ヘビー級電波人間の凸凹記   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ。


加速する物語

イエティ・ブリザードの元となった電波体『イエティ』が消滅したことで、元の姿となった『五里門次郎』が雪の上でうつ伏せで倒れる中、晴々となった空をロックマンとオリガ・ジェネラルは見上げていた。

 

「吹雪が止んだね」

「これでナツヒ達も一先ずは安心だな」

 

異常気象も止まり気温も徐々に上がっている事に二人が安堵する中、地面に伏していた五里が腕に力を込めて立ち上がろうとしていた。

 

「ケハッ!まだ……まだだ!!」

 

五里は諦め悪く立ち上がろうとするも、すぐに片膝を着いて蹲ってしまう。ある程度は電波体にダメージが行くように攻撃が調整されていたとはいえ、五里自身も少なくないダメージを負っているのだ。少なくともここから逃げる程の力は残っていないのは明白である。

 

『しつこい人間だな』

『もう電波体がいないお前じゃ、どうやっても勝てねぇよ。素直に負けを認めな』

 

そんな満身創痍の五里にオリガとウォーロックは呆れと同時に投降を促すが、五里はそれでも諦めないと言わんばかりに叫ぶ。

 

「ふざけるな!まだ勝負はついちゃいねぇ!!こうなりゃ癪だが、ハイドの野郎の力を借りてやる……!」

 

五里の口からハイドの名前が出た瞬間、ロックマンとオリガ・ジェネラルは驚きの表情を浮かべる。

 

「ハイドだって!?」

「例のオバケ騒動の主犯が、この近くにいるのか!?」

 

ロックマンとオリガ・ジェネラルは周囲を警戒するように辺りを見回す中、何処から途もなく男性の声が二人の耳に届いた。

 

『……誰をお探しかね?ンフフ』

 

その男性―――『ハイド』の人を小馬鹿にするような声に、真っ先にロックマンが食いついた。

 

「ハイド!どこだ!?」

『気配は近くにある……スバル、油断するなよ!!』

 

ロックマンとウォーロックが緊張の面持ちで周囲を警戒する中、オリガ・ジェネラルも警戒度を厳に高めていく。

 

「あの声の主がハイド……性格の悪さが滲み出てるな」

『実に気に食わん声だ……出てきた瞬間に押し潰すぞ、小僧』

 

オリガの言葉にオリガ・ジェネラルは頷くと、ロックマンと互いに背中合わせとなって油断なく周囲を探っていく。ここでもう一戦となると二対一に持ち込めるとはいえ、消耗している以上苦戦するのは必須だからだ。そこに不意討ちや奇襲を受けでもしたら、形勢は一気に不利になる。

 

そんな警戒を厳にする二人に構わず、五里は何処にいるかも分からないハイドに向かって叫んだ。

 

「ハイド、今ならコイツらをやるチャンスだ!頼むぜ!!」

『……断る』

「…………は?」

 

ハイドのその言葉に五里は一瞬意味が分からないといった表情となるも、すぐに険しい表情となる。その険しい表情のまま怒りを露にし、ハイドに厳しく問い質した。

 

「何だとハイド!断るとはどういうことだ!?」

『こんな酷いシナリオに誰が乗るとでも?吹雪が止んだ以上、もうすぐ此処には大勢の救助隊が駆け付けてくる。そこで呑気に油を売っていては、お前と一緒に捕まってしまうのは火を見るより明らかではないか』

 

五里の怒りなど大して気にした様子もなく、むしろ馬鹿にするような感じでハイドは言葉を返していく。そんなハイドに五里は食い下がっていく。

 

「ゲハ!ハイドてめぇ、俺様を裏切るのか!?」

『裏切る?ハハハ、可笑しなことを言わないでくれたまえ。お前と私は金だけで繋がった、ただのビジネスパートナーだった筈だ。お前も昨日、そう言っていただろう?』

「それは……!」

 

ハイドの返しが図星だったのか、五里は反論できずに押し黙ってしまう。

 

『それにこの者どもを始末する機会は、まだいくらでもある。焦る必要は何処にもないのだよ。では、そろそろお別れだ。二人とも、次の恐怖を楽しみにしておくがいい。ンフフフフフ』

 

その言葉を最後に、ゲレンデの頂上に沈黙が訪れる。

 

『気配が消えやがった……』

『本当に立ち去ったようだな……』

 

ウォーロックとオリガのその言葉を聞き、ロックマンとオリガ・ジェネラルは荷が降りたように深い溜め息を吐く。

 

「ケハ……チク、ショウ……が……」

 

ハイドに見捨てられた五里というと、糸が切れたように再び雪の上へと倒れてそのまま気絶してしまうのであった。

 

 

――――――

 

 

あの後、救助隊がナツヒ達を保護し、今回の首謀者である五里もサテラポリスによって連行された後、ショウ達はホテルの入口前に集まっていた。

 

「アイを助けてくれて、本当に感謝してるよ。みんな、ありがとうございました!」

 

ホテルの支配人である滑田は感謝を露にそう告げ、ショウ達に深々と頭を下げる。そんな滑田に対し、スバルは困ったような表情となった。

 

「そんな……敬語で言われたら困っちゃうけど……でも、今回一番偉かったのはゴン太なんです」

「はい。リフトが止まる前に、ゴン太君はダッシュでアイちゃんを助けに行きましたから」

 

スバルとキザマロの言葉に、今回の件で一番の被害者だったアイはゴン太へと顔を向ける。

 

「そうだったんだ……ゴン太くん、ホントにホントにありがとうね!」

「そ、そんな風にアイちゃんに喜んでもらえたら、オレ……」

 

アイから笑顔でお礼を告げられてゴン太が照れる中、もう一人の功労者であるナツヒは地団駄を踏んでいた。

 

「あー!!まさか寒さで気を失うだなんて!!雪男を目撃する大チャンスを、みすみす見逃すなんてーーーー!!!!」

「頼むから落ち着けって。ほら、周りも困っているだろ」

 

ショウが呆れたようにナツヒを宥めようとするも、当の本人は耳を貸さずに地団駄を踏み続ける。カマクラで吹雪を凌いだおかげで、ゴン太とアイも含めて大事に至らずに済んだ。その為、軽い検査だけですぐに解放されたのである。

 

そんな元気いっぱいなナツヒの態度に、ショウを除くスバル達は何とも言えない表情となっいるが、当の本人は気づくよしもなかった。

 

「ナツヒさんって……少し委員長に似ているね」

「ええ。本当に委員長にそっくりですよ」

「……二人とも?それはどーいう意味かしら?」

 

少し苦笑いしながら呟いたスバルとキザマロの言葉に、ずっとホテルの部屋で不貞腐れていた少女『白金ルナ』のどこか威圧感を感じる問いかけに、スバルとキザマロは揃って背筋を震わせ、ビシッ!と姿勢を直した。

 

「い、いえ!深い意味は何も!」

「そ、そそ、その通りです!!どちらも素晴らしいと思っただけです!!」

「あら、そうなの」

 

キザマロの必死の言い訳をルナが素直に受け止めたことで、スバルとキザマロは一安心したように息を吐く。そんな中、アイは未だ悔しがっているナツヒに近寄っていった。

 

「あのナツヒさん。ゴン太くん同様、ホントにありがとうございました!!」

「ん?別にお礼なんていいわよ。カマクラを作ったはいいけど、暖を取れるものがなかったから気を失っちゃったし」

 

アイからのお礼に対し、ナツヒはバツが悪そうにそう返す。謙遜でも何でもなく、ただ事実で返しているだけだと、長年の付き合いからショウは少し呆れたように肩を竦める。

 

「いや、そのカマクラがなかったらヤバかったです……最後もスバルとショウさんに助けられたし……」

「そこはお互い様だろ。お前からの連絡がなければ、闇雲に探し回ってただろうし」

 

ゴン太の言葉に対し、ショウはお互い様と言って言葉を返す。実際、ゴン太からの連絡がなければ探すのに手間取っていたであろうことは想像に難くないからだ。

 

「そうだよ。ゴン太が助けに行ったと知って、ボクも行かなきゃって思っただけなんだ。だから、一番偉いのはやっぱりゴン太だよ」

「お前ってさ、ホントは凄いのにそれを自慢するわけでもなく、陰でいっつもオレ達を助けてくれる……だから、改めてオレとブラザーになってくれないか?」

「……もちろんだよ!」

 

ゴン太の申し出をスバルは素直に受け止めると、互いにスターキャリアーを取り出して《ブラザーバンド》を結ぶ。そんな二人のやり取りを見たショウは、自身のスターキャリアーを取り出してスバルに話しかけた。

 

「せっかくだからオレとも結んでおくか、スバル?一緒にナツヒ達を助けに行った仲ということで」

「え?そんな簡単に結んで良いんですか?」

 

ショウからの申し入れに、スバルは正直な気持ちで問いかける。そんなスバルに、ショウも正直な気持ちで返していく。

 

「ああ。そこまで知らない仲じゃなくなったし、お前が良い奴ってことは良く分かったしな。それに……困った時に頼れる相手がいるのも、悪くないだろ?」

 

ショウは少し笑みを浮かべてそう告げる。

 

『小僧。完全にワレを宛にしているだろ?毎回貴様と電波変換できると思ったら大間違いだぞ』

「……何時でもってわけにもいかないが、困った時の相談くらいは乗ってやるさ。一応、年上だし」

 

オリガの文句を受けて告げたショウの言葉に、声が聞こえているスバルは何とも言えない表情を浮かべる。

 

『本当にメンドくせぇジジィだな。やっぱりあの野郎とグルじゃねぇのか?』

『そんなわけがなかろう、珍獣』

「その喧嘩、今すぐ買ってやらぁ!!」

「よかろう!!ワレの偉大さを今度こそ刻み込んでくれようぞ!!」

 

オリガとウォーロックはスターキャリアーから飛び出すと、そのまま上空で互いに殴り合っていく。お互いの電波体の喧嘩っ早さにショウとスバルは苦笑いするしかない。

 

「……で、どうする?」

「ボクからもお願いします。色々と助けられましたから」

 

そうしてショウとスバルはブラザーバンドを結び合うのであった。

 

 

――――――

 

 

とある場所にて。

 

「……報告いたします。妙な者たちが我々の邪魔をしております。青い少年の名前は『ロックマン』。もう一人は『オリガ・ジェネラル』」

 

帽子を被った金髪の紳士・ハイドからの報告を、暖簾(のれん)で姿を隠している人物『オリヒメ』は静かに聞いていた。

 

「愚かな人間共がいたものだ……妾の崇高な計画を邪魔しようとはな」

「まったく、その通りでございます。オリヒメ様に楯突くとは……畏れ多いとは正に、この事でございます」

 

オリヒメの声色からして邪魔者に対して侮蔑しているであろう呟きに、ハイドはうやうやしく畏まって全面的に同意する。そんなハイドは自身の主人であるオリヒメに報告を続けていく。

 

「ですが……その者たちも電波変換を行っているのです。ロックマンは我々とは異なる方法で電波変換を行っているようですが……オリガ・ジェネラルは我々と同じ方法で電波変換を行っているようなのです」

「そのオリガ・ジェネラルとやらは『古代のスターキャリアー』を持っていると?」

 

オリヒメのその質問に対し、ハイドは身動き一つせずに報告を続けた。

 

「その可能性は高いかと。我が(しもべ)、ファントムによりますと……オリガ・ジェネラルは“反逆者”の片割れだそうです」

「“反逆者”……“軍師”や“戦士”、“遣い”に“監視者”、“門番”とは別の存在か」

「はい。ですが、ファントムの話を聞く限りでは、オリガ・ジェネラルは数多の電波兵士を従え、もう一体と共に反旗を翻した存在とのこと。その経緯から“代わり”はおらず、彼の場所の奥深くに封じられたと」

 

電波体ファントムから聞いた話を、有りのままに伝えるハイド。そんなハイドにオリヒメは話を深堀していく。

 

「その封印されていた筈の存在が、何故姿を現したのだ?」

「残念ながらそこまでは……ですが、そのオリガ・ジェネラルは、最大の特徴である電波の兵士を呼び出さない程に弱体化しているようなのです」

「それは(まこと)か?」

「はい。イエティ・ブリザードとの一戦で、不利な状況にも関わらず呼び出さなかったので間違いはないかと」

「ならば、ロックマン同様に然程気にすることもあるまい」

 

ハイドの報告から、捨て置いても大した問題にはならないと判断するオリヒメ。そんなオリヒメに、隣で控えていた存在『エンプティー』が異議を唱えた。

 

「……オリヒメ様。無礼を承知で申しますと、その者どもは早急に排除すべきかと」

「ほう?」

「エンプティー!オリヒメ様の決定に異を唱えるつもりか!!」

 

エンプティーの申し出に対し、オリヒメよりもハイドが怒りを露に噛み付いてくる。しかし、エンプティーはそんなハイドを気にも止めた態度を現すこともなく、話を続けていく。

 

「弱体化しているとはいえ、()()()()の力を手にしているのです。万が一にも力を取り戻せば、我々の脅威となる可能性が高いかと」

「脅威となる前に芽を摘むべき、と?」

「……ハイ。その通りでございます」

 

エンプティーの申し立てにオリヒメは熟考するように少し沈黙すると、ハイドに向かって指示を下した。

 

「ハイド、もしソヤツらが次に我々の邪魔をすれば……始末せよ。手段は問わん」

「……ハッ、承知しました。オリヒメ様の仰せのままに……」

 

オリヒメからの指示を受け、ハイドは頭を垂れて承る。そのタイミングで、新たな人物がその場に姿を現した。

 

「戻ったか……ソロよ」

「オーパーツの在処が分かったぞ」

 

オリヒメの労いとも取れる言葉に、ハイドの隣に立った白髪の少年『ソロ』は頷くこともなく、必要な事だけを告げんばかりの態度で接する。そんなソロの態度に、ハイドがすぐに噛み付いた。

 

「ソロ、貴様!オリヒメ様に対して無礼だぞ!!」

「よいハイド。それでソロ、オーパーツは現在、何処にある?」

 

ハイドを(たしな)めつつ、オリヒメはソロに頼んでいた《オーパーツ》の現在の在処を問い質す。ソロは不遜な態度を崩すことなく、オリヒメに告げた。

 

「オーパーツは三つとも、TKタワーの最上階にある美術館の中だ」

「TKタワーの最上階にある美術館、か。全てのオーパーツが一ヵ所に集まっているのは好都合ではあるが、その分警備を掻い潜るのは容易ではなかろう。エンプティー、アレをソロに……」

 

オリヒメの指示を受けたエンプティは瞬間移動したようにソロの前に姿を現すと、身の長程の大きさがある黒い一つ目の装置を差し出す。

 

「なんだ、これは?」

「物質転移装置《カミカクシ》である。何かを盗み出すのにはうってつけであろう」

「……必要ない。初めに言った筈だ。オレはお前らと馴れ合うつもりはない」

 

ソロはカミカクシを受け取らずに背を向けると、そのまま立ち去ろうとする。そんなソロにオリヒメは待ったを掛ける。

 

「そう言うな、ソロよ。カミカクシは元々、例の文明の遺産であるぞ」

「……!」

「それに、件のオーパーツは何れも所有者に強大な力をもたらす。只人ならまだしも、ソナタなら手にするだけでも少なからぬ影響を受けるであろう。それが三つともなれば尚更だ」

「……オレがオーパーツの力に呑まれるとでも?」

「あくまで可能性の話だ。かつて制御できずに自らを滅ぼしてしまった遺産……慎重を期すに越した事はあるまい」

「…………」

 

オリヒメからの忠告を受けたソロは、エンプティーが差し出したカミカクシを受け取ると、今度こそその場を立ち去っていった。

 

「……オリヒメ様、宜しかったのですか?我々の重要な任務をヤツ一人に任せるなど……」

「構わぬ。ソロの力は信用しておるし、最低でも一つは手に入れるだろう」

 

ハイドの懸念に対し、オリヒメは態度を崩すことなく返すのであった。

 

 

――――――

 

 

ヤエバリゾートの吹雪事件から数日。

「……今日もガラクタしか釣れねぇ」

「もはや一種の才能であるな」

 

ボロボロの布を釣り上げたショウに、オリガは呆れたように呟く。その近くにはゴミの山が積み上げられており、今日もある意味絶好調であった。

 

「ナツヒは例のスターキャリアーモドキを寄贈したお礼で、タダで美術館見学してるからいないし……」

「ワレを閉じ込めていた物を見せびらかす場所に誰が行くものか。そもそも、何故ワレの方に合わせた?」

「お前が行きたくない場所に行くのもどうかと思っただけだ。何だかんだでお前には本当に助けられてるし」

「……誉めても無駄だぞ、小僧」

 

プイッとそっぽを向くオリガの姿に、ショウは相変わらずだなと肩を竦める。口では散々言いながらも、最後にはちゃんと協力してくれているから、根本的には悪い奴ではないのだろう。

 

「お、また引っ掛かったぞ。今度こそ魚を……!」

 

ショウは釣竿の強いしなりから、今度こそ魚であることを期待してリールを巻き取っていく。そうして釣り上げたのは……古ぼけた剣だった。

 

「また魚じゃなかった……てか釣りで剣を釣るってどんな確率なんだよ?これ、銃刀法違反にならないよな?」

 

刑事ドラマや漫画から得た知識を呟きつつ、ショウはこれは海に再度捨てるべきではないかと考える。不法投棄になるが、明らかに物騒なものをこのまま持つよりかは遥かにマシであるからだ。

だが、そんなショウにオリガが待ったを掛けた。

 

「待て小僧!それをワレに寄越せ!今すぐ寄越せ!!」

「うお!?どうしたオリガ!急に詰め寄って来て!」

「いいからそれを早くワレに寄越せ!いや、もう面倒だ!!」

 

オリガは問答を放棄すると、未だに釣り針に引っ掛かっていた剣を掴み取ってしまう。そして、その掴み取った剣を……自身の身体へと捩じ込み始めた。

 

「ちょっ、おい!?オリガお前、なにやってんだよ!?」

「ぬぅぉおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

ショウが慌てた様子でオリガに呼び掛けるも、当の本人はショウの言葉を無視しているのか、その剣をまるで取り込むように身体へと捩じ込んでいく。

 

いや、実際に取り込んでいるのだろう。その剣がまるで同化するようにズブズブとオリガの身体へと沈み初めているのだから。

そうして僅か数十秒で、オリガはその剣を自身の身体へと取り込んでしまった。

 

「オ、オリガ……?」

「フフフフ……来い、アーミーズ!!!」

 

ショウを相変わらず無視するオリガは手を掲げて、配下の電波体を呼ぼうとする。当然、何も起きない。

 

「…………」

 

何も起きなかったことにオリガは手を下ろすと、無言のままショウのスターキャリアーの中へと引き込もってしまった。

 

「おーいオリガ。せめて説明してくれ。お前は一体何がしたかったんだ?」

『…………』

 

ショウの呼び掛けにオリガは答えず無言。どうやら目論見が失敗してショックを受けたようである。

実際……

 

「また失敗したのか?ポンコツ」

『…………』

 

普段なら怒りを露にするショウのポンコツ発言にさえ無反応なのだから。

これは重症だな、とショウはスターキャリアーをしまい、帰路に着く為に片付けをするのであった。

 

この時、ショウは気付かなかった。

オリガが取り込んだ剣は『ベルセルク』のオーパーツであったことに……そのオーパーツと古の遺産を巡る戦いに、確実に巻き込まれてしまったことに。

 

 

 




「トリプルバトルカード、【キャノン】!!」
『リボルバータイプになったな。形状を見る限り、本来は一発しか撃てないのが六発撃てるようになるS.A(スター・アドバンス)か』
「ショウさんの話じゃ、強力なキャノンが一発だけの筈だけど……」
『別にいいだろ。使い勝手がいいし、全部当てれば大ダメージだしよ』




《【リボルバーキャノン1】》:【キャノン】三枚で発動する、星河スバルのS.A(スター・アドバンス)。本来は一発撃てば終了となる【キャノン】が、六発撃てるようになっている。
オリガ・ジェネラルの場合は強烈な一撃を放つ【マグナムキャノン1】となる。
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