キャストリアに転生したが原作を壊してしまった 作:霧ケ峰リョク
現在活動報告で書いてほしい春の記憶やIFを募集しています。
まあ全部書くとは言い切れないのであまり期待せずに書いて下さい。
ハロウィン――――起源は古代ケルト民族にあり日本で例えるのならお盆が一番近い宗教的な行事であり、悪霊を追い払うと同時に秋の収穫を祝う祭りでもある。
尤も昨今では子ども達が「トリックオアトリート!」の掛け声とともにお菓子を強請ったり、街中でコスプレした大人達が暴徒と化して車を横転させたりしている。
結局のところ、祭りとは時代の流れで変化するものなのだ。
「――――と、いうわけでボンゴレハロウィンを開催するぞ」
「何でもかんでもボンゴレを付ければ良いと思ったら大間違いだと思うんですよ」
毎度恒例のボンゴレ行事という名のリボーンの無茶振りに私がツッコミを入れる。
妖精眼がリボーンを濁らせてないのを見るに嘘はついていないのだろう。ただ罰ゲームはリボーンの思いつきだろうが。
こうして見るとボンゴレファミリーって本当にマフィアなのだろうか?
リボーンの話を聞く限り初代は自警団だったらしいが、どんな変遷を経てマフィアになったのか気になる。
「それで、何をするんだよ。ハロウィンって言ってもトリックオアトリートって言ってお菓子を貰うだけじゃないんだろ?」
「たりめーだ。ボンゴレ舐めんな」
「舐めてねーよ。むしろハロウィンを冒涜してるだろ。元は悪霊を追い払ったり秋の収穫を祝うケルトの祭りだろ?」
「お、意外と知ってんだな。勉強もこれぐらい覚えてたらな」
「う、うるさいな! 言っておくけど前の肝試しみたいに本物の悪霊を呼び出したりすんなよ!!」
過去にリボーン達の悪ノリによって冥府から蘇った悪霊の手によって地獄に連れてかれそうになった事がある。
ツナならそういったものを倒すことは出来なくはないけど用意や準備が必要だ。魔術とはそういうものだし、手持ちに対抗策が無いとどうしようもない。
あの一件以降、対霊用の爪楊枝サイズのナイフを持ち歩くようになったからツナにとっても苦い思い出のようである。作るの結構大変だった。
「えー」
「ダメだからな!」
リボーンに念押しして二度とやらせないように言うツナ。
まあ、殺生院が冥府からやって来たりしたら本当に手に負えなくなるので妥当だ。
まだ人間だったから何とかなったけどその時点で化け物染みていたし。
私の魔術のような術式を独学で開発し、桃色の炎を扱ってたりして本当に酷かった。
あの女対策で作った廻時剣が無ければ勝てたか怪しかった。
最小限の犠牲で済んだとはいえ人死にが出たあの一件を勝ちにして良いのかは些か疑問ではあるが。
「安心しろ。今回はハロウィンらしく仮装大会でやってくぞ。ちなみに最下位は罰金1億円な」
「またかよ!!」
「いつものパターンですね」
ネタが無いのか、それともツナを追い詰める為か、もしくはツナを玩具にして遊んでいるのか。
恐らく家庭教師として友達との思い出を作っているんだろう。
ツナは自分から誘うのがあまり得意じゃないから。
正直尻を蹴り飛ばすようなやり方じゃなく、もっと優しくしてあげてよって思わなくないが。
「それで、審査はちゃんとするんですよね? 仮装の出来以外とかも含めたら正直無理ゲーですよ?」
「ああ、そこは安心しろ。今回は仮装の出来で判断するぞ」
妖精眼は何の反応も示さない。ただ何か企んでるんだろうなぁとは思う。
むしろこの鬼畜赤ん坊が何も企んでないわけがない。
「そんじゃ、何の仮装をするか明日までに考えとけよ」
「ちょっ、いきなりそんな事を言われても――――!」
そう言うとリボーンはツナの静止の声に耳を傾けず、私達に背を向けて何処かへと歩いていく。
どうやらツナがどんな仮装をするのか、それを知るつもりは無いらしい。
「あーもう! どうしたら良いんだよ…………!」
リボーンの姿が見えなくなった瞬間、ツナはその場で膝をついて困った様子を見せる。
いきなりの無茶振り、そしてリボーンを納得させられるだけの仮装が出来るのかという不安。
負けたら罰金1億という嘘の欠片も無い本心からの言葉もあり、非常に追い詰められていた。
最下位になりさえしなければそれも免除されるとはいえ、あの愉快な仲間達の存在もあり生半可な仮装では間違いなく最下位になると私でも確信出来るくらいにリボーンは厳しく採点する筈だ。
「ツナ、私に良い考えがあります」
とはいえ、流石にツナがおちょくられ続けるのは見ていて可哀そうだし助け船は出させてもらう。ツナは追い込み過ぎると極端かつダメな方向へと突き進んでしまう悪癖があるし、毎回それで痛い目を見ているのだから。
たまにはそんな目に合わず普通にハロウィンを楽しんでもらいたい。
と、いうか最近リボーン調子に乗ってるし鼻を明かしてやりたい。
ハロウィンなんだし、たまには甘い
「え、本当? でも、手伝ってもらって大丈夫なのかな?」
「協力しちゃダメとは一言も言ってないし、仮装の種類を限定してませんからね。何とかなりますよ」
絶対に優勝出来るとは言わない。が、最下位は回避できるだろう。
私は魔術を使って懐に圧縮しておいた化粧用品と衣装、ウィッグを取り出す。
瞬間、ツナは私に背を向けて逃げ出した。
「何で逃げるんですかツナ! これなら確実に優勝――――じゃなかった、最下位だけは回避できます!!」
「アルトリアの提案でもそれは嫌だ! 皆の前でそんな恥ずかしい恰好したくないよ!!」
「大丈夫!! 全然恥ずかしくありません!! だから着て下さいってば――――!!」
+++
翌日、並盛中学校にてジャック・オー・ランタンを被ったリボーンがリボ山として校庭の朝礼台に立って生徒達を見下ろしていた。
雲雀恭弥に頼んだ事もあり、現在並中ではハロウィンが行われており、仮装に身を包んだ生徒達も居る。中には他校の生徒も居り賑わっている。
「いやはや、リボ山先生の提案のおかげで並盛中学校は賑わっておりますな。流石はリボ山先生です」
「まあな」
校長のおべっかを適当にあしらいながらリボーンは生徒、より正確には家庭教師としての生徒である沢田綱吉とその仲間達に視線を向ける。
「あはは、獄寺似合ってんのなー」
「うるせぇぞ山本。それよりも10代目が何処に行ったのか、キャスターは知らねぇのか?」
「今日は見てませんね。後、今の私は雨の魔女トネリコです」
ゾンビの仮装をした山本と狼男の仮装をした獄寺の二人に魔女の格好をしたアルトリアが告げる。
それを聞いてアルトリアの背後に居る人物が僅かに肩を震わせたが、二人が気付く事は無かった。
「そういえばさ、後ろにいる子は誰なんだ?」
「私の友達ですよ。自己紹介して下さいね」
質問した山本にアルトリアは自分で答える事はせず、後ろに居る水色の服を着た金髪青眼の少女に言うよう促す。
「お…………こほん、私は沙条愛歌って言います。アルトリアさんとはつい最近知り合ったんです」
「そっか! キャスターもひねくれがちなところがあるけどさ、本当は凄く良い奴だから仲良くしてやってくれよな」
「お前は私のお父さんかしっとりメンヘラ」
アルトリアは余計な一言を足した山本を睨み付ける。
意外とよく見ているといえば良いのか、それとも案外似た者同士なのかもしれない。
「おい山本、あっち探しに行くぞ」
「おう。そんじゃ、ハロウィン楽しんでってくれよな」
二人が立ち去り、姿が見えなくなると沙条愛歌と名乗った少女がその場でしゃがむ。
その顔は羞恥で歪んでおり、今にも泣きだしてしまいそうだった。
「どうしたんですか愛歌、まだ来たばっかりですよ?」
「無理…………恥ずかし過ぎて死ぬ…………」
「死ぬ気弾を撃たれてパンツ一丁になるよりかはマシじゃないですか。それに似合っていますよ――――
愛歌――――否、沢田綱吉はアルトリアのその言葉を聞いて「全っ然…………うれしくないよ」と項垂れる。
確かに自分の生徒は母親似の童顔だが、ここまで化けるとは思わなかった。
恐らくアルトリアが化粧をしたり衣装を用意したりしたのだろう。
だが立ち振る舞いや言葉使い、そして相手に与える印象は自前のものだ。
超直感――――ボンゴレの血統に宿る異能の力により、どのように振る舞えば男とバレないのかを無意識の内に綱吉は理解していた。
だからこそ親友である二人にも気付かれなかったのだろう。
「こりゃ優勝は決まりだな」
本当ならば色々とけしかけるつもりだったがここまで見事な女装を見せられれば認めざるをえない。
変装の達人であるリボーンから言わせれば見どころはあるがまだまだなってない。
しかし極めればあれはボンゴレ10代目として立派な武器の一つになる。本人は絶対に好んで使いたがらないだろうが、使える手段は多い方が良い。
「それじゃあ、この後は京子ちゃんやハルにも会いましょっか。正体が分かった時、きっと驚くと思いますからね」
「え、ちょっと待ってってばっ!!」
アルトリアに手を引っ張られる形で連れていかれる綱吉の姿を見てリボーンは笑う。
子どもでいられる時間は決して長くない。人間の一生から見れば20年にも満たない時間で、中学に限ればたったの3年だ。そんな短い時間の中で築き上げた思い出はいつか大人になった時、自分の人生を切り開く大きな宝となる。
こんなバカ騒ぎもきっと、大人になった時には良き思い出になるだろう。
そんな事を考えながらリボーンは人混みの中へと消える二人を優しい眼差しで見つめていた。
――――この後、仮装大会で優勝した綱吉が周囲から驚かれた事で顔を真っ赤にしていたのは語るまでもない事である。
彼等にもこんな穏やかで笑える日常があったのです。
なお、本編は地獄の模様…………。
だれがこんな話にしやがったんだ許さねぇ!!