ヘビー級電波人間の凸凹記   作:厄介な猫さん

7 / 19
てな訳でどうぞ。


美術館の騒動

ショウがいつもの港で釣りをしていた頃。

久々に会った友達と一緒にTKタワーの最上階にある美術館『滅びの文明展』に訪れていたスバルは現在、ウォーロックの行動に慌てふためいていた。

 

「コイツを調べて、ハイド達の正体に近づいてやる!」

「ま、待って、ロック!」

 

ウォーロックはスバルの静止に耳を貸すことなく、目の前に展示されているスターキャリアーそっくりの古代遺産に触ろうと……

 

「ドワァ!?」

 

した直前で楽器の姿をした電波体『ハープ』が、ウォーロックを押し退けるようにぶつかったことで事なきを得た。当然、邪魔をされたウォーロックはハープに怒りをぶつけた。

 

「オイコラ、ハープ!テメェ、なに急にぶつかってんだよ!?」

「今はそれどころじゃないの!変な女に追いかけられてるのよ!!」

「変な女だぁ?」

 

ハープのヒシヒシとした焦りの声に、ウォーロックはハープが逃げていた方向に目を向けると……

 

「待てーい!!楽器の姿をした電波生命体!!!大人しく私に捕まりなさぁい!!」

 

マテリアルウェーブらしきゴーグルとグローブを装備した少女が、早足でウォーロックとハープに向かって駆け寄って来ていた。

 

「ほらロック!さっさとその女をどうにかしてちょうだい!!」

「オレを押すんじゃねぇ!!……って、ん?」

「あの人って……」

 

両手をワキワキさせて近寄ってくる少女の姿に、スバルとウォーロックは物凄く見覚えがあったことで微妙な表情となる。

その少女―――ナツヒは目を輝かせながら、今にも飛びかからんばかりの姿勢でウォーロックとハープへと接近していく。

 

「グヘヘヘヘ……新種の未確認生物が二体も……オリガと同じ電波生命体でも、新種には違いないわ……!」

「コイツの顔がヤベェ!!スバル、お前が何とかしろ!わりとマジで!!」

「う、うん!!」

 

まるで薬物でもキメたような危ない笑みを浮かべるナツヒを前に、本能的に恐怖を抱いてしまったウォーロックは反射的にスバルに対処を丸投げした。ナツヒの今の姿に軽く引いていたスバルもすぐに頷き、慌てて間へと割って入った。

 

「ナツヒさん!ストップ、ストップです!!」

「ちょーっと退いてくれないかなぁ?私はそこにいる……ん?」

 

スバルが割って入ったことで、ナツヒは正気に戻ったようにゴーグルを上へとずらしてスバルに顔を向けた。

 

「スバルくん?どうして此処にいるの?」

「えーと、実は友達と一緒に……ナツヒさんこそ、どうして此処に?」

「ちょっとした理由で美術館に招待されたのよ。それより今はそこの電波体たちを……!」

 

ナツヒはあっさりとスバルの質問に答えると、ゴーグルをかけ直してウォーロックとハープに近寄ろうとする。それをスバルが慌てて止めに入る。

 

「だから待って下さい!ロックもハープも、ボクの知り合いですから!!」

「え?そうなの?」

 

ナツヒの問い掛けに、ウォーロックとハープはコクコクと何度も肯定するように頷く。それを見たナツヒはすんなりと姿勢を正した。

 

「そういえば、スバルくんは青い珍獣の電波体と一緒だって言ってたわね。そっちの子は全く聞いてないけど」

「誰が珍獣だ!!あのクソジジィ!!」

「珍獣……ププッ」

「お前も笑うな!!」

 

珍獣扱いでハープに笑われ、ウォーロックはここにいないオリガに怒りの矛先を向ける。そんな男女二名と電波体二体の下に、スバルの友達である少女が歩み寄ってくる。

 

「スバルくーん、次の展示品を一緒に……」

「ミソラ~」

 

その少女『響ミソラ』はスバルに話しかけていたが、まるで幼子のように飛び込んできたハープを受け止めたことで目を白黒させた。

 

「ハープ?どうしたの?急に飛び付いてきて」

「彼処にいる女に追いかけられたのよ~。すごく怖かったわ~」

 

普段のキャラが崩壊しているハープの言葉にミソラは目を白黒させつつ、その怖い女と明言されたナツヒへと顔を向ける。

 

「え?ハープの姿が見えているんですか?」

「そうよ。このマテリアルゴーグルのおかげでね」

 

ミソラの言葉に対して、ナツヒはゴーグルをちょんちょんと叩いて肯定の意を示す。そんなナツヒに同意するように、ゴーグルに搭載されている人格が喋った。

 

『そのとーり!この僕、“見え太郎”に見えない電波は一つもないよー!!』

『『ワッチら、“フレゾウブラザーズ”も触れない電波は一つもないで候』』

「ちなみにこの子達は私の自信作よー。スターキャリアーの《ダブルマテリアライズ》機能も含めて、ね」

 

マテリアルウェーブ、見え太郎とフレゾウブラザーズの言葉にナツヒは自慢気に胸を張る。そんなナツヒを見て、ミソラは率直な疑問をスバルにぶつけた。

 

「スバルくん、知り合い?」

「うん。この前、みんなと旅行に行った時に知り合ったんだ」

「宇津木ナツヒです。オカルトや未確認生物が大好きな十三歳よ」

 

ミソラの疑問にスバルはそう答え、ナツヒは軽く自己紹介する。ちなみにウォーロックとハープは、それぞれのスターキャリアーの中に避難して姿を消している。獲物に向ける視線を発しているナツヒにビビっているからだ。

 

「ちなみにスバルくんは、超大人気歌手とお忍びデートの途中?」

「え!?いや、その……」

 

ナツヒのその言葉にスバルは混乱し、ミソラは無言のまま頬を赤く染めていく。その二人の反応を見て、ナツヒは笑みを浮かべた。

 

「邪魔したら悪いから、そろそろお邪魔するねー。後、ここの警備システムは電波体にも反応する程敏感だから、気を付けてね」

 

ナツヒはそう言って、スバル達から離れて別の展示品へと向かっていった。

 

『マジかよ……せっかく奴らの正体に近づけると思ったのに……』

「ある意味セーフだったね、ロック」

 

最初から目論見が達成できなかったことにウォーロックは肩を落とし、スバルはホッとしたように呟く。

 

「スバルくん……その、なんて言うか……強烈な人だったね」

「あはは……」

 

ミソラの何とも言えない表情での呟きに、スバルは苦笑いするしかない。ナツヒとのファーストコンタクトも、怒涛の質問攻めで困惑していたのだから。

そこでハープが、今になって当たり前の疑問が浮かび上がった。

 

『そういえば、彼女は何で電波体のことを知っていたのかしら?』

「あ、言われてみれば確かに……」

「実は……」

 

そこでスバルはヤエバリゾートで出会ったショウとオリガの事、彼らも電波変換できる存在であることをミソラに伝えていく。

 

「私とスバルくん以外に、電波変換できる人がいたんだ……」

「うん。ショウさんとはブラザーを結んでるし、信頼できる人なのは間違いないよ。【S.Aコード】も貰ったし」

「【S.Aコード】?」

 

聞き慣れない単語にミソラが首を傾げた為、スバルは【S.Aコード】のこと、それによってもたらされたS.A(スター・アドバンス)についても語っていった。

 

「そんな凄いアビリティがあるんだ……どこで手に入るのかな?」

「ショウさんかナツヒさんのどちらかに聞けば、教えてくれると思うけど……」

『彼女には、もう関わりたくないんだけど……』

 

ハープは追いかけられたトラウマからか、ナツヒに接触したくはないようだが、この美術館の中にいる以上、嫌でも接触するから無意味である。

スバルとミソラはガイドのマテリアルウェーブの解説を聞きながら、他の展示品を眺めつつナツヒを探していると、『滅びの種族』の展示エリアで騎士の模型を眺めているナツヒの姿を見つけたのだった。

 

「あ、ナツヒさん!」

 

見つけて早々、ミソラは駆け足でナツヒに近付いていく。ナツヒも呼ばれたことでミソラに気付き、彼女の方へと顔を向ける。

 

「ん?どうしたの?超大人気歌手が私に何のよう?」

 

ナツヒの疑問を他所にミソラは彼女に近寄ると、すぐに自身の要件を口にした。

 

「ぶしつけですみませんが、【S.Aコード】はどこで手に入るのか教えて下さい!」

「え?なんで【S.Aコード】のことを……いや、そういう事ね」

 

ミソラの言葉にナツヒは目が点になって首を傾げていたが、すぐに合点がいったのか、困ったような表情をミソラに向けた。

 

「【S.Aコード】は元々、スターキャリアーの次の端末に搭載される予定のプログラムの試作品なの。それを私がデータ収集という理由で無理に貰って、アビリティ用に調整したものなのよ。だから、簡単に手に入るものじゃないの」

「あ、そうなんですね……」

 

ナツヒのその言葉に、ミソラは手に入らないと分かって肩を落とす。対してスバルは複雑な表情でウォーロックと話し合っていた。

 

「どうしようロック。この【S.Aコード】、返した方がいいかも」

『返せって言うなら、あいつがとっくに言ってるだろ。何も言ってこなかったって事は、大丈夫ってことだ』

「そうなのかな……?」

 

スバルとウォーロックがそう話し合う中、ナツヒとミソラも話し合っていた。

 

「でも、どうして【S.Aコード】が欲しかったの?普通は話を聞いてもピンと来ないと思うんだけど」

「えっと、それは……」

 

ナツヒの疑問にミソラはどう答えたものかと言い淀む。電波変換のことは基本的には秘密なのだ。いくらナツヒが電波変換のことを知っているとは言え、明かしていいものかと悩むのは当然と言える。

しかしナツヒは、スバルとミソラを交互に見やり、何かに納得したのか深々と頷いた。

 

「オッケー。なら、私が持っている最後の【S.Aコード】を貴女にあげるね」

「え!?いいんですか!?」

「いいよいいよ。代わりにスバルくんも含めて、【S.Aコード】のデータは逐一取らせてもらうけど、構わないよね?」

「はい!元々無理を言ったのは私の方ですので!」

 

乙女心を察したナツヒの粋な計らいにミソラは感謝を感じながら、ナツヒから【S.Aコード】を受け取った。スバルも交換条件は聞こえていたようで、安心したように息を吐いている。

 

「後、個人的なお願いだけど、電波体ちゃんとお話できたら嬉しいなー?」

「……それは私がいる前でお願いします」

『ミソラ!?』

 

地味に売られたハープはショックを受けるが、質問チャンスを得られたナツヒはテンションが上がっていく。

 

「【S.Aコード】の詳細は後でメールしておくから、それで確認してね。お話は次会う時までにいっぱい考えておくから、楽しみにしててね?」

 

ナツヒはそう告げると、展示品の見学へと戻っていく。

そうしてご機嫌斜めとなったハープをミソラが宥めながら、スバル達はこの美術館の目玉である展示品があるエリアへと足を踏み入れた。

 

『こちらに展示されていますのが、滅びの文明展の目玉、オーパーツですわ。先の滅びの種族が生み出したとされる遺産たち……それらがマテリアルウェーブに近い物質で作られているのです』

「え!?これら全部がマテリアルウェーブで!?」

「そんなことがあり得るんだ……」

 

ガイドのマテリアルウェーブのその解説に、スバルとミソラは驚いたように展示品である三つのオーパーツをまじまじと見つめる。

左から順に緑色の手裏剣、銀色の剣、赤茶色の恐竜の頭の骨がすべてマテリアルウェーブ……現代の最新技術のソレが、それぞれ異なる時代の太古に実在していたのだから。

 

『オ、オイ、スバル。こいつらはとんでもねぇぞ。今すぐビジライザーをかけて覗いてみろ』

「え?う、うん。分かった」

 

何かに気圧されているようなウォーロックの言葉に、スバルは少し困惑しながらも頷き、電波が見えるゴーグル《ビジライザー》をかけて改めて三つのオーパーツを見やる。

すると、どのオーパーツも燃え盛る炎のように強力な電波を溢れさせていた。

 

「こ、これって電波だよね……?どうしてここまでの電波が……」

『……“武器”だ。あれらは電波を使った“武器”に違いねぇ』

 

スバルの疑問に、ウォーロックは憶測混じりで答える。

 

「手裏剣と剣……シノビとベルセルクのオーパーツは何となく分かるけど、ダイナソーのオーパーツはどうやって武器として使ったんだろ?」

『そこまでは分からねぇ。だが、タダの置物じゃないことだけは確かだ』

 

マテリアルウェーブの“武器”である三つのオーパーツを眺め続ける中、何かを吸い込むような不気味な音がスバル達の耳に届いた。

 

「ん?なんの音―――」

「な、なんだコリャ!?」

 

ミソラが音を確認するよりも早く、美術館のプロデューサーである『日陽(ひよう)玄作(げんさく)』の叫び声が響き渡る。

スバル達は日陽の声がした方へ顔を向けると、いくつもの展示品が黒い穴に吸い込まれるように沈んでいく光景が目に入った。

 

「ヒィィー!!展示品がぁーーー!!!費用が、費用がぁーーーー!!!」

『『『ウウウ……身動キデキマセン……!』』』

「これって怪奇現象!?すぐに撮影して残さないと!!」

 

次々と展示品が黒い穴に吸い込まれていく光景に日陽は絶叫し、警備のマテリアルウェーブ達も同様の黒い穴に囚われて身動きが取れずにいる。約一名は鼻息を荒げて撮影していたが。

 

「一体何が……!?」

 

突然の光景にスバルは理解が追い付けていないでいると、例の音と共にオーパーツ達のすぐ下に黒い穴が出現する。そして、オーパーツ達は徐々に黒い穴へと吸い込まれるように沈み始めた。

 

「このままじゃ、他の展示品のように呑み込まれちゃう!」

「電波変換ッ!!」

 

このままだとオーパーツまで黒い穴の中へと吸い込まれると思ったスバルは、咄嗟に電波変換する。すぐにロックマンの姿となってオーパーツの下へ駆け寄ろうとするも、その黒い穴から電波ウイルスが飛び出して行く道を阻み始めた。

 

「何で電波ウイルスが!?」

『考えるのは後だ!S.A(スター・アドバンス)ですぐに片付けるぞ!!』

「うん!バトルカード、【ソード】【ワイドソード】【ロングソード】!!」

 

ウォーロックの言葉にスバルはすぐに頷き、三枚のバトルカードを使い、左腕に巨大な斧を展開する。

 

「スター・アドバンス、【グランドアックス】!!」

 

少しの溜めから巨大な斧を全力で振るい、黒い穴から飛び出てきた電波ウイルス達を一網打尽でデリートする。だが、その間にダイナソーのオーパーツは、二つのオーパーツより一足先に黒い穴の中へと吸い込まれてしまった。

 

「ダイナソーのオーパーツが!!」

『急げスバル!このままじゃ残りのオーパーツも呑み込まれるぞ!!』

 

ウォーロックの指摘にスバルは頷くとすぐに駆け寄り、沈みかけていたベルセルクのオーパーツを掴み取る。当然、シノビのオーパーツはダイナソーのオーパーツに続くように沈んでいくが……

 

『そうは、いくかっ!!』

 

左手のウォーロックがシノビのオーパーツに噛み付いたことで、ダイナソーのオーパーツの二の舞となる事を何とか防いだ。

 

「ロック、オーパーツに噛み付くなんて……」

『それより早く全力で引っ張れ!』

「う、うん!」

 

とにもかくにもまずは引っ張り上げるべきと考え、スバルは全力でシノビとベルセルクのオーパーツを黒い穴から引き摺り出そうとする。

スバルは踏ん張りながら後ろへと下がっていき、徐々に黒い穴からオーパーツが引き離されていく。

 

「よし。もう少しで……!」

 

後少しで二つのオーパーツを黒い穴から引き離せると思った矢先、オーパーツのすぐ真後ろに一つ目の不気味な球体が現れた。

 

「な、何あれ?すごく気持ち悪いんだけど……」

 

電波ウイルスのアイズを不気味にした一つ目の球体にミソラが気持ち悪がっていると、赤い一つ目が見開くように一際大きくなる。すると、黒い穴の吸引力が格段に強くなり、二つのオーパーツは再び黒い穴の中心へと引き戻されていく。

 

「うわ!急に吸引力が!!」

『まさかアレが原因か!?』

 

スバルが必死に踏ん張っている間にも、黒い穴の吸引力は徐々に強くなってきており、このままでは一緒に吸い込まれてしまうのは火を見るより明らかだ。

それに加えて電波ウイルスも再び黒い穴から顔を覗かせている。オーパーツを引き上げようとする今のスバルでは攻撃できない為、圧倒的に不利である。

 

「―――電波変換ッ!!」

 

だからこそ、ミソラはスバルを助けるべく電波変換を行い、赤を基調とした電波人間『ハープ・ノート』の姿となる。

 

『やるわよ、ミソラ!』

「うん!ショックノートッ!!」

 

マイク付のギターの姿となったハープの声に答えるように、ミソラは二つのスピーカーボックスを召喚して電波ウイルスと黒い球体に攻撃を仕掛ける。ハープギターを弾くと同時にスピーカーボックスから音波が放たれて電波ウイルスは倒されるも、黒い球体は仰け反るだけで破壊には至らなかった。

 

「どうしようハープ。あれ、意外と硬いよ」

『だったらアレを試してみたらどう?組み合わせはさっきので分かっているしね』

「アレのことだね。わかったよ」

 

ハープの提案にミソラは素直に頷くと、ソード系のバトルカードを三枚取り出す。

 

「バトルカード、【ソード】【ワイドソード】【ロングソード】!!」

 

ミソラはスバルが先程使用したのと同じバトルカードを使い、S.A(スター・アドバンス)を発動させようとする。使用したバトルカードは三枚同時に発動し、ミソラの左腕を根元がX状となっている剣へと変化させる。

 

「アレ?もしかして失敗しちゃったの?」

『ちゃんと成功しているわよ。性能は違うみたいだけど、早くしないと二人が黒い穴に落ちちゃうわよ』

「そ、そうだね!」

 

ハープの言葉にミソラは慌てたように頷くと、左腕の剣を構えて黒い球体へと肉薄する。

 

「スター・アドバンス、【クロスセイバー】!!」

 

スバルが発動したS.A(スター・アドバンス)【グランドアックス】とは違うS.A(スター・アドバンス)を使い、ミソラは左腕の剣を黒い球体へと垂直に振るう。

すると、一振りで鋭い十字の斬撃が炸裂し、深々と十字に斬り裂かれた黒い球体はバチバチと火花を上げ、その場で爆発した。

 

「うわぁっ!?」

「きゃっ!?」

 

その爆発の衝撃によってスバルとミソラは後ろへと吹き飛んでしまい、地面を転がっていく。

 

「アイタタタ……だ、大丈夫?スバルくん」

「うん……オーパーツは?」

 

尻餅を着きながら心配するミソラに仰向けに倒れていたスバルはそう答えると、立ち上がってすぐにオーパーツの安否を確認する。

オーパーツが展示されていた台座には……何も残っていなかった。黒い穴も消えているが、オーパーツもなくなっているので無意味である。

 

「そんな……オーパーツが全部、あの黒い穴に……」

『……全部じゃねぇ』

 

ベルセルクのオーパーツが手から滑った感覚が残っていたスバルの落ち込んだ声に、シノビのオーパーツに噛み付いていたウォーロックがどこか神妙な声で呟く。

 

「ロック?」

『シノビのオーパーツは……オレの腹の中だ』

「へ?…………ええーーーーーー!?!?」

「ウソッ!?ロックくん、食べちゃったの!?」

 

ウォーロックの神妙な告白にスバルは一瞬間抜けな顔となるも、事態を理解してすっ頓狂な声を上げる。ミソラもまさかの事態に驚く中、スバルは慌てた様子でウォーロックに問い詰めた。

 

「何でシノビのオーパーツが、ロックのお腹の中に!?」

『さっきの爆発の衝撃で、飲み込んじまったんだよ!!念のために言っておくが、わざとじゃねぇからな!?』

「すぐに吐き出してよ!!」

『無茶言うんじゃねぇ!最初に言った通り、もう腹の中なんだよ!!』

 

まさかの事態にスバルとウォーロックが言い争う中、日陽がロックマンの存在に気付いて駆け寄って来る。

 

「おや!貴方はもしや、ニュースで噂の青いヒーローではないかね?もしかして、この騒動を解決してくれたのかね!?」

「え?そ、それは……」

「そう!この人が噂の青いヒーロー!先程の騒動も収めてくれたのも、この人よ!」

 

日陽の問い掛けにスバルが言い淀んでいると、隣にいたミソラが肯定し、持ち上げていく。急に持ち上げられたことにスバルは驚いた様子でミソラに顔を向けるも、日陽はすぐにスバルにお礼を告げた。

 

「ありがとうございます!貴方は本物のヒーローだ!」

「ヒ、ヒーローだなんて……そんな事言われたら、恥ずかしいです」

 

面と向かってヒーローと言われたことで、スバルはオーパーツの件も忘れてしまい、恥ずかしさから急いでその場から立ち去っていく。ミソラもそれに追従する中、日陽は手を振りながら改めてお礼を告げていた。

 

「ありがとー!…………ん?」

 

そこで日陽はようやく三つのオーパーツが展示されていた台座に目がいき、オーパーツがすべて無くなっていることに気が付いた。

 

「オ、オーパーツがない!そんな……費用が、費用がぁ……」

「…………」

 

日陽はオーパーツの紛失にショックを受け、その場で崩れ落ちる。そんな中、壁に作られた黒い穴から出てきた少年は、その場を後にしていた二人が立ち去った方向を睨んでいたのであった。

 

 

 




《オーパーツ》:流星2のキーアイテム。ゲームでは一つのみだが、ここでは三つともご登場。

《【クロスセイバー】》:響ミソラがソード系バトルカード三枚で発動したスター・アドバンス。組み合わせは【グランドアックス】と同じだが、性能と効果は別物となっている。X状に斬り裂くため、最大威力は中央のみ。

《オーパーツの所在地》:ダイナソーは奪取成功。シノビはウォーロックの腹の中。ベルセルクは泥棒視点では海の中、スバル視点ではダイナソーと同じ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。