キャストリアに転生したが原作を壊してしまった 作:霧ケ峰リョク
皆様も熱中症にはご注意を。
――――ボンゴレファミリーはイタリア最強のマフィアである。
それがかつてのボンゴレファミリーの評価であった。
現在は新進気鋭のジェッソファミリーとボンゴレと同等の歴史を有するジッリョネロファミリーが合併したミルフィオーレファミリーが台頭していた。
裏社会に君臨したミルフィオーレファミリーを率いるボスの白蘭はボンゴレ狩りを決行。同盟や傘下を含めたボンゴレファミリーの関係者達の抹殺を開始した。
当然ボンゴレファミリーもミルフィオーレファミリーの蛮行に対抗しようとした。しかし、ここ10年で異常なレベルで高まった科学技術、そしてそれをモノにしてみせたミルフィオーレに対抗する事が出来ず事実上の敗北に追い込まれた。
そして現在、停戦を求めたボンゴレファミリーのボスである沢田綱吉とミルフィオーレファミリーのボスである白蘭の会談が行われていた。
「やあ、ボンゴレ10世の沢田綱吉君。本日もお日柄も良く――――」
「口先だけの言葉は止めてとっとと本題に入れくそ野郎」
堅気の者も関係なく大量虐殺を実行している、マフィアのボスとは到底思えないようなニコニコと笑みを浮かべながら話そうとする白蘭を綱吉は睨み付けながら言った。
その形相からは憤怒と憎悪、そして純度100%の殺意しか感じず、それを見た白蘭は「怖い怖い」と言いながら両手を上げる。
「良いのかな? きみ、仮にも僕に停戦の申し出をしに来たんじゃないの?」
「受け入れるつもりなんて微塵も無いだろ。最初からそんな事は分かってるさ」
テーブルに肘をつき半ば投げやり気味に吐き捨てる綱吉に対し白蘭は笑顔のままだった。
人を嘲り笑うような、悪趣味な笑顔だった。
「そもそもボンゴレリングを破壊したオレに用なんて無いだろ。用があるとするのならボンゴレリングを持っているオレだ」
「アハハ、それが分かっているのにボンゴレリングを壊すなんて! もし壊さないでいたら命までは見逃してあげてもよかったのに」
「嘘つけ。遅いか早いかの違いくらいしかないだろ。それに、今のオレじゃあお前達には勝ち目が無いし」
「その口振り、僕一人だったら勝てるって言っているように聞こえるけど」
「一対一なら絶対に負けない、そう言ってんだよ。10年前の後遺症がなかったらまた話が違ったんだろうがな」
綱吉は溜め息を吐き、うんざりしていると言わんばかりに顔を歪める。
「ははは! 本当、愉快なジョークだよ!! じゃあ、この時代のきみにもう用は無いからここで死んでもらおうか」
白蘭の言葉と共に待機していた戦闘員が銃器を携えて会談の場に入って来る。
「随分と沢山居るな」
「仮にもボンゴレ10代目だからね。これぐらいの準備はして当然だよ」
そう言うと白蘭は手を上げ、戦闘員達に撃つよう指示を出そうとする。
「さよなら沢田綱吉君。もしもきみにボンゴレリングがあったなら話は違ったのかもしれないのにね」
「ああ、そうだな。だから――――後は過去のオレに任せるとするよ」
綱吉はここにきて初めて笑みを浮かべる。
白蘭の嘲り笑う顔とは違う、愚かなものを見るような笑みを。
「そういうわけだ。苦しんでから地獄に堕ちろクソ野郎」
その言葉を最後にこの時代の沢田綱吉が消失し、10年前の綱吉が入れ替わるように出現した。
戦闘員達の手に持っていた銃から銃声が鳴り響いたのは、沢田綱吉が呆気に取られた顔をして此方を認識したのと同時だった。
+++
10年後の自分と入れ替わった瞬間、無数の銃弾を浴びせられた。
その事実に困惑しながらも綱吉は向かってくる銃弾の時間を極限まで遅くし、現状を把握する。
一体何をどうしてこうなったのか、そもそも10年後の自分は何をやらかしたのか。綱吉は自身の固有結界の能力を行使し、この時代の自分の記憶と同期を開始する。
普段は頭に負担がかかる為あまり使いたくない技だが、この状況ではそうも言っていられない。
「ハハハ!! あれだけ大層な事を言っておいてこの状況で出て来るなんて! 僕にボンゴレリングを献上するようなものだよ!」
何か五月蝿い事を大声で喋っている左目の下に波のような痣を持つ白髪の男を無視して同期を進める。
そして、白蘭がやらかしたせいて例のアレの襲来が早まった事も。
その全てを把握して理解した時、綱吉の怒りは頂点に達した。
六道骸やXANXUSと戦った時の比ではない、怒りで我を忘れてしまう程に綱吉の地雷を踏み抜いていた。
「そっか、死ね」
同期を終わらせた綱吉は超死ぬ気モードになり、自分の時間を加速させる。
固有結界外で出せる最大倍速である
「へっ?」
突然の行動に驚いているのか、あるいは今の綱吉の殺意漲る形相に困惑したのか呆気に取られている白蘭の腹部を渾身の速度を乗せ、莫大な死ぬ気の炎で強化した拳で貫いた。
速度とは重さ、超死ぬ気モードの状態でかなり速い上にその四倍の速度で叩き込んだ拳は白蘭の腹部を貫く事は出来ずとも深く捻り込む。
現在出せる最大出力の炎を纏った一撃は白蘭の身体に響いた。
「がはっ――――」
白蘭は酷く驚いた顔をして口から血を吐き出す。
が、それよりも早く綱吉の拳が振り抜かれ、白蘭の身体はこの部屋の壁に勢い良く衝突。それで終わりではなく、両手の炎を噴射して強引に加速し、壁にめり込んだ白蘭の腹部にドロップキックを叩き込んだ。
死ぬ気の炎の加速により勢いがついた蹴りは壁に大きなクレーターを作り上げる。
そのクレーターの中心に居た白蘭の口から血が出るが、綱吉は意に介する事は無い。
「エデンリング」
壁にめり込んでいる白蘭を斬ろうと、エデンリングを剣に変える。
反応が遅れた戦闘員達は漸く事態を飲み込み、自身の銃を綱吉に向けて攻撃しようとする。しかし、それは出来なかった。何故なら、銃の射線上には白蘭も居て、このまま撃てば自分達のボスをも攻撃することになるのだから。
「随分と頑丈だけど…………この剣なら殺せる」
「あー、うん。それは耐えられないかな」
エデンリングを変えた剣に渾身の死ぬ気の炎を纏わせ、振るわれる一撃は確実に白蘭を仕留める事が出来る。
それが分かっているからこそ、白蘭は否定せず顔から冷や汗を流す。
綱吉はそれを聞くと間髪入れずに刃を振りかぶる。
白蘭が返事を返さなくても同じ事をするつもりだった。
しかし、その剣が白蘭を斬り裂く事は無く、突然現れた藍色の死ぬ気の炎を纏った剣に防がれる。
「そこまでだボンゴレ10代目」
何も無い空間から霧属性の炎が出現し、一人の男が姿を現す。
腰に四本の鞘と三本の剣を装備し、特徴的な眉毛をした男だった。
幻覚で姿を隠していたのだろう。そう判断した綱吉は四本の剣を持つ変な眉毛をした男から先に倒す――――事はせず剣に込める力を強める。
「ぐっ、貴様…………!」
突然現れた謎の男は綱吉が何をしようとしているのか、その意図を察し怒りで顔を歪める。
綱吉は防がれた男の剣を力任せに捻じ伏せ、そのまま白蘭を力任せに貫こうとしていた。
その事実に特徴的な眉をした男は左手で腰の剣を抜き、そのまま綱吉に斬りかかる。
「邪魔っ!!」
自身の首に向かって振るわれる霧の炎を纏った剣、綱吉はそれを剣を持ってない方の手の甲で防ぐ。
イクスグローブの甲にあるエンブレムを盾代わりにし、防いだ瞬間綱吉はその場で死ぬ気の炎を解放。
後先考えずに解き放たれた死ぬ気の炎は変な眉をした男を吹き飛ばす。
「これで、終わりだっ!!」
邪魔者を排除した瞬間、綱吉は刃を白蘭に突き立てようとする。
しかし変な眉の男に邪魔されたせいで態勢を立て直す時間を確保されてしまい、匣兵器
「あー、ここまでダメージを受けたのは初めてだよ…………そもそも血を流した事も今まで無かったし」
白蘭は口から血を吐き出しながら腹部を抑えている。
想像していたよりも固い。が、それでもダメージが通らないわけではないし無敵ではない。
その事実を把握し、綱吉は剣に死ぬ気の炎を叩き込む。
膨れ上がった炎は巨大な刃と化し、凄まじい熱量は空間を歪ませる。
「先に言っておく…………武器を捨てて地に伏せろ。そうすればそこの白いの以外の命だけは見逃してやる」
燃え上がる剣を数回程振るいながら、綱吉はこの場に居る戦闘員達に聞こえるように告げる。
だがこの場に居る誰もがその言葉に耳を傾けず、銃口を綱吉に向けた。
一対多数という圧倒的に有意な状況というのもあるが、それ以上に綱吉が子どもだったこともある。
ボンゴレ10代目はマフィアとは思えない程に甘い男である。
それの10年前、しかも子どもならばそんな事は出来ないと誰もが思っていた。
唯一気付いていたのが白蘭、そして変な眉をした男だけであり、彼等はそれを言う事は無い。
「じゃあ死ね。炎皇鉄槌」
だからこそ、この悲劇は約束されたものとなってしまった。
綱吉の逆鱗に触れ、その上でタップダンスをした白蘭に対する怒り。
それに巻き込まれる形でこの場に居た戦闘員達に炎の鉄槌が振り下ろされた。
補足
今回のツナはマジでブチギレてます。
次回は骸やXANXUSとの戦いではみせなかった、殺意を乗せた場合の戦闘になります。
先にネタバレしておくと大分酷いことになります。