キャストリアに転生したが原作を壊してしまった 作:霧ケ峰リョク
次回はヴァリアー編です。
身の上を明かす、とは言っても全てを明かすつもりは無い。
そもそも信じられるような内容じゃないから話しても無駄だと思うが、かといって信じられたら正直困る内容だ。
だから開示出来るところまで、話しても問題の無いところまで話す事としよう。
「先ず初めに、私は魔術師です」
「魔術師…………まぁ、珍しくはねぇな。霊能者や術士、変わった異能を持つ連中は裏社会にごまんと居る」
「本当、人間なのか疑わしいのばっかりですよね。私も他所様の事をとやかく言う資格はありませんが」
まあそれでも人間の範疇に過ぎないのだろう。
異能を持っていても人間である事にはかわりないのだから。人間の範疇と人外の領域は明確な壁がある。
そういう意味では今のところ人外なのは私とツナだけだ。
私は産まれながらで、ツナは後天的に私が色々と調整したからだが。
「とはいえ、だ。オレも魔術師というやつには会った事がねぇ。何が出来るかはさっぱり分からないが、魔法とか使えるのか?」
「魔法は使えません。私が使えるのは魔術だけです」
「違うのか?」
「大きく違います。あまり詳しくは言えませんが、魔法とは現代の技術では絶対に出来ないもので、魔術は時間と労力、手間さえかければ他の技術でも代用可能なものです。ぶっちゃけ魔術なんて一部を除いて科学でやった方が効率の良い金食い虫ですから」
「成る程な」
私の説明を聞いてリボーンは一応は納得している様子を見せる。
「色々と聞きたい事があるが、一先ずツナの持っていた剣のリング。あれはお前が作ったのか?」
「はい。あれは私が作ったものです。ツナの助けになるよう作った特注品の礼装ですね」
「実際助けになってたしな」
私はこの戦闘を見ていないから何があったかは分からない。
だけど、リボーンの様子を見るにあげて良かったと思う。きっと六道骸も私の知る知識より悪辣な手を使って来たかもしれないし。
「魔術はお前の親から教わったのか?」
「いいえ。これは生まれ付きです。私を拾い育ててくれた二人は知りません。私が何故魔術を使えるかは、そういった機能を持って産まれたからとしか言いようがありません」
「ならお前はその理由を知っているんだな」
「詳しくは話せませんがチェンジリングみたいなものと思ってくれても構いません」
「…………お前の話を聞いてるだけで、魔術師というやつがとんでもなくひでぇ連中だという印象を抱いちまうぞ」
「実際ろくでなしですから。私の祖とかもろにグランドろくでなしですし」
「どんな奴なんだ?」
「世界有数のキングメイカー。花の魔術師」
「…………こりゃ思ったよりも大物だな」
リボーンはボルサリーノを深く被り、何とも言えない表情を浮かべる。
「あ、あくまで系譜ってだけですからね。子孫とかそういうのじゃないですし…………あれの血が流れてるとか、ちょっと」
「随分と辛口な評価だな」
「精神性が虫と大差無い奴だからこんな扱いで良いんです。それに、そんな事はどうでも良い話ですから」
「まあ、この場に居ない、既に死んでいる奴の事でうだうだ話す気はオレもねぇ」
そうしてリボーンは今一番気になっているであろう事を私に問う。
「ツナがやったアレは魔術なのか?」
アレ、恐らくというか間違いなく固有結界の事を言っているのだろう。
やっぱり使わざるをえなかったか。その事実に思わず息を吐く。私が介入した結果、六道骸も油断や慢心をせず、自身の持ちえる全てを出した。
結果、ツナは勝利する事が出来たが
やっぱり楽にはいかないか。そう思いながらリボーンの問いに逡巡しながらも答える。
「一応区分としては魔術です。ただし魔法に最も近い大禁呪ですが」
「だろうな。あれは現代の技術でも再現は出来ない。結果だけは再現可能かもしれねぇけどな…………そこに至る過程もツナが発動した能力もどうやったって再現不可能だ」
「でしょうね。ツナの固有結界は時間の操作。今の人類の技術では時間に干渉する事は不可能」
「その通りだ。ったく、厄介な代物を抱えてやがったな」
地に伏しているツナを見てリボーンは何とも言えない表情を浮かべる。
「ツナに教えたんだな」
「ええ。才能、いいえ…………この場合は素養がありましたから」
「道理で9代目がかけた封印が外れていたわけか」
「あれやったの貴方の上司だったんですか? どうしてそんな事を――――いいえ、やっぱり良いです」
普通の一般社会で生きていくには過ぎた力だし、あっても持て余すタイプの力だ。
固有結界は私が調整して開花させたから使う事は出来なかっただろうけど他は違う。
優し過ぎるツナに常人を超えた力があっても不幸にしかならない。
それでも――――。
「それでも、文句はあります。本当にツナの為を思うのなら力を二度と使えないようにしておいた方が良かったですよ」
「封印を解いたお前が言う台詞かそれ?」
「封印を解いた張本人だから言えるんです。特別なものは良くも悪くも色々と招くもの。封印のような中途半端なものじゃ遅かれ早かれ巻き込まれていましたよ。立ち向かう力の無いツナがそれに巻き込まれた時、どうなるかなんて言わなくても分かります」
ノブレスオブリージュというつもりはない。が、それでもリボーンの上司がした行いの無責任さを糾弾したい気持ちに駆られる。
たとえその資格が無かったとしても、もうちょっと他にやりようがあったのではないのか。
封印なんて中途半端な事をせず、二度と力が使えないように破壊するかしっかり力の使い方を教えておくべきだった。
「そうですね。ツナも眠ってるし良い機会ですから言っておきましょうか。私はツナをマフィアのボスにさせるつもりはありません――――彼は私が見初めた王様だ。後から来た連中なんかに渡すつもりは無い」
「…………それがお前の本音か。まあ、普段のお前の様子を見てれば大方そうだろうなとは思っていたけどな」
「隠していなかったんですけどね。まぁ、改めて言いますと貴方が仲間になるように仕向けた連中全員嫌いです」
獄寺隼人はボンゴレファミリーのボスという玉座を求めてツナの命を狙った。
山本武は自信の無いツナにアドバイスを求めて勝手に傷付いて自殺しようとして、ツナに酷い事を言った。
雲雀恭弥は自分勝手なルールでツナを傷付けた。
笹川了平は嫌がるツナを無理矢理ボクシングに誘おうとした。
六道骸は言わずもがな、ランボはまだ子どもではあるが色々とやらかし過ぎ。
イーピンもフゥ太も京子もハルもビアンキも花もディーノもロマーリオも、皆嫌いだ。
それぞれ事情があるのは分かっている。自分の非を認めているしツナも許している。中には天然過ぎて気付いていないのかそれとも目を逸らしているのか分からないのも居るし、許していないのも居るが。
後ロンシャン、お前は絶対殺す。
「嫌いな割に仲良くはしてたけどな。相談にも乗ってたりしてたし」
「まあ、嫌いとは言いますがそこまで嫌ってはいないですよ? 良いところもありますし、一緒に居て楽しいと思うのも事実です。でも――――」
きっとこれは最初から変わっていない真実。
私がツナと出会った日から決めていた
「私とツナの王国に今の貴方達は要らない」
「…………やれやれ、ツナの奴とんでもねぇ女に惚れちまったな」
リボーンは私の言葉を聞いてそれだけで済ませる。
そうでしょうね。この一年間、貴方と接してるからある程度は分かる。
「宣言します。私はツナをボンゴレのボスにさせない」
これは私の個人的な目的。
楽園の妖精としての使命ではない、私個人が抱いた今生の願い。
それを目の前で困ったように、だけど強かな笑みを浮かべているリボーンに宣言した。
+++
かくして、黒曜ランドでの激闘は終幕を迎えた。
復讐者と呼ばれる者達が骸一派を捕らえ、傷付いた綱吉達は医療班の手によって治療を受ける事になった。
戦いで負った傷は決して浅くなかったが時間が経てばそれも癒え、やがて何事も無かったかのように日常へと戻っていく事になる。
されど平和はそう長く続く事は無く。
――――物語は次の章へと進む。
後書きから見る変わった人は居ないと思うので少し本編の補足と駄文。
Q.何で日常編や他のキャラとの絡みが少なく、黒曜編に入ったんですか?
A.主人公はツナ以外の人が嫌いだからです。
自分の好きな人の良いところを見ずにダメツナと蔑んだり傷付けたりする人をどうして好きになれますか?
ちなみにクラスメイトや他の生徒よりは名を上げた人は好感度高いです(例外はロンシャン)。
これはツナの良いところを知ってるから。
傷付けたりした事は怒ってるけどツナと許してるししょうがないか、みたいな感じです。
ちなみに京子ちゃんは天然なのと彼女自身のトラウマを直視してないから。
明確な好きな人は奈々と家光、後育ての親。ツナは恋し、愛してる人だから凄い依怙贔屓してます。
ちなみにシモンはこの作品に登場する予定はありませんが、間違いなく全員嫌いになる模様。
評価としてはロンシャンより少しマシくらい。
まあ、仕方ないね。