ヘビー級電波人間の凸凹記   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


トライブオン

弱点属性のS.A(スター・アドバンス)によって電波変換が解けて少し、気絶していたナツヒとルナは目を覚ました。

 

「ん……?ここ……は、どこ……?」

「……あれ?私……どうして……?」

 

目を覚ました二人は困惑した表情で周囲を見渡す。そこで始めて、オリガ・ジェネラルとロックマンの存在に気付く。

 

「ショウ……?」

「ロックマン……様?」

「怪我はない……みたい、だな……」

「良かった……無事で……」

 

二人の様子からダメージがないことにショウとスバルは安堵すると、身体へのダメージも相まってその場で崩れ落ちる。そんな二人の様子に、ナツヒとルナは慌てて駆け寄った。

 

「ショウ!?どうしたの!?一体何があったの!?」

「ロックマン様も、どうしてこんなにボロボロに……?」

「知りたいかね?」

 

見れば全身がボロボロになっていたことにナツヒとルナが困惑する中、元凶であるハイドが嫌らしい笑みを浮かべて言葉を投げ掛ける。その言葉でナツヒとルナはハイドの存在に気付き、揃ってそちらへと顔を向けた。

 

「誰よあんた!ショウがこんなになったのは、あんたの仕業なの!?」

「貴方、あの時の変態じゃない!貴方がロックマン様を傷つけたのね!?」

 

ナツヒとルナが厳しい顔でハイドに問い詰めるも、ハイドは頭を振ってそれを否定する。

 

「その返答は否だ。私は彼らに直接は何もしていない。彼らを傷つけたのは……君たちなのだよ」

「……え?」

「ど、どういう意味……?」

 

ハイドのその言葉に、ナツヒとルナは意味が分からずに困惑する。そんな二人に、ハイドは口元を歪めながら事実を告げた。

 

「君たちはちょっとした切っ掛けで暴走し、彼らを襲ったのだよ。彼らはそんな君たちを助けようと、傷つけないようとするあまりに、自分たちの身を顧みずに戦ったのだ」

「う、嘘……」

「そんな……」

 

ハイドがもたらした事実に、ナツヒとルナはショックでその場に崩れ落ちてしまう。ハイドの言葉を否定しようにも、記憶がないことと実際にボロボロのショウとスバルがいることから否定できなかったからだ。

 

そんなショックを受けたナツヒとルナ、ボロボロとなっているショウとスバルを見下ろしながら、ハイドは指をパチンッ!と鳴らす。その音が合図となったように、四人を取り囲むように何体ものエランドが姿を現していく。

 

「主人公とヒロインたちは、ここで永遠の眠りにつく。予想外の演技をしようとも、私の描いた脚本はもう変えられない!いよいよ感動のフィナーレだ!!」

 

ハイドが高らかにそう宣言すると、エランド達は包囲を狭めるように前進していく。そんな絶望的な状況の前で、ショウとスバルは身体に鞭を打って立ち上がった。

 

「グッ……下がってろ、二人とも……」

「ボクが……ボクたちが、ちゃんと……守るから……」

 

ショウとスバルはそう告げると、ナツヒとルナを守るようにエランド達と対峙する。ダメージの大きさからエネルギーの消費量が多いS.A(スター・アドバンス)は勿論、自前の大技でさえ満足に使えなくなっているにも関わらず、二人は彼女たちを守ろうと構えを取っていく。

そんな二人の姿に、ナツヒとルナは目に涙を浮かべながら叫んだ。

 

「無茶だよショウ!もう限界じゃない!?」

「無茶でも、やるんだ……後悔しない、為にも……!」

 

ショウはナツヒにそう言葉を返すと、エランドの一体に向かって突撃する。その突撃は容易くエランドの持つ盾に受け止められるも、そのままエランドの身体を掴んで投げ飛ばす。

 

「バトルカード、【プラスキャノン】……」

 

ショウはバトルカードを単発で使い、投げ飛ばしたエランドに向けて放つ。壁に激突していたエランドは盾を構える間もなく、その砲撃をマトモに受ける。

だが、ショウが一体を相手にしている内に、他のエランドがショウの身体を斬り裂いた。

 

「うぐぁ!!」

 

背中と腕を斬られ、ショウは苦痛に顔を歪めるも、【ワイドソード】を使用して反撃に出る。剣を振り抜いた直後とあって周りのエランド達は斬られるも、また別のエランドが攻撃を仕掛けていく。

 

「バトルカード……【ソード】……」

 

それはスバルの方も同様であり、手持ちのバトルカードや自前のバスターを使ってエランド達に抵抗するも焼け石に水。既にボロボロなのも相まって、すぐに追い詰められていっている。

 

「このままじゃ二人は……」

「そ、そうだ!私たちもバトルカードを使えば……!」

 

ナツヒは思い出したように自身のスターキャリアーを取り出し、手持ちのバトルカードを読み込ませようとする。だが、そのバトルカードがどこにもない事に気付く。

 

「!?何でカードフォルダもケースもないの!?」

「ンフフフ……探し物はこれかね?」

 

ハイドが嫌らしい笑みで告げたその手には、二人分のカードフォルダとカードケースが握られている。そう、二人のバトルカードはハイドがとっくに回収していたのだ。

 

「そんな……」

 

手助けすら出来ないことにナツヒとルナは再度ショックを受けていると、エランドの攻撃を受けたショウとスバルが二人の近くまで飛ばされて来た。

 

「ぐぅぅ……まだ、やれるか……?」

「も、もちろん……です……ショウさん、は……?」

「オレも……まだ、いける……!」

 

既に限界を越えている筈であろう二人は身体を震わせながらも、立ち上がる。そして、再度エランド達と向かい合う。

そんな中、ショウはある言葉を思い出していた。

 

『ショウ。人は誰かの背中を見たり、憧れを抱くことで育つものじゃ。それらが誇らしく、胸を張れるものであるなら……“自分もああなりたい”と願うんじゃよ。そうして想いは繋がっていき、大きな力へと変わっていく。それを人は“絆”と呼ぶんじゃよ』

 

既に亡き、祖父の言葉。そんな祖父の背中に憧れ、ショウも祖父のような強く優しい人間になりたいと思った。ここで諦めれば、自分は強く後悔するとも。

 

「ボクも……父さんみたいに、勇気を与えられる存在に……!こんなボクをヒーローだと言ってくれた委員長を、守ってみせる……!!」

「スバル……」

 

スバルのその言葉を聞き、ショウは再度決意するように手を握り締め、再度エランドに立ち向かおうとし……た直後、オーパーツの声が耳に聞こえた。

 

…………オシエテヤル。チカラノツカイカタ…………

 

オーパーツの声が聞こえた瞬間、圧倒的な電波のオーラがショウの身体を包み込む。それは隣にいたスバルも同様で、圧倒的な電波のオーラを全身に纏っている。

 

「な、なんだ……? 」

 

思い通りの展開からオーパーツを回収する算段を立てていたハイドが困惑する中、ショウとスバルを覆う電波のオーラがそれぞれの右手に集っていく。その電波のオーラはそれぞれの手で武器の形を取っていき、ショウの手には剣の形を、スバルの手には手裏剣の形となっていく。

 

「「……カァッ!!」」

 

ショウとスバルはその電波の武器を振るい、周りにいたエランド達を一撃で倒し尽くしてしまった。

 

「馬鹿な!?全滅だと……!?」

「キャ~~!ロックマン様~~~~!!」

「す、凄い……!」

 

その瞬殺劇にハイドは言葉を失い、ルナはスバルの活躍にはしゃぎ、ナツヒは驚きを露にしている。

 

「「…………」」

 

その当人たちはというと、無言かつ虚無の表情で互いの顔を見つめている。ナツヒとルナがその異様さに気付く直前、ショウとスバルは互いに弾かれたように電波の武器をぶつけ合い、激突した。

 

「ショウ!?」

「ロックマン様!?」

 

突然互いに攻撃したショウとスバルに、激突した衝撃でその場から吹き飛ばされたナツヒとルナは再度驚きの表情を浮かべる。そんな中、ハイドは得心がいったような笑みを浮かべた。

 

「……ンフフフ!そうか!これが力のない者たちが、オーパーツを使った結果という訳か!!」

「ど、どういう意味!?」

「二人はオーパーツを制御仕切れず、自我を失っているのだよ。つまり、互いに敵と味方の区別もついていない……いや、もはや目に写るものすべてが“敵”なのだよ」

 

ハイドが嫌らしい笑みでそう告げる間にも、ショウとスバルは互いに電波の武器を振るって攻撃を繰り出し続けている。完全に正気を失っている二人に向かって、ナツヒとルナは叫んだ。

 

「ショウ!しっかりして!」

「ロックマン様!お願い、正気に戻って!」

 

ナツヒとルナの必死の叫びに反応したのか、ショウとスバルは攻撃の手を止めて二人の方へと顔を向ける。その行動にナツヒとルナは一瞬安堵しかけるも、虚無の表情だったことから嫌な予感に襲われる。

その嫌な予感は的中し、ショウとスバルは邪魔者を排除するように、ゆっくりと電波の武器を掲げた。

 

「ま、まさか……」

「い、いや……」

 

恐怖から満足に動くことが出来ず、ナツヒとルナはその場で身構えるしかできない。ショウとスバルはそんな二人に向かって電波の武器を振り下ろそうとして、不自然なところで止まった。

 

「ガ……ァ……」

「グ……ゥゥ……」

 

身体を小刻みに震わせながら苦悶の声を上げるショウとスバル。そんな二人の様子を見つめるナツヒとルナに、当の本人たちは苦しげに声を上げながらも話しかけた。

 

「ふ……二人とも……逃……げ、て……!」

「このまま……じゃ……オレたち、は……お前……ら……を……!」

 

ナツヒとルナに攻撃しようとした直前、かろうじて意識を取り戻したショウとスバルは、二人に早く逃げるように告げる。こうしている今も、オーパーツが自分たちの意識を乗っ取ろうとしているのだ。

 

『グゥゥ……!力が……抑えられん……!』

『クソ……!強烈すぎて……電波変換も、解け……ねぇ……!』

 

オリガとウォーロックもオーパーツの強大すぎる力に苦しめられており、電波変換を解除できない程の事態に焦りを覚えている。

 

……カラダヲ、ヨコセ。ソノカラダハ、ワレラノモノ…………

 

「「グガ……ガァァァァァァ!!」」

 

ショウとスバルは苦しげに声を上げると、それに呼応するように電波の嵐が吹き荒れる。刻一刻と迫る意識を塗り潰す感覚と、身体を奪わんとするオーパーツの声。もう、どちらも長くは持たないのは明白だ。だが……

 

「……に、逃げ……て……!」

「は……早く、しろ……!もう……もたね……」

「で、できるわけないでしょ!」

「私も、逃げるなんて……絶対に嫌!!」

 

あろうことか、ナツヒとルナはショウとスバルを置いて逃げることを明確に否定したのである。

 

……カラダハ、イタダク。ワガジュゾクフッコウノタメ……

 

「に、逃げろ……!このままだと……」

「できないって言ったでしょ!!」

 

最早限界が近づいてきていたショウは再度逃げるようにナツヒに伝えるも、ナツヒは頑として拒否する。そして、荒れ狂う電波の嵐に歯向かうように苦しんでいるショウへと近づいていく。

 

「ショウは言ったよね!?後悔したくないって!私も後悔なんていたくない!大切な友達と、幼馴染みを見捨てて逃げるなんて、絶対に嫌ッ!!」

「ナツヒ……」

『小娘……』

 

ナツヒの強い決意の言葉に、ショウとオリガは何も言えなくなる。そんな三人は気付いていない。自分達の意識が別の場所にいることに。その場所には三人しかいないことに。

 

「だから、絶対に逃げない!!」

 

ナツヒのその言葉と共に、一筋の光がナツヒの身体から放たれ、ショウの身体へと繋がっていく。否、ショウが持つある物へと繋がっているのだ。

ショウはその一筋の光が吸い込まれている箇所に手を伸ばすと……ブラザーバンドを結んだ相手のカード―――《ブラザーカード》が仄かに光輝いており、その光がショウの全身を包み込んでいた。

 

『こ、これは……!?』

「ブラザーカードを通して、伝わってくる……ナツヒの想いと……力が!!」

 

ブラザーカードから伝わってくるナツヒの強い想いと力にオリガは驚愕の声を上げ、ショウは確かに感じる暖かな力を握り締める。その瞬間、世界が白く染まった。

 

「「うぉおおおおおおおおおおおっ!!!」」

 

世界が元いた映画館に戻ると、ショウは想いに応えるように雄叫びを上げている。それはショウだけでなくスバルも同様であり、大気が震えている。その雄叫びに呼応するように、二人を苦しめていた電波のオーラが互いの持つブラザーカードへと、どんどん吸い込まれていく。

 

「なっ……!?こ、こんなの……私の脚本には……」

 

あまりにも予想外な光景にハイドが狼狽える中、二人の持つブラザーカードが電波のオーラを吸い尽くし、そのまま二人に向かって飛んでいく。

そのブラザーカードをショウとスバルが手に取った瞬間、電波の渦が二人の身体を包み込んだ。

 

「ショウ!」

「スバルくん!」

 

ナツヒとルナが声を上げた直後、ショウとスバルを覆っていた電波の渦が弾けるように霧散する。電波の渦から姿を現した二人は、どちらも姿形、色が異なっていた。

 

ショウの装甲の色は金から銀に。鶏冠(とさか)付の兜には雷を連想させるV字の立物が追加され、車体の装甲の形状も鋭い出っ張りと剣のエンブレムが追加されいる。そして、背中には刀身が雷となっている大剣を背負い、剣士然とした姿となっている。

 

スバルも装甲の色は青から緑に。ヘルメットも手裏剣の形をした立物があるハチマキ状に変化し、マスクや太ももの装甲と相まって、忍者を容易に連想させる姿となっている。

 

「ば、馬鹿な……その姿は……ベルセルクに、シノビ……!」

 

ショウとスバルの今の姿にハイドは心当りがあるのか、信じられないといった表情で呟く。そんなハイドに構わず、オリガは困惑した声を上げた。

 

『この力は一体……?オーパーツの力とは違う、暖かくも強いこの力は……?』

『へっ、覚えとけよジジィ。これがアイツらの言う、絆の力ってやつだ』

『絆の、力……』

 

ウォーロックから教えられた力の正体を、オリガは反芻するように呟く。オリガにとっては未知の、初めて感じた力なのだ。そんなオリガに、ショウは笑みを浮かべながら告げた。

 

「ああ。これはオレとナツヒ……お前との絆がもたらしたんだ」

「大事なのは勇気を示すこと……そうして出来た絆は…………何よりも強い!!」

「い、出でよ!!」

 

スバルが力強く言葉を発するとほぼ同時に、ハイドが上擦った声でエランドと電波ウイルスの混合集団を呼び出す。エランドだけでなく電波ウイルスの群れにも囲われたショウとスバルであるが、二人は慌てた様子もなく背中合わせで構えを取っていく。

 

「早くソイツらを……ソイツらを始末しろーー!!!」

 

ハイドの半狂乱に近い命令を受け、エランドと電波ウイルスたちは一斉にショウ達へと襲い掛かる。ショウは背中に背負った大剣の柄を握り、スバルは右手に大きな手裏剣を出現させる。

 

「サンダースラッシュ!」

「シノビシュリケン!」

 

ショウは大剣を振るうと同時に雷の斬撃を飛ばし、スバルは右手の手裏剣を分身させながら投げ飛ばす。雷の斬撃は斬り裂き、手裏剣は突き刺さって一撃でエランドと電波ウイルスたちを消し去ってしまう。

 

「な……!?」

「力がどんどん漲ってくる……!これなら……!」

 

溢れ出てくるエネルギーを感じたショウは、三枚のバトルカードを取り出す。

 

「トリプルバトルカード、【エアスプレッド2】!!」

 

ショウは三枚の【エアスプレッド2】を同時に使い、S.A(スター・アドバンス)を発動させる。三枚のバトルカードが同時発動し、大剣を持つ反対の腕に展開された長身の砲身をモエモーターの一体に向けて構えた。

 

「スター・アドバンス、【バーストスプレッド2】!!!」

 

ショウは迷うことなく炸裂弾を発射し、モエモーターを中心に連続で周囲が炸裂していく。次々とエランドと電波ウイルスたちが倒される中、スバルもS.A(スター・アドバンス)を発動しようとバトルカードを三枚取り出そうとする。

 

『!スバル、オレが言う順番にバトルカードを使え!』

「ロック?」

『オーパーツがオレに語りかけているんだ……新たなS.A(スター・アドバンス)の組み合わせを!!』

「!」

 

ウォーロックのその言葉にスバルが驚くとほぼ同時に、メットリオとバルガンナーから攻撃が放たれる。自身に迫る衝撃波と弾幕をスバルは飛び上がって避けると、逆さまとなった状態でウェーブロードへと着地する。

 

「ウェーブロードの下に立っているだと!?」

「バトルカード、【インビジブル】【デスサイス1】【オロロンハット1】!!」

 

電波人間でもできない行為にハイドが驚く間に、ウォーロックから組み合わせを聞いたスバルは教えられた通りにバトルカードを使用する。

すると、スバルの手に人一人が入れる程の巨大なシルクハットが現れた。

 

「スター・アドバンス、【ファントムハット】!!!」

 

新しいS.A(スター・アドバンス)を発動させたスバルは、そのシルクハットを手裏剣のように投げ飛ばす。そのシルクハットは猛回転しながら飛んでいき、鎌鼬を作り出しながらエランドと電波ウイルスを容赦なく切り刻んで進んでいく。

 

「ば、馬鹿な……本当にヤツらは……!?」

「ジェネラル・キャノン!!」

 

一方的に倒されていく光景にハイドが頭を抱える中、ショウは一切の躊躇いもなく豪快な砲撃をハイドに向けて放つ。廃墟のマテリアルウェーブの屋上が着弾と同時に爆発し、その上に立っていたハイドを容赦なく吹き飛ばした。

 

「グハァッ!?」

 

超威力の砲撃をマトモに受けたハイドが不様に床を転がる中、ショウは大剣を掲げるように構え、スバルは三人に分身して手裏剣を投げ飛ばす構えを取る。

ショウとスバルはそのままキズナフォースビックバン―――KFBを発動した。

 

「サンダーボルト、ブレイド!!」

「フウマシップウジン!!」

 

ショウは左右に薙ぎ払った後に叩きつけて雷の衝撃波を起こし、スバルは埋め尽くす程の大量の手裏剣を投げ飛ばし、残っていたエランドと電波ウイルスたちを一気に殲滅した。

 

「し、信じられん……本当に、ベルセルクとシノビだとでも……!?こんな展開、私の脚本にはないぞ!!」

 

手持ちの戦力をすべて倒された光景を目の当たりにしたハイドは、頭を振ってその現実を否定しようとする。対してショウとスバルは、自分たちを乗っ取ろうとした声の正体が、それぞれのオーパーツを作り出した一族のものだったのだとハイドの言葉で確信する。

 

『……ここは、退け』

 

突然、何の前ぶりもなく男の声が聞こえた直後、青緑色の装甲を身に纏った、神官のような見た目の人物がハイドの隣に姿を現した。

 

「エ、エンプティー!?貴様、み、見ていたのか……!?」

「ここは退け、その者たちは脅威だ」

 

ハイドの驚愕混じりの質問にエンプティーと呼ばれた男は答えることなく、一方的に言葉を続けていく。そんな態度にハイドが唇を噛むが、エンプティーは淡々といった様子で言葉を続けていった。

 

「かつて『オーパーツ』を産み出した一族たちは、自らが産み出した強大な力によって、滅び、消え去った……その力を使いこなせず、彼らは自滅した。だが、その者たちは違う。一人では制御しきれなかった力を、仲間の力を借りることで己の力として身につけ、使いこなしているのだ」

「……仲間の力!?まさか……“絆の力”か!?」

 

エンプティーのその説明により、ハイドは一連の流れを思い出す。どちらも彼女達の呼び掛けに応えるように、姿形が変わっていた。それが一枚のブラザーカードがもたらしていたことも。

 

「今はまだ、戦うべき時ではない……退くぞ」

「クッ……オリヒメ様に何と言い訳すれば……!」

 

エンプティーはそう告げると、苦渋の顔を浮かべていたハイドと共にその場から消え去った。

 

「消えた……?」

『尻尾巻いて逃げやがったな……』

「深追いは……止めた方が無難か」

『遺憾だが同意である』

 

ハイドとエンプティーの気配が完全に消えたことから、ショウとスバルはその場で電波変換を解く。

こうして、オーパーツの力を自分たちの力として振るえるようになったのであった。

 

 

 




《トライブオン》
ブラザーカードを使うことで、オーパーツの力を引き出せる。ブラザーカードの使用を可能とする登録枚数は最大で六枚。

《【ファントムハット】》
【インビジブル】【デスサイス1】【オロロンハット1】で発動するスター・アドバンス。
対インビジ性能を持っており、範囲も広い。
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