キャストリアに転生したが原作を壊してしまった 作:霧ケ峰リョク
せめてヴァリアー編だけは四月までに終わらせます。
子どもの頃の彼を見て、とても優しい子どもだと思った。
薄れ行く意識の中、沢田綱吉を見てボンゴレⅨ世、ティモッテオはどうしようもなく悲しい気持ちになった。
彼の父親に連れられて、幼少期の彼と出会いその素質を知り封印した。
普通に生きていくには不必要なものだったし、彼の父親である家光もそれを望んでいなかった。そもそもの話、彼がボンゴレの10代目に選ばれるという状況そのものがイレギュラーだったのだ。
10代目最有力候補のエンリコ・フェルーミ。若手NO.2のマッシーモ・ラニエリ。そして秘蔵っ子のフェデリコ・フェリーノ。
甥である彼等が命を落とさなければ最も幼い綱吉が選ばれる事は無かった。
そして、お世辞にも優れているとはいえない彼の特異性が知られる事は無かった。
自身がリボーンを送ったその時点で他の三人の候補者を上回る実力を持っていた等、予想外過ぎる事だ。
「…………綱吉君、きみは」
「それ以上喋らないでください。傷口が開きます」
モスカの中に捕らわれていた自分を助け、傷の治療をする綱吉の姿を見る。
子どもの頃と変わらない優しさを秘めている。だが、それ以上に彼の目を見て言葉に詰まる。神の采配とうたわれた超直感が、綱吉が何を考えているのか、何を決意しているのかを察してしまう。
何故、それ程までに追い詰められているかのような悲しい決意をしているのか?
薄れ行く意識の中、ティモッテオは思わずにはいられなかった。
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「勝率は多分、五割ぐらいだと思う」
昨日の試合で消化不良だった雲雀さんとエデンリングを解放し愛用の鞭と合体した双尾の蛇腹剣を振るっているディーノさん、そしてエデンリングを解放しブーメラン二刀流を披露しているバジルの戦いを眺めながらツナは呟いた。
それを聞いて私やリボーンは戦いから目を逸らしツナの方に向ける。
随分と自信無さげな発言だ。いや、普段のツナの弱気っぷりから五割という数字が出てるから自信が無いわけではないか。
と、なるとこれはツナが自分とXANXUSを比べて、感じた事なのだろう。
「前にスクアーロとマーモンが襲撃に来た時にも思ったけど、向こうはオレの対策をしてる。オレの事を一切舐めていないんだ」
「まあ、そうだな」
ツナの言葉を聞いてリボーンも同意する。
確かにツナの言う通り。向こう側の守護者はツナの守護者を格下と見ている者が多かった。戦闘の途中で評価を改めたり、中には舐めてるどころか明らかな格下にも関わらず容赦無く殺しに来てる奴も居たが。
ただそれは守護者に関してだ。ツナだけは誰一人格下と見ていない、それどころかかなり警戒している様子だ。
そうじゃなきゃ、スクアーロが襲撃に来た時に外部から固有結界に穴を開けるなんて真似はしない。
「XANXUSがどれだけ強いのかは分からないし、そもそもどんな力を持っているのかも分からない。けど、間違いなく死ぬ気の炎は使える筈」
「だな。オレもXANXUSがどんな力を持っているかは知らねぇが、他の候補が生きていた時でも幹部の連中が挙ってXANXUSを10代目に推薦していた。他の候補も決して弱くねえし、XANXUSより年長だったにも関わらずにだ」
「ツナの力を理解できなかった節穴の評価を今更聞いてもなぁ」
リボーンの発言を聞いて思わず毒のある言葉を呟いてしまう。
やっぱり自分は性格が悪いなぁ。
「とはいえ、XANXUSならそう評価されても不思議じゃないですね」
「だな。零地点突破を覚え、使い熟してる今のツナでもXANXUSは手強い相手だぞ」
「加えてこっちは相手の情報が無く、こっちの情報は幾らか持ってますからね」
単純な身体能力、大人と子ども、情報の有無。
相手だって勝つ為にそれらを使って有利に勝負を進めてくるに違いない。
「間違いなく対策、してくるよなぁ…………」
そう言ってツナは頭を悩ませる。
固有結界、
とはいえ、固有結界の対策なんていうのは方法が限られる。
試合内容によってはこの前のマーモンのように外部から干渉するということだって可能だし、それが出来なくても――――。
「まあ、何とかするよ。多少、無茶すればいけるかもだし」
「ツナ?」
「…………ごめん。多少じゃない。かなり無茶するし、必ず成功するわけじゃないから殆ど賭けみたいなものになる」
ツナの嘘を暴いた妖精眼は、ツナの訂正には発動しなかった。
「ツナ、何をしようとしたのか話してくれますか?」
「ごめん、話せない」
「それは危険な事なんですか?」
「…………かなり危険です。すっごい無茶します」
「はぁ…………分かりました。その方法を使うなとは言いません。でもその方法を使わなくても勝てるなら使わないで下さい」
男の子の見栄というのを暴くのは如何なものか。
まあ、XANXUSは間違いなく強いだろうから無茶する必要も賭けをする必要も出て来るだろう。
正直ツナにはそんな手を使ってほしくないが、そうしなければ勝てないなら止められないか。
「正直不安だけど、頑張るよ」
バツが悪そうな顔をしてそう呟くツナを見て、溜め息を吐きながらも笑みを浮かべる。
大丈夫。いざという時には私が全てを吹っ飛ばすから。
「ところで、一つ気になってたんだが…………ツナの頭の上に浮いてるその時計の針のようなものは何なんだ?」
頭の中で悪い事を考えながらツナに励ましの言葉を掛けようとしたところでリボーンが間に入る。
リボーンはさっきから気になっていたと言わんばかりにツナの頭の上に視線を向ける。ツナの頭の上には時計の長針、短針、そして秒針のようなものが天使の輪っかのように浮かんでいた。
「私が作ったツナの礼装、名を廻時剣と言います」
「すっげぇ気になるんだが、外しちゃダメなのか?」
「ダメです。結構取り扱いが厳しい上にツナと同期させなきゃいけませんし」
正直エデンリングよりもこっちの方が手間が掛かった。
以前にも作ったものとはいえ、廻時剣はかなり精密なものだし剣の名を冠してはいるが武器としては使えない代物だ。
その分、効果はツナにとって最高の礼装でもある。仕組みがバレたら間違いなく破壊されるだろうが。
「此方が出来る事は全部やりました。後は勝つのみです」
+++
「――――大空戦のフィールドはこの街の中で行われます」
人っ子一人居ないビルが立っている街の中全体。
それが大空戦のフィールドだとチェルベッロ機関の少女が告げた。
街の中からどうやって人を消したのか、凄く疑問を感じながらも綱吉はそれを指摘する事はない。アルトリアならば人払いの魔術を使ってゴーストタウンにすることも出来るだろうし、術士が居るのならばそういった事も可能だろう。
それよりも問題なのは他の皆だ。
そう思いながら綱吉は視線を街中に配置されたポール、その下で蹲る両陣営の守護者達に向ける。
彼等にはデスヒーターという猛毒が投与され、残り30分の命となった。
助けるには其々の守護者のリングを腕に着けているリストバンドに差し込み、内蔵されている解毒剤を投与する他無い。
「そして大空戦での戦闘はボンゴレ同盟ファミリーの皆様へと配信され――――」
「さっさと始めよう」
仲間の危機に焦りを感じ、そしてそれを見せ物にされる事に綱吉が怒りを抱きながらチェルベッロの少女達に言い放つ。
瞬間、XANXUSの拳が綱吉目掛けて振り下ろされる。
「さっさと始めようと言ったのはお前だぜ?」
「そうだな。先ずはお前から片付ける」
綱吉はXANXUSの拳を腕で受け止め、冷静に言い返す。
額に死ぬ気の炎が灯り、
隣のビルの屋上へと移ったXANXUSが獰猛な笑みを浮かべ、掌から光球を放ち、綱吉も負けじとイクスグローブに灯った炎を放出する。
互いの炎がぶつかり合い、大空戦が開幕した。