sideいちご
私は最近、気になっていることがある。
このクラスには空席が3つある。
私たちが座っている列の1番後ろの2つと教室の右後ろの1席。
一度、前の席の子に聞いてみたことがある。
その子が言うには、1席は地下の太陽と呼ばれる三ノ輪ヒカリちゃんの席。
彼女は今、ネットライブツアー中で地下のスタジオに籠っているらしい。
しかし、残りの2席は入学してから1度も見たことがなく、名前も聞いたこと無かったそうだ。
そんな空白の2席に、今日、人が座ることを私はまだ知らなかった。
いつものテンションでジョニー先生が教室に入ってくる。
いつもはそのまま点呼をする所を今日はおもむろにチョークを手に取った。
私やあおいはそのチョークの動きを見て、何があるのか予想を立てた。
しかし、今日は特に行事がある訳でもないので、検討もつかない。
チョークで書かれたのは、
『結城イブ
結城ノエル』
という名前。
私たちが編入してきた時と同じように縦書きに並んだ文字。
「というわけで、ハニー達!新しいハニー達だ!」
ジョニー先生が話したのは彼女たちがこれまで通学していなかった理由。
アメリカやフランスでの仕事か…楽しそう。
それに、昨日のステージも凄かった!
イブちゃんとノエルちゃんと仲良くなりたい。
休み時間に話しかけに行こう!
あおいにもそれは伝え、了承を得た。
「結城イブです!分からないことはどんどん聞くつもりなので、よろしくお願いします!」
「結城ノエルです。皆さんと研鑽していくのを楽しみにしてます。よろしくお願いします」
彼女たちが参加するという午後の授業が楽しみだ。
「listen、ハニー達!カメラ目線はアイドルの初歩の初歩。動くカメラに自慢のポーズを決めてやれ!」
初めに挑戦したあおいは、最初の方はできていたけど、後半は体力が切れてきてポーズを取れないことも多かった。
私は…最初からダメ出しされたけど。
微笑むのはカメラじゃなくてカメラの向こう側って言われたけど、カメラの向こう側には機材しかないし、どうゆうこと…
「ネクスト、イブハニー!」
「はい!」
5分間、2秒に1枚撮られる写真に全てポーズを入れて表情もファンに笑いかけているような微笑み。
なるほど…これがカメラの向こう側に微笑むってことか。
「ブラボー、イブハニー!完ぺk「イブ、15枚目と92枚目ポーズも表情も同じだったわよ。」
ジョニー先生の言葉を遮ってノエルちゃんがそういった。
150枚全てのポーズを覚えたの?
凄い!
「確かに…ノエル92枚目以外同じでやってくれない?」
息も切らしていないイブちゃんが自分のポーズを振り返って、納得したのか、そう言う。
「わかったわ」
そしてノエルちゃんが本当に同じポーズを決めていく。
92枚目だけは確かに見たことないポーズだったから変えているのだろう。
そうして150枚を同じく息も切らさずにこなす。
「125枚目なんだけど、顔が手で隠れてるかも」
「うーん、そうだったかしら?確認できないからわからないわね」
2人のレベルの高さに呆気に取られる周りの子達。
そこにはもちろん私とあおいも入っている。
ここまで凄いとは…置いていかれないよう頑張らなくちゃ!