オリヒメ達のアジトにて。
「ダイナソーのオーパーツは無事に手に入ったようだな」
「ふん……」
暖簾で姿を隠しているオリヒメの言葉に、ソロは相変わらずの不遜な態度で返す。隣にいるハイドは不機嫌そうにソロを睨んでいるが、当の本人達は気にした様子は微塵もない。
「残りのオーパーツ……シノビとベルセルクはロックマンとオリガ・ジェネラルが所持しておりますが、如何いたしましょう?」
「急く必要はあるまい。あれらは力なき者が扱えば、かえって身を滅ぼしてしまう……かつて、その一族たちが辿った運命のように……な」
エンプティーの確認に対し、オリヒメは自滅するのが関の山だと言葉を返す。そんなオリヒメに、ハイドが一歩進み出た。
「ですが、オリヒメ様。またしても我々の邪魔をした以上、奴らを放置するわけにはいきません……わたくしめに、両者の始末と残りのオーパーツの奪取をお任せ頂けないでしょうか?」
「なに……!?お前、オレの邪魔をするつもりか……!」
ハイドの申し出にソロが苛立ちを露に詰め寄るも、ハイドはソロの態度を無視してオリヒメに指示を仰いでいく。
「オリヒメ様、どうかご命令を……わたくしに、良い考えがあるのです。ンフフフフ……!」
「ふむ……良かろう、ハイド。やってみるがいい」
「ハッ。ありがたき幸せ!!」
オリヒメから許可が下りると、ハイドは頭を垂れて感謝の意を告げる。そのまますぐにその場から消えると、残されたソロはオリヒメを睨み付けていた。
「オリヒメ、どういうつもりだ……?」
「ソロよ、そう熱くなるな……何もソナタの邪魔をしようというわけではない」
今にも飛びかからんばかりのソロの言葉に、オリヒメは宥めるように言葉を発し、続けていく。
「ただ……我々にも我々のやり方、というものがある。それに、平然としておるが……オーパーツの影響を受け、制御に手こずっておるであろう?」
「……!」
オリヒメの指摘に、ソロは苦虫を噛み潰したような表情となる。オリヒメの指摘通り、ソロはオーパーツの影響を今も少なからず受けている。
そんなソロの態度を肯定の意味と捉え、オリヒメは言葉を続けていく。
「オーパーツをすぐに渡すなら別であろうが、そのつもりはないのであろう?なら、御するまでは様子見するのも一つの手ではないか?」
「……チッ」
オリヒメの言い分に筋が通っている事に、ソロは苛立ちげに舌打ちしながらも呑み込むのであった。
――――――
コダマタウンの川沿いにて。
「…………」
ショウは何をするわけでもなく、心此処に在らずといった感じで景色を眺めていた。
『あの件から二日……まだ引きずっておるか』
「……そうだよ」
スターキャリアーの中にいるオリガの言葉に、ショウは力なく言葉を返す。
あの日、ショウは三人が吸い込まれた黒い穴の縮小を止めきることが出来なかった。自分が穴の縮小を止めきれていれば、他の三人も助けられたのではないか。そんな思いが今も胸の中を駆け巡っているのだ。
そんな落ち込むショウにスターキャリアーから着信音が鳴り響いた。
「……ブラウズ」
ショウは力なく応答すると、表示されたエア・ディスプレイにはナツヒの心配げな顔が表示されている。画面の中のナツヒはその表情のままショウに話しかける。
『ショウ……調子はどう?』
「…………」
『今日、ルナちゃんに呼ばれてこれからの事で話があるそうだけど……来れそう?』
「……悪ぃ。まだ、そんな気分じゃない」
ナツヒの確認に対し、ショウは謝りながらも来ないと告げる。
何故ナツヒが彼女の家を知っているのかと言うと、あの日のあの後、ナツヒがショウのことを心配して駆けつけたからである。ショウとスバルの様子から、ナツヒは何かがあったのだと察して気絶しているルナを介抱し、三人で彼女の自宅へと運んだのだ。
なのでショウもルナの自宅を知っているのだが……今は行動を起こせる気分ではなかった。
『……分かったよ。ルナちゃん達には私から説明しておくね』
ナツヒは悲しげな顔でそう告げると、通話を切る。通話を終えたショウは暗い表情のまま溜め息を吐くと、そのまま水面に写る自分の顔を見つめていく。
そんなショウに、ある男性が話しかけた。
「お、車田の坊主じゃねぇか。元気にしてたか?」
「……六尺玉さん」
体格も良く、恰幅もある大人の男性『
「随分元気がねぇな。宇津木の嬢ちゃんと喧嘩でもしたか?」
「喧嘩……なら、まだ良かったんですけどね……六尺玉さんはどうして此所に?」
炎次の質問に対し、ショウは視線を逸らしながら答えつつ疑問を投げ掛ける。それに対し、炎次は頭に?マークを浮かべながら答えた。
「何でって……今日はこの近くで花火大会があるって、伝わってねぇのか?」
「……ああ。そういえば今日でしたね」
炎次の言葉で思い出したようにショウは呟く。花火は毎年、ナツヒと一緒に見ているショウであったが、先日の件のショックからとても花火を眺めようという気分にもなれなかった。
そんなショウの雰囲気を察したのか、花火職人である炎次は呆れたような表情でショウの襟首を掴んで持ち上げた。
「何があったかは知らねぇが、そんな湿気たツラしたままじゃ解決しねぇぞ?こういう時こそ、花火を見て気分を変えないとな!!」
「今はそんな気分じゃ……」
「そう言うなって!!今回は特別に、一番の特等席で花火を拝ませてやらぁ!!」
『……強引な人間だな』
ショウの断りの言葉も意に返さず、炎次はそのままショウを肩に担いで歩き出していく。もちろん、電波体のオリガの声はショウにしか聞こえていない。
そんなこんなで強引に連れて行かれたショウは、花火の打ち上げ現場の仮設テントのすぐ近くに座らされた。
「ここで目ん玉ひん剥いてよく見ておけよ!今日の花火は一味違うからな!」
炎次は缶ジュースをショウに渡しながらそう告げると、組立式のテーブルの上に置かれた装置を操作していく。すると、火薬式の打ち上げ花火の発射装置の隣に鎮座するように、マテリアルウェーブで構成された打ち上げ装置が次々と展開された。
「六尺玉さん、これらは……?」
「こいつは《電波花火》だ。マテリアルなんとかって技術を使った、新しい花火なんだぜ」
ショウの疑問に対し、炎次は満面の笑みでそう答える。そんな炎次の返答に、ショウは疑問を感じて質問を続けた。
「電波花火……?普通の花火とどう違うんですか……?」
「簡単に現せば規模の違いだな。電波なら規模を大きくしても安全だからな。この電波花火なら、今までにない巨大な花火も実現可能ってわけだ!!」
「本当に実現可能なんですか……?」
「対外的な問題を無視すればだけどな。ワッハハハハハッ!!」
豪快に笑う炎次に、ショウは何とも言えない微妙な表情となる。
「ところで……坊主は何で落ち込んでいたんだ?宇津木の嬢ちゃんと喧嘩したんじゃねぇなら、何か失敗でもしたのか?」
「……そんな感じです」
炎次の問いかけに、概ね当たっていたのでショウは力なく言葉を返す。そんなショウの返答に、炎次は頭巾で被われた頭をガシガシと掻いた。
「つまり、失敗から立ち直れずに引き摺っているのか。それで宇津木の嬢ちゃんを心配させてんだな?」
「…………」
「どんな失敗かは知らねぇが……いつまでもクヨクヨしててもしょうがねぇだろ。時間は戻らねぇんだからよ」
炎次のその言葉に、ショウは思わず缶ジュースを握る手に力を込める。人の安否に関わることなのに無責任だと、ショウは不快に感じたからだ。
しかし、それも炎次の次の言葉で萎んだ。
「俺だってそうさ。三年前、アイツを説得しとけば今頃、素敵な家族と一緒に過ごせてた筈だからよ」
「アイツって……?」
「今も消息不明の『キズナ号』に乗ったダチの事さ。お前もキズナ号の事は知ってるだろ?」
炎次の言葉にショウはコクリと同意するように頷く。
キズナ号は三年前、日本宇宙科学局『
「アイツは中学の時から宇宙に夢を持っていてな。よく互いの主義主張で喧嘩したんだぜ?俺が花火はみんなを笑顔にすると言えば、宇宙にはみんなの夢があるって感じでな。その度に車田先生……お前のじいさんに止められるのがお約束だったんだ」
炎次は昔を懐かしんでいるのか、笑みを浮かべて語っている。これが俗に言う、喧嘩するほど仲が良いやつなのかと、ショウはひっそりと思った。
「そんなアイツも夢を叶えて、家庭を持ったんだぜ?写真でしか知らねぇが、奥さんは大層なベッピンさんだったぜ」
「でも、その人は……」
「ああ。キズナ号の乗組員に率先して名乗り出たんだよ。奥さんも子供もいるのにだぞ?万が一を考えて、考え直すべきじゃないかと言ったら、アイツは何て言ったと思う?」
「…………」
「『俺にしか出来ないことがあるから、どうしても行かなきゃならない』だぞ?それを聞いた俺は思わずぶちギレちまって……それに対してアイツは怒るでもなく言い争うわけでもなく……悪いと謝ってきたんだ」
「…………」
「それで勝手にしろって喧嘩別れしちまって……それがアイツとの、最後のやり取りになっちまったんだよ」
そう告げる炎次の顔には後悔の念が浮かんでいる。キズナ号がああなると知っていれば、意地でも止めていたと表情が語っていた。
「六尺玉さんは……後悔、しているんですか?」
「ああ、してるぜ。あそこで喧嘩別れせずに説得を続けていりゃあ……違った結末になったんじゃねぇかって、な」
炎次はそこで機材に背を向け、ショウの方へと身体を向ける。
「でも、もう時は戻らねぇしやり直しもできねぇ。だから、宇宙にとびきりデケェ花火を咲かせて知らせてやるんだ。オメェらの故郷の地球はこの近くだぞ!!ってな」
そう語る炎次は満面の笑みを浮かべている。その顔は絶対に友達は今も生きてると言わんばかりのものである。
「……生きてるって信じてるんですね」
「たりめぇよ!俺らが信じないで、誰が信じるってんだ!!ぜってぇ、帰る為に今も生きて頑張ってるだろうからな!!NAXAが捜索を打ち切ろうと、アイツらはぜってぇ生きてる!!」
どこまでもその友達の事を信じて動いている炎次の姿に、ショウは自分の情けない姿が恥ずかしくなる。三年前から生きてるかも分からない消息不明の友達の無事を信じているのに、自身はショックから何もしようとしなかったのだから。
「……六尺玉さん、ありがとうございます。少しだけ、整理できた気がします」
「おっ?ようやく元気になったか?ガキは元気が一番だからよ!!」
炎次はそう言ってショウの背中をバシバシと叩く。背中を叩かれたショウは痛みを感じながらも笑みを浮かべる。
「そろそろ最後の仕上げだから俺は行くぜぇ。とびきりの花火で、お前の心も笑顔にしてやるからよ!!」
炎次はそう言ってショウから離れていく。周りに人がいなくなったことで、ショウはスターキャリアーの中にいるオリガに話しかけた。
「オリガ、悪かったな。心配かけちまって」
『……小僧の心配なぞしておらん。それに謝るなら、あの小娘にだろう』
「お前って人間嫌いと豪語する割に、面倒見がいいよな」
『そんなわけがある筈がなかろう!!ワレは人間が嫌いだ!!』
顔を真っ赤にして反論するオリガに、ショウは相変わらずだと思わず苦笑してしまう。
そうして時が過ぎ、花火大会の時刻となる。
「そろそろ時間だな……お前ら、始めるぞ!!」
「「「『「『「『へい!アニキ!!』」』」』」」」
炎次の合図に他の花火職人とマテリアルウェーブの人格たちが景気よく返すと、発射装置から次々と花火が上がっていく。赤や青、緑や黄色の花火が咲き、打ち上げ装置のマテリアルウェーブから放たれた電波花火も周りに負けない一輪の花を咲かせていく。
「これがハナビとやらか……?爆発をこのように使うとは……」
「愚かだってか?」
「…………」
ショウの言葉に隣にいたオリガは答えず、顔を背けて無言を貫く。たぶん、悪くないと思っているから答えないのだろうとショウは思った。
花火が夜空に咲き続ける中、花火大会はクライマックスを迎える。
「これが今日の花火大会の一番の主役だ!!最後に大輪の花を咲かせてやれ!!」
『オウ!任せとけ!!』
一際大きな発射装置のマテリアルウェーブが炎次の言葉に力強く返すと、最後の電波花火を打ち上げる。
その花火は空へ宙へと昇っていき……今まで見たこともない巨大な花を咲かせるのだった。
「すっご……」
「まさに豪快である……!」
「見てるかー大吾!!キズナ号のみんな!!お前たちの地球はここにあるぞーー!!!」
その巨大な花火にショウとオリガは目が点となる中、炎次は空に向かって大きな声を上げる。これ程大きな花火ならもしかしたら、とショウは思ってしまうのであった。
――――――
その日の夜……
「夢、だよな……?何で夢の中で電波変換しているんだ?」
ベッドの上で寝た筈の上、オリガ・ジェネラルの姿であることにショウは疑問を露に周りを見やる。
辺りは一面真っ白で何もない……そんな何もない空間であの声が響いた。
……カラダ、ヨコセ
「!?」
その声―――オーパーツの声にショウが身構えていると、少し離れた場所に黄色に光輝く騎士が唐突に姿を現す。
カラダヲ、ヨコセ……
その声と同時に、光輝く騎士が次々と姿を現し白い空間だった場所をどんどん埋め尽くしていく。
カラダヲヨコセ……!!
その瞬間、ショウの身体に意識と共に引っ張られる感覚が襲いかかった。
「こ、これは……!?」
突然の頭痛と引力にショウが顔を歪める中、ゆっくりとではあるが確実に光輝く騎士の集団へと身体が近づいていく。
ヨコセ……ヨコセ……!
ソノカラダヲ、ヨコセ!!!
「うぐぁあああああああああああああっ!!!」
ショウは苦痛の叫び声と共に、意識が覚醒する。そこは間違いなくショウ自身の部屋で、ベッドの上だ。
「はぁ、はぁ……い、今のは……」
「ウググ……」
さっきの夢は何だったのかとショウが汗を大量に流す中、オリガの苦悶の声がショウの耳に届く。
「オリガ!?」
「グヌヌ……いい加減に大人しく……!」
「まさか、またオーパーツが暴れているのか!?」
「そ、そうだ……コヤツ、ワレを乗っ取ろうとしつこく暴れておるのだ……!!」
ショウの焦りを含んだ言葉に、オリガは苦痛に顔を歪めながらも頷いて答える。少ししてオーパーツが大人しくなったのか、オリガは全身から力が抜けたようにダラリと両腕を垂らした。
「……大丈夫なのか?」
「大丈夫だ……小僧に心配される程ではない」
ショウの安否を窺う声に、オリガはそう返すとスターキャリアーの中へと潜るのであった。
――――――
朝。
「本当に大丈夫なのか?」
『しつこいぞ小僧!ワレのことはワレが一番理解しておる!!』
「何度も不調になってるお前に、説得力があるのか?」
オリガの体調をショウが心配していると、スターキャリアーから着信音が鳴り響く。
「ブラウズ!」
ショウがすぐに電話に応答すると、表示されたエア・ディスプレイにはナツヒの顔が写っていた。
『……おはよう、ショウ』
「おはよう、ナツヒ。心配かけて悪かった」
互いに挨拶を交わし、ショウはすぐにナツヒに心配させていた事を謝る。謝られたナツヒは少し驚いた表情となったが、すぐに笑みを浮かべた。
『……立ち直ったんだね。良かった』
「ああ。それで……昨日はどうなったんだ?」
『昨日は三人を探しに行こうってルナちゃんが言ってたんだけど……スバルくんが、ね』
「……そうか」
ナツヒのその言葉で、スバルも昨日までの自分同様にショックからまだ立ち直れていないだろうと察する。
『ルナちゃんから連絡が来て、今日はスバルくんの家で問い詰めるそうだけど……ショウも来る?』
「ああ。先にスバルの家に行って……って、アイツの家どこなんだ?」
コダマタウンのどこかにあるとはいえ、どこなのか知らないショウにナツヒは苦笑する。
『スバルくんの家はルナちゃんから一応聞いてるからね。メールで地図を送るから、それを頼りに行けばいいよ』
「悪い、助かる」
ショウはナツヒからスバルの家の情報を貰うと、その足でスバルの家がある場所へと向かっていくのであった。
――――――
ショウと通話を終えたナツヒはルナと合流する為に彼女の家に向かっていると、彼女の家のすぐ近くで倒れている姿を発見した。
「ルナちゃん!?」
ナツヒは慌ててルナに駆け寄り、抱き起こそうとするも……
「飛び入り参加かね?その脚本も実に悪くない……」
「え―――」
ナツヒが一体誰なのかと思った次の瞬間、首筋に強い衝撃を受けたナツヒはそのままルナに覆い被さるように気絶してしまった。
「ンフフフフ……ヒロインは一人でも十分だが、二人というのも……ん?」
ルナとナツヒを気絶させた下手人であるハイドは気味の悪い笑みを浮かべるも、ルナに視線を向けて何かに気付いた。
「このお嬢さんはもしや……ンフフフフ!こいつは、想像以上に面白い筋書きが期待できそうだ……!これと合わせれば、素晴らしい脚本となるだろう!ンフフフフ……!!」
ハイドは懐から古代のスターキャリアーを取り出すと、より一層笑みを浮かべるのであった。
――――――
ナツヒから送られた地図を頼りにそこに向かうと、その家の玄関前でスバルは茫然とした感じで突っ立っていた。
「……あ」
「……よう、スバル」
ショウに気づいたスバルは困ったように顔を逸らし、ショウは片手を上げて挨拶する。二人の間に何とも言えない空気が流れ始めるも、スバルのスターキャリアーから着信音が鳴り響いた。
「あっ……委員長からだ」
「出ないのか?」
「……ブラウズ!」
ショウの問い掛けにスバルは少しの沈黙の後、ルナの電話に応じる。表示されたエア・ディスプレイは……酷いノイズが走っていて何も写っていなかった。
『やあ、このお嬢さんのお友達かな?突然だが……彼女はしばらく他のお友達と一緒に姿を消すそうだよ』
「え……!?その声は、ハイド!?」
「な……!?ヤエバリゾートの変態野郎が、何で彼女のスターキャリアーを持ってる!?」
通話相手がハイドだった事にスバルとショウは驚愕を露にする。しかし、それはハイドも同じであった。
『……なに!?どうして私を知っている!?いや……貴様らの声……まさか、ロックマンとオリガ・ジェネラルか!?』
「い、委員長をどうしたんだ!ハイド!!」
「それに他の友達って……まさか!?」
ハイドの言葉から嫌な予感を覚えたショウは急いでナツヒに電話をかける。コールから数秒してエア・ディスプレイが表示されるが、スバルのエア・ディスプレイ同様に酷いノイズが走っていた。
「ナツヒ!返事をしろ、ナツヒ!!」
『『……ンフフフフ!これは実に素晴らしい、マァ~ベラスな展開だ!!まさか貴様らの方から現れてくれるとはな!!』』
どちらのエア・ディスプレイからハイドの声が発せられたことで、ルナだけでなくナツヒも巻き込まれてしまったのだとスバルとショウは揃って唇を噛んだ。
「二人をどうするつもりだ!?」
「狙いがボクたちなら、二人は関係ない筈……!すぐに委員長とナツヒさんを解放するんだ!!」
『『ンフフフフ……!そう急ぐことはない……私の脚本ではすぐに会えるという筋書きになっているからな!』』
「どういう意味だ!?」
ハイドの言葉の意味が分からずにショウが怒鳴るように画面に詰め寄ると、ハイドは人を食った態度であろう声色を崩さぬまま高らかに宣言する。
『『今回の作品はダブル主人公……つまり、主役は貴様らなのだ!舞台は、映画館!私が主役だった前作と同じ舞台!他の役者はすでにスタンバイしている!なるべく急いでくれたまえ……ンフフフフ!!!』』
ハイドのその言葉を最後に、互いのエア・ディスプレイが同時に閉じる。二人の間に重苦しい空気が流れ始めるも、ショウがその空気を真っ先にぶち破った。
「今は二人の無事を信じるしかねぇ……!オリガ、頼む!力を貸してくれ!!」
『……あの人を食った人間は気に食わないからな。手を貸してやる』
「本当に助かる!」
オリガの協力が得られたショウは、そのままスバルへと顔を向ける。
「スバル、お前はどうする!?」
「……ボクも行きます。委員長のことも、放っておけないから」
『なら、決まりだな。急いでロッポンドーヒルズのショッピングプラザにある映画館に向かうぞ!!』
ウォーロック言葉にショウは大きく、スバルは小さく頷くと、ハイドが待ち構えているであろうロッポンドーヒルズへと向かうのであった。