キャストリアに転生したが原作を壊してしまった 作:霧ケ峰リョク
未来編も含めて多分六月までかかるかもだけど許してほしいのだ。
何だかんだで書く内容が多くなってしまったのだ…………。
誰だよ四月までに終わらせるとか言った奴…………書きたい事増やし過ぎて長くなっちまってるのだ。
後今回戦闘描写は殆どねぇのだ。
本当ならもっとドンパチやって次のステージに進みたかったのに…………。
「――――ツナ、痛むところはありませんか?」
アルトリアの家にて、綱吉は自身を覗き込む彼女の顔を見た。
それから少し、本当に少しの秒にも満たない時間で胸の奥からズキンと痛みが走る。
耐えられない痛みではない、なんて言える程痛みに強くない綱吉は顔から脂汗が流れる嫌な感覚を味わいながら綱吉はアルトリアの言葉に答える。
「む、胸の奥から凄い痛みが…………」
「無理しないでください。その様子を見たら痛いのは分かりますから」
言葉を話すだけで胸の奥の痛みが凄まじい事になっている。
やる事をやったから当然と言えば当然の話だ。と、いうかこの程度の痛みで済んでいるだけまだマシなのかもしれない。こんな痛みを発するような事をやった事が無いから分からないが。
そう思いながら悶え苦しんでいるとアルトリアが謎の液体が入った試験管を口の中に突っ込んできた。
口の中に広がるのは甘く、だけどどこか不快感を感じる様な味だった。
「厳しいとは思いますが飲んでください。痛みが引きます」
「…………」
今すぐにでも吐き出したい気持ちに駆られるも、変な味の液体を言われるがまま喉の奥に押し込み嚥下する。
効果はすぐに出て胸の奥の痛みが耐えがたいものから何とか耐えられるものへと変わっていく。
「あ、ありがとうアルトリア…………」
動ける程度にまで痛みが引いた事で動けるようになった綱吉は胸を押さえながら感謝の言葉を告げる。
だがアルトリアはあまり喜ばしい事ではないと言わんばかりに顔を歪めた。
「…………本当はこんな事はしない方が良いんですけどね」
血に塗れたナイフやハサミ、そして糸等を洗い片付けながら呟く。
「ツナの場合、蓋があったから上手く発動出来ない状態だったんです。本来ならその蓋を外せば問題は無いんですが…………自分の力で蓋をしたものなら外せるように出来るんですが自分の力じゃないのなら中々外せません」
「アルトリアでも難しかったんだもんね」
「外すには蓋をした本人か、もしくはツナが蓋をした人よりも強くなれば外せるんですけどね。しかし誰がこんな封印をしたのか…………ここまで頑丈に封印したら他にも影響が出るでしょうに」
アルトリアの言葉で思い浮かんだのは幼い頃に出会った一人の老人だ。
今となっては顔も思い出せないし、たった一回しか会った事が無いお爺ちゃんだ。
だが確証なんて呼べるものもなくその記憶も無い。
「ごめん…………分からないや」
「大丈夫ですよ。こういった事をする人は本人の同意が無ければ間違いなく記憶を残さないようにやるものですから」
結局、自分に蓋をした人やその理由は分からないままになってしまった。
「ツナ」
アルトリアは短く、綱吉の愛称を口にする。
「これはあくまでキッカケに過ぎません。ツナの中に眠っている本来の力、それを目覚めさせる為の」
「う、うん」
「身体に馴染むまでには時間が掛かりますし、馴染む前に使おうとすれば反動で酷い事になります。なので固有結界は時間を掛けて覚えて下さい。ツナなら多分三年くらいで問題無く発動出来るようになりますよ。使い熟すにはそれ以上の時間が必要ですが」
「そう上手くいかないものなんだね」
「むしろ早過ぎるかと。まあ、今回移植したモノも時間が経てばその内消えるとは思うので安心して下さい。その頃には封印も解けてるでしょうし」
笑顔を見せながらそう言い放つアルトリアの顔を見て、綱吉も思わず笑みを浮かべる。
「一ヶ月後に固有結界の展開を一度やってみましょうか。私が補助しますので」
「分かった」
「それじゃあツナは休んでて下さい。奈々さんには私が泊まると伝えておきますので」
そう言って電話をしようと去っていくアルトリアの後ろ姿を見て、綱吉はさっきの言葉を思い返す。
消えると言っていた、心臓に移植した例のアレ。
固有結界を使えるようになる為に、封印を解くキッカケとして受け入れたアレ。
「アルトリアには悪いけど、これは消えないよ」
もしこの事を知っていたら移植をする選択はせず、いくら時間が掛かっても封印を解く方法を探す事にシフトするだろう。
「それじゃあダメだ。間に合わなくなる」
アルトリアには聞こえないような小さな声で呟きながら決意を固める。
「たとえ人間じゃいられなくなるとしても、オレにはこの力が必要なんだ。魔法を手に入れる為に」
+++
「――――やっぱり使えるようになっていましたか」
固有結界には固有結界を使う。
酷く単純だが、相手のルールに従う事に比べれば最も現実的な手段だ。
それが無理難題である事を踏まえても、可能性が0でないのならありえる話なのだろう。
二つの心象風景がぶつかり合う世界を見て、そう思わずにはいられない。
「しかし固有結界の中も映せるカメラというのは一体どうやって作ったんですかね?」
固有結界は異界、この世界とは全く異なる別の世界だ。
電子機器全てが使えないわけではないが、電波やケーブルが遮断されるから意味をなさない。
と、なると何かしらの対策をしているのだろう。
異界とこの世界、二つに別れた世界であっても関係無く映せる何かを。
「問題はそこじゃないだろ! XANXUSの奴も固有結界を使えるなんて…………!」
この戦いで固有結界に対して何らかのアプローチをしている奴が居る事に訝しんでいるとディーノさんが驚きの声を上げていた。
「アルトリアの嬢ちゃんは驚いてないみたいだが」
「全く驚いてない訳ではないですよ。ただツナが使えるようになった以上、他の人も使えるようになっていくのは不思議なことじゃありません。科学技術と同じですね。ただ習得の早さには驚きますが」
恐らくツナの固有結界の情報を手に入れた時から、自分も習得する為に頑張ったのだろう。
事前に固有結界と死ぬ気の炎を特殊弾に込めておくことで自分の炎を使用する事なく、チャージしていた炎で展開する。
成る程、理に適っている。これなら結界に体力を奪われず戦闘する事が出来る。加えてその弾丸をツナに撃ち込めば体内にXANXUSの固有結界が展開され、致死ダメージを喰らうことになる。
結界の構成に粗は目立っているが、その発想に自力で辿り着いたのは素直に凄いと認めざるを得ない。
「固有結界が互いに展開された場合、相性によっては片方が発動出来なくなるか、ああいった風に二つの世界が並び立ちます。そしてその世界によってルールや能力が異なるように、自身の世界内で使えていたものが相手の世界では使えなくなる事もあります」
「と、言う事は沢田殿の分身や時間の加速はXANXUSの世界に入った瞬間に使えなくなると?」
「全く使えない事は無いですよ。普段使わないだけで固有結界を展開しなくてもツナは過去の自分を呼び出したり時間の加速とかは出来ますから。ただツナの世界程自由には出来ませんけどね」
私の説明を聞いてリボーンが面白くなさそうに顔を顰めている。
まあ今私が言った事は普段手を抜いていると言っているにも等しい事だ。
とはいえ、それもリスクがあるから使わないだけなのだが。
「結界内なら無制限に呼び出せる分身もそれ以外の場所では精々一人しか呼び出せませんし、死ぬ気の炎の総量の半分が分身に持ってかれます。分身を戻せば戻りはしますが、その状態で戦ったりすれば二倍の速さで消耗します」
「そう上手くはいかないってことか」
「固有結界の中ならその制限はある程度は無くなるんですけどね。時間の加速も同様です。時間の加速に使う分の炎も消費しますし、加速した分その倍率も上がっていきます。そして、加速した分、ツナは他の人よりも倍以上年を重ねます」
「…………加速してる分、人よりも倍の時間を使うからか。お前が言っていた寿命を削るとはこの事を言ってたんだな」
そう、ツナは力を使えば使う程、人の倍以上の時間で老いていく。
1秒とか誤差の範囲かもしれないと人は思うが、それでも塵も積もれば山となるという言葉の通り、重ねていけばそれだけの負債がツナに加算していく事になる。
固有結界の中ならば少しはましになるけど、それでも寿命は減る。
強大な力にはリスクがつきものだとはいうけど、ツナの場合はそれが寿命という形で付き纏っているのが辛い所だ。
だから普段から使わないわけなのだし。
「不味いな。そのリスクに加えて、XANXUSは銃で自分の固有結界の中から一方的に狙える。飛び道具や遠距離技を持たないツナには今の状況は不利過ぎる」
「いえ。そうとは限りませんよ」
ディーノさんの心配に私は自信を以て断言する。
「ツナは一番最初に固有結界を使った人なんですから」
その意味を魔術で理解すれば、ツナが負ける心配なんて存在しない。
+++
「――――意外とすまし顔だな」
互いの固有結界から出ずにいる中、XANXUSはそう言い放つ。
その顔には自信や綱吉を見下している気持ちが多分に含まれているが、言葉にしたように意外という気持ちが前に出ていた。
「
「オレが固有結界を使った以上、こうなる事は分かっていた。アルトリアからそう教わっていた」
自分という人間が固有結界に最初に至った以上、次の人間が同じように固有結界へと至るのはそう遠い話じゃない。
綱吉は過去に教わった事を思い出していた。
魔術や魔法、そして科学だってそのルールは変わらない。
「それに――――まあ、それはどうでも良いか。それよりもお前の固有結界の能力だXANXUS」
先日のモスカの中に居た9代目の様子、そしてリング争奪戦の途中で変わったXANXUSの様子。
何かしらの目的があって自分に固有結界を使わせたかったのも知っていたし、その目的を達成した。
そして今、この固有結界を見て超直感が告げていた。
「お前の能力。それは系統樹の操作と変更――――他者の遺伝子を取り込み、自身の血統を変える事だ」
「――――ハッ。気付いていたか。オレがジジイの本当の息子じゃねぇって事を」
自嘲するように、されど満足げに語るXANXUS。
「確かにてめぇの言う通り、オレはジジイの本当の息子じゃない。そう、息子じゃなかった」
「それを固有結界の能力で変えた。9代目の血を取り込んで、自分の本当の父親の遺伝子と交換した」
子は親を選べないという言葉がある。
だがXANXUSの固有結界はそれを変える事が出来る。本来の両親だけじゃない、恐らく過去の系統樹どころかそれ以上の事すらも可能なのだろう。
他の生命の良い所のみを自身に足していき、より強力な身体へと至る為の固有結界――――!
そしてそれだけで終わる能力ではない。
「てめぇのおかげだ沢田綱吉。お前が至った境地によって、オレは真の意味でボンゴレを手に入れる事が出来る」
「…………」
「他の3人はどうしようもねぇカスだったがてめぇは別だ。最上級の料理だった。だがそれももう終わりだ。残った喰いカスはしっかり片付けねぇとな」
銃を構えるXANXUSに対し、綱吉は剣を構える。
ボンゴレの血筋でない事を今更暴いてもこの戦いは終わらない。XANXUSは既に自身の血統を書き換えた。
ならばこの戦いは正当な血統を持つ者同士の争いに変わったのだから。
「――――と、勝負を再開する前にオレの能力を暴くだけ暴かれるのは気に食わねぇ。だからオレもお前の能力を少し暴いてやる」
「…………暴くも何も、知っての通り時間関係なんだけど」
「確かにな。それは嘘じゃねぇ。だがあの金髪の娘にも話してない事があるだろお前」
XANXUSがそう言った瞬間、綱吉の表情が変わる。
冷静な表情から酷く驚愕した顔へと。
「ジジイの血を取り込んだことでオレも超直感が使えるようになった。だからてめぇの違和感にも気付いた。そうなるとあの時、てめぇのところの雷の
「何を…………」
「てめぇ。時間操作だけじゃなく時間移動も出来るだろ」
「――――」
瞬間、綱吉の表情が消えた。
「つっても無制限に出来るわけじゃねぇな。同じ時間軸に同時に二人以上は存在できないって縛りがあるとみた。まあ10年バズーカのように現代と未来の自分を入れ替えるなりすれば可能だろうな。いや、それ以外にも記憶や知識のみを送る事だけなら制限は無いか」
「…………今の会話を外に聞かれてるのか?」
「その反応を見るに図星ってところか。安心しろ、あくまで映像だけだ」
「そうか――――」
綱吉は剣を軽く振るい、炎を纏わせる。
「ならお前には黙っていてもらう。それをアルトリアには知らせたくないからな」
「ククク…………必死だな」
「必死にもなる。予定が狂ったが…………仕方ない賭けに出る」
瞼を閉じて思い返す。
光に包まれて剣へと姿を変えていく彼女を。それに向かって手を伸ばす、無力な自分を。
それを変える為に未来から記憶を受け取った。そして今回は色々なイレギュラーがあって彼女以外にも大切なものが沢山出来た、出来てしまった。
全てを守る為には何もかもが足りない、だから手を伸ばして掴む必要がある。
皆を守る方法――――第三法を。
「勝負だXANXUS!!」
「やってみろ――――カスが!!」
自身に向かって来る弾幕を回避しながら綱吉はXANXUSの世界へと飛び込んだ。
ランク:A+
種別:対人宝具相当
レンジ:1人
最大補足:600
XANXUSの固有結界。
系統樹の操作、即ち後天的に自身のDNAを含めた身体の構造を改造しより強靭な生命へと自己改造する。
取り込んだ生命、遺伝子を貯蓄し自分にとって都合の良い部分だけを切り貼りする。
異なる世界において666の獣の因子を持つ固有結界が混沌であるならばこちらは純化を目的としている。
ランク:EX
種別:対人理宝具
レンジ:-
最大補足:-
沢田綱吉の固有結界。
固有時制御と呼ばれている魔術のウルトラ上位互換。
時間の停止や加速、減速に過去の自分を境界記録帯の亜種として、もしくは自身が介した事象を呼び出せる。また、条件さえ満たせば巻き戻しや時間の破却、時間経過による適応、リスクもあるが
この固有結界を持つ者は自動的に単独顕現のスキルを獲得する。
現在の沢田綱吉の身体では反動があり、長時間の使用や乱用はペナルティが存在する。
このペナルティは寿命が減る事とは全く別のものである。
――――そして綱吉はこのペナルティも利用して第三法へと至ろうとしている。
全ては最悪の未来を乗り越える為に。