キャストリアに転生したが原作を壊してしまった 作:霧ケ峰リョク
丸三日ベッドの上で過ごす事になるとは思わなかったです。
一先ずある程度回復したので更新再開します。
※すみません、削除しきれてなかったところがあったので修正しました。
現在ヴァリアー側が先に二勝している状態。
ツナ達からしたらどうしてもここで一勝しておかないと後が無い状況だ。
にも関わらず――――。
「身内同士で争いあってるこの状況はどんなものなんですかね」
完全に崩壊した並中でツナと山本、そして雲雀さんが戦い合っている状況に思わず苦言を漏らす。
理由はツナから聞いたから雲雀さんが怒るのも分かる。自分の大好きな場所を勝手に戦いの舞台にされた挙句、原形が留めなくなる程破壊されたのだから。
まあ、今回の並中完全崩壊は私が制作したエデンリングが関わってるから何も言えないが。
それにツナは山本のバットを使っているし、三人とも死ぬ気の炎もエデンリングも使っていないから本気でやりあってないだろうけど。
「とはいえ、かなり厄介な事もしてくれましたね」
ダメージを受けたせいで意識が無く、入院しているランボから回収した雷のエデンリングを見つめる。
エデンリングは強力で使いやすい反面、使用者の精神状態によっては暴走するリスクもある。
精神的に成熟した20年後のランボから今の子どものランボに急に変わったら、制御なんか当然できるわけが無い。
製作者としては、あのランボがここまで力を引き出して使いこなせる事は素直に嬉しいが、それはそれとして複雑な気持ちになる。
「ランボ…………まさか、ここまでやるなんて」
20年もの年月は人を成長させるには十分な時間という事か。
子どものランボを知っているから余計に意外というか、10年後も大差ないからちょっと意外だ。
「…………それだけ過酷な目にあったということですよね」
残念な事だけど、20年後のランボが仕掛けたものは私には消す事が出来ない。
そして他の八つのエデンリングにも同期されているだろう。
これが吉となるか凶となるかはまだ分からない。でも、これだけは分かる。ランボは私やツナの事を思い、良い結果になると信じてエデンリングに仕掛けを施したんだろう。
ただ私やツナの望みとしてはあまり喜ばしくないのだけれど、まあ私やツナの考えなんて向こうからしたら知ったこっちゃないか。
「にしても、随分とレベルが上がってる」
エデンリングを渡したバジルと毎日のように組手を行い、リボーンのしごきを受けている上に私と魔術の応用について勉強しているツナが強くなっているのは分かる。元々ツナは剣を使っている状態なら死ぬ気なら私に次ぐ実力の持ち主だ。多分だけど、剣を使わなくても実力を発揮できるようになっている。
雲雀さんもエデンリングを渡したディーノさんと修行をしているから以前より強いのは分かる。そもそもこの前の骸戦で色々とあったからヴァリアーが来る前でも身体を鍛えてたみたいだし。
でも、山本がここまで成長を遂げているとは思わなかった。
やっぱり映像とはいえあれを見せたのが良い方向に作用したのか。
ツナにも一度見せた事はあったけど「ここまでする必要ある?」ってかなりドン引きした顔をしていた。私もそう思うし、あそこまで行きつくには凡そ人として大事なものを欠落させなきゃいけないと思ってしまう。まあ、中には才能だけで辿り着いたのも居るけど。
やっぱり侍はおかしい。
「まああのメンヘラなら辿り着いてもおかしくないけど」
私は知っている。湿っぽさなんか欠片も感じさせないような笑顔を振りまいておきながら、その実かなり湿っぽいのは。
「ああ、だから雨の守護者なんですね」
そりゃ湿っぽくなるのも妥当だ。
取り敢えず、今日の守護者戦が負けても残りの三人なら勝てるだろう。正直問題児しか残っていないのはかなり不安だが。
等と一人で納得しながら校舎跡地で火花を散らし合う三人を、もとい雲雀さんを止めに入る。
――――この後、並中の校舎を一週間以内に建て直すとボンゴレファミリーとチェルベッロ機関に誓わせた事で雲雀さんの怒りは静まった。
+++
「――――こうして一対一で話す機会は無かったですね」
それは修行中の一時。
突然現れたアルトリア・キャスターが近くの岩に腰を掛けた。
その背後で師匠であるDr.シャマルが自分の事を指さして「オレも居るんだけどなぁ」とぶつくさ呟いていたが無視している。
「んだよ、何か用でもあるのかよ」
「ええ。何か助言でもと思ったんですけど」
そう言うとアルトリアは視線をシャマルの方に向ける。
「私が何か言うまでもなかったみたいですからね」
「…………お前が何を言いたかったのか分かった」
大方シャマルと同様の事を言おうとしたのだろう。
隼人は一人納得しているとアルトリアは「まあ」と言葉を続ける。
「私が言うのは間違っているとは思っていたから、言わない方が良かったんでしょうけどね」
「だろうな」
アルトリアは自分達の事を嫌っている。
ましてや、過去に10代目の命を狙っていた自分の事はあまり良い印象を持っていないだろう。
「一応言っておきますけど、私は確かに貴方達の事が嫌いです。それでも死んで良いとは一欠けらも思ってませんよ」
隼人の思いを否定するようにアルトリアは言い放つ。
「ただ、それを言う資格を私は持ちえないんです」
「資格?」
「ええ。私の場合、自分よりも優先しなくちゃいけないことがあるからです。より正確には命を捨てる事が最低条件なんですが」
その言葉を聞いて隼人、シャマルは目を見開く。
「…………10代目はその事を知ってるのか?」
「知ってますよ。知ってるから、ツナは固有結界を使えるようにがんばったんです」
「そうだよな…………」
自身が10代目と呼び慕う彼ならば、この少女が死ぬような目に遭うと分かっていて何もしないわけがない。
「ですので私から言える事があるとするならば、絶対に死ぬなとは口が裂けても言いません。貴方がやりたい事をやりなさい」
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並盛中学校が壊滅した事によって森の中で行われる事となった嵐の守護者戦。
隼人は修行中に会ったアルトリアの言葉を思い出していた。
勝敗は既についた。しかし、ヴァリアー側の嵐の守護者ベルフェゴールは意識を失ってもなお勝利への意欲を失う事は無かった。
武器も死ぬ気の炎も使わずリングを奪い合う取っ組み合い。フィールドに設置された爆弾の起爆時間の事もあり、残された時間はそう長く無い。
だが、体力を使い切っていた隼人にはベルフェゴールから嵐のリングを取り上げる力は残っていなかった。
この戦闘で使わなかったエデンリングの力も、今の状況じゃ役に立たない。
「くそっ、負けてたまるかよ…………!!」
既に二敗している以上、自分が負けたら後が無い。
勝負に勝って試合に負けたなんて酷い事になって、彼を追い詰めるような事をさせたくない。
「――――獄寺君!!」
音声機器から沢田綱吉が自身の名を叫ぶ声が聞こえた。
分かっている。彼は自分が敗北したとしても失望したりなんかしない。むしろその逆で自分の身を大事にしている人だ。
だからこそ、そんな人を後を無くすような真似はしたくない。
にも関わらず、脳内に蘇るのは修行中に聞いたアルトリアの言葉。
――――貴方がやりたい事をやりなさい。
「っ、くそっ!!」
隼人はベルフェゴールとのリングの取り合いを諦め、勝負に敗北する道を選ぶ。
情けない話だが、ここで死んだら彼等とまた花火や海に行けなくなる。
それがとっても嫌だと思ってしまった。
「勝者、ベルフェゴール!」
チェルベッロの少女がこの試合の勝者の名を宣言する。
申し訳なさそうに顔を歪めながら戻った隼人の目に映ったのは、自身の無事を喜ぶ仲間達の姿だった。
皆の喜ぶ顔を見て少しだけ安堵しながら、隼人は残りの三人の守護者の勝利を祈った。