キャストリアに転生したが原作を壊してしまった   作:霧ケ峰リョク

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雨の守護者戦は色々書きたいので二話ぐらいになりそう。
ちなみに霧と雲は削ることにしました。これ以上長くしたら終わらなくなりそうだからね…………。

さて、と…………後回しにしていたイドに挑もうと思います。


剣聖

「――――面白いものを見せてあげます」

 

 剣の修行中、唐突にやって来たアルトリアが見せたのは過去の映像だった。

 魔術という力によって映像化されたそれは、とんでもなく凄まじいものだった。

 

「すげー…………」

 

 時雨蒼燕流を継いだからこそ理解出来る。今の自分では到底及ばない領域にある業であるということを。

 これが剣技である事すら信じ難い技である事を。

 

「ツナはこれを見て変態だって言ってましたよ。私もそう思いますけど」

「あはははは。確かに変態なのな」

 

 武はアルトリア、そしてこの場に居ないツナの言葉に同意する。

 これは変態だ。変態以外の何モノでも無い。思わず仰向けになって空を見上げる。

 

「すげーのな。剣って、極めるとこんな事も出来るんだな」

「剣に限りませんよ」

 

 仰向けになって寝転がった武に対しアルトリアは呟く。

 

「魔術もそうですし、科学技術も行きつくところまでいけば辿り着く境地です。尤も、誰でも辿り着けるものじゃありませんけどね」

「…………そうか」

 

 その言葉を聞いて武は納得する。

 誰にでも辿り着けるものではないのかもしれない。けれど、辿り着く事が出来ないわけではないのだ。

 

「なぁ、これもう一回見ても良いか?」

「構いませんが、他にも似たようなのはありますよ。流石にこれ程のはもう二つぐらいしかありませんが」

「もう二つあるんだな」

 

 むしろこんな変態がもう一つある事の方が異常だ。

 才能なんて言葉ですら生温い。努力なんて言葉でさえ片付けられない。

 狂気。そう、狂気だ。これは狂気としか言いようが無い。

 にも関わらず魅せられたのは、自分にもそういったところがあるからだろうか。

 あるいは――――、

 

「オレが時雨蒼燕流の後継者、だからかな?」

 

 この技を一目見た瞬間から、乗り越えるものだと直感したのは。

 

「いずれにせよ満足するまで何度も見せてあげますよ。所詮魔術で再現しただけの過去の映像に過ぎませんが」

「だとしてもすげーよ。実際に居たんだろう?」

「――――ええ、当然です」

 

 アルトリアのその言葉を聞いて武は笑みを浮かべる。

 

「じゃあ他の剣士の映像も見せてくれ」

「分かりました。では次はこの方にしましょうか。今見せた人とは違って超越した技術はありませんが、最強の剣士だと断言します。此方も参考にはなりませんが見て損は無いかと――――」

 

   +++

 

 日本におけるヴァリアーの拠点にて、ボスであるXANXUSは呼吸を荒くして膝をついていた。

 顔色は真っ青に染まっており疲労の色が浮かんでいる。

 だがXANXUSの表情は顔色とは裏腹に獰猛な笑みを浮かべていた。

 一方、スクアーロを除いたヴァリアーの幹部は微妙そうな顔をする。

 

「ボスも使えるようになった、のはすげーと思うよ。でも、なんか微妙じゃね?」

「き、貴様! ボスの力が微妙だと…………!?」

「どもってんぞおっさん。まあ比較対象があれだっていうのもあるし、まだどこまで出来るかは分からないから何とも言えねぇけどよ」

 

 小声で、XANXUSには聞こえない程度の小声でベルフェゴールとレヴィが話し合う。

 だがそれを聞いていたスクアーロは獰猛な笑みを浮かべた。

 

「――――いや、これで良い。そうだろう、XANXUS!!」

 

 スクアーロは今にも高らかに笑いそうな程、喜悦に顔を歪めながら叫ぶ。

 突然の大声、スクアーロは元々声が五月蠅かった。だが過去に見ない程の声量にヴァリアーの幹部達は顔を顰める。

 唯一顔を顰めなかったのがXANXUSただ一人だけであり、XANXUSはスクアーロの言葉の真意を悟ったのか睨み付ける。

 

「何時から気付いていた?」

「8年前のゆりかごの時だ。あの時、あの場にはオレも居た」

「…………そうか」

 

 短く一言だけ言葉を返すとXANXUSは興味を失ったのか、立ち上がりこの場から離れる。

 その後ろ姿をスクアーロとモスカの内部に居る人物は黙って見つめていた。

 

   +++

 

 第4試合、雨の守護者戦が行われるのは並盛町にある廃水族館だった。

 既に廃墟と化していた水族館の館内は水で満たされており、態々持ち込んだと思われる鮫が数体泳いでいる。

 その光景を見て山本武は「泳いでんのなー」と呑気な感想を呟いた。

 観客席に居る獄寺隼人は今から戦うというのに緊張感の欠片も無い武にもどかしい思いを抱く。

 やはり自分が無理してでも勝利すべきだったと――――。

 

「山本は大丈夫だよ」

 

 自身の敗北に苦心している隼人に綱吉が優しく告げる。

 そして視線を隣に立っている、争奪戦の会場に初めて姿を見せたアルトリア・キャスターに向けた。

 

「アルトリア。山本凄く強くなってたけど…………何かした?」

 

 先日怒り狂った雲雀恭弥を相手に武と二人で相手をしたからこそ、綱吉は武の今の実力を把握していた。

 だからこそ、その成長に驚いてもいた。

 リボーンに認められる程の身体能力に加えて天性の殺し屋とまで評される才覚。元々野球をやっていた事もあって基礎は現在分かっている守護者の中では笹川了平と同じくらい鍛えている。

 剣の修行を始めて約二週間という短い時間ながらも、元々の地力の高さもあって剣の腕は見違える程だった。

 否、長年剣を使っている綱吉の目から見ても異常な程成長していた。

 

「やっぱり分かります?」

「流石に分かるよ。山本ならしっかりとした剣術を学べば強くなるとは思う。でも、普通はあそこまで成長しないよ」

「今のこの状況や山本が普通とは思わないですけどね。まあ、色々と魔術を使って見せたんですよ。ツナにも前に見せた事ありますよ」

「…………成程、あれを見たのか」

 

 アルトリアの発言から山本の異常な成長の秘密を察した綱吉は納得する。

 

「あれって何だ?」

 

 二人の会話の内容が気になったのか、リボーンは質問する。

 綱吉はリボーンからの問いに困ったように顔を顰める。

 

「説明が難しいんだけど…………ざっくり大まかに話すと昔の人の剣を魔術で映像にして見たんだよ」

「昔の人間の剣術、か。意外と便利だな、魔術は」

「便利なのもあるだけですよ。まあ、山本の成長にはそういった過去の剣士の映像を見せたんです。ただ一人で練習するより、参考になるものがあった方が効率は良いですから」

 

 事実山本の実力は爆発的に上昇している。

 そう考えての発言だったがただ一人、ディーノだけが不安そうな表情をしていた。

 

「スクアーロは、数多の剣術を破り、自らの剣に昇華していく。スクアーロ相手には流派は通じない。奴に勝つには流派を捨てるしかない」

「ディーノさんがそこまで言うって事は、それ程強いって事なんですね」

「スクアーロはかつてのヴァリアーのボス、剣帝テュールを打破している。剣士として間違いなく最強だ」

 

 ディーノの発言を聞いてこの場に居る全員の表情が硬くなる。

 ただ一人アルトリアを除いて。

 

「勝負には時の運があるので断言は出来ません。が、今の山本には何の不足もありません」

「…………アルトリアがそこまで言うって事は、何か逆転の策があるって事?」

「いいえ。単純な話です。山本は剣聖の領域に足を踏み入れました」

「っ、それ本当っ!?」

 

 アルトリアの発言に綱吉は目を見開いて驚愕する。

 

「本当です。そう何度も使えないみたいですけど奥の手もありますしね。今の山本ならスクアーロにだって負けません。それを、私が保証しますよ」

 

   +++

 

「――――成程な。確かに、以前戦った時とは比べものにならねぇな」

 

 竹刀から刀に変形した時雨金時を携え、臨戦態勢を取る山本武の立ち振る舞いを見てスクアーロは喉を鳴らす。

 近年では見ない強者へと変貌を遂げた武と相対し、闘志が沸々と沸き上がる。

 だがそれだけだ。

 その手に携えている時雨金時はかつて打破した時雨蒼燕流のものだ。

 問題無し。そう判断したスクアーロは死ぬ気の炎を剣に灯す。

 

「その時雨蒼燕流は昔捻り潰した流派だ! 一度打ち破った流派でオレに勝てるとでも――――」

「ああ、思ってるさ」

 

 スクアーロの言葉に武は力強く返す。

 

「時雨蒼燕流は完全無欠、最強無敵の剣術だ」

「はっ! ならそのちゃちな誇りと共に刻んでやるっ!!」

 

 宣言と共にスクアーロは勢いよく突貫し、山本武に向かって死ぬ気の炎を灯した刃を振るう。

 向かって来る死ぬ気の炎が灯った刃を武は同じように死ぬ気の炎を灯した時雨金時で受け止める。

 

「あめぇ!!」

 

 当然のように防ぐ、そう分かっていたスクアーロは剣に仕込んでいた小型爆弾を射出する。

 

「悪いけど、それは前見てんだ――――時雨蒼燕流守式七の型・繁吹き雨!」

 

 武は時雨金時でフィールドの水を巻き上げ回転し爆風を防ぐと同時に刃を振るってスクアーロに攻撃を仕掛ける。

 

「はっ! 良いぞォ!!」

 

 爆風が通じなかった事にスクアーロは臆する事無く、左腕の剣で防ぎ距離を取る。

 以前戦った時雨蒼燕流の使い手が使った繁吹き雨、それよりも遥かに高い練度の技だ。

 油断や慢心をしていては負ける。だが同時に楽しいという感情が沸き上がって来る。

 

「スクアーロ、今度はこっちから行くぞ」

 

 距離を取って戦意を高めるスクアーロに対し、武は剣呑な顔をして時雨金時を高く振り上げる。

 そして刀身に圧倒的な圧迫感を感じさせる程の死ぬ気の炎を込める。

 

「っ、来るか…………!」

 

 急激に高まった死ぬ気の炎の出力にスクアーロは防御姿勢を取る。

 これから来るのは高い威力の攻撃技。そしてその構えから自分の知る時雨蒼燕流には無かった初見の技――――。

 

「時雨蒼燕流奥義…………蒼燕怒濤!!」

 

 刀を振り下ろすと同時に放たれたのは死ぬ気の炎で象られた燕を彷彿とさせる斬撃。

 フィールドに満たされた水をも巻き込み、巨大になって突貫してくる攻撃にスクアーロは目を見開く。

 

「ぐっ、うぉおおおおおおおお!!」

 

 向かって来る燕を模した巨大な斬撃を叩き落とそうと刃を振るう。

 しかし攻撃の勢いは止まる事無く、押し切られてスクアーロの身体は武の攻撃に飲み込まれた。

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