ヘビー級電波人間の凸凹記   作:厄介な猫さん

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エグゼ熱が再燃している中でなぜ流星なのか?何となくである。
てな訳でどうぞ。


ヘビー級電波人間の凸凹記

220X年、地球上の全ての電子機器が電波で繋がれている時代―――

 

「ブルルォォーーーー!!」

 

ホテル・ヤエバリゾートのグルメタウンの広場にて紅の装甲に身を包んだ二足歩行の巨体の牛の怪物が雄叫びを上げていた。

 

「怪物だーーーー!!」

「こっちを睨んでるわ!」

「キャーーーー!!」

 

その牛の怪物が何の前触れもなく姿を現したことで、周り人達は阿鼻叫喚のパニックへと陥っていく。そんな中、緑色のゴーグルをかけた少年は周りとは違った意味で焦りの表情を浮かべていた。

 

「ど、どうしようロック!?ゴン太がオックス・ファイアになっちゃったよ!」

『どうするも何も、やるしかないだろ!スバル!!』

「そ、そうだね……ボクたちが何とかしないと……!」

 

その少年『星河スバル』は情報携帯端末機《スターキャリアー》の中にいる電波体『ウォーロック』の言葉に若干吃りながらも頷くと、牛の怪物『オックス・ファイア』が暴れている広場から離れていく。

 

「よし。ここなら誰にも見られないよ」

『なら、さっさと電波変換して止めるぞ!』

「うん。電波変換!星河スバル―――」

 

近くの物陰に隠れたスバルは、その手にあるスターキャリアーを掲げて何かを行おうとする。

その次の瞬間、広場の上空から何かが落下し、周りに盛大な雪煙を撒き散らした。

 

「こ、今度はなに!?」

『!スバル、あれを見ろ!!』

 

ウォーロックに促されたスバルは改めて雪煙が晴れた広場に目を向けると、下半身が左右一輪の台車となっている金色の装甲を身につけた巨体の騎士がオックス・ファイアに真正面から対峙していた。

 

「あ、あれは一体!?」

『何者かはわからねぇがこの感じ……アイツも電波人間だ!』

「何だって!?」

 

正体不明の電波人間の登場にスバルとウォーロックが困惑する中、その電波人間とオックス・ファイアが互いに腕を掴み合い、真正面から取っ組み合いを始めていく。

 

「ひょっとして、あれがアイちゃんの言っていた雪男!?」

『あれのどこが雪男なんだよ!?第一、ヤツの足は車輪だろうが!』

「確かに!」

 

スバルはあれが天才スキーヤー『滑田アイ』が言っていた雪男なのかと思ったが、ウォーロックの当然の指摘でその可能性は秒で否定される。その間にも件の電波人間は車輪を回転させて地面の雪を散らしながら、徐々にオックス・ファイアを押し始めていく。

 

「ブルルォォーーーー!!!」

「いい加減に大人しくしろ、牛男!周りに迷惑だろうが!!」

「……一応、味方っぽい?」

『少なくとも一連の騒ぎの犯人じゃなさそうだな。とっとと電波変換して加勢するぞ!』

「そうだね。電波変換!星河スバル、オン・エア!!」

 

まずは友達を助ける為にもこの騒動を解決すべく、スバルは再度スターキャリアーを掲げ、その身体を白い光に包ませるのであった。

 

――――――

 

―――時は一月前に遡る。

 

「何だ、これ?」

 

港の灯台近くで釣りをしていた十三歳くらいの黒髪短髪の少年『車田ショウ』は釣り針に引っ掛かっている物体に訝しげな視線を向けていた。

 

「今度はどんな変なのが釣れたの?」

 

長靴、ペットボトル、バケツ、ボロボロの網、ゴムタイヤ……様々なガラクタが積み重なった山を物色していた、エメラルドのような緑色の髪をポニーテールに纏めた同い年の幼馴染みである少女『宇津木ナツヒ』は物色を止めてそちらへと視線を向ける。

ショウが手にしたその物体に目を向けたナツヒは目をぱちくりさせた後、探るようにその物体を見つめていった。

 

「これ、《スターキャリアー》に形が似ているね」

「スターキャリアー?それって確か、今使っている《トランサー》の次世代機となるアレか?」

 

緑色のトランサーがある左腕を掲げながらのショウの確認に、ナツヒは同意するようにコクリと頷く。

 

「そっ。新しいシステムを搭載した次世代の端末機。もうすぐ販売されるそうだけど……これ、明らかに年代物よね」

「オレもそう思う。どう見ても最新機種じゃなくて、使い古されたガラクタだろ」

 

錆、色落ち、藻の付着……とにかく十数年単位でないと説明できないほどボロボロになっているスターキャリアーそっくりの物体を、ショウとナツヒは凝視するように見つめていく。

 

「そのスターキャリアーにはどんなシステムが搭載されるんだっけ?」

「《マテリアライズ》システム。電波を物質化した《マテリアルウェーブ》を運用するためのシステムよ」

 

ショウの無頓着さに呆れつつも、ナツヒは律儀に新しいシステムを説明する。

 

「電波の物質化かぁ……釣竿も電波で再現されるのか?」

「されるわね。電波の釣竿なら、ガラクタしか釣れないショウでも魚が釣れるんじゃない?」

「好きでガラクタを釣るか!」

 

ナツヒの指摘にショウはムキになって反論する。ショウは釣りが趣味なのだが、いつも魚は一匹も釣れずにゴミやガラクタしか釣れていない。

 

「ま、ショウがガラクタばかり釣るから、見てる分には飽きないし面白いけど」

「オレとしては複雑だけどな……」

 

ショウは深い溜め息を吐くと、改めてスターキャリアーモドキへと視線を向ける。

 

「スターキャリアーはこうして掲げると、マテリアルウェーブを出すんだよな?」

「そうそう。マテリアライズと発音しないと起動しないけどね」

「出てこいとかじゃダメなのか?」

「ダメに決まってるでしょ。間違って―――」

 

スターキャリアーモドキを正面から見せつけるように掲げた状態でショウがナツヒと話を続けていると、そのスターキャリアーモドキの画面にあたる部分が唐突に光り輝いた。

 

「え?ガラクタが光った!?」

「え!?普通に動くの!?」

 

突然の事態にショウとナツヒが驚く中、スターキャリアーモドキの画面から放たれる光が一層強くなり、辺り一面を白く塗り潰してしまう。

しかし、それも一瞬。光はすぐに収まるも、ショウとナツヒの目の前には金の兜と肩当て、手甲を身に付けた青紫の存在がふわふわと宙を浮いていた。

 

「「お、オバケーーーー!?」」

 

どう見ても普通ではない存在が目の前に現れたことで、ショウとナツヒは揃ってスッ頓狂な声を上げる。ショウは驚愕しているのに対し、ナツヒは歓喜したように目を光らせているが。

 

「ガーッハッハッハッハッ!やっと忌々しい牢獄から出られたわい!!」

 

その青紫の幽霊はというと、高笑いの声を上げて上機嫌であったが。

 

「オバケ、オバケだよショウ!未確認生物の一種であるオバケが目の前にいるわよ!!」

 

ナツヒは怖がるどころか鼻息を荒げて興奮しており、トランサーにある撮影機能を使って青紫の幽霊を激写していく。

そう、ナツヒは幽霊やツチノコ……未確認生物やオカルトが大好きな少女でもある。学校の七不思議や怪談話にも首を突っ込んだり、徹底的に調べるほどの重症である。

 

その結果、デマや勘違いという結果に行き着いて落胆するのが通例になっているが別にいいだろう。

そんなナツヒの前で明らかに普通ではない存在がいるのだ。興奮するなというのが逆に難しいのである。

 

「……ム?」

 

その撮影されている青紫の幽霊は、高笑いを止めて周りの景色を確認するように周囲を見回していたが。

 

「ここはどこだ?ムー大陸ではないのか?」

 

そこでようやく青紫の幽霊はショウとナツヒの存在に気付き、詰め寄るように近づいていく。

 

「ショウ!オバケがこっちに来てるよ!捕獲のチャンスだよ!!」

「できるか!オバケなら触ることもできないだろ!?」

「ハッ!?確かに!」

 

そんなやり取りに構うことなく、青紫の幽霊は白い目で睨み付けるように二人に話しかけた。

 

「……人間共、ワレの質問に答えよ。ここはどこだ?」

「喋った!オバケが喋ったよ!」

「さっき高笑いしていただろ!?」

 

青紫の幽霊の質問に答えず、興奮が覚めやまないナツヒとツッコミを入れるショウ。そんな二人の態度に青紫の幽霊は雰囲気だけで不機嫌さを露にしていく。

 

「ワレの質問に答えぬなら……出でよ、エランドよ!」

 

青紫の幽霊は天に伸ばすように右手を掲げるも、何も起きない。

 

「…………」

 

何とも微妙な雰囲気が流れ始めるも、青紫の幽霊は手をゆっくりと下ろしていく。

 

「……アーミーズ!」

 

先程の出来事がなかったかのように青紫の幽霊は左腕を払うように振るうも、何も起きない。

 

「……何故だ!?何故エランドだけでなく、我が配下のアーミーズもワレの呼び掛けに応えぬのだ!?」

 

青紫の幽霊は何かをやろうとしたようだが、その何かが失敗に終わったようでその場で頭を抱えている。

 

「もしかして仲間のオバケを呼ぼうとしたのかな?」

「お前、なんでそんなに冷静なんだよ?」

「こうなれば、ワレを戒めから解き放った貴様を利用して……!」

 

青紫の幽霊はナツヒの態度に呆れているショウに顔を向けると、体当たりするように飛び込んだ。

 

「え?」

「電波変換!」

 

まるで取り憑くように青紫の幽霊がマヌケな顔となっていたショウの身体に入った瞬間、ショウの身体が光に包まれる。

ショウを囲っている光が大きくなり、そのまま弾け飛ぶと、そこにいたのは下半身が左右一輪の台車となり、上半身を黄金の鎧で固めた異形の巨体であった。

 

「え……ええーーーー!?」

 

流石に予想外過ぎた展開にナツヒは焦ったように声を上げる。

 

「ナツヒ、どうし……ん?」

 

その異形の巨体はショウの声を発しながらナツヒに顔を向けるも、違和感を感じたのか自身の身体をペタペタと触っていく。その行為で今の姿を自覚したのか、身体をワナワナと震わせていく。

 

「な、な……なんじゃこの姿はぁーーーー!?」

 

その巨体―――ショウは意識が飛びそうになる程に驚愕する。何せ幽霊が飛び込んできたかと思ったら、姿形が変わっているのだから当然である。

そんな二人に、例の青紫の幽霊の声が響き渡る。

 

『ガッハッハッ!これぞワレが電波変換した姿、オリガ・ジェネラルなり!ムー人ではない有象無象の人間なら、ワレの意思で身体を動かすことなど雑作もない!!』

 

青紫の幽霊のその言葉にショウは身構えるも、先程同様に何も起きない。ショウは恐る恐るといった感じで腕を動かすと、違和感も何もなく動かすことができた。

 

「……あれ?普通にオレの意思で動くぞ?」

『…………』

 

普通に身体が動かせることにショウは安堵する中、青紫の幽霊は先程と打って変わって無言を貫く。

 

「えっと……ショウ、だよね?」

「あ、ああ……こんな姿になっているが、間違いなく車田ショウだ……」

 

ナツヒの確認するような言葉に、ショウはコクリと頷く。

 

「ちなみにオレ、どんな姿?ゴツい見た目になっているのは分かるんだけど……」

「写真で確認する?」

 

ナツヒの提案にショウは再び頷くと、ナツヒはすぐに写真を取るとすぐにショウへと見せる。

 

「……完全に人間じゃないよな。下半身が車体だし、白いトンガリヒゲまで出来てるし」

 

今の自身の姿を改めて確認したショウは、如何にもパワーがありそうな重戦士の見た目に若干遠い目となる。

 

「……取り敢えず、元に戻してくれる?」

『……ウム』

 

このままの姿ではいたくなかったので、ショウはダメ元で頼んでみるとすんなり了承してくれた。再び光がショウの身体を包み込んでから消えると、元の姿となったショウと落ち込んだ様子の青紫の幽霊がいた。

 

「あーその、大丈夫か?」

「……大丈夫ではない。エランドもアーミーズも呼べず、電波変換してもワレの意思で動けぬ……最高傑作と評されたワレがこれ程までに落ちぶれるとは……」

 

そのどんよりとしたオーラにショウは被害者にも関わらず話しかけると、青紫の幽霊は明らかに気落ちした声で返してくる。心無しか、白いチョビヒゲも力なく垂れている気もする。

 

「本物のオバケは人に取り憑いて姿形を変えるんだね」

「……ワレはオバケではない。ムーより生み出されし電波生命体だ」

 

感心するように頷いていたナツヒに対し、青紫の幽霊は幽霊ではなく電波生命体であると否定する。

 

「電波生命体?」

「それってつまり新種の未確認生物!?まさに世紀の大発見だよ!!」

 

聞き慣れない言葉にショウは首を傾げるも、ナツヒは新たな未確認生物の存在に更にボルテージが上昇していく。

普通ならビビったり逃げたりするものであるが、ショウはキャパオーバーからくる投げやり気分から、ナツヒは恐怖より好奇心が大きく勝っている為、逃げるという選択肢が消えているのである。

 

「さあさあ!色々と聞かせてちょうだい!電波生命体って何!?オバケとはどう違うの!?食事は何を取っているの!?電波だから、電気を食べるのかな!?」

「な、何なのだこの人間は!?無礼にも程があるぞ!?」

 

鼻息をフンスンと荒げて詰め寄ってくるナツヒの姿に、電波生命体と名乗った青紫の存在は困惑したように声を上げる。思わず引き下がりそうになる青紫の電波生命体だったが、自身のプライドからか必死にその場に留まり続ける。

 

「無礼ってことは地位や序列があるのかな?意思疏通が図れているから、人間社会のような環境が構築されているのかも?」

「近い近い!ワレから離れろ!」

「こうして触れたりできるってことは、本当にオバケじゃないわね。いや、もしかしたら電波生命体という存在そのものがオバケの正体だったのかも……」

「おい、そこの人間!こやつをどうにかしろ!」

「どうにかしろと言われても……」

 

青紫の電波生命体の助けを求める声にショウは対応に困る。ナツヒが一度こうなると止まらないことは長年の付き合いで理解しているので、止めようがないのである。

そんなショウ達の耳に、不快な音が聞こえ始めた。

 

「……ん?」

「なにこの音?せっかくの―――」

 

水を差されたナツヒが不機嫌を隠さずに音の発信源を探そうとした瞬間、灯台から甲高い不愉快な音が響き渡る。

 

「うおおおおおおっ!?まるでガラスを引っ掻くような音だ!」

「何で灯台からそんな音が発せられるの!?普通、汽笛じゃないの!?」

 

耳を塞いで不快な音を少しでも遮っているショウとナツヒは、屈んだ姿勢でやり取りをする。耳を塞いでいるので互いに声は聞き取りづらいが、近いこともあって何とか会話はできている。

 

「これってもしかして、電波ウイルスの仕業なのかな?バトルカードで何とかする?」

「ダメ元でやってみるか……バトルカード【ソード】、スロットイン!」

 

ショウは不快な音に耐えながら、左腕のトランサーに一枚のバトルカードを装填する。

 

「……音が止まないね」

「一体、二体じゃないのか、単に効いてないだけなのか……見えないからわからな……」

 

そこでふとショウは普通に佇んで?いる青紫の()()()()()に目を向ける。同じ電波なら、電波ウイルスが見えるのではないかという考えがショウの頭の中に浮かび上がった。

 

「なあ、そこのえっと……電波生命体!」

「総称でワレを呼ぶな!ワレにはオリガという(ほまれ)ある名前がある!!」

「じゃあオリガ!お前は電波ウイルスが見えているか!?」

「断る!!」

 

オリガと名乗った電波生命体の速攻の却下に、ショウは思わず転けそうになった。

 

「質問しただけでまだ何も頼んでないだろ!?」

「言わずとも分かる!どうせワレに戦えと命令するのだろう!!」

「命令じゃなくてお願いだ!」

「どちらも同じだ!!人間の言葉なんぞ、聞く価値もない!!」

 

どうやらオリガは人間のことがかなり嫌いのようだ。灯台の頂上付近から爆発が上がる中、ショウは必死にオリガに食い下がっていく。

 

「そもそも戦えじゃなくて確認してほしいだけだ!ちゃんとウイルスが倒せているかのな!」

「ワレに『監視者』のような真似をしろと?ワレを侮辱しているのか!!」

「一々意味を曲解しないと会話できないのか!?このポンコツ!!」

 

ショウのポンコツ発言に、オリガはたちまち怒りのオーラが立ち込めていく。白いチョビヒゲも逆立っている辺り、相当ご立腹のようである。

 

「誰がポンコツだ!!ワレは優秀な電波生命体であるぞ!!」

「どこが優秀だ!狙いが悉く失敗する!人の言葉を曲解する!そんなお前をポンコツ以外にどう表現しろと!?」

「うーん、確かに」

 

ショウの指摘に、これまでの行動からナツヒが頷いて同意する。やろうとしていたことが全部失敗に終わっているから当然であるが、それがオリガの怒りの炎に油が注がれることになる。

 

「人間ごときがワレをポンコツ呼ばわりするな!あんな有象無象なぞ、電波変換すれば一瞬で片が付くわい!!」

「その電波変換ができなきゃ勝てないってか!?ポンコツの言い訳にしては上出来だな!!」

「貴様こそワレの言葉を曲解してるではないか!!」

「どこがだ!!さっきの姿になれなきゃ戦えない時点で勝てないと言ってるも同然だろ!!」

「ワレは電波変換を前提として生み出されたのだ!!電波変換した方が強いのは当然であろう!!」

「話の軸をずらすな!!」

 

互いにメンチを切り合い、非常事態にも関わらず口喧嘩を繰り広げていくショウとオリガ。その光景に案外馬が合うのではないかとナツヒはこの時思った。

そんなナツヒに構わず、ショウとオリガは口喧嘩を続けていく。

 

「ずらしてなどおらん!そもそも、貴様らは対抗する手段すらないであろう!!」

「残念だったな!こっちにはバトルカードっていう、電波ウイルスを退治できるカードがあるんだ!!時間さえ掛ければ倒せるんだよ!!バトルカード【ミニグレネード】、スロットイン!」

 

ショウはこれ見よがしにバトルカードをオリガに見せると、そのカードをトランサーへと装填する。

 

「時間が掛かる時点で論外であるな!ワレなら一瞬で片が付くぞ!」

「口だけなら何とでも言えるだろ!バトルカード【グリーンインク】、スロットイン!」

「口だけではない!純然たる事実だ!」

「何もしてない時点で説得力ゼロなんだよ!バトルカード【テイルバーナー1】、スロットイン!」

「ならば今すぐ証明してくれようぞ!電波変換!!」

 

口喧嘩の流れでショウとオリガは再び光に包まれ、先程の電波変換した姿へと再び形が変わった。

 

「またその姿になったね……」

「お前、また人の身体を勝手に!?」

『喧しい!ワレの力を貴様らに見せてくれようぞ!クレイジーアーミーズ!!』

 

勝手に電波変換したことに怒るショウに構わず、オリガは何かしらの技名を告げる。しかし、何も起きない。

 

『…………』

「……また失敗?」

「やっぱりお前、ポンコツだろ」

『ポンコツではない!!』

 

ナツヒの疑問とショウのツッコミに、オリガが怒りの声色で否定するも説得力はゼロである。そんな三人?の周りに見慣れない存在達が近づいてくる。

 

「なんだアイツらは?バトルカードのイラストのやつらにそっくりだ」

『あれが貴様らの言う電波ウイルスだ。今のお前は電波人間だから見えて当然だ』

「マジで?あれが電波ウイルスなら、どうやって倒せばいいんだ?」

 

初めて見る電波ウイルス達に、ショウはどうすればいいのか頭を悩ませる。そんなショウに、ナツヒは率直に思ったことを口にした。

 

「バトルカードを使えばいいんじゃない?さっきまでそうやってたし」

「それだ」

 

思い立ったが吉日とばかりに、ショウはさっそくバトルカードを取り出そうとする。

 

「……どうやって取り出せばいいんだ?」

「私の使う?」

「……使います」

 

ナツヒの再びの提案にショウは頷き、差し出されたバトルカードを手にする。そのバトルカードは、大口径の砲身のイラストが描かれたバトルカードだった。

 

「このバトルカードは何だ?【キャノン】とは違う気がするんだが」

「私が試しに作ってみたバトルカードだよ。ちなみに名前はまだないよ」

「そんなものを渡すなよ……」

 

ショウは呆れつつも、無いよりはマシと考えてそのバトルカードを使おうとする。

 

「バトルカード!!」

 

その瞬間、持っていたバトルカードが光輝き、バトルカードを持っていた右腕がカードイラストと同じ形状の巨大砲身へと形を変えた。

 

「え?腕が砲身になった?トランサーに読み込むつもりだったんだけど……とにかく発射ァ!!」

 

予想外の展開に困惑しつつ、ショウは右腕の巨大砲身を構える。そのまま群がる形で接近していた電波ウイルス達へと向かって、雄叫びを上げながら砲撃を放つ。

 

その砲撃が電波ウイルスの一体に命中した瞬間、盛大な大爆発が巻き起こった。

その大爆発によって電波ウイルス達は一網打尽の如く吹き飛んで消滅し、灯台から発せられていた不快な音も鳴り止んでいった。

 

「うそーん……」

「ギガクラス容量のバトルカードだったけど、これなら文句ないね。うん」

 

その大爆発に放った張本人であるショウは呆然、製作者のナツヒはウンウンと頷いて出来の良さを自画自賛していた。

 

『ガッハッハッ!!人間が作ったにしては中々に豪快ではないか!先ほどの技は『ジェネラル・キャノン』と命名しよう!光栄に思うがよい!!』

 

オリガは先程の砲撃にご満悦で勝手に技名を付けていたが。

これが車田ショウと電波生命体『オリガ』の出会いであり、後に出会う青いヒーロー『ロックマン』と共闘する電波人間『オリガ・ジェネラル』の始まりでもあった。

 

 

 




オリジナル要素
《オリガの電波体》:本編では未登場なので、勝手な想像で電波変換状態の上半身の簡略化した姿で登場させた。
下半身の車体をベースにする案もあったが、アーミーズの存在から上半身にした。

《封印処置》:奥底に封印されたとあったので、例の端末に幽閉と部屋ごとの隔離と勝手に解釈。それが地震や海流等の様々な要素で流れ、釣り上げられたという設定。
そこ、ご都合とか言わない。

《弱体化》:端末がボロボロになったことで本人にも影響が出て、配下であるアーミーズの召喚が不可能となった。
安心してください。必殺の極悪ローラーは出せます。

《ジェネラル・キャノン》:巨大砲身から着弾すると大爆発を起こす砲撃を放つオリジナル技。ゲーム性能的には命中するとエリア全体が爆発する。火属性で威力が500もあり、ブレイク性能まであるぶっ壊れ性能である。
巨大砲身からの超威力砲撃はロマン。
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