キャストリアに転生したが原作を壊してしまった 作:霧ケ峰リョク
並中にて、京子はアルトリア・キャスターからそう言われた時、図星を突かれたかのよう胸がドキンと高鳴った。
「天然なのは良いです。その人の個性ですから…………にしては少々見ていて危ない気がしますが」
「えっと、アルトリアちゃん?」
「でも貴女が抱えているそれは天然な貴女でも誤魔化せない。だって、それが今の貴女を形作ってしまっているものですから。まあ、私も人の事を言えませんが」
何を言われているのかは分からない。でも、それは決して否定できない言葉だった。
頭を掻きながら何を言えば良いのか、どう話して良いのか分かってないながらもアルトリアは言葉を選んで話を続ける。
「あまりこう言う事を言うのはあれなんですが…………そのまま目を逸らし続ければ死ぬ程後悔する事になりますよ」
その言葉の意味を知るのは夜の学校で兄がで戦っている時だった。
「
私が今のツナに対し見出した唯一の勝機、それを彼は淡々と呟く。
「龍脈を焼却して放つ極大の大技、確かにそれなら今のオレに対し特攻だ。何せこの身はある神の対としての側面を飲み干しているからね。加えてビースト…………正直に話すと滅茶苦茶効くよ」
「…………これについて私はツナに教えたつもりは無いんですが」
「未来から送られた知識の中にあった。だから文句はそこのオルタにでも言ってくれ」
二体のアルターエゴ、あるいはツナが単為生殖で産み落とした娘達《ハイサーヴァント》。
恐らく名のある大英雄と神霊を複合しているんだろう。でなければ二人がかりとはいえグランドセイバーを相手取る事なんて出来ない。
「
「
弓から放たれた九つのドラゴンレーザー、そして槍を投擲する事で発生する核爆発に匹敵する破壊力を持った火柱がオルタを襲う。
必死、あるいは即死の攻撃をオルタは炎を灯した聖剣を振るう事で爆炎と九つのレーザーを斬り払う。
何て戦闘だ。神話の戦いを繰り広げている今の三人に私達は介入出来ない。
リボーンなら介入は可能だろうけど、ツナに攻撃が効かなかったようにあの三人には無効化される。
オルタは私の予想が正しければ鞘を持っているだろうし、アルターエゴ二人は素材に使われている英霊が足切りしてくる。と、いうか
「容赦する余裕なんか無い」
「当然のように人の心読まないで下さいよ!!」
やっぱり妖精眼より超直感は遥かに厄介。
思考を読まれるなんて話じゃない。無意識の行動も読まれるんじゃこっちの攻撃を当てる事すら難しい。
ましてや今のビーストスペックでそれをやられたら今の私達じゃ相手にならない。
ボンゴレ
何か、何か無いか。この絶望的な状況から抜け出す何かを――――。
「もう止めてください! ツナさん!!」
何とか打つ手がないか模索してると、結界の中に居るハルが叫んだ。
ハルの顔は両目から溢れた涙でぐしゃぐしゃになっており、私が展開した結界を叩いている。
「何で、皆で戦ってるんですか!」
「戦うしか無いからだよ」
泣きながら叫ぶハルにツナは淡々と告げる。
「互いに譲れないからぶつかり合う。自分の意見を通す為にね」
「納得出来ません!!」
「出来なくてもするしかないんだよ。オレは自分が正しいと思った事を貫き通すだけ、皆はオレが間違ってると思ってるから止めようとする。なら戦うしか――――」
「ハル達は、ツナさんが何をしたいのか知りません! そもそもこの時代に来てから何が起こってるのか、それも知りません!!」
ハルの慟哭の叫びに、この場に居る全員は固まった。
「何が起こってるのか知ってるのに話してくれません! アルトリアちゃんとツナさんが喧嘩してるのも! ツナさんが何をしたいのかも! 皆教えてくれません!!」
「ハル…………」
「ハル達だって、ハル達だって分かってるんです! アルトリアちゃんが皆嫌いって思ってるのも、嫌いなのに時々皆を優しい顔で見てるのも、ツナさんが何か苦しんでたのも、この時代で起こってる事がハル達は知らない方が良い事も、ツナさんが何か我慢しながら皆と喧嘩してるのも!! きっと皆もちゃんと考えて、私達は知らない方が良い事なのも全部分かってます! だけど、傷付いている皆を見て何も知らないでいるのは辛いんです!」
この時代に来たのは戦える人間だけではない、彼女達のように何も知らない人達も来ている。
マフィア関係者という言葉に嘘は無い。けど、マフィアの事を大して知らないハルや角笹川先輩の妹である京子ちゃんは何も知らない一般人でしかない。
そんな二人がこんな時代に突然連れて来られて、命を脅かされる危険な世界だと知らされて、何も分からないまま友達同士が本気の殺し合いをしている。
訳が分からないし何でそうなっているのか知りたいと思うのは当然の事だ。
「う、ぅうううう…………」
「…………ツナ君、教えてくれないかな?」
その場に泣き崩れるハルの背中をさすりながら京子ちゃんはゆっくりと問いかける。
「き、京子! 違うんだ! オレ達はそう、演劇の練習を――――」
「お兄ちゃん」
何時の間にか駆け寄っていた獄寺からある程度状況を聞いた笹川先輩は慌てながら誤魔化そうとするも、京子ちゃんはそんな兄を今にも泣きそうな瞳で見つめる。
「お兄ちゃんが私を心配させないように本当の事を教えてくれないの、ずっと前に私の前でお兄ちゃんが大怪我をしたからだよね」
「っ、京子…………」
「私は、お兄ちゃんに傷付いてほしくなかった。でも、多分、それじゃダメだったんだと思う。あの時、お兄ちゃんが怪我した時に私はもっとちゃんとその意味を知らないといけなかったんだ」
子どもの頃、笹川先輩は彼を疎ましく思う不良達に京子ちゃんを出しに呼び出されて大怪我を負わされた事がある。
私達はその事実について詳しくは知らない。けど、それが笹川先輩が京子ちゃんの身を心配するように京子ちゃんが笹川先輩に戦ってほしくなかった理由だ。だけど、それはあまり良くはない関係だった。そして、それが私があまり彼女の事を好きではない理由だった。
「前にアルトリアちゃんに言われた事があるんだ。何時まで目を逸らしているんですかって…………今ようやくその言葉の意味が分かったんだ。私はあの時からずっと、変わってないままだったんだ。あの時のまま、お兄ちゃんに守られたままだったんだって…………あの時、お兄ちゃんが傷付いたのは私のせいだったんだって」
「違うぞ京子――――」
「ううん、違わないよ。だから、私は知りたいんだ。皆が何で傷付いているのかを」
「…………それを知ったら戻れませんよ」
私は思わず京子ちゃんに忠告の言葉を投げる。
だけど京子ちゃんは笑いながら言った。
「無理にとは言わないよ。お兄ちゃん達が教えてくれないのが私達の為を思って黙ってるんだから。でも、ちゃんと話したらこんな喧嘩はしなくて良いかもしれないから」
その言葉に私は、ツナは思わず黙り込んでしまう。
彼女の言葉に対し私達は何も言う事が出来ない。先に結論を知ってしまっている私達は何も話す事は無かった。
だから彼女の言葉を否定出来ない。どうせ無駄だと諦めていて話す事を放棄していたから。
「もしかしたら全部解決するかもしれないよ? ツナ君が悩んでいる事も、アルトリアちゃんが諦めている事も」
「…………意外と見てるんですね」
「ずっと一緒に居れば分かるよ。ツナ君が本当に皆の事が大好きなのも、アルトリアちゃんが人間嫌いだけど同じくらい人間好きだって事も。だって本当に嫌いなら関わらないから」
「うーわ…………はっずいなぁ」
こうして自分の見たくないところを突き付けられるのは本当に恥ずかしい。
だから私は京子ちゃんが苦手なんだ。
普通なら信じない事も信じてしまうくらい騙されやすいのに、妖精眼が機能しないくらいのド天然なのに、意外と鋭いところが。
でも、それが彼女の良い所でもあるから仕方が無いか。
「…………確かに、京子ちゃんやハルの言う事にも一理あるかもね」
泣いているハルや京子ちゃんの説得に毒気を抜かれたのかツナは刃を降ろす。
「オレは、今でも自分の意見が正しいと思っている。なんて胸を張って断言出来る程自分に自信があるわけじゃない。こうするしか無かっただけで、皆に話しても無意味な事だと思っている。どれだけ言っても絶対に納得しないって分かってるから」
でも、とツナは言葉を続ける。
「何でオレがこんな事をしているのか、その理由をちゃんと話さないまま自分の意見を通そうとするのも違うか…………」
そう言ってツナは固有結界、
初見の人、主に京子ちゃんやハルは驚き、既に知っている人達は全員がしまったと言わんばかりの顔になる。
発動させたら絶対に負ける固有結界、絶対にツナに使わせてはいけなかった切札。
だけどこの固有結界を何度も見慣れている私には、普段使っているものとは異なる運用方法である事にすぐに気付いた。
この結界には私達を害する意図は込められていない。
「
ツナが詠唱すると同時に私達の前に映像が投影される。
「これは…………記憶の投影?」
固有結界の特性を利用して過去の映像、即ちツナ自身の記憶をテレビのように映し出しているのか。
「悪いけど、さっきも言ったけど皆に言葉で説明したところで分かってくれるなんて思ってない。だから、こうして直接見てもらう。出来れば、これを見て諦めて欲しい」
その言葉と共に映像が流れ始める。
最初はツナと私の出会い、そして中学校時代へと時間が流れていく。
けれどその映像の中ではリボーンとの出会いは無く、それどころか皆は全く出て来なかった。
いや、出て来てないわけじゃない。が、親しい関係性になる事はなく、そのまま高校へと進んでいった。
「これはオルタの、ツナが受け取った未来の記憶?」
言ってしまえば、この流れている映像こそが本来ツナが歩むべき
なら、この後流れるのは――――。
「っ、これが、10代目が言っていた事か」
流れているツナの記憶は
聖剣を製作する工程を見て、皆が顔を背けて私を見ていた。
「ひでぇな。文字通り、全部を材料にするのか。記憶も、命も、魂さえも」
私を見ながら口にするリボーンの呟きに答える事はせず、黙ったまま映像を見つめる。
今の自分よりも大人になった、それこそモルガンみたいに成長した私が炉の炎に飲まれながらも気丈に笑顔を見せる。
分かり切っていた事だ。自分の結末なんて、最初から分かり切っていたんだから。
そして、時間が飛んで――――地獄が始まった。
「な、んですか…………これ」
貪られて死んだ者、近付いた瞬間宇宙線によって血を吐きながら死んだ者、奴が放った高熱によって蒸発した者。
動くだけで億を超える人が死んで、迎撃という名の抵抗も全てが効かなかった。
解析され、進化して、傷付けて、再生して、殺して殺して食って食って食い尽くす。
星をも喰らい尽くす悪食の
鞘による不死と時間支配の能力で必死になって抵抗していた。
やがてORTに付けた傷が
何とか必死になってORTを倒した事で世界は平和になった――――なんて事は無く、今度は人間同士の争いに変わった。
そうして聖剣を敵の血で染め、時には守っていた子どもも見殺しにしてツナは王様になった。
最後の王、未来王、救世主。そう崇められながら表情一つ変える事無く、最後の一人が命尽きるまで王としてあり続けた。
『ごめんね王様…………一人にしちゃって』
最後の一人の遺言を聞き、ツナは何かを宙へと撃ちあげる。
そして、死の一歩手前になった星にただ一人残されたツナは、自らの喉を聖剣で突いて肉体一つ残さず消し飛んだ。
最後に、残された慚愧を過去の自分へと送って――――。
Q.何でグランドセイバーがツナオルタなの?
A.眉間に皺を寄せる事も忘れる程に殺して、
こんなもんオルタ以外無いわ。
他のオルタと違うのはORT戦前後なだけで無理に歪めているわけではなく、メディア・リリィとメディアさんみたいな関係性です。
ちなみに本来なら今回の話でチェッカーフェイス出したかったけど出せませんでした。
なんで次回に持ち越しです。
最後に
Q.こんな記憶を受け取った中学校時代のツナ君がどう思うのか?
オルタ関連も答えますので遠慮せず感想に書いてください。