キャストリアに転生したが原作を壊してしまった   作:霧ケ峰リョク

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だいぶお待たせしました。
体調不良や職場関係で色々とゴタゴタしたことがあったので遅れました。
体調には気を付けてるんですが最近風邪にかかりやすくて…………元から鼻が悪いのに更に悪化する自体に…………。
一先ず待たせた分しっかりと完結までは行きますのでゆっくりお待ちください。


歌劇終幕

――――馬鹿なっ!

 

 幻騎士は綱吉と刃を鍔迫り合う中、焦燥に満ちた顔になる。

 長い年月の間、身を削るような厳しい修行を重ねて体得した奥義・四剣。

 四肢に剣を持って戦う変幻自在にして縦横無尽の剣技をもって、この時代最強の剣士の称号が幻騎士に与えられた。

 加えて霧属性の死ぬ気の炎による幻覚と匣兵器幻海牛(スペットロ・ヌディブランキ)の性能を剣技に乗せる事により、元から強力だった剣技はより強固なものとなった。

 如何に剣士としても名高いボンゴレ10代目と言えど10年前の子どもでは太刀打ちすら不可能――――その筈だった。

 

「…………っ!」

 

 四肢を駆使して放たれる霧の炎が乗った四つの斬撃を綱吉はたった一振りの剣で全て防ぎ切っていた。

 紙一重ではない、余裕を持ち全ての攻撃を見てから対処し余裕で防いでみせたのだ。

 沢田綱吉の固有結界、時を巡る星天(ステラ・テンプス)死想顕現(メメントモリ)

 時間を操る破格の能力を持つそれは展開しなくても時を操る事が出来る。

 最大で常人の四倍の速度、幻騎士にとっての1秒が沢田綱吉には4秒もの時間になるということ。

 達人の戦いでは一瞬の油断が命取りになる。それなのに4秒もあると言うことは人より手段や方法を多く取れるということ。

 故に幻騎士は最初から全力で戦っていた。

 油断も慢心も無く、相手が自分より早く動けるということを前提に自分も先を考えて行動していた。

 だが綱吉は時間を操る事もせず、単なる剣技だけで対応していた。

 

「ありえんっ!!」

 

 心に秘めていた思いを吐露し攻撃速度を上げる幻騎士。

 だが自身の剣技は10年前の綱吉にいなされ、受け流され、受け止められてかち上げられる。

 

「おのれ…………!」

「…………」

 

 困惑する幻騎士に対し、綱吉の頭は酷く冴え渡っていた。

 幻騎士の剣技だけは鋭く、鍛え上げられた確かなものだった。

 剣士としての技量は自分とは比べものにならず、スクアーロや対人魔剣に至った山本でさえ素の実力は上回っている。

 普通に戦えば脅威ではあるし、固有結界やそれから零れ落ちた異能を駆使して初めて互角と言っても過言では無い。

 

――――10年前の世界でオルタの剣を見て、斬られていなければまた別の結果になっていた事だろう。

 

「緩い…………」

 

 ついさっき見たこの時代最強の剣士よりも遥か格上の剣士の技。

 たった一度しか見てないし技と呼べる程のものを見れたわけじゃない。しかし、刃に貫かれた際に流れ込んで来た記憶が綱吉の剣を成長させていた。

 オルタが行使した剣技が自身の完成形と思う程に洗練されていたせいか、それとも霊基の根本が同じせいかは分からない。

 ただあの時貫かれた際に同期が発生し、自身の剣技の無駄を削り取ることが出来たのは事実だ。

 それでも、理想には遠く及ばないのが現実だし、本来なら幻騎士程の技術を持つ剣士を相手に一方的な勝負が出来るわけではない。

 

「お前、さっきからオレを誰と重ねている?」

「――――っ!」

 

 綱吉の問い掛けに幻騎士は肩を震わせる。

 図星、というわけではない。指摘されてようやく気付けたといった方が正しい。

 幻騎士が剣技でこうまで押されている理由。

 それは綱吉の目がブラックスペルのボスであり、かつての幻騎士のボスだったあの少女の瞳と同じものだったからだ。

 全てを見透かしているような、心の奥底まで見通しているかのようなその目に幻騎士の集中力は乱されていた。

 その目を見る度にかつて神の為に元仲間達を手に掛けようとして、何もできなかったあの日の事を思い出すせいで――――。

 

「…………心底、見下げ果てた奴だな」

 

 幻騎士の思いを見透かしていると言わんばかりに、沢田綱吉は吐き捨てる。

 あの時の少女が見せたものとは違い、心の底から救いようの無いものを見たと言わんばかりに軽蔑を込めた視線を向けていた。

 

「剣技は凄いとは思ったけど訂正する。お前の剣はお前の誇りと同じくらい、薄っぺらなものだった」

「――――っ!! 貴様ぁ!!」

 

 自分の剣を、神への思いを侮辱された事に激怒した幻騎士は死ぬ気の炎を込めた渾身の一撃を綱吉に向かって振り下ろす。

 

「――――そういうところが薄っぺらいって言うんだよ」

 

 迫る一撃を前に綱吉は面倒と言わんばかりに剣を振るい、幻騎士の剣を斬り捨てる。

 渾身の奥義をぞんざいな一振りで防ぐどころか、一方的にへし折られた事に幻騎士は言葉を失う。

 

「お前の剣は、本当に見苦しかった」

 

 綱吉がそう言い放つと同時に綱吉の刃は振り抜かれた。

 右肩から左脇腹までかけて袈裟斬りされた幻騎士は残った三本の剣を手放し、その場に倒れ伏した。

 

「一人の剣士として言うことがあるとしたら、お前の剣は何もかも中途半端だ」

 

 綱吉は淡々と吐き捨てるように地に沈んだ幻騎士に告げる。

 超直感を通して伝わったのはこの男の器の小ささと下卑た思い。

 何故そうなったのかは分からないし、何故そんな方法を選んだのかも知らない。

 ただこの男が実行する事も出来ずに中途半端に終わらせて来たことだけは分かる。

 

「お前は何もかも捨てるべきだったか、何もかも背負うべきだったな。迷っている奴の剣に斬れるものなんかあるものか」

 

 技術なんかは後からいくらでも後付け出来る。戦闘経験なんぞいくらでも積む事が出来る。

 この男は本当に大切なものを鍛える事を疎かにしていた、大切なものをはき違えた大馬鹿者だ。

 冷たく吐き捨てた後、綱吉は白蘭の方に視線を向ける。

 

「次はお前だ」

「ははは。仮にも幻ちゃんこの時代の最強の剣士なのに一蹴されちゃったよ」

「技術だけしか取り柄の無い奴の間違いだろ。技術よりも先にメンタルを鍛えるべきだったな――――まあ、お前にとってはこのままで充分か」

 

 この男にとって他者とは自分を愉しませる為だけの物でしかない。

 

「お前を見てると殺生院の奴を思い出す…………」

 

 リボーンが来る前、アルトリアと共に打倒した恐るべき魔人の事を思い出す。

 救世主の素質を持ちながら己の為に他者を使い潰す自己愛の極致。その片鱗を綱吉は白蘭に見た。

 流石に性癖までは同じでは無いと思いたいが――――恐らく大差無いだろう。

 そう考えながら男になった殺生院こと白蘭に止めを刺そうとして気付く。

 

「大人しくしている間に仕留めておきたかったんだがな…………」

 

 白蘭にかけていた時間操作の効果も終了し、活動を再開する。

 同時にこの戦闘の事を知ったのかリングや武装をした大勢の人間が室内に入って来る。

 強さにばらつきがある有象無象が沢山、目に見えて強いのが三人、そして姿も見えないし気配を隠している飛びぬけて強いのが五人。

 そして行動可能になった白蘭――――。

 

「…………面倒だな」

「これを見て面倒の一言で済ませるなんて、随分余裕だね」

 

 今までのお返しと言わんばかりに白蘭は(ボックス)兵器を開け、白い龍を綱吉に向けて放つ。

 心臓を貫こうと迫る白い龍を剣で両断し、底冷えするような冷たい瞳で白蘭を睨み付ける。

 

「おいおい…………マジかよ。お前が負けるのか?」

 

 黒い服を着ているオールバックにした金髪の男は地に倒れ伏している幻騎士を見て驚愕している。

 仲間だったのか、複雑な感情が垣間見える。

 恨みもあるし憎しみもある。されどそれだけではない感じだ。

 

「10年前のボンゴレ10代目…………子ども、子ども、ただの子ども! 知性の欠片も感じない!!」

「おいオルゲルト。あいつを見てどう思う?」

「子どもながらも傑物、流石はボンゴレ10代目といったところですな。しかし、産まれながらの王族であるジル様には遠く及ばない」

 

 白い服を着たおかっぱの下衆、ベルフェゴールに瓜二つなジル様と呼ばれた男と執事のように付き従っている黒人の男。

 黒人の男はさておき、この三人は実力だけは幻騎士と匹敵するだろう。

 特にオールバックの男と下衆は精神的にも強く、幻騎士のような愚かな真似をするとは思えない。

 加えて姿を隠している五人の存在もある。

 真っ当にやれば今の自分でも苦戦するだろう――――。

 

「面倒だから、手っ取り早く終わらせるぞ」

 

 オルタによって刻み付けられたダメージが全快した事を知覚した綱吉は固有結界の展開を始める。

 心象風景の具現、多対一の状況をひっくり返す切り札を切ることを選択した。

 

「固有結界の展開、確かにそれならこの状況を打破出来るね」

 

 同時に10年後の綱吉があそこまで自信たっぷりだった理由そのものでもあると白蘭は結論づける。

 時を巡る星天・死想顕現は全ての並行世界において、白蘭が知る限りで最強の固有結界だ。

 だがそれは綱吉の世界に足を踏み入れた場合の話。

 

「でもそれに関しては10年前にXANXAS君が攻略法を示しているよ」

 

 固有結界には固有結界。

 相手の心象風景に足を踏み入れたら負けるのなら自分の世界で戦えば良いだけの話。

 

「きみが固有結界を使うというのなら僕も使うだけだよ」

 

 白蘭もまた自身の固有結界を展開し、綱吉の固有結界とせめぎ合おうとする。

 場合によっては塗り潰してこのまま勝負を決めようとすら考えた。

 しかし、白蘭の思惑とは裏腹に固有結界同士の衝突は綱吉の一方的な勝利へと終わる。それどころか、現実空間そのものをそのまま塗り潰したかのような光景が広がった。

 

「何、これ?」

 

 建物が丸ごと異空間に置き換わったかのような、この世の終わりのような光景を前に白蘭は言葉を失う。

 

「――――侵食固有結界、時を巡る星天(ステラ・テンプス)歌劇終幕(アクタエストファーブラ)

 

 本来の固有結界の名前とは異なる名称を、綱吉は白蘭を睨み付けたまま呟く。

 

「第3魔法を習得して、オルタに斬られた事で漸く至ることが出来た…………固有結界の完成形。あの物体Xにも負けない、世界をも侵食するオレの世界だ!!」

 

 その言葉と共に放たれた攻撃を白蘭達は回避する事が出来ず、迫る攻撃を前に黙って受け止めるしかなかった。




この時点でのツナは川平のおじさんにも上手くハマれば勝つことが出来ます。
なお、まだ羽化してない模様。
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