ヘビー級電波人間の凸凹記   作:厄介な猫さん

5 / 19
対決、雪男!!

電波変換したショウとスバルは、猛烈に吹雪くゲレンデエリアのウェーブロードを突き進んでいた。

 

「バトルカード、【エアスプレッド1】!!」

「バトルカード、【ワイドソード】!!」

『カーソルロック!』

 

ショウが【エアスプレッド1】でアイズやスノーゴロンにダメージを与えると、ウォーロックのサポートで瞬時に目前へと移動したスバルが【ワイドソード】で二体同時に切り裂いてデリートする。

 

「……ふぅ。まさか電波ウイルスが行く手を阻むなんて……」

「今の内にフォルダをリロードしておくぞ。そろそろ使用可能なバトルカードが少ないからな」

 

ショウの言葉にスバルは頷くと、周囲を警戒しながらも使用可能なバトルカードが残り少なくなっていたフォルダをリロードし直していく。

ゲレンデエリアのウェーブロードは現在、電波システムの障害による影響からか、大量の電波ウイルスが蔓延っていた。その為、先へと進むためにはウェーブロードを塞いでいる電波ウイルス達を倒さなければならなかったのである。

 

『本当にめんどくせぇな。チマチマ倒さず一気に倒したいところだぜ』

『その言葉には誠に同意である。小僧、ジェネラル・キャノンで一気に片付けるぞ』

「だからダメだって。轟音と衝撃で雪崩が起きたらまずいだろ」

 

オリガの一網打尽の提案に、ショウは雪崩の可能性から秒で却下する。その意見にはスバルも同意見なのか、同意するように頷いた。

 

「そうだよ。それでゴン太たちが巻き込まれでもしたら……」

『ムグゥ……アーミーズが呼べれば、ここまで面倒にならずに済んだというのに……』

『出来ねぇことをウダウダ言ってんじゃねぇぞ、ジジィ』

『グヌヌ……!』

 

ウォーロックの正論に、オリガは悔しそうに唸りを上げる。反論したくても事実であるから当然であるが。

 

『しっかし、S.A(スター・アドバンス)の組み合わせは中々上手くいかねぇな。【モジャランス1】と【ジェットスキー1】の三枚同時は失敗に終わっちまったし』

「【プラズマガン1】三枚は既にオレが試して失敗しているからな。そう簡単には見つけられないんだよ」

 

ウォーロックの溜め息混じりの呟きに、ショウが仕方がないと言わんばかりに返す。

S.A(スター・アドバンス)は成功したら強力な一撃を放つことができるが、どの組み合わせで成功するのかは実際に試すまでは分からないのだ。ショウとオリガでさえ、把握できているS.A(スター・アドバンス)の組み合わせは四つだけなのだから、その難しさは推して測れると言うものだろう。

 

「ボクとしては正直、ヒヤッとするんだけど……」

『オレとお前だけなら控えるが、今はそうじゃないからな。試しておいて損はないだろ』

 

スバルの苦言にウォーロックは大して悪びれないでいると、スバルのスターキャリアーから通信音声が鳴り響いた。

 

「スターキャリアーから通信?ブラウズ!」

 

スバルは誰からの通信なのかとすぐにエア・ディスプレイを表示して応答すると、エア・ディスプレイに表示された人物はゴン太であった。

 

「あ!ゴン太!今どこにいるの!?」

『ロックマン……スバルか!オレは今、アイちゃんとナツヒさんと一緒だぜ!!』

「何だって!?」

 

ゴン太からの報告にショウは驚きを露にすると、慌てた様子でスバルが表示しているエア・ディスプレイに詰め寄っていく。

 

「ナツヒ!そこにいるのか!?いたら返事しろ!!」

『うお!?誰なんだよお前!?』

 

自身がオリガ・ジェネラルであることを失念していたショウがエア・ディスプレイ画面に写り込んだことで、ゴン太はド肝を抜かれたような表情と反応をする。

しかし、そんなゴン太の隣から割り込むように、表示された画面にナツヒが入ってきた。

 

『その声、ショウね!それに、オリガ・ジェネラルの姿ってことは……今こっちに向かってるの!?』

「ああ!今どういう状況なんだ!?」

『今は突貫作業で作ったカマクラの中で、何とか吹雪を凌いでいるところ。吹雪が強すぎて自力で戻れそうにないわ』

『それにアイちゃんを見つけた時、雪に埋もれて気を失ってたんだ……何とか雪から掘り起こしたけど、目を覚ましてくれねぇ』

 

おそらく雪に埋もれていたせいで体温が低下してしまったせいだろうと、ショウは考えながらも少しでも向こうの状況を把握する為に言葉を続けていく。

 

「場所はどこだ!?」

『プロコースの頂上付近。すぐ近くには天候の電波システムを制御している設備があるよ』

「分かりました。急いでショウさんと一緒にそこに行きます!ゴン太も待っててね!」

『すまねぇ、スバル。正直よく分からねぇこともあるが、今はアイちゃんのことが心配だ!』

 

ゴン太の必死な訴えを最後に通話を終えると、ショウとスバルは顔を見合わせて互いに頷き合った。

 

「ショウさん、急ぎましょう!」

「場所が分かれば一直線だ!一気に向かうぞ!!」

 

ナツヒたちの居場所が判明したことで、ショウとスバルは山頂付近を目指してウェーブロードを駆け抜けていく。

しかし、そんな二人の道中を、スノーゴロンを中心とした電波ウイルス達が遮っていた。

 

「くっ……急いでゴン太達の下に行かないと行けないのに……!」

「だったら……ヘル・ローラー!!」

 

ショウは手持ちの大技である『ヘル・ローラー』を発動させると、スバルに顔を向けて自身の肩を示すように叩く。

 

「乗れ、スバル!コイツで強引に突き進むから、お前はバスターである程度削っていってくれ!!」

「!分かりました!!」

 

ショウの意図を察したロックマンはすぐに馬車となる形でショウの肩に跨がると、左手のバスターを連射して進行上のウイルス達を攻撃していく。

『ヘル・ローラー』でゆっくりとした移動ではあるが、確実にウイルスを押し潰す形で撃破しながらショウはウェーブロードを突き進んでいく。

 

『おい!もっと早く移動できないのか!?ちんたら移動してたら間に合わなくなるぞ!!』

『これでも最高速度で走っているのだ!!一々足を止める必要がなくなった分、多少は早く着く筈だ!!』

 

急かすウォーロックと反論するオリガの会話を聞き流しながらも、ショウとスバルは焦る気持ちを必死に抑えてウイルス達をデリートしつつ頂上を目指して進んでいく。

時間感覚が曖昧になりながらも、ショウとスバルはウェーブロードを伝ってついに頂上へと辿り着いた。

 

「ようやく着いた……ゴン太たちは一体どこに……」

「!!彼処だ、スバル!!」

 

ショウがそう叫んで指差す先には、人が数人潜れそうな巨大な雪玉が鎮座している。その雪玉には人が出入りできる穴が出来ており、あれがカマクラであることは明白だ。

そのカマクラにショウとスバルは急いで駆け寄っていき、体格の問題からスバルがカマクラの中を確認する。

 

「……いた!三人とも、寒さで気を失っているみたい!」

「なら、三人を連れて急いで下山―――」

「グハ!そうはいかねぇぜ!ビッグスタンプ!!」

 

そんな言葉と共に、突如として上空から巨大な何かがショウとスバルの下へと落下してくる。

スバルはカマクラの中で咄嗟の身動きが出来ない中、ショウが腕を交差してその落下してきた巨大な物体を受け止めた。

 

「ぬぅぅ……らあっ!!」

 

受け止めた両腕から痛みを感じつつも、持ち前のパワーで何とかその物体を弾き飛ばす。弾き飛ばされたソレは軽やかな動作で着地すると、ショウとスバルの前に立ちはだかった。

 

「ゆ、雪男……!?」

 

カマクラから出てきたスバルはその存在を初めて認識する。オックス・ファイアのような巨体な体躯と四肢。しかし身体の色は白く、全体の作りは猿人……ゴリラに近い。その存在は端から見れば“雪男”であった。

 

「その通りだ!俺様が噂の雪男、イエティ・ブリザード様だ!!」

 

イエティ・ブリザードと名乗った“雪男”はショウとスバルに嘲笑するような笑みを向ける。そんなイエティ・ブリザードを睨んでいた左手のウォーロックは、確信を得たように叫んだ。

 

『スバル、やっぱりだぜ!コイツの波長、あのゴリって野郎と同じだ!!』

「何だって!?」

「ゴリ?一体誰のことなんだ?」

 

【リカバリー50】で両腕の痛みを緩和していたショウの質問に、ウォーロックの言葉に驚愕していたスバルは頷きながら答えた。

 

「このヤエバリゾートを乗っ取ろうとしている人だよ!」

「何だって!?じゃあ、昨日の落雪もコイツの仕業なのか!?」

 

ショウのその言葉に、イエティ・ブリザードは嫌らしい笑みを浮かべた。

 

「ケハッ!その通りだぜ!!彼処で事故が起きて被害が出ていたら、ホテルの評判がさらに落ちていたってのに。そんな俺の計画が、お前らのせいで見事に台無しになったんだからな!!」

 

嫌らしい笑みから一転、不機嫌そうな表情を浮かべてショウとスバルを睨み付けてくる。しかし、それも数秒で崩れ、嘲笑うような笑みを浮かべていく。

 

「だが、この吹雪作戦が上手くいけば、あの滑田の野郎はホテルを手放すしかできなくなる。電波システムの異常に加え、人気者のアイが被害者となって人気がガタ落ちしたホテルなら、買値も叩かれるから相当お買い得だぜ!グハハハハハ!!」

「そんな事、させるもんか!!」

「つまりお前をぶっ飛ばせば、万事解決ってことだな!!」

 

イエティ・ブリザードの死傷者が出ることすら厭わない、自身満々に告げる悪事を阻止するべく、ショウとスバルは直ぐ様臨戦態勢となる。そんな二人に、イエティ・ブリザードはある提案を持ちかけた。

 

「グハ!どっちも元気がいいな!俺様の言うことを聞くなら、特別に部下にしてやってもいい。俺に従えば、一気に金持ちになれるぜ!どうだ?」

 

そんなイエティ・ブリザードの勧誘に対し、ショウとスバルの返答は当然決まっている。

 

「そんなの絶対に嫌だ!!ボクは、三人を助けるんだ!!」

「ああ!そもそも金は大事なもんを守る為にあるんだ!その大事なもんを蔑ろにして得た金なんて……クソくらえだ!!」

「グハ!どいつもコイツも金そのものの大事さが分かってねぇなあ。だったら……お前らもそこの奴らと仲良く遭難しな!!ユキダマフォール!!」

 

交渉決裂と分かった途端、イエティ・ブリザードは両手を組んで地面を力強く叩く。すると、上空に巨大な雪玉が次々と形成され、それらが順次ショウとスバルに向かって降り注いでいく。

 

「バトルカード、【マッドバルカン1】!!」

「バトルカード、【モジャランス1】!!」

 

スバルとショウはすぐにバトルカードを使用し、スバルは【マッドバルカン1】で降り注ぐ雪玉を次々と撃ち砕いていき、ショウが【モジャランス1】を振り回して撃ち洩らした雪玉を砕いて防いでいく。

 

「このまま戦っていると、ナツヒ達が巻き込まれる!スバル、アイツの動きを止められるか!?」

「任せて!ダブルバトルカード、【プラズマガン1】!!」

 

ショウの要望にスバルは頷いて返すと、二枚の【プラズマガン1】を使ってイエティ・ブリザードに狙いを定める。

 

「ケハッ!当たるかよ!!」

 

イエティ・ブリザードはその巨体から考えられない程の軽やかな動きで、スバルが放った麻痺弾を躱していく。まるで猿のように飛んで二つの麻痺弾を躱すも……

 

「ジェネラル・ダッシュ!!」

 

その着地を狙い打ちするように、ショウが体当たりを噛ましてイエティ・ブリザードへと組み付いた。

 

「グハ!?テメェ!!」

「このまま一緒に来てもらうぞ!!」

 

ショウは車輪に力を込めると、そのままカマクラから離れるように雪の上を爆走していく。

 

「テメェ、さっさと離しやがれ!!」

「言われなくてもすぐに離してやらぁ!!」

 

イエティ・ブリザードの叫びにショウはそう返すと、そのまま力任せに投げ飛ばす。投げ飛ばされたイエティ・ブリザードが雪の上を転がる中、吹雪を切り裂くように何かが突撃してくる。

 

「くらえ!!」

「ゲハァッ!?」

 

【ジェットスキー1】を使用して二人を追いかけていたスバルは、そのままイエティ・ブリザードに体当たりしてダメージを与える。

脇腹に攻撃を叩き込まれたイエティ・ブリザードは苦悶の表情を浮かべながらも、丸太のような豪腕をスバルに向かって振るおうとする。しかし、イエティ・ブリザードの豪腕がぶつかる前にスバルは後ろに下がったことで、その豪腕は宙を切るだけに終わった。

 

「ロックバスター!!」

 

さらにスバルは下がりながら左手からバスターを連射して追い討ちを掛ける。イエティ・ブリザードは咄嗟に顔を覆うも、確実にダメージを刻み込まれていく。

 

「ガキ共がぁ……調子乗ってんじゃねぇぞ!!!ダブルバトルカード、【フリーズグレネード】!!」

 

バスターを弾き飛ばしながら立ち上がったイエティ・ブリザードは、怒りを顔に滲ませる。その怒りのままに、二枚のバトルカードを取り出して使用する。手元で実体化した水色のボムをそれぞれの手で握り締めると、イエティ・ブリザードはそのボムをショウとスバルの足下に向かって投げ飛ばした。

 

「バトルカード、【バリア】!」

「シールドッ!!」

 

ショウはバトルカードで、スバルは自前の盾でそのボムによる爆撃を防ぐ。爆発した途端、【フリーズグレネード】という名の通り、立ち込めた冷気によって地面の雪がたちまち凍り始めていく。

それこそが、イエティ・ブリザードの狙いであった。

 

「バトルカード、【アイスバースト】!【アクア+30】!!」

 

イエティ・ブリザードは冷気を吸収して放つバトルカードと、水属性の威力を上げるバトルカードの二枚を同時に使う。バトルカードによって砲撃並の威力となった【アイスバースト】を機関銃の如く、ショウとスバルに次々と叩き込んだ。

 

「ぬあああっ!?」

「うわぁあああっ!?」

 

この異常気象とバトルカードによって生み出された冷気を吸収し、威力の底上げまで施された【アイスバースト】の連撃をマトモに受けてしまったショウとスバルは揃って吹き飛ばされてしまう。電波変換こそ解けていないが、看過できない程のダメージを一気に負わされてしまった。

 

「くっ……まさか希少なバトルカードを使ってくるとは……」

「グハハッ!金さえありゃ、どんなバトルカードも手に入れられるんだよ!!」

 

立ち上がろうとするショウの言葉に、イエティ・ブリザードは侮蔑と嘲笑を込めた笑みを二人に向けていく。そして、そのまま腕を振り上げ、ドラミングの姿勢を取り始めていく。

 

「こいつで全員仲良く、雪の中に埋もれちまいなぁ!ナダレダイコ!!!」

 

イエティ・ブリザードは勝利を確信し、奏でるようにドラミングを始めていく。そのドラミングに呼応するように、イエティ・ブリザードの背後から雪崩が起こり始め、徐々に規模を拡大させながらショウ達へと迫っていった。

 

『ヌゥ!?このままでは雪の中に深く埋もれてしまうぞ!』

『オレ達だけじゃなく、後ろにいるゴン太たちもだ!!』

 

オリガとウォーロックのその言葉通り、二人の後ろにはカマクラの中で気絶しているナツヒ達がいるのだ。加えて【アイスバースト】のダメージが残っている今、この雪崩から逃げ切ることは不可能だ。

 

「―――【バーストスプレッド1】!!!」

 

だからこそ、ショウはここで何とか雪崩を食い止めようと動く。

S.A(スター・アドバンス)【バーストスプレッド1】を迫り来る雪崩に向かって放ち、着弾地点を中心に次々と炸裂することで雪崩を吹き飛ばしていく。だが、イエティ・ブリザードがドラミングを始めてから雪崩が起きているので、イエティ・ブリザード自身をどうにかしなければこの雪崩が止まらないのは明白だ。

 

「こうなったら、ボクらも【エアスプレッド1】を三枚使って―――」

『待て、スバル!オレらは【モエリング1】を三枚使うぞ!!』

 

当然、何とか立ち上がったスバルも同じS.A(スター・アドバンス)で雪崩を食い止めようとバトルカードを使おうとした矢先、ウォーロックが待ったを掛けて【モエリング1】の三枚同時使用を提案してくる。

 

「【モエリング1】を三枚だって?まさか……」

『そのまさかだ!【モエリング1】のS.A(スター・アドバンス)を狙うんだよ!!』

「本気なのロック!?成功するかも分からないのに……」

『この雪崩じゃ同じ手を使っても焼け石に水だ!!なら、一か八かでやるしかねぇだろ!!』

 

失敗の可能性と危機的状況から賭けに乗り気でないスバルに、ウォーロックは厳しい指摘で実行すべきだと意見してくる。

 

確かにウォーロックの言う通り、イエティ・ブリザードのドラミングで起こっている雪崩に対して同じ手を使うのは得策ではないだろう。加えて、仮に失敗してもすぐに【バーストスプレッド1】を使えばいいだけ。

ゆえに、スバルは意を決したようにウォーロックの提案を受け入れた。

 

「トリプルバトルカード、【モエリング1】!!」

「ケハッ!そんなザコカードでどうにかなるもんかよ!!グハハハハハハッ!!!」

 

スバルの声が聞こえたのか、イエティ・ブリザードは心底バカにするように嘲笑っていく。当然、イエティ・ブリザードも子細は知らずとも【バーストスプレッド1】のことは知っており、おおよその性能も把握しているからこそ『ナダレダイコ』を放ったのだ。

 

だが、勝利を確信していたイエティ・ブリザードは気づいていなかった。雪崩で隠れた向こうの先には、炎の車輪ではなく炎のローラーが展開されていたことに。

 

「【モエリング1】が巨大な炎のローラーに……!」

「この土壇場で新しいS.A(スター・アドバンス)を……!」

『これが野生の勘と言うヤツか……!?』

『ガッハッハッ!どうだ!オレの勘も捨てたもんじゃねぇだろ!?』

 

見事に新しいS.A(スター・アドバンス)を成功させた事に、ウォーロックは一部の嫌味を聞き流すほど上機嫌で笑っていく。性能すら発現するまで不明なS.A(スター・アドバンス)を成功させただけでなく、逆転の一手となる性能まで引き出したのだから当然かもしれないが。

 

「これなら、いける……!」

 

スバルは迫り来る雪崩を見据えると、炎のローラーを制御している左手を雪崩に向かって構える。

 

「スター・アドバンス、【フレイミングローラー1】!!!」

 

その叫びと共に炎のローラーを雪崩に向かって発射すると、炎のローラーは解き放たれたようにさらに大きくなり雪崩の高さと同等になる。

スバルが放った新しいS.A(スター・アドバンス)【フレイミングローラー1】は『ナダレダイコ』の雪崩を容易く蒸発させながら、ドラミングを続けるイエティ・ブリザードに向かって突き進んでいく。

 

「!?なんだ、この炎の巨大ローラーは!?一体どうなってやがるんだ!!」

 

雪崩を呑み込むように消し飛ばしながら迫りくる巨大な炎のローラーを目の当たりにしたイエティ・ブリザードは、信じられないと言わんばかりに叫ぶ。

 

何せ【モエリング1】を三枚……炎の車輪が三つ飛んでくる程度と高を括っていただけに、この巨大な炎のローラーはあまりにも予想外だったのである。

そんな驚愕の表情を浮かべるイエティ・ブリザードに、【フレイミングローラー1】は容赦なく迫ってくる。

 

「クソがぁ!!」

 

このままでは押し潰されると思ったのか、イエティ・ブリザードはドラミングを止めてその場から飛び上がる。飛び上がってすぐ、【フレイミングローラー1】はイエティ・ブリザードが先程までいた場所を通過していき、全ての雪崩を蒸発し尽くしたタイミングで消滅していく。

 

「このまま押し潰してやる!ビッグスタンプ!!」

 

イエティ・ブリザードは最初に仕掛けた巨大な足の踏みつけ攻撃を放とうとする。だが、不意討ちで放った同じ手が二度も通じる訳がない。

 

「ダブルバトルカード、【シンクロフック1】!バトルカード、【ホワイトメテオ】!!」

 

ショウは猛然と迫ってくるイエティ・ブリザードを見据えて三枚のバトルカードを使用する。発動したのはボクサーグローブと小さな隕石……ではなく、緑色に光る揺らめくオーラが宿った右拳であった。

 

「スター・アドバンス、【ガトリングナックル1】!!」

 

緑のオーラを纏った右拳を上空にいるイエティ・ブリザードに向かって振るうと、まるで機関銃のように拳の形をした緑色のエネルギー弾が無数に放たれていく。

 

「グォオオッ!?」

 

その拳のエネルギー弾を幾つも受けたイエティ・ブリザードはバランスを崩し、そのまま雪の上へと落下してしまう。ダメージを受け、すぐに立ち上がれないイエティ・ブリザードに対し、スバルは一気に勝負を仕掛けた。

 

「これで決める!バトルカード、【ソード】!【ワイドソード】!【ロングソード】!!」

『カーソルロックッ!!!』

 

スバルは異なるソード系のバトルカード三枚を使用し、ウォーロックがイエティ・ブリザードに標準を合わせる。そして、左手に展開された巨大な斧を構えて、瞬時にイエティ・ブリザードのすぐ間近へと移動する。

 

「ま、待て―――」

「スター・アドバンス!【グランドアックス】ッ!!!」

 

イエティ・ブリザードの命乞いを無視したスバルは【グランドアックス】を振り抜き、イエティ・ブリザードを斬り飛ばした。

 

「『グハァアアアアアアアアアアアッ―――!!!』」

 

斬り飛ばされたイエティ・ブリザードは電波体と共に絶叫し、身体がブレると同時に電波変換が解け始めていく。

電波変換が解け、桃色の服を着た厳つい体躯の男性は雪の上を転がっていく。そして、その男性と電波変換していた紫の猿のような電波体は身体を崩壊させながら消滅していく。

 

同時に猛然と吹雪いていた風が徐々に収まっていき、天候が吹雪が舞う前の状態へと戻っていく。

こうして雪山での戦いはスバルとショウ―――ロックマンとオリガ・ジェネラルの勝利で終わるのであった。

 

 




《カマクラ》:積み上げた雪を固め、出来上がった雪山に穴を開けて作る小さな家。ゴン太達と合流したナツヒがマテリアルウェーブのスコップを使って作り上げた。
吹雪く風は凌げたが、熱源がなかった為、寒さで意識を失った。

《【アイスバースト】【アクア+30】》:流星1に登場したバトルカード。ゲーム本編では消え去ったが、希少レアバトルカードとして登場した。
敵は使わないんじゃないかって?敵だって使うよ?

《【フレイミングローラー1】》:【モエリング1】三枚で成立する、炎のローラーを飛ばすスター・アドバンス。使用者は星河スバル。

《【ガトリングナックル1】》:【シンクロフック1】二枚と【ホワイトメテオ】で成立する、拳状のエネルギー弾を無数に放つスター・アドバンス。使用者は車田ショウ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。