〜sideかな〜
「ゔ〜ん、ゔ〜ゔ〜んん~」
「アンタ寝てんじゃ無いわよ!」
私が夕飯を食べながらお祖母様の〘愛〙というものは何かという非常に有難〜い話を聞きながら一時間。やっとのことで終わり、片付けの手伝いをして歯も磨いて、さあ今後の予定の話をしようとルビーの部屋に入っていったら。ご覧のように机に突っ伏しながら寝ているのである。
「はぁ…冬なんだからこんなところで寝ていたら風邪ひくわよ?ほら起きなさいな。」
ユサユサと彼女の身体を揺するが、どういう事だろうか?身じろぎ一つしない…ちょっと待ってよ。起きろって!
「お〜い!起きなさい!ちょっと!ずっと眠ってるんじゃ無いわよ……いったいどうしたの?おい!起きろ!」
目覚めない…って事はこれ寝てるってことじゃないって事?病気?そんな病気聞いた事無いのだけれど、どどどどうすれば良いんだっけ?えっと…確か救急は110いやこれは警察で、そうだ119番よ!
それともアレかしら?ニュータイプ特有の病気とか?嶺さんはそんな事言ってなかったし、何よりそんな病気があったらとっくの昔にあーちゃんが感染してるよね?あぁ、もうどうすれば良いのよ!嶺さんかアイさんに連絡する?それとも。
「ふぇ〜?あれ、先輩どうしたの髪の毛グシャグシャじゃん。しかもなんか汗かいてるし、もうまたお風呂入らなきゃじゃん。」
なんで?なんで起きてるの?さっきまで机の上で突っ伏して呼び掛けにも答えなかったじゃない!
「アンタ…身体何処もおかしくない?何処か悪いところとか、そういうの隠してないでしょうね!」
私はそう言ってルビーの身体をまさぐる、どこもかしこもおかしなところなど無いのは見れば解る、だけれど全く起きなかったのが良くわからない。頭が混乱する、私がオロオロとしている間にそんなにも直ぐに起きられるものなの?
「え〜、どこもおかしくないから大丈夫だよ。それよりも、先輩またシャワー浴びて来なよ、結構汗かいてるみたいだし。そうしたら勉強教えてよ、解らないところとかこっちで上げとくから。」
この娘がまたあんな感じに意識を失う可能性がある?そうなったら、嫌だ。
私は無意識の内に彼女の身体を抱き寄せて、頭を掴んで抱いた。
「先輩?」
「良い、ここはアンタの返ってくるところ。だから絶対に何があっても、返ってくること良い?」
私はそう言って彼女の髪を梳く。この金細工のような滑らかな手触りと、ふわりと漂う綿飴のように軽い香り。
「先輩?ちょっと、おかしいよ。大丈夫大丈夫、私はいなくなったりなんてしないよ、ちょっと夢を見てただけだよ。」
普通夢を見ていたら起きやすくなるものなのだけれど?そんなの夢じゃ無いわ、もっとおかしい何かよ。
「強情だな〜、ほらシャワー浴び行こ?そろそろお姉ちゃんも返ってくる頃だし。」
「ただいま〜」
玄関の方からあーちゃんの声がした。
「お祖母ちゃんを交えて話は出来ないけれど、お姉ちゃんと一緒なら話しても問題なさそうな内容だし、それでも良い?」
「何を話すのよ。」
「夢の内容、なんだかちょっとおかしな内容だけどね。」
そうして私達は部屋を出た。ほんっとうにニュータイプって奴が解らない!説明されたけれど、なってみなくちゃ解らないものなんて、本当に苦手よ!でも、アイさんがそうだったようにその例に倣えば私も嶺さんの愛人になる以上、少なくとも数年内にはそのニュータイプになるのよね……その時、私はあーちゃんやルビーのようにその力と上手く付き合えるのだろうか?
〜sideルビー〜
食卓の上からシャクシャクという音がする、玄米の入ったお茶碗と小皿に小山に盛られた、白菜の浅漬・キムチ・酢漬け・糠漬け
味噌漬け・粕漬けが置かれており、そこに私達と同じ品目のおかずが置かれている。
「いや〜お祖母ちゃんの漬物美味しい!二人はなんで食べないの?」
「あのねぇ、そんなにも大量に食べられる訳無いでしょ!」
茶碗3杯目を平らげて4杯目へと行こうとするお姉ちゃんの手を、私は制した。
「流石に食べ過ぎ!そんなに食べたらトイレ近くなるよ、だいたいどんだけ食べるのさ」
「もう、ルビーちゃんたら。アクアちゃんは育ち盛りだからいっぱい食べてるだけよ?」
「お祖母ちゃんはお姉ちゃんを甘やかさないで、食べたら食べた分だけ胸に行くんだよ!ただでさえ、東ブレ終わってからまたブラがきつくなり始めたんだよね?それ以上大きくなったら、役者じゃなくてグラドルになりたいの?!みなみちゃんみたいに!!」
それを聞いた瞬間ピクッと手が止まる。ゔ〜という唸り声を上げて、茶碗によそりかけていたしゃもじが止まる。
「解ったよ…グラドルは流石にやりたくないもん。」
際どい水着への忌避感はそれ程か!
……
「それで?話さなきゃならない事って何?」
お祖母ちゃんが寝静まった頃を見計らって、さっき机に突っ伏しながら見ていた夢に付いて話そうと思った。
「二人共良く聞いて?あのね、私ね何処かの知らない人の夢を見たんだよ。それも見たことある服装をした人達が映る、そんな事を確信できる夢を。」
「あのねぇ、それで私は取り乱したんだけれど?どうして直ぐに起きなかったのよ。」
「いや、声は聞こえてたんだけどもっと聴きたいな〜とか思ってたらついね。」
「はいはい、それでどんな内容なの?」
二人の真剣な眼差しを感じながら一字一句、思い出しながら話しだそうと決意した。
「まず、私の身長が5歳とかそこらの身長になっていてね?それで、隣の女の人。たぶん母親だと思うんだけど、金髪の女性が私の手を取って共同墓なのかな?で手を組んでいたの。」
「共同墓地?墓参りの夢って事?」
「うん、それでねEFSFっていうアルファベットと十字架に下になんか︶の文字が付いてるマークがあってね? そうこんな感じのマーク
見覚えある?」
「これ…地球連邦軍のマークだね。ハマーンさんも言ってるから間違いないよ、でもなんで?」
「それで墓石にこう書かれてたんだ、Amuro Rayって。」
たぶんパパの前世の名前で、尚且つ多分だけど私の目線の子ってパパの子供だよね?
「ルビー、あなた時を進んでまた戻って来たって事?凄いじゃない!私は勿論ハマーンさんにだって無かったよ、そこまでの経験!」
「あーちゃん、凄い事は解るけれど流石にそれで燥いじゃ駄目よ?で、ルビー本題は何よ?」
別に本題ってわけでもないのだけれど、なんて言おうか?
「お墓の前で、中年くらいの人?と一人の青少年が口論してたんだよね?こんな内容だったと思う。
[いくら大佐のご子息だからって、アムロさんに対してそんな事を言うのは許せねぇ。良いか!アムロさんは、お前等のような世代に可能性を感じて、人類の可能性を信じて命を擲って去ったんだぞ!
それをなんだ、テメェはよりにもよってシャアの肩を持つと?あの人は、人類の可能性を信じて変革を信じてたんだ、良いか今度ふざけたこと言ったら、俺はお前を許さないからな!]
[そんな悠長な事言ってられないんですよ、地球はそこまで持たないかもしれないんです。シャアが間違っていたのは、地球を潰そうとしたという手段であって、その想いは正しかったんです。]
[何だと!]
[辞めてください!アムロの前なんです、口論するならここでは無い別の場所でやって下さるかしら?]
[ハサウェイ…済まないなボッシュ中尉、息子が。アイツも昔はあぁでは無かったんだが、あの戦争がアイツを変えてしまったのかもしれない。]
って内容、どう思う?」
「どう思うって言われても私には何も出来ないし、というか私達に言うよりかは、嶺さんに言ったほうがいい気が。
そうねぇ、私の方から連絡してみるわ。」
今回の件はたぶんお姉ちゃんよりも先輩の方が頼りになるはず、パパとママから殆どの内容聞いてるだろうし、これに対して何か思うことがあるみたいだから。
「私の方も伝を当たってみるよ、たぶん
君ちゃん…お姉ちゃんと違って私は苦手なんだよなぁ。物凄くお嬢様って感じで、所作とか一々細かく丁寧に指導されたから。お姉ちゃんは持ち前の才能ですんなりとそれらの所作を習得しちゃったのを切っ掛けにすっかり意気投合して、
「かなちゃん以外で初めて友達が出来たって」
喜んでたけど。
〜sideあかね〜
メインディッシュを食べ終えて、さあデザートを食べ始めたところから記憶がない。いや、もしかしなくとも私は一服盛られたのかもしれない。
アムロ・レイ=安室嶺というとんでも理論の話を聞きながら、私はババ・オ・ラムを口に入れたところまでは憶えているのだ…。
いや待てよ、ババ・オ・ラムは…確か…ラム酒を使った料理だったっけ?
お酒を飲んだ事がないけれど、私ってそんなに酒の類に弱いの?
気が付いたら何故かよくわからないホテルの一室に連れ込まれていて、私は一人でダブルベッドに横たわっている。それも腕を頭の上に向けられて、結束バンドで固定されているのだ。
服は乱されていないけれど…完全に拘束された。
私は今から何をされるのだろうか、何か良い方法は無いものか周囲を見渡しても私の手に届くようなものはない。それどころか…何も無い。
このまま私は手籠めにされて、脅しを掛けられ良いように言いなりになってしまうのだろうか?
ごめんねマリンちゃん、私…失敗しちゃったよ。貴女の事を貴女のお父さんのことを疑ったばっかりに、こんな事に巻き込まれて
挙句の果てに、人形にされようとしている。ごめんね…。
何をされようとも最後の最後まで抵抗してやる。
パタパタという足音が聞こえる、来た。
「おや、やっと目が覚めたようだね。ここまで運んでくるのは正直難儀したよ、君見かけによらず大胆だったから」
「私をどうするつもりかな?何をしようとも、私は絶対に貴方には屈しないから、大人しく解放してくれれば警察には黙っておいてあげるよ。」
所詮は虚勢だ、だけれどこれで怯んでくれれば儲けものくらいな考えで言った。
「いや君は何か勘違いしているようだけれど、別に僕は君に手を出したりはしないよ。確かに前世の頃だったなら、様々な方法で最悪籠絡させる気で君の相手をしただろうけれど、この時代はそれ程物騒じゃないし、そもそも僕だって元よりそんなことはやりたくない。第一君がいけないんだよ?」
「何がいけないのかな?私はただレストランで食事をしていただけなのに、それが気が付いたらこんな格好にさせられてるんだよ?巫山戯ないでくれるかな?」
なんでそんな困った顔をしているのか、私には理解できない。どうした、ヤルならやればイイ。相応の報いを…!
「僕はただ、ババ・オ・ラムを食べた君が気絶するかのように眠りについてしまったから、その近所に部屋を借りて介抱していただけなんだが、寧ろ半覚醒状態で暴れられたからやりたくもない拘束をしているんだよ?」
私が暴れたから拘束した?流石は私だ、朦朧とした意識の中でも抵抗したってことだろう。そうだろうね、こんな人に良いようにされたくないからね。
「だから違うって言ってるんだけれど……まぁ良いよ。どうせ疑いなんてすぐに晴れるさ、さてとどこまで話したんだったかな?覚えてるかい?」
「まだ話があると?それを言ったあと私に何かする気ですか!?」
「だから、何もしないと言ってるだろう?お願いだから少し頭を冷やしてくれ、これじゃ話がいつまで経っても進まない。そうだな、彼という人物がこれまでこちらの世界で行ってきた数々の功績とかは…話さなくても別に君が調べ上げているだろうし、そうだね話し終えたとは思うよ。あと、きちんと覚醒してるみたいだから…ちょっと蹴らないでよ、結束バンド切れないでしょ。」
嘘だ、切ると見せかけて私に手をかけようとしているに決まっている!
「だからそんな事しないって、別に君を女性として見ていないとかじゃないんだけれど、それが最低限のモラルというものだろ?」
何処からかバスタオルを持ってきて、私の足を結んで動かないようにされた。
クソっ、このままだと!
手が顔に伸びてくる、ギュッと目を閉じるとパチッという音と共に腕が自由になった。それと共に、足を拘束していたバスタオルも綺麗に取られている。
「ホラッ、これで良いだろう?後は好きに帰ればいいし、もう終電も終わっている頃だから、僕がバイクで送っていっても良いのだけれど?勿論、アルコールは完全に抜けているし運転は安全にできるよ?」
その時になって始めて時計を見た…もう2時。お母さんに連絡していないのに、心配して連絡は…来てない。
「ちょっと解析した君の声で、友人宅に泊まる旨を報告しといたから、朝までここで寛いでいても良いんだよ?僕は床で寝るからさ。」
その後本当にに何もなかった…私には女性としての魅力ないの?マリンちゃんには敵わないけどそれでも人よりは美顔だと思うし、声もスタイルも良い方だと思うんだけれど、襲う素振りも見せないで…紳士?
東ブレで共演した鴨志田さんのような人の目を盗んで陰で如何わしい遊びをしてる人間には決して出来ない芸当だ。
その後どうしたって?勿論始発で家に帰りました、えぇ帰らせていただきましたとも。
本当に何もなかった、気持ちの整理と息抜きに八洲さんがくれたアムロ・レイ=安室嶺の情報を元に嶺さんのプロファイリングに専念しよう。
次回は閑話
地下室の話し