね〜、確かに向こうのほうが暖かそうだし、最悪水使う奴でもこっち程寒くないかも…良いわね。」

 

「先輩…やっぱりMVとかって季節感無視でやったりするものなの?」

 

「そりゃそうよ、歌にあったものをやるんだから、例え真夏でも厚着をするし、真冬でも水着は当たり前よ。ここはドラマと同じね。」

 

ひぇ〜、じゃあ絶対に東京でなんかやらないほうが良いね。

 

「うっうん。じゃあ決まりね、私が連絡しておくから日にちが決まったら連絡するよ〜」  

 

あれ…宮崎に行くんなら、センセに会えるじゃん!

 

……

 

「もしも〜し、今お時間大丈夫ですか?なんてね、センセだからきっと大丈夫に決まってるよね!」

 

{え?あぁ、まあ大丈夫だけど。今日の診察も終わってるし、今は暇な当直やってるだけだから、緊急対応さえなければ暇だよ?}

 

「実はね!近日中にそっちに行くことになったの!それでね、センセの休日って何時かなって聞きたくて、それでセンセの家にお泊りしたいなぁなんて思ってたり。」

 

{待て待て待て、そう矢継ぎ早に言わないでくれ。要するに俺に会いに来れるかもしれないから、休日を教えろって事だろ?

我儘な子だな、一応仮にも俺は医者であってだな土日祝日以外は、仕事だったりするわけで。}

 

「え〜!じゃあ、さりなちゃんのお墓参りも出来ないの?」

 

{それは……出来ると思う。昼休憩とかの時間を使えば一緒に行けるとは。}

 

「じゃあ日程とか解ったら直ぐに連絡するね!センセも待っててね!絶対に会いに行くから!」

 

{あっちょっとまっ!}

 

よしよし、これであとはMEMちょが私達の事を上手く相手に知ってもらえるように話を通してくれれば良いね。

 

「MEM大明神様、どうかお力を与えくだされ〜!」

 

会えないと思っていたのに、会えるようになったんだ。全力でサポートするよ!

 

 

〜sideアクア〜

 

私が勝手に部屋に入られたのを怒った日から幾日か経った。

ここ数日の間、私は手持ち無沙汰で何かとケンゴ君の姿を思い浮かべてナニをする日が多かった。実際、東ブレをやっている時、トラウマの克服に意識を向けていた私にはそんな情動が沸き上がらず、清々しく舞台を行っていたのだから欲求が溜まっている。

知らず知らずの内に悶々と考えてしまうのだ。勝手に手が下へと伸びていくのだから。私の頭を支配しつつある欲求はケンゴ君との行いの妄想だけではない、お腹が大きくなっていく母様を見る度にお腹の大きくなった自分の姿を妄想し下腹部を自然と摩ってしまい、夢にまで見るようにまでなってしまっている。

 

ルビーが言うには

 

{頭ピンクだね、そんなんだから純潔じゃないんだよ。}

 

なんて言われた、正直言って私もそう思う。今や女としての本能が日を追うごとに高まりつつある。ただ、ルビーだって吾郎先生のことを心に思い浮かべる度に頭の中がピンク色に染め上がってるのをまさか私が気づいていないと思う?

だから、そこはお互い様だと思う……こういう所は私達姉妹の母様譲りな一面なんだろうなぁ……

 

「ハァ…不味いよね〜。」

 

「あれ?どうしたのお姉ちゃん、欲求不満?ま、いいやそれよりもさ、ここから結構暇な日続くんじゃない?

どう、正式にB小町の四人目としてデビューしない?」

 

清純が売りのアイドルがこんな淫売だなんて、おかしいでしょ。だいたい、私はアイドルやる気は無いしあの時は偶々、そう偶々気が乗ってたっていうか、楽しかったっていうか。

 

「楽しかったんなら良いじゃん。それに、小さい頃の舞台での挫折が無かったら本当は役者よりもアイドルに成りたかったんじゃないの?ステージで歌って踊るママの姿を見てる時のお姉ちゃん、キラキラした目で見てたの覚えてるよ?」

 

「駄目だったら駄目だよ、今の私はスキャンダル爆弾だから。それに、仕事の為に恋ができないのなんて私はもう我慢できないし。」

 

でも実際のところ、私は仕事してたらたぶん恋しなさそうな感じがする。恋愛リアリティショーに出ていなかったら、今もストイックに仕事のことばかり考えてワーカホリックになってたかもしれない。

そうなると、また中学時代の二の舞を繰り返す形で女として寂しい青春を送ってたかもしれないなぁ……恋と仕事って両立出来ないのかな…今になって若い時の母様の苦労が理解できるようになるとは……

 

「そんなの考えても無駄じゃない?あっ、そう言えばさ私達宮崎にMV撮りに行くんだけど、お姉ちゃんも一緒に行かない?ほら、東ブレの慰安旅行もまだ行ってないみたいだし、なにより今年は一度も行かなかったでしょ?だからさ。」

 

あぁ、愛しの吾郎先生の所に行きたいんだ、まぁ私だってケンゴ君の所に無性に行きたくなる事もあるし、それは解るよ?でも、仕事で行くのに慰安旅行だなんてねぇ。

 

「行きたくないなら良いけど、あかねちゃんとの写真とかも撮りたいでしょ?一応、彼女彼女の関係何だしさ。」

 

そうだった、そう言えばそんな感じだったっけな〜。互いに元々ノーマルであるから正直友達って関係から抜け出してないし、来年になる頃には翼君の人格も固定されるだろうから、その頃には恋人を正式に解消して名実ともに友達になろうかな。

しかし、考えてみればかなちゃん以外の友達と一緒に旅行とか行くの初めてになるから、誘ってみるのも有り?流石にケンゴ君は誘えないと思うけど…

 

「じゃあお願いできる?」

 

「ただし、お姉ちゃんもMVに出演する事が条件です。」

 

「強かな奴め、いつからその様に穢くなった。なぜだ!ルビー!」

 

『だって、B小町をもっと盛り立てるにはこれが一番早い道だと思うし、やっぱり清楚ビッチも欲しいよねって。』

 

そんな思考で良いのか、アイドルよ。あと、他の誰かがいる前で清楚ビッチだなんて呼んだらハマーン先生仕込みのプレッシャーを叩きつけるからね。

 

……

 

「ってことがあったんだけど、あかねちゃんも一緒に行かない?宮崎」

 

「話があるって来てみたけど、旅行のお誘いか〜。良いね、私行ったこと無いから嬉しいよ。」

 

ここはやはり幸せのお裾分けですよ、私一人で行ってもアレだしあかねちゃんとは一応付き合ってる設定だから、これで良いと思うんだ。

 

「へぇ…意外だね。旅行とかしないの?」

 

「ううん、海外旅行は結構行くけど国内は行ったこと無いなって話し。」

 

「良いなぁ〜、逆に私は海外旅行は行ったこと無いんだ。母様がちょっとトラウマ持ってて、いや父様のせいだけど。」

 

あの日の母様の絶望した表情を、思い出しながらそう言う。あの表情は正直駄目なやつだと思う、だって見るからに身体が灰になるっていう表現がぴったりで、見るに絶えなかったから。

 

「ハイジャック事件だっけ?でも良く助かったよね。ねぇねぇ、あれって本当?ハイジャック犯を全員無力化して、旅客機操縦したっていう伝説。」

 

「たぶん本当、父様たぶんああ云うのに慣れてるみたいだし、どういう人生送ってきたんだか…、まあそれは過ぎたことだしね。

後さ、あかねちゃんを連れていきたい理由はね?私達姉妹ってさ宮崎産まれなんだよ、里帰りも兼ねててさそれで見せたいなって思ってね。それで、ちょっとした紹介をしたかったんだよ。」

 

「へぇ…、解った。私も行くよ、国内旅行なんて初めて出しお母さんにも自慢出来るだろうしね!」

 

「じゃあ予定日確定したら連絡するよ、楽しみに待っててね!」

 

良し!これで私一人じゃないぞ、MVのときに付き添いがいたほうが私の心は痛み辛いから…。

 

 

〜sideアイ〜

 

出産予定日は〜えっと4月の下旬くらいか。

えっとなになに?何処で出産したいか、いや〜どこがいいかなぁ。そろそろ仕事でアムロはあんまり帰ってこなくなるし、身内のいない病院は心配だから一番安全そうな場所といえば!やっぱり吾郎先生のいる宮崎でしょう!

 

「ということで、今週からお母さん宮崎の病院で入院することになったから、家事の事お願いね?」

  

「「「………」」」

 

あれれ〜おっかしいぞ〜、なんで3人ともそんな〘何言ってんの?〙的な顔しないでよ〜

 

「えっと、ママ?私達も今週からMV撮影しに宮崎に行くことになってるんだけど…ミヤコさんから聞いてない?」

 

「え?そういえば、言ってたっけ。ごめんごめん、ということは搭乗日と時間って一緒?」

 

そうすると、画面を私に見せてきた。おぉ、私の時間とまるで一緒だそれに隣の席だし。

 

「ママが私達にサプライズで入院することだって、ミヤコさんに聞いてるしね。」

 

こりゃぁ、一本取られたね!私としたことが、娘に先手を打たれるなんて、まだまだ修行が足りないのかな?まあでも、一緒に行けるだけで嬉しいよ。

 

「あ、後あかねちゃんも一緒に慰安旅行しに行くみたいだから、粗相ないようにね。特に母様は、周囲にサプライズをするのが多すぎるので、もう少し落ち着きを持ってください。良い歳なんですから。」

 

ガビーンときたね。娘に歳のことを言われるなんて、確かに私ももう32歳、1月には33歳になってしまうのだ。だからってそんな事言わなくても良いでしょ!

 

「もう。解ったよ、なら私のことをあかねちゃんに伝えておいてね。サプライズになっちゃうから。」

 

 

……

 

「わ〜い!みんなお待たせ〜、ちょっと遅くなっちゃったけど間に合って良かったよ〜!」

 

「あれ?アイさんも一緒に行くんですか?」

 

あれれ?ルビーにアクア、あかねちゃんにきちんと説明してないの?

 

「ねぇ〜、ルビーにアクアさ〜。お母さん宮崎の病院に行くから皆と一緒に行くよって、あかねちゃんに言っといてって言ったのに〜、忘れてたのかなぁ?」

 

「あ…ごめん忘れてた。」

 

もう、ルビーも言葉足らずになっちゃったら大変だよ!そうだ!

 

「今から3人ルールを発表します、必ず言葉に出して色々と説明とかしてください!じゃないと今年から夕飯の献立を考えて貰います!」

 

「?私は別に良いけど、それに母様が入院するんだから、結局は私達の夕飯は父様か私達が作ることになるし、父様の〘栄養価だけ考えた料理〙は食べたくないから。かなちゃんだって出来るんだよ?ま、ルビーはどうかな?アンタ料理苦手だったよね?」

 

「私だって出来るようになりました〜、もう残念舌とは呼ばせないよ!だってパパの料理食べたくないもん、あれ絶対に味とか考えて無いから。」

 

ありゃりゃ?意外と皆出来るようになったんだ、でもアムロに対して辛辣だね。一応ちゃんと材料を間違えずに用意してあげれば、きちんとした料理作ってくれるんだよ?

 

「あの〜蚊帳の外から失礼しますけど、そろそろ航空機の搭乗時間だから乗った方が良いと思うんですけど……」

 

「あ、あかねちゃんごめんね!叔母さん話し込んじゃって。行くよルビー、アクア貴女達の故郷へ!」

 

そうして私達は一路宮崎へと足を伸ばしたのであった!

 

 

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