キャストリアに転生したが原作を壊してしまった   作:霧ケ峰リョク

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中々イドが進まず、そして雨戦も進まず申し訳ない。
多分次で終わり、そろそろ大空戦に行きたいと思います。

雨戦もかなりインフレしましたが大空戦はもっとインフレします。


対人魔剣

「あれって、八岐怒濤?」

「それのオマージュですね。尤も、オリジナルには程遠いですが」

 

 とはいえ、あれは神代の英雄の中でも尚天才、人間の領域を遥かに超えた絶技だからだ。

 使っている剣もかなり特殊だったし、間違いなく最強の剣士の一人だからこそ成立する技。

 むしろあれを再現できただけでも山本の能力が高い事を示している。

 流石に対軍絶技とまではいかないが、複数人くらいなら対象に出来そうな感じだ。

 

「オリジナルの使い手ならあれを使わずにスクアーロを倒せていますし」

「…………だよね。流石に比較対象があれだけど」

「とはいえ、両者ともに素質はあると思うんですけどね」

 

 何より二人とも生者で、これからまだまだ伸びしろがある存在だ。

 山本もスクアーロも全盛期には程遠い。

 

「ちなみに、その八岐怒濤って技の使い手は誰なんだ?」

 

 私達の会話の内容が気になったのか、リボーンが質問を投げて来る。

 話の内容を知っている私やツナは兎も角、何も知らないリボーンやディーノさんは今の技について気になるか。

 今の山本の技だけでも凄まじいのに、そのオリジナルとなると気になって当然だ。

 

「今の時代より遥か昔、神魔鏖殺の技ですよ」

 

   +++

 

「――――ふぅ」

 

 やっぱり連発は出来ないか。

 蒼燕怒濤を放った事で死ぬ気の炎を結構使った武は息を吐く。

 アルトリアに見せて貰った過去の剣士の技。それを自分なりにアレンジをして時雨蒼燕流の技として成立させた。

 尤も、蒼燕怒涛は剣技だけでは到底成立しない技だった為、アルトリアから貰ったエデンリングの死ぬ気の炎も使う必要があったが。

 いずれにせよ、この技をくらって無傷とはいかない。

 

「でも、あんたなら立てるんだろうな」

 

 敵であるスクアーロとは一度、たった一度しか刃をぶつけ合っていない。

 それでもあの時、剣を通して伝わったのはスクアーロが剣士として強者であること。

 だからなのか、武にはスクアーロが今の一撃で倒れてないのがわかった。

 あるいは、まだ倒れてほしくないといった方が良いのか。

 

「う゛お゛ぉい!!」

 

 そして、武の期待通りスクアーロは特徴的な声を上げた。

 

「今の一撃…………中々危なかったぞぉ!!」

「やっぱ強いな。あんた」

 

 余裕そうにしながらも、さっきまであった慢心が消え去ったスクアーロを見て武は笑みを浮かべる。

 今の一撃をどうやって防いだのか、等と言うつもりは無い。

 アルトリアに見せて貰ったオリジナルの絶技に比べれば遠い技にしか過ぎないのだから。

 

「時雨蒼燕流にあんな技があったとはなぁ…………!!」

「ああ、オレが作ったんだ。この日の戦いの為にな」

「何?」

「時雨蒼燕流は代々、継承者が新たに技を作るっていうのが最終試練になってるんだ。だからあんたが前に戦った時雨蒼燕流の使い手とは技の型が違う事だってあるんだ」

 

 自らを追い込む事で最強を謳う、滅びの剣とすら評される時雨蒼燕流。

 

「成る程な…………流派を超える剣という事か」

「ああ。でもそれは特別な事じゃないだろ?」

「どういう事だ?」

「時雨蒼燕流に限った話じゃないって事さ。どの流派も同じ事を学んでおしまいじゃない。強くなる為に努力する。野球と同じさ」

「…………確かにな」

 

 武の言葉を聞いてスクアーロは過去を懐かしむように目を細める。

 そして、青い死ぬ気の炎が灯った剣を軽く振るった。

 それだけで近くにあった壁が両断され、斜めにずれ落ちていく。

 

「お前の言う通りだ。もうお前の時雨蒼燕流を過去に戦ったものと同じとは思わない」

「そっか、ようやく全力を出させたな」

 

 にんまりと笑顔で言う武に観客席にいる隼人の声がスピーカー越しに届く。

 水の音であまりよく聞こえないが「敵を本気にさせてどうすんだ野球バカ!!」と言っている気がする。

 

「確かに、獄寺の言う通りだな。でも、全力のコイツを越えなきゃ、この先不味いだろ」

 

 だから前の戦い、エデンリングを使わなかったのだろう。

 そう口に出したわけでは無いが、言葉の意図を察した隼人は「必ず勝てよ」と言う。

 それを聞いて武は「おう」と短く返すと、時雨金時に灯してた炎を更に激しく燃え上がらせた。

 

「そういうわけだから、勝ちに行かせて貰うぜ」

「悪いな…………そっちの攻撃を悠長に待つ程、オレは暇じゃねぇ!!」

 

 スクアーロが刃を強く振るうと水面の水が円を描くように抉れる。

 そして死ぬ気の炎と水を纏うようにして突進する。

 

鮫特攻(スコントロ・ディ・スクアーロ)!!」

「そいつは大技だな…………!! 守式二の型…………逆巻く雨!!」

 

 突っ込んでくるスクアーロに対し、時雨金時で水を巻き上げ身を屈める。

 

「その技はオレに通じねぇぞぉ!!」

「通じるようにするのさ!!」

 

 身を屈めた状態から勢い良く跳躍し刃を振り上げる。

 逆巻く雨の事を知っていたスクアーロは武がさっきまで居た場所に向かって突撃した。

 少し遅れていたら真っ二つになっていただろう。その事実に武は武者震いしながらも刃を振り下ろす。

 

「オレの剣に死角はねぇ!!」

 

 スクアーロは左腕の義手を変形させ、背後から斬り掛かった武を貫く。

 そう、水に映った武の虚像を。

 

「っ、手応えがねぇ…………!?」

「攻式九の型、うつし雨!!」

「くっ!!」

 

 逆巻く雨の応用、水に映った虚像によって相手の虚をつくうつし雨による一撃をスクアーロは回避する。

 しかし、強引に回避した事によって態勢を崩したスクアーロに次の攻撃を避ける事は出来ない。

 

「攻式八の型、篠突く雨!」

「秋雨じゃない…………!?」

 

 身を屈めてスクアーロの懐に飛び込み、時雨金時を振り上げる。

 篠突く雨を見て自身の知識とは異なる技を使った事に驚きつつも、スクアーロは変形した義手を前に出し刃の部分で武の攻撃を防ぐ。

 攻撃を間一髪のところで防いだスクアーロの身体は吹っ飛び、武と距離を取る事に成功する。

 武は距離を詰めようと即座にスクアーロに攻撃を仕掛けようと向かうも、それよりも先にスクアーロの態勢が戻るのが早い。

 

鮫の牙(ザンナ・ディ・スクアーロ)!!」

 

 スクアーロはその場で左腕の義手を元に戻し、雨の炎を纏った剣で連続の突きを繰り出す。

 距離が空いているにも関わらず攻撃をした事に一瞬疑問を覚える武だったが、突きと同時に放たれる雨属性の小さい斬撃の数々を見て理解する。

 スクアーロが遠距離攻撃に切り替えた事を。

 

「守式四の型…………五風十雨・縮地!」

 

 自身に襲い掛かる無数の斬撃、それを武は独特のステップで高速で回避しスクアーロに再度攻撃を仕掛ける為に接近する。

 その移動速度は転移しているのではないかと見まがう程に凄まじく早く、スクアーロは目を丸くする。

 

「相手の攻撃に合わせて回避する五風十雨…………だが、動きが早過ぎる!」

「五風十雨に縮地を融合させたからな! 攻式一の型! 車軸の雨・大雨粒!!」

 

 武は縮地による高速移動の速さを加えた渾身の突きとスクアーロの鮫の牙が衝突。

 連撃の技と渾身の一撃の衝突は武の方が勝利し、スクアーロの身体は壁に叩き付けられる。

 その隙を見逃す事無く武は追撃を仕掛けようと右手に持った時雨金時を振るい、途中で左腕に持ち替える。

 

「攻式五の型、五月雨!」

「悪いが、それは知ってるぞぉ!! 鮫衝撃(アタッコ・ディ・スクアーロ)ォ!!」

 

 相手の防御のタイミングをずらす変幻自在の刃、五月雨。

 その技を仕掛けると察知したスクアーロは防御を捨て、渾身の一撃を武の時雨金時に叩き込む。

 

「くっ…………!」

 

 剣を通して伝わる衝撃波によって相手の神経を麻痺させる鮫衝撃を受けた武はスクアーロから距離を取り、右手に持ち替えて刃を振り上げる。

 

「死ぬ気の炎で防いだか…………やるな!」

「そりゃどうも…………でも、今のは効いたぜ」

 

 おかげで左手が痺れてそう判断した武は蒼燕怒濤を繰り出そうと死ぬ気の炎を叩き込み燕状に変化させる。

 それを見てスクアーロは技を静止させようとするのではなく、同じように刃を振り上げた。

 

「悪いが、その技貰うぜ」

 

 スクアーロが呟くと同時に剣に灯っていた死ぬ気の炎が激しく燃え上がり、巨大な鮫の形に変化する。

 

「まあ、オレ流にアレンジしてるがな」

「――――すげぇな。スクアーロ」

 

 蒼燕怒濤を完全に自分のモノにしたスクアーロに武は思わず素直な感想を口にする。

 自分でも会得するのに苦労した技をこんなあっさりと使った事に対し、何か色々と文句を言うべきなのだろうとは思う。

 しかし、それ以上に武はスクアーロを心の底から賞賛していた。

 短い時間ながら剣を学んだからこそ分かる。スクアーロがどれだけ剣に打ち込んできたのかを。

 だからこそ申し訳なく思う。地道に努力を積み重ねてきたスクアーロに対し、自分だけ先に解答を見てしまった事に。

 そんな考えが脳裏を過ったがすぐに追い出す。

 こんな事を考える余裕があるなら刃を振るえ、次の手を考えろ。

 そう自分に言い聞かせて武は刃を振るい、スクアーロも同じく刃を振るう。

 

「蒼燕怒濤!!」

大鮫波濤(オンダ・グランデ・スクアーロ)!!」

 

 死ぬ気の炎によって形作られた燕と鮫が衝突しフィールドを破壊した。

 

「ふふふ…………」

「ははは…………」

 

 互いの技が消滅し、笑い合う。

 何故笑っているのか、それはこの場に居て戦っている二人以外理解できないだろう。

 

   +++

 

「次の技で決着が付きます」

 

 観客席で見ていたアルトリアの言葉に誰も返事を返す事は無かった。

 しかし、アルコバレーノである者達。言った張本人であるアルトリア、守護者最強の恭弥、遠くでこの戦いを観戦している未だ姿を見せない綱吉側の霧の守護者。そして剣士である綱吉と暗殺組織のボスであるXANXUSの二人は理解していた。

 達人同士の戦いが長くなるというわけではない事を。そして次の瞬間にはどちらかが敗北する事を。

 この試合を見る全ての人間が目を見開いて見ていた。

 

   +++

 

「これで終わりだ――――大鮫特攻(スコントロ・ディ・グランデ・スクアーロ)!!」

 

 勝負に決着を付ける為、スクアーロは大鮫波濤を全身に纏わせた状態で鮫特攻を繰り出す。

 これがこの戦闘を通して今のスクアーロが繰り出せる最強の技、今の自分の境地だった。

 対する武は自身に向かって来るスクアーロを見て目を細め、リングを鍔の無い刀に変える。

 そして二本の刀を野球のバットを持つようにして構える。

 

「野球でもやるつもりか!!」

「悪いけど、これがオレにとって一番全力を出せるんだ」

 

 二本の刀を構えながら向かって来るスクアーロを見据え、自身と同じように走り出す。

 それはさっき鮫の牙を避けた五風十雨と同じステップ。

 常軌を逸した高速で迫る武と衝突し、同時にスクアーロは刃を振るった。

 一撃で仕留められるとは思えない。目の前の剣士は弱くない。

 そう判断したスクアーロは連撃を叩き込もうとする。

 

――――瞬間、スクアーロは見た。

 

 全くの同時に放たれた自身の攻撃を防ぐ三つの斬撃と、自身に襲い掛かる三つの斬撃を。

 

「時雨蒼燕流秘式極の型…………蒼燕突破」

 

 身体に走る三つの攻撃の衝撃を喰らい宙に舞いながらも、スクアーロは何が起こったのか理解出来なかった。





時雨蒼燕流秘式極の型・蒼燕突破
ランク:なし
種別:対人魔剣
レンジ:1~6
最大捕捉:6人
燕返しや無明三段突きを見た時雨蒼燕流を受け継いだ山本武が辿り着いた魔剣。
縮地によって加速した後、すれ違いざまに多重次元屈折現象を引き起こし身を防ぐ為の三つの斬撃と攻撃の為の三つの斬撃を同時に繰り出す。
現在の山本の能力では一日に二回しか放てない。
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