キャストリアに転生したが原作を壊してしまった   作:霧ケ峰リョク

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本編じゃ書けなかった日常編の様子や補足を春の記憶という番外編で書きました。
物語の裏でこういうのがあったとか、そんな感じです。
ロンシャンが過去に何をやらかしてキャストリアが殺意を抱くようになったとかもこっちでやります。

本編だとロンシャン出ないしもう日常無いからね。

しかし春の記憶なのに夏の日の出来事とはちょっとおかしいような…………。


春の記憶
春の記憶:ある夏の日の出来事


 夏――――それは茹だる程の暑さと太陽の光がジリジリと身体を焦がす季節。

 夏だからアイスやかき氷が美味しいとは口では簡単に言うがこの暑さによる熱中症はバカには出来ない。そもそも日本の夏は湿気が多過ぎる。これじゃあキノコが頭から生えてくるレベルだ。

 しかし、それ以上に嫌なのが夏にはある。

 

「それじゃあ、明日は水泳の授業があるから水着忘れるなよ」

 

 教師の言葉によってやれ嬉しがるクラスメイト達に対し、私ことアルトリア・キャスターと愛しの恋人である沢田綱吉は完全に意気消沈していた。

 そう、それこそが私達が尤も苦手とする夏のイベント、泳ぐことである。

 プールは勿論、海水浴も完全にダメなのだ。

 

「…………水泳の授業なんて無くなれば良いんだ」

「アルトリア、あんた泳げないの?」

 

 私の怨嗟を泳ぐという行為を強制させる授業に込めて呪っていると、隣の席の黒川花が話しかけてきた。

 花は意外と言わんばかりの顔をしている。

 

「一応言っておきますけど学校にプールなんてものがあるのは日本くらいですからね。海外は泳げない人だって珍しくないですし」

「へー、そうなのね。かなり意外ね」

「別に意外というわけじゃありませんよ。日本だって昔はそうだったみたいですし…………大きな事故か事件だかのせいで沢山死者が出たから水泳の授業を行うようになったらしいですよ。それと、今は水着がありますが昔は裸で泳いでたとも、男女関係無く」

「前半はとても為になったのに後半のはまじでどうでも良いわね。いや、私達からしたら水着があって良かったと思うけど」

「まあ、それはそうですね」

 

 多分黒川が当時の人間として生まれていたら水泳の時に裸でやってたとしても気にならなかっただろうけが。

 常識とは時代によって移り変わるものだ。

 昔の日本において大衆浴場が混浴――

 

「しかし、それはそれとしてあんたの彼氏大丈夫なの?」

 

 黒川は私から視線をツナに移す。

 ツナは教師から水泳の授業があることを聞いた瞬間からドス黒いオーラを漂わせている。

 あまりの黒いオーラに普段は揶揄う連中も何か異様な気配に気付いているのか、距離を取っている。

 それでも空気の読めない命知らずの男子数名がツナにちょっかいをかけようとするが――――。

 

「おいダメツナ。お前大丈夫なのかよー、今時泳げ――――」

 

 パキャッという音も共に床に沈んだ。

 恐らく全員の顎に一撃を喰らわし、脳を揺らしたんだろう。

 死ぬ気弾を撃たれずとも、剣を持たなくとも能力を発揮している辺り相当触れられたくないらしい。加えて音が一つしか聞こえなかったし、時間の加速も使ったみたいだ。

 ツナの周りで気絶した数名の男子を見て恐れ慄いているクラスメイト達を他所に黒川に話す。

 

「ツナも泳げないですからね」

「…………それにしてはちょっと変じゃない? いや、本当に」

「いや、まあ…………幼少の頃に沖に流されてたり、一昨年私と一緒に海に行った時に溺れたり鮫に襲われたらトラウマになりますよ。あの時は二人纏めて鮫のご飯になるかと思いましたし」

 

 思い出すだけで鳥肌が立つとはまさにこの事である。

 アルビオンの欠片を移植した事もあってか、海に浮かず沈んでいったツナと共に鮫と追いかけっこしたのは良き思い出じゃない。魔術も海中では詠唱出来ないし散々だった。

 ツナに至っては悪霊どもに足を掴まれて殺されかけたし。

 

「そういうわけで私達は本当にそういうのがダメなんですよ。ツナに至っては我を忘れるくらいに」

「分かった。泳げない事で揶揄うのは絶対にしないわ」

 

 酷くドン引きした黒川の発言には嘘が欠片も含まれていなかった。

 その事に嬉しく思っていると黒川は何かを思い出したかのようにツナに視線を向ける。

 

「でもそれはそれとして大丈夫なの? 先に男子から水泳やるって聞くけど、泳げなかったら女子の時間も居残りでやらされるって話だけど」

 

 黒川が心配しながらそう言った瞬間、ツナは勢い良く立ち上がる。

 立ち上がった瞬間、周囲から視線を向けられる中、ツナは山本に話し掛ける。

 

「山本。例のバットって持ってきてる?」

「ん。ああ、小僧がくれたやつか」

 

 ツナが言っているのがリボーンが持って来た変形刀、通称山本のバットの事であると気がつくと視線を教室の後方にある棚の方に向ける。

 

「持って来てるぜ」

「ありがと。悪いけど少しだけ借りるよ。獄寺君もアレちょっと貸してね」

「わ、分かりました」

 

 異様な空気を纏っているツナに震えている獄寺隼人と気付いていない山本はそれぞれ武器を渡す。

 獄寺はダイナマイトを、山本は山本のバットを。

 当然ダイナマイトに関しては周囲のクラスメイトには気付かれないようにだ。

 二つの武器を持って教室の外に出ていこうとしたところでツナはこちらを見て一言。

 

「明日の水泳は暫く無くなるけど、構わないよね?」

「――――はい。やっちゃって下さい」

 

 笑顔で言うツナの宣言に私はサムズアップする。

 

「やっちゃって下さい、じゃないわよ!! 待って、沢田あんた何するつもり!? アルトリアも止めなさいよ!!」

 

 だが黒川の叫びを聞いて間違いに気付く。

 

「そうでした。すみません黒川…………」

「そうよ、早くあんたの彼氏を――――」

「ツナに任せるだけっていうのは間違ってますね。やるのなら私も一緒にやらなくちゃ」

「そうじゃないわよ!! あんたら二人どんだけ水泳やりたくないのよ!!」

「二人とも仲良いねー」

「京子もこの状況でその発言は天然過ぎるわよ!」

 

 教室の後ろに置いてある傘、擬態している選定の杖を手に持ちツナの所に行く。

 二人で顔を見合わせ、互いに力強く頷き教室の外に飛び出した。

 そして教室の外に待機していたリボ山――――学校の教師に変装していたリボーンの手によって意識を狩られてしまった。

 

「少しは落ち着け似た者同士」

「お、おのれリボ山…………!」

 

 目的を遂行する前に邪魔された事による怨嗟の言葉を吐きながら、私とツナは揃ってその場に倒れ意識を手放した。

 

   +++

 

 リボ山に意識を狩られた後、気が付けば並盛町のプールに連れて来られていた。

 プールといっても市民プールではなく、子どもから大人まで楽しく遊べるレジャー施設だったが。

 

「と、いうわけで泳げないお前らの為に特別授業をするぞ」

「リボーン、人は水の中では生きられない生き物なんですよ」

 

 水着に着替えて遊ぶ気満々のリボーンに私が説得しようとする。

 

「お前も言ってたが泳げないで死ぬような事にならない為に泳ぎの授業があるんだ」

「っく、変な雑学を披露するんじゃ無かった…………!」

「ま、そうでなくても今度ボンゴレの夏祭りで水泳の大会を行うつもりだったからな。練習の為に見ておきたかったんだ」

「…………ボンゴレって本当にマフィアなんですか? ただの愉快な秘密結社とかでも不思議じゃないんですけど」

 

 リボーンが嘘をついていないのは妖精眼で分かってるけど、本当に疑わしい。

 いや、信じるしかないんだけどさ。でも間違った伝統として後世に残されるのとかはよくある事だし、別に不思議でもないのかも。

 

「でもそれなら多分難しいと思いますよ。ツナ、水に浮きませんから」

 

 そう言って視線を水深が深い所に居るツナの方に向ける。

 プールの中で沈んでいる彼は一向に上がってくる気配が無かった。

 アルビオンの欠片を移植した影響なのか、元々カナヅチだったツナはより重くなり浮力が無くなったようにも見える。

 冠位(グランド)竜種の癖にアルビオン、泳げないからなぁ。

 加えて水に対するトラウマもあるし。

 

「ああ、こりゃ深刻だな」

 

 リボーンもまさかここまで酷いとは思っていなかったのか少し引いていた。

 水深が浅い此方に歩み寄って来るツナの瞳には光など宿っておらず、亡霊の様相を見せていた。

 

「とはいえ、未来のボンゴレ10代目がカナヅチは不味いからな。何とか泳げるようにはしてやる」

「…………正直無理に克服しなくても良いとは思いますよ? ツナの場合トラウマもありますし」

 

 水そのものに対する恐怖は無いだろうが、それでも心を殺している辺り相当嫌な筈だ。

 そもそもリボーンには話してないし見せてないけど、ツナは私の加護で水の上を歩ける。

 今更泳げるようになってもしょうがないような気がするが。

 そう考えているとリボーンはニヒルな笑みを浮かべて言った。

 

「泳げないよりも泳げた方が良いだろ。友達と一緒に海に行っても一緒に遊べず見てるだけってのは寂しいからな」

 

 リボーンが何を言いたいのかを理解して納得する。

 普段ハチャメチャやってる裏でこんな事を考えていたのかとも思ったけど、意外とちゃんと見ているのか。

 いや、この人はふざけているように見えてそこら辺はしっかり見ている。

 

「子どもでいられる時間はそう長くねぇ。なら、子どもでいられる内は子どもでいさせてやりてぇしな」

「…………赤ん坊が言っても説得力がありませんよ」

 

 見た目通りの年齢ではない事は分かっているが、やっぱりその見た目で私達の事を子どもとして扱うのは無理がある。

 

「言ってろ。そんじゃ、泳げるようになる為のスペシャル授業を始めるぞ」

 

 そう言ってリボーンが取り出したのは彼の身の丈よりも大きなバズーカだった。

 

「いや、何で水泳の授業でバズーカを使う必要があるんですか! っていうかどこから取り出して――――」

 

 私のツッコミが終わる前にリボーンは引き金を引き、リボーン独自の超スパルタ授業の時間が始まりを告げる。

 この後、私とツナは軽い地獄を見たが無事泳げるようになった。




未来超克篇はラストエピソードなので徹底的に人の心を無くします。
なので春の記憶で人の心を補充させてください。

まあ、原作キャラ死亡のタグを追加してるので勘の良い皆様は察してくれてますよね?
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