ゆっくりでも、更新していきたいので応援お願いします!
よく見ると、私たちの周囲には2つの繭があり、そこからも私たちと同じような「蟻」が誕生した。
同じ志を持つ蟻。
唯一無二の「使命」を果たすべく、それだけの為につくられた
「命」。
その命の形はピトーに劣らず、強く、美しく洗練されている。
「王」だけの為の至高の存在。
それが、私たち、護衛軍。
(…ああ、やっぱりピトーとして産まれたかったな)
圧倒的な力に溢れた彼らを目の当たりにして、どうしてもそんな思考に傾いてさしまう。だって…何の力もない自分がとても惨めで、つまらない存在に感じるもの。
私は彼らの視線に入らぬよう、ピトーの背後にまわった。
「…ピトー、背後に隠しているソレは何ですか?」
頭に触覚を持つ蟻、シャウアプフは眉間に皺をよせ、あきらかに
不機嫌な声でピトーに問いかけた。
「隠しているつもりはないけど、シーのことかニャ?」
「名前…があるのですか?その非力な生命体に…」
シャウアプフは、心底、うんざりしているのだろう。
私に向ける目線には、あきらかに侮蔑と否定の色が滲んでいた。
ぞっとするような、底知れぬ、凍えるような視線と声に、思わず、身をすくめてしまう。
「…それを…生かしておいて何の意味があるというのです?非力で、見苦しい、それを消しても、ピトーの能力には何の差し支えもないと見受けますが…?」
「うーん…」
「ピトー、それの扱いに、迷いがあるというのなら、その思考は間違っているというもの…我らの存在の意義は只1つ。それは、必ず遂行しなければならぬもので、我らにしか果たせない役目です…それが、その役にたつとでも…?」
私は、プフの言葉に耳をふさぎたくなって、思わずかたく、目をとじた。
悔しいけど、悲しい程にプフの言葉は事実だった。
本当に、その通りだ。
何の力もなく、ただ、「命」という形だけ…
この肉体に宿して生まれてきた。生まれてきてしまったのだ。
「王」のお姿をこの目にどうしても…というただ、1つの願いの為だけに。
それが…どんなに身勝手でわがままな願いであるか、自分でもよくわかっている。
自分が王のそばには、相応しくないことも…
でも、自身の根幹にある…たった一人の方への想いは…想いだけは…
プフ、君にだって決して負けないのに。
無力で非力であることが悔しくてならない。
「全く…決断できないのですか?ならば私が…」
ピトーの声には、殺気がこもっていた。
肌を刺す程の殺意は、まぎれもなく、私に向けられていた。
「待つニャ」
プフにも負けぬ程、冷たく硬い声。
それはピトーの声だった。
「なんです?」
「シーが、不要とか役立たずなんて…そんなのプフが決めることじゃないニャ」
眉をひそめるプフ。
「そーだな。ピトーの言う通りだ」
一番大柄な蟻のユピーは立ち上がると、未だに殺気だっている
プフの肩をたたいた。
「全ては王が、決めることだろーよ。お前でも、俺でもなくてな」
プフはあきらかに不満そうだったけど、しぶしぶ黙った。
命拾いした。
前途多難だけど…前進あるのみ、かな。