キャストリアに転生したが原作を壊してしまった 作:霧ケ峰リョク
すまんがあれは嘘になった。
最低でも10話以上になりました。
「まさかお前が生きて、しかもそっち側に居るとはな」
「さっきも言ったけど僕もお前と顔を合わせる気なんか欠片も無かったよ」
リボーンとバイパー、もしくはマーモンと呼ばれた呪われたおしゃぶりを身に着けた赤子達が互いに睨み合いながら軽口を叩き合う。彼等の関係性がどんなものなのかは私には分からない。が、今のこの状況を見るあまり関係性は良くないと見える。
あるいはリボーンの方は眼中に入ってないが、マーモンの方はリボーンに対し思うところがある関係か。
普段のリボーンの言動とかを考えると後者の方がありえそう。
「スクアーロを助けるっていう予定外の仕事はあったけど、僕の仕事も終わりだ」
そう言うとマーモンはボンゴレファミリーの紋章が書かれた黒い箱を私達に見せびらかす。
「なっ、何時の間に!?」
その箱を見て男の子は驚愕に満ちた表情で叫ぶ。
多分、あの箱はこの少年が持っていたものだったのだろう。
「それじゃあ帰らせてもらうよ」
「帰すと思っているのか?」
「勿論。きみが僕達に手を出す事は出来ないという事は知っているからね」
マーモンはリボーンに一方的に告げると踵を返し、この場から去ろうとする。
正直な話、ボンゴレファミリーが持ってくる厄介事に関してはまたかって思ってしまう。
常日頃から騒動を起こしているようなものだし、私もツナもそれに慣れてしまったところがある。いや、やっぱ全然慣れてないわ。そもそも騒動を持ってくるのはボンゴレだけじゃない。ツナの友人達は勿論の事、学校や奈々さんもたまにやらかすし。
ツナの周りがトラブルメイカーというか、ツナ自身がトラブルホイホイな上に私自身もトラブルの塊だからあまり強く言えない。
だけど、流石に色々とやらかした彼奴等相手には怒っても良いんじゃないかと思うんだ。
そう、これは私の個人的な八つ当たり。そもそもボンゴレファミリーの事情とか私にとっては本当にどうでもいい。
「勝手に暴れて…………」
選定の杖を携えてマーモン達の真正面に立つ。
私が突然前に現れた事に驚くマーモンだったがそこは最強の赤ん坊アルコバレーノ。
攻撃を防ぐのと同時に反撃に転じようとしている。藍色の死ぬ気の炎もうっすらと見えている。
だけど、死ぬ気の炎を使ったマーモンよりも強化した私の方が強い。
「ぐはっ!?」
「ぎゃあっ!?」
死ぬ気の炎の防御とカウンターごとぶち抜いて杖の一撃を叩き込む。
マーモンとスクアーロは予想外に強力な攻撃を受けたのか驚愕に満ちた表情のままビルに叩き付けられる。
粉塵と土煙に飲み込まれて姿が見えなくなってしまう。
「これに乗じて逃げるつもりですね」
勝ち目が無いと見るとすぐに逃亡、正しい判断だ。
しかも幻覚も行使しているのが尚性質が悪い。普通の人間でなくてもこれに騙される奴は間違いなく居る。
「でも、させるものか」
だけど、それは私やツナには意味が無い選択だ。
いくら姿を隠そうが逃げ出す前に閉じ込めてしまえばその姿隠しは何の意味も無い。
「それはいつかくる兆しの星、希望の地、楽園の跡――――」
選定の杖を前に掲げて詠唱に入る。
私がこれから何をしようとしているのか理解したマーモンは幻覚を解除しすぐにでも離脱しようとする。
その際にスクアーロの事を置いて行こうとしたみたいだが、マーモンが逃げるよりも先に私の世界に閉じ込める方が早い――――!
「アルトリア!」
だがツナが私の名前を呼ぶ声が聞こえた事で展開を止める。
「警察が来てる! 一回逃げよう!!」
固有結界を展開した後、死ぬ気の炎を大量に消費したツナが息を荒くして私に伝える。
爆発にボヤ騒ぎ。色々と鈍感な並盛の警察もこれは流石に見過ごせなかったのか、耳を澄ませばサイレンの音が聞こえる。
この状況であれを使えばこの二人は確実に仕留める事が出来る。
けど、後始末に色々と問題が発生するか。生け捕りにするにせよ止めをさすにしろ、この状況を警察に見られる事になるのは厄介だ。
血塗れの赤ん坊とか事案間違いなしだし。
「…………運が良かったですね」
既にこの場から逃げ去っていた二人に負け惜しみを言うように吐き捨てる。
私がツナの言葉に気を取られた内には既に逃げていた。本当、間が悪過ぎる。
まあ決して浅くない手傷を負わせる事が出来たから良しとしましょう。
そう考えながら私はツナの所に戻りこの場を後にした。
+++
廃病院にて少年バジリコン、通称バジル君の口から語られたのはボンゴレリングというボンゴレファミリーのボスの証を巡ってボンゴレ最強の暗殺集団ヴァリアーと後継者争いをしているという事だった。
と、いうのも心変わりをしたボンゴレ9世が自身の息子であるXANXUSをボンゴレの10代目として指名。それに反発したのがバジルの上司である門外顧問。
門外顧問は外部組織でありながら非常時においてボスに次ぐ発言力を持つという、実質的なNO.2であるらしく、その人がツナを次期ボスに指名。
結果、後継者争いが私達の意図しないところで発生しボンゴレリングを手に入れるべくヴァリアーが動き出したとのこと。それを回避する為にボンゴレリングは分割出来る構造になっており、上司に頼まれたバジル君は半分になったハーフボンゴレリングをツナに渡しに来たらしい。
まあ、そのハーフボンゴレリングはヴァリアーの手に渡ってしまったのだが――――。
「実はここにあるんだな」
バジル君の説明にディーノさんは困ったように笑いながら奪い取られたものと同じ箱を、そして中に入っている半分になった変なリングを私達に見せびらかす。
だと思ったよ。そんな物騒な代物を安全に運ぶ為にフェイクを用意するのは当然と言えば当然だ。
まあ、それはそれとしてそのリングをぶっ壊したくなる気持ちに駆られているが。
「良かった…………」
ディーノさんの言葉を聞いてバジルは心の底から安堵した表情を見せる。
囮にされたという事実を知っても怒り一つ覚えておらず、むしろその逆で心底良かったと言わんばかりの顔をしている。
まあ、無理もないか。上の人から頼まれた事を守れず奪われたと思っていたのだから。
「と、いうか9代目に息子が居たんならそっちを10代目にした方が良いんじゃないの?」
「ツナの言う通りですね。ボンゴレファミリーは血統を重要視する。なら現在のボスであるそのXANXUSって人がボンゴレ10代目になるのが正当ですし」
「オレも詳しい事は聞かされてねぇから分からないが、XANXUSは8年前クーデターを起こしたんだ。それが理由でボス候補から外されたらしい」
疑問に思ったツナと私にリボーンはその理由を答える。
だがその理由を聞いて益々分からなくなる。
何故XANXUSがクーデターを起こしたのか?
順当に行けばそのまま10代目となり、ボンゴレのボスの座を手に入れる事が出来る筈だ。にも関わらずそんな事をしたのは、クーデター前にボスになる事が出来なくなったか。
それぐらいの理由が無ければクーデターなんか起こさない。
本人に直接会って問い質せば妖精眼で分かるんだけど――――それはそれとしてツナは何か気付いたみたいだ。
ただ確証が無いから断言する事は出来ないみたいだが。
「取り敢えずそのXANXUSって人がクーデターを起こした理由は置いときましょう。それで、これからどうするんですか? いいえ、どうしたら良いんですか?」
一応私は部外者である筈だ。にも関わらず私の前でそんな重要な話をしたという事は、私にやってもらいたい事があるということ。
「話が早くて助かるが大丈夫か?」
「この状況で手を貸さないわけないじゃないですか。それに、色々と言ってやりたい事とかもありますし」
「そうか。助かる」
「それで、私に何をしてほしいんですか? 大方の予想はつきますけど」
「ああ。お前にはこれから選ばれる六人の守護者にリングを作ってもらいたい」
リボーンからの依頼は当然と言えば当然の話だった。
身体能力、技術、全てにおいて劣っている上にこちら側でリングを使えるのはツナだけなのだ。
これじゃあ勝負にもならない。仮に実力の差を埋める事が出来たとしても死ぬ気の炎が使えなければアウトだ。
「ヴァリアーが日本に来るまでのタイムリミットは?」
「向こうに渡ったのは精巧に作られた偽物だ。気付くのに10日は掛かるだろうな。いや、連中がイタリアに戻った事も含めると11日か」
「それは最大でしょ? 最短で気付いて日本に来る時間――――いいえ、こう言った方が良いですね。何日までに仕上げたら良いですか?」
「最大で3日。悪いがそれ以上は待てない」
「なら明後日までには仕上げます。6人の守護者はリボーンが選ぶんですか?」
「いや、オレじゃねぇな。別の奴が守護者を選ぶ」
「なら明日までには全員教えてください。それぞれにあったリングを作りますから」
私がそう告げるとリボーンは不思議そうな顔をする。
「ツナみたいに剣になる機能は付けなくても良いんだぞ?」
「別に好きでああいった機能をつけているわけじゃないんですよ。私が作るものは全てが剣になってしまうんですよ。なら最初からそういった機能を持つリングとして作った方が良いんです」
「…………そう言えばツナに作ったチョコが剣の形になってたな」
「思い出さないでください…………後、他にはその人に合わせて作った方が良いというのも理由になります。死ぬ気の炎も使いやすくなるという利点もありますし、普通のリングを使うよりも強くなります」
「そうか。それなら後で教えるよう伝えとく」
「お願いします」
リボーンの言葉に応じ、ツナの方に視線を向ける。
「ツナ。リングを暫く貸してください。少し調整しておきたいので」
「分かった」
ツナからリングを受け取り、そのついでにそっと耳打ちをする。
「礼装の方も直しておきます。ただこっちはリングの後になるので間に合うかは分かりませんが」
「そんな事無いよ。むしろごめん。思いっきりぶっ壊しちゃって」
「…………必ず仕上げますので、頑張ってください」
私はツナにそう告げてこの場を後にする。
必要なリングの数はツナのを含めて7つ――――いや、念の為9つ必要か。
ツナは例外として、これから作る8つのリングを使いこなせるかは不安だが自分しか出来る人が居ないのならやるしかない。
ただ、嫌な予感がする。
連中がツナの固有結界を対策していたように、敵も無策で来るとは思えない。
もしかしたらヴァリアーが偽物だと気付いた上で10日間使って来る可能性だってあり得る。
何の為に? 決まっている――――ツナの固有結界を攻略する為だ。
「…………私も修行に口出しした方が良いですね」
正直な話、ツナを介さず話すと余計なことまで言ってしまいかねないからあまり話したくない。
だけどこうなってはそうも言ってられない。
誰が守護者になるかは分からないが、ある程度の予想はつく。
「今の内に何を話すかシミュレーションしておきますか」
出来る事ならツナが戦わないでこの騒動が終わってほしい。
絶対に叶わない願いである事は分かっていても、心の底からそう思わずにはいられなかった。